著者
黒瀬 大介 古屋 成人 Djeddour D. H. Evans H. C. 對馬 誠也 土屋 健一
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.31-37, 2013-11-29 (Released:2015-10-14)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

Fallopia japonica(Japanese knotweed, Polygonaceae), native to Japan, has been a serious invasive perennial weed in North America and large parts of Europe, especially in the UK, where there is an urgent need for a classical biological control strategy. Surveys have confirmed the presence of specialized plant pathogens in the native range of Japan. The results of the surveys showed that three fungal diseases of two rusts and a leaf-spot disease were predominantly common and widespread in the field. These rusts were identified as Puccinia polygoni-amphibii var. tovariae and Aecidium polygoni-cuspidati. Furthermore, a leaf-spot fungus morphologically identified as Mycosphaerella polygoni-cuspidati is also distributed widely in Japan. In the field, P. polygoni-amphibii var. tovariae and M. polygonicuspidati were confirmed to have severe infectivity to F. japonica. Thus, it is suggested that these two pathogens have high potential to become classical biological control agents for F. japonica.
著者
古畑 勝則 宮本 比呂志 福山 正文
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.306-310, 2004-05-10 (Released:2010-07-21)
参考文献数
19

市販園芸用土におけるレジオネラ属の生息状況を把握するために112試料について分離を試みたところ, 11試料 (9.8%) から分離され, 低率ながら生息していることが判明した. また, これらの試料を室温で放置した場合は6ヵ月経過後でも分離され, 長期にわたって生残することが確認できた.分離菌種はL.pneumophilaが優占種であり, 血清群別では6群, 1群, 3群が比較的高頻度に分離された. これら分離株はいずれもAcanthamoeba内で増殖可能であったことから病原性を有すると考えられた. また, 分離株の薬剤感受性試験では, rifampicinのMIC90が0.125μg/mLと最も感受性が高かったが, minocyclineは32μg/mL, piperacillinは>256μg/mLとMIC値が高い傾向がみられた.
著者
外村 洋一 小野 忠弘 辻 正彦 堀尾 豊 庄野 元 本田 義信 櫛山 三蔵 徳臣 晴比古
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.309-317, 1977-04-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
23

Kent型WPW症候群3例について,副伝導路不応期の測定を試みた.3例共従来のRapid pacingによってはwide QRS のnormalizationはまったくみられず,ERPAPの測定は不可能でExtrastimulus法で以下のごとき種々の条件でのERPAPの測定を行った.Basic cyclelengthによる変化,およびOuabain ,Procainamide投与前後におけるERPAPの変化を検討した.ERPAPはBCLの短縮に伴い,短縮した.3例共,Ouabain投与後,ERPAPはBCLに関係なく減少を示した.その後,第1例,第3例にProcainamideの静注を行った所,ERPAPが延長した.3例共,心房細動によると思われる頻拍発作の既往を持ち,これに対するDigitalis使用はERPAPを短縮し,頻拍発作をさらに増悪する可能性があるので,注意を要する.
著者
今村 太郎 宮ノ下 明大 楡木 真弓 古井 聡
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
都市有害生物管理 (ISSN:21861498)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-14, 2018 (Released:2020-02-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1

沖縄本島の精米施設において,玄米を用いたベイトトラップで貯蔵食品害虫とその天敵を調査した.トラップ設置期間は2014年9月1日から17日であった.ガイマイツヅリガ,コクヌストモドキ,チャタテムシ,コメグラサシガメが採集された.コメグラサシガメは日本では1999年に採集されたという報告があるだけであり,それ以来の記録となった.
著者
溝口 理一郎 古崎 晃司 來村 徳信
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.361-371, 2015-08-01 (Released:2015-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3

有用な情報をいかにして手に入れるかという問題は古くて新しい問題である。異分野交流の典型であるバイオミメティクスではそれが顕著に表れる。バイオミメティクスでは,生物が実現しているさまざまな機能を模倣することによって,これまでにない有用な機能を革新的な方法で実現することを目指している。しかし,生物学に不案内な工学者が生物に関する有用な情報を入手することは容易ではない。本稿では,そのような工学者を支援するための新しいシソーラスであるOntology-Enhanced Thesaurus(OET)に関する概要を解説する。OETは,オントロジーという一般的で抽象度の高い概念群を従来のシソーラスの上位に位置付けることによって,異分野間に存在するギャップを埋めることを目指している。オントロジーやシソーラスの解説も含めて,OETの構成やキーワード探索自体を支援するツールに関してわかりやすく説明する。

2 0 0 0 OA 膵炎

著者
真弓 俊彦 新里 到 眞田 彩華 鍋島 貴行 宮里 和明 石川 成人 大石 基 遠藤 武尊 中園 和利 弓指 恵一 山中 芳亮 大坪 広樹 古屋 智規
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.349-356, 2016 (Released:2017-04-12)
参考文献数
24

