著者
崔 埈豪 日比 貴之 古野 晃久 川口 雅弘 加藤 孝久
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.228-235, 2017-03-15 (Released:2017-03-16)
参考文献数
21
被引用文献数
5

In our previous study, microstructure and mechanical properties of diamond-like carbon (DLC) films prepared by plasma based ion implantation and deposition using toluene (C7H8) as a source gas were investigated. It was reported that G-peak full width at half maximum [FWHM(G)] shows a maximum value at a G-peak position of around 1540 cm-1, indicating structural changes of DLC films; polymer-like (PLC) to diamond-like carbon (DLC) structure in lower wavenumbers than 1540 cm-1 and diamond-like to graphite-like carbon (GLC) structure in higher wavenumbers than 1540 cm-1. Further, two linear relationship between mechanical properties and FWHM(G) were observed depending on the microstructure of DLC films. In this study, we report the dependence of source gases, methane (CH4), acetylene (C2H2) and toluene, on the microstructure of DLC films, and the correlation between microstructure and mechanical properties of DLC films. It was found that FWHM(G) shows a maximum at a G-peak position of around 1540 cm-1 regardless of source gases. Furthermore, there exists a linear relationship between PL background component and hydrogen content of the films, that is, hydrogen content can be estimated by a simple equation regardless of source gases. The correlation of hardness with FWHM(G) of DLC films prepared using CH4 and C2H2 gas shows good agreement with the correlation line of DLC-GLC provided in the case of C7H8.
著者
新田 真弓 安部 陽子 佐々木 美喜 千葉 邦子 髙田 由紀子 辻田 幸子 古谷 麻実子 鶴田 惠子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.5_763-5_776, 2022-01-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
36

目的:病院に勤務する女性看護職の妊娠継続を困難に感じた体験を明らかにする。方法: 平成27年〜29年度日本学術振興科学研究費補助金(基盤研究(C)15K11569)「病院看護職の個人および職場の特性と妊娠・出産に関する階層モデル」第1段階の面接調査で収集したデータの2次分析を行なった。結果:7名の語りから,【妊娠前と同じように働くことを自分に課してしまう】【業務の中で母児ともに危険にさらされる】【切迫早産の不安を抱えながら,子宮収縮抑制剤内服の副作用に耐えて働く】【妊娠による体調変化を相談しても,これまで通りの働き方が求められる】【上司の言動で,働き続けることがつらくなる】のテーマが抽出された。結論:看護職者は周囲に迷惑を考慮し妊娠前と同様に業務を遂行しようとしていた。一方で診療報酬による制限や人材不足により妊婦の負担軽減が難しい状況があることも示唆された。
著者
古瀬 徳雄
出版者
関西福祉大学研究会
雑誌
関西福祉大学研究紀要 = The Journal of Kansai University of Social Welfare (ISSN:13449451)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-9, 2007-03

教会音楽の制作に携わる作曲家にとって,教会暦に従った典礼の機会に応じて作品を創り上げることは使命であった。そこには,聖書にあるイエスの心身の治療,信仰による奇蹟の救済の幾多の事例が取り上げられ,これらの福音書を創造の泉とし,宗教音楽の幾多の名作を生みだした作曲家は多い。J.S.バッハ(1685~1750) もその一人である。彼が所属するルタ一派教会において,その日の礼拝で朗読する福音書の章句に基づいて牧師の説教を行った後,関連する歌詞に作曲し演奏していったのが「カンタータ」である。バッハは聖書にある,さまざまな病を持つ患者をどのように捉えていたのか,彼の巨大な作品群から,「ハンセン病」の患者に対する癒しに絞り,現存する約200曲以上の「カンタータ」を調べたところ,「Aussatz」の語句そのものが登場している曲が2曲あり,また福音書聖句との関連する曲は5曲見つかった。そこには歌詞の語りかける深い表現,作品の構造の分析を通して,独立声部と通奏低音の織り成す周到な生地に,「ハンセン病」への思いが「苦難の解放」として,人知れず縫い込まれていることが浮かび上がってきた。それは,手本なしに生み出された独自の創造物であり,バッハのまなざしは,すでにこの時から,遥か先の現代を見通していたのではないだろうか.

2 0 0 0 OA 作文二千題林

著者
西野古海 編
出版者
木村文三郎等
巻号頁・発行日
vol.上, 1879
著者
功刀 浩 古賀 賀恵 小川 眞太郎
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.54-58, 2015

海外では,うつ病患者において肥満,脂質異常,n-3 系多価不飽和脂肪酸,ビタミン B12 や葉酸,鉄,亜鉛などにおける栄養学的異常が発症や再発のリスクと関連するという報告が増えている。しかし,わが国におけるエビデンスは今のところ乏しい。特に精神科受診患者を対象とした研究はほとんどない。そこでわれわれは,うつ病患者と健常者における栄養素・食生活について調査し,予備的結果を得た。末梢血を採取し,アミノ酸・脂肪酸・ビタミン濃度等について詳細に測定した。食生活調査は食事歴法質問紙を使用した。うつ病群は健常者群と比較して肥満,脂質異常が多かった。脂肪酸では,エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸濃度について両群間で有意差は見られなかった。ビタミンでは葉酸が低値を示す者がうつ病群に有意に多かった。アミノ酸では,うつ病群で血漿トリプトファン値が有意に低下していた。鉄や亜鉛などのミネラルの血清中濃度に関しては,欠乏を示す者は患者と健常者の両群に高頻度でみられたが,両群の間で有意差は見られなかった。嗜好品では,うつ病患者は緑茶を飲む頻度が低い傾向がみられた。以上から,海外での先行研究と必ずしも一致しないものの,日本のうつ病患者においても栄養学的問題が多数みられることが明らかになり,うつ病患者に対する栄養学的アプローチの重要性が明らかになった。
著者
古賀 竣也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.115-125, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究の目的は,統計的リテラシーにおける批判的思考態度の構造を明らかにすること,および統計的リテラシーのスキルに関係する批判的思考スキルは何かを明らかにすることである.まず,質問紙調査を実施し,「数値やデータへの関心」,「懐疑的・複眼的な見方」,「他者との関わり」の3因子から構成される態度に関する尺度を開発した.次に,統計的リテラシーのスキルを測定するテストと,複数の批判的思考スキルを測定するテスト,作成した尺度を含めた質問紙調査を実施し,これらの相関を検討した.その結果,統計的リテラシーの得点と全ての批判的思考スキルの得点に正の相関がみられた.また,統計的リテラシーの得点と尺度の得点には有意な相関がみられなかったことから,統計的リテラシーにおける批判的思考態度を有していても,統計情報を適切に解釈できるとは限らないことが考察された.
著者
尾崎 庄一郎 渡辺 裕 / 長瀬 敏雄 小笠原 富夫 古川 弘幸 上村 敦彦 石川 勝敏 / / 徳善 令子 AKIO HOSHI MASAAKI IIGO REIKO TOKUZEN
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.150-157, 1986-01-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
14
被引用文献数
15 23

With the aim of diminishing the toxicity of 5-fluorouracil (1) and obtaining biologically active derivatives of 1 suitable for oral administration, α-alkoxyalkyl groups were introduced at the 1-, 3-and 1, 3-positions of 1. Alkoxyalkylation can be effected by four methods : (i) reaction of 1-alkoxyalkyl chloride (2) with 1, (ii) reaction of acetal with 2, 4-bis (trimethylsiloxy)-5-fluoropy-rimidine, (iii) addition reaction of α-unsaturated ether with 1, (iv) aminolysis of 1-alkylthio-carbonyl-3-(1-alkoxyalkyl)-5-fluorouracil. The toxicity of the products was less than that of 1, and some of these compounds showed moderate antitumor activity against L-1210 leukemia.
著者
隈元 庸夫 世古 俊明 田中 昌史 信太 雅洋 伊藤 俊一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.371-375, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
8
被引用文献数
3