重症急性膵炎では,多数のRCT やそれらのメタ解析で,発症72 時間以内の早期の経腸栄養が死亡率や合併症を有意に減少させることが示されている. しかし,実臨床では経腸栄養が早期に開始されていることは少なく,特に診断後48 時間以内に開始される例は非常に少ない.膵酵素の高値,腹痛,蠕動音消失,多量の胃液排出は,経口摂取の中止基準にはなっても,経腸栄養の中止基準にはならず,これらが認められていても経腸栄養を開始できる.重症急性膵炎でも早期から経腸栄養を開始することが肝要である. 従来,経空腸的な経腸栄養が施行されてきたが,メタ解析により,経空腸栄養ではなく,経胃栄養も可能かもしれないことが示唆されている.また,免疫調整栄養,プロバイオティクス,シンバイオティクスの有用性はまだ定かではない.
著者
山崎 喜比古
出版者
医学書院
雑誌
看護研究 (ISSN:00228370)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.479-490, 2009-12-15

はじめに 健康生成論およびSOC概念・尺度の提唱と本稿の目的 20世紀後半,特に最後の四半世紀,健康・病気と保健医療の世界においてパラダイムシフト,すなわち,それまでの健康・病気と保健医療に関する伝統的支配的な見方・考え方に代わる新しい見方・考え方の提唱と普及が進んだ。 その1つに,ユダヤ系米国人の保健医療社会学者アーロン・アントノフスキー(Aaron Antonovsky)博士(社会学)が,1979年と1987年に刊行した2大著作で世に問うた健康生成論(salutogenesis)とストレス対処・健康保持力概念SOC(sense of coherence)がある。書名を和訳すれば,1作目が『健康,ストレス,そして対処─心身の健康への新しい見方』(Antonovsky, 1979)であり,2作目が『健康の謎を解く─ストレス対処と健康保持のメカニズム』(Antonovsky, 1987/山崎・吉井監訳,2001)である。 Antonovskyによれば,従来の医学は,予防医学や公衆衛生も,基本的には,疾病生成論(pathogenesis)的な観点から,疾病を発生させ増悪させる危険因子(リスクファクター;risk factor)と,その軽減もしくは除去の方策について,膨大な知識と実践を蓄積してきた。それに対して健康生成論は,疾病生成論とは180度転回した角度,すなわち,健康はいかにして回復され,保持され,増進されるのかという観点から,その要因を健康要因(サリュタリーファクター;salutary factor)と呼び,健康要因の解明と支援・強化がめざされる理論である。 さらにAntonovskyは,人々の健康を守り改善するためには,疾病生成論と健康生成論が相互補完的に,車の両輪のように発展させられなくてはならない,にもかかわらず,健康生成論は,疾病生成論に比べてあまりにも大きく立ち遅れてきたという。 SOCは,直訳すれば首尾一貫感覚,すなわち,自分の生きている世界(生活世界)は首尾一貫している(coherent),つまり,筋道が通っている,腑に落ちるという感覚である。我々は,SOCの日本語との呼称としては,わかりやすさの点から,日本に紹介した当初より,何をどのように感じている感覚なのかを表現する「首尾一貫感覚」ではなく,何に対してどのような働きをする感覚なのかを表現する「ストレス対処・健康保持能力」または単に「ストレス対処能力」のほうを用いてきた。しかし,それも,「能力」とするか,それとも単に「力」とするかについては,正直,ずっと迷い続けてきた。本号焦点でも,基本的には従来通り,「能力」を用いているが,本稿では,あえて「能力」の代わりに,包括性のより高い「力」のほうを使わせていただくこととした。両者のニュアンスの違いについては,簡単にではあるが後述する。 SOCは,Antonovskyが,上述した健康生成論的な観点から,極めてストレスフルな出来事や状況に直面させられながらも,それらに成功裏に対処し,心身の健康を害さず守れているばかりか,それらを成長や発達の糧にさえ変えて,明るく元気に生きている人々のなかに見いだした,人生における究極の健康要因であり,健康生成論の要の概念である。 Antonovskyの健康生成論的な発想と見方・考え方は,その後,世界の保健,医療,看護や心理などヒューマンサービスに関わる広範な分野の学問と実践にパラダイムシフト的なインパクトをもたらした。また,SOC概念がAntonovskyの2作目の著作(Antonovsky, 1987/山崎・吉井監訳,2001)において尺度化され,SOC尺度が提案されることによって,この20年あまりの間に,SOCと健康生成モデルの実証研究が大いに促進され,年々,幾何級数的な増加を示し,世界の学術雑誌に掲載されたSOC実証研究論文だけでも,今日までに千数百本にものぼっている。健康生成モデルとは,SOCはどのような働きをするのか,SOCは