〔目的〕骨盤側方移動運動中に骨盤固定による受動抵抗をうけることが移動方向と反対側の中殿筋活動へ及ぼす影響を異なる立位姿勢条件で比較し,閉鎖性運動連鎖での股関節外転筋トレーニング法の筋電図学的根拠を得ることとした.〔対象〕健常成人男性20名とした.〔方法〕左方向に骨盤を側方移動させる運動課題を両股関節内旋位・外旋位・中間位の3条件,右下肢への荷重を最大にした時と体重の半分の大きさにした2条件で実施した.左右の中殿筋,大内転筋を導出筋とした.〔結果〕股関節内旋位・最大荷重での運動課題実施時に右中殿筋活動量が最も高くなった.〔結語〕立位骨盤固定位で骨盤を側方へ移動させる運動は片脚立位が困難でも立位で実施可能なCKC外転筋トレーニングとなることが筋電図学的に支持された.
著者
山本 圭吾 松島 健 吉川 慎 井上 寛之 手操 佳子 園田 忠臣 波岸 彩子 堀田 耕平 市村 美沙 森田 花織 小池 碧 古賀 勇輝 渡邉 早姫 大倉 敬宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

平成26年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」における課題「桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究」の一環として,昨年度に引き続き,2017年11月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告し,2016年11月に実施した前回測量以降の桜島火山の地盤上下変動について議論する. 水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線である.路線総延長は約24 kmであった.これらの路線を,2017年11月1日~13日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.近年の水準儀は測量精度も向上しており,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてともに±0.22 mm/km,水準環閉合差はハルタ山登山路線において時計回りに0.9 mm(許容誤差7.6 mm)となり,高精度の一等水準測量を行うことができた. 桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2016年11月に行われた測量結果(山本・他,2017)と比較することで,2016年11月から2017年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した. 計算された地盤上下変動量から,桜島北部付近の水準点において,地盤隆起(最大で4.5 mm)が生じていることが確認された.前々回から前回測量までの2015年8月・9月から2016年11月の期間においては,1年2~3ヶ月間と多少1年間よりも期間が長いものの,北岳路線のこの付近の水準点において15 mm程度の地盤隆起が測定されていた.このことを考えると,2017年11月までの1年間の桜島北部付近の隆起速度は,それ以前の1年間に比べて減少していると考えられる.一方で,桜島中央部付近においては,若干の地盤沈降(最大で-2.6 mm)が認められる. 茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,桜島北方の姶良カルデラの地下約10 kmの深さに増圧源が,また南岳地下の浅部に減圧源が推定された.2016年11月~2017年11月の期間,姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて引き続きマグマの貯留が進行していることを示していると考えられる.一方で,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向が示唆される.
著者
藤原 雄太 佐々木 翔 岩倉 敏夫 松岡 直樹 小林 宏正 日野 恵 古川 裕 石原 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.1101-1109, 2013-09-15 (Released:2014-09-17)
参考文献数
20

背景:アミオダロンはヨードを大量に含有するため,甲状腺機能異常をしばしば起こす.さらに末梢および下垂体でサイロキシン(thyroxin;T4)の代謝と甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH)分泌に影響するため,甲状腺機能の正確な解釈が困難になる.対象:2009年6月から2010年6月までにアミオダロンを1カ月以上処方されていた341名を対象とした.方法:対象患者の2003年1月から2010年6月までの甲状腺機能検査結果を調査し,また診療録より臨床的特徴を検討した.結果:測定キットの正常域では血中FT4とTSHはともに高値となり解釈不可能な異常値を呈する症例が多数あったため,両者の分布に基づき基準域を1.0≦FT4<2.4 ng/dL,1.0≦TSH<20.0 µU/mLと設定した.機能低下症例は疑いを含めて34名(10.4%)認めた.中毒症例は17名(5.2%)認め,type 1(機能亢進)例はなく,ほとんどの例がtype 2(破壊性)であった.死亡例とバセドウ病合併例を認めた.考察:アミオダロン治療中には甲状腺機能低下症も破壊性中毒症も高頻度に発症するが,軽症例では通常の正常域を用いて正確な診断を行うことは非常に難しい.アミオダロンによるT4代謝とTSH分泌への影響が大きく,甲状腺機能解釈時には従来の正常域にとらわれず本病態を考慮した特別の基準域を用いたほうが甲状腺機能を正しく評価でき,適切な対応が可能になると考えられる.
著者
金子 淳一 細矢 直基 古屋 耕平
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference 2010 (ISSN:24242993)
巻号頁・発行日
pp._111-1_-_111-6_, 2010-09-14 (Released:2017-06-19)
被引用文献数
2 4

This paper discuses the way to reduce the noise and vibration of thin plate structures. This paper focuses on the musical saw, a kind of musical instrument. The musical saw is thin plate and it is need to bend the saw as S-curve, to play the instrument. Thin plate structures used for various products. In some case, curvature is laid on thin plate structures to enhance the rigidity. If musical saw and thin plate structures conditions are matched, it will be noise problem. Investigating that the relationship between the sound pressure, S-curve, boundary condition, and aspect ratio of the saw by experiment and FEA, it is discussed to apply the investigation result to the thin plate structures.
著者
清田 洋正 五十嵐 渉 齋藤 亜紀 古川 博之 星川 浩輝 桑原 重文
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, 2015

<p> Enacyloxin (ENX)類(Fig. 1)は、赤パンカビNeurospora crassaの培養上清で培養した酢酸菌の一種Frateuria sp. W-315株の生産する、珍しい鎖状ポリエン-ポリオール型の抗生物質である[1]。そのポリエン構造のため光に不安定であり、渡邉敏彦博士による発見報告以来、当研究室での全立体構造決定まで25年を要した[2]。中でもENX IIa (2) は抗グラム陽性・陰性細菌活性を示し、その作用機構はリボソームelongation factor-Tuに作用するタンパク質合成阻害によることが知られている[3]。酵母やカビには抗菌活性を示さないことからも選択的な抗菌剤としての開発が期待される。ENX IIaの他、ENX oxidaseによる酸化の前駆体であるENX IVa (1) やdecarbamoyl ENX IIa など様々な類縁体が単離されている。</p><p>Fig. 1. エナシロキシン (ENX) 類の構造と逆合成解析</p><p> 我々はENX類の創薬への展開を目指して全合成研究を行っている[4]。ENX IIa (2) の逆合成解析をFig. 1に示す。全体をポリオールC16'-C23'部A、C9'-C15'部B、 ポリエンC1'-C8'部C及びシクロヘキサンカルボン酸部Dに分けた。Aの3箇所の不斉点についてはd-アラビノースを利用し、Bはd-グリセルアルデヒド=アセトニドからクロチルホウ素化で導くことにした。ポリエン部C はWittig反応で調製し、シクロヘキサンカルボン酸部Dについては、d-キナ酸の立体化学と位置選択的なアシル化反応を利用する。AとBの連結では、ジアニオン型求核試薬と酸クロリドとのカップリング反応を計画した。BCD間についてはHorner-Wadsworth-Emmons反応を用いることにした。</p><p>1)ポリオールC16'-C23'部の合成(Scheme 1)</p><p> d-アラビノースをラクトン誘導体3に導き、Wittig-Horner反応により4を経てE-アルケニル部分を増炭した5を得た。4のカルボニル基の還元は非選択的であったが、塩基処理で生じたオレフィンはE-体のみであった。トシラート6を経てエポキシド7を調製後、C16'-C23'部となるスルホンA1を合成した[4b]。また、相当するブロミドA2、ホスホニウム塩A3も調製した。</p><p>Scheme 1. C16'-C23'部の合成</p><p>2)ポリオールC9'-C15'部の合成(Scheme 2)</p><p> d-グリセルアルデヒド=アセトニド9からクロチルホウ素により4炭素増炭してアルコール10を得、酸触媒を用いて1,2-アセトニド部分を2,3-位に掛け替えて11とした[5]。11から相当する酸クロリドB1を調製した。一方、11の二重結合をオゾン分解した後、LiCHCl<sub>2</sub>を用いて増炭[6]、アルキノール12及び酸クロリドB2に導いた。また、12のアルキン部分をRed-Al/NCSを用いて塩素化し、酸クロリドB3を得た。</p><p>Scheme 2. C9'-C15'部の合成</p><p>3)C9'-C15'部とC16'-C23'部のカップリング反応(Scheme 3)</p><p> 予備実験において、相当するスルホン(O-EE-A1)由来のモノアニオンでは、アルデヒド、酸クロリド何れともカップリング体は得られなかった。そこで求核性の向上を狙い、ヒドロキシスルホンA1からジアニオンを調製、酸クロリドB2を加えたところ、目的物A1-B2が10%の収率で得られた。一方、ホスホニウム塩A3を用いても目的物は得られなかった。更に求核性を向上させるため、共鳴安定化していないヒドロキシアルキ</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
著者
奥木 芳明 古田 貴久
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.69-78, 2005-07-15 (Released:2016-08-02)
参考文献数
9
被引用文献数
5

本研究では, 情報教育の目標である情報活用の実践力を, 初等教育の問題解決過程の学習指導において測定するための尺度を作成し, その信頼性と妥当性を検討するための調査を行った.対象は小学校高学年の「総合的な学習の時間」とした.尺度の信頼性を検討したところ, 高い内的一貫性が示された.因子分析の結果, 尺度の内部構造は問題解決学習の学習指導段階と合致することが示された.また, 各教科において情報教育と関連する項目と本尺度との相関を求めたところ, 有意な正の相関が見られた.さらに, 本尺度の内容は, ユネスコが示した情報学カリキュラム(UNESCO 1994)の基礎レベルをカバーすることが示された.以上の結果から, 今回作成した尺度は, 児童の問題解決過程における情報活用の実践力を測定することに適しているといえる.
著者
古田 智久
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.83-88, 1998-03-31 (Released:2010-05-07)
参考文献数
23

クワインが『ことばと対象』において提起した翻訳の不確定性テーゼをめぐっては, そのテーゼについてのクワイン自身の説明が決して十分なものではなかったこともあり, 様々な解釈の下に多数の検討・批判論文が著されてきた。本論文の目的は, 定った解釈が確立されているとは言い難い状況にある翻訳の不確定性テーゼの主張内容を見極めることである。本論文での議論の進め方としては, 翻訳の不確定性テーゼの内容を説明する際にクワインが言及する, (1)証拠と翻訳マニュアルとの結び付きが緩いこと, (2)複数の翻訳マニュアルが存在しうること, (3)事の真相がないこと, という三つの特徴の各々を検討することにより, クワインがそれぞれの特徴によって意図していることを明らかにしながら, 翻訳の不確定性テーゼの核心に迫るという手法が採られる。本論文の考察によって, 翻訳の不確定性が, 専ら〈証拠と翻訳マニュアルとの結び付きの緩さ〉という認識論的な特徴によって説明され, 〈事の真相がない〉という存在論的な特徴によって科学理論の決定不全性と区別されること, そして, 上述の〈複数の翻訳マニュアルが存在しうる〉という特徴は, 〈実際問題として複数の翻訳マニュアルが存在する〉という主張ではなく, むしろ〈証拠と翻訳マニュアルとの結び付きの緩さ〉という認識論的な特徴から導かれる副次的なものであることが確認される。
著者
奥木 芳明 古田 貴久
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.185-192, 2009-10-10 (Released:2016-08-06)
参考文献数
10

本研究では,情報活用能力の1つである情報活用の実践力に関連して,教師と学習者の問題解決過程に対する認識構造および評価の相違について検討した.教師と児童の実践力を測る質問紙を作成し,小学校高学年の「総合的な学習の時間」の授業において調査を行った.因子分析および共分散構造分析の結果,教師の認識では個々の問題解決活動は互いに結びついているが,児童の認識構造では活動間の関連性があまり意識されていないことが示唆された.また,児童は,内容をまとめたり考察する活動において,教師よりも高めに達成度を自己評価した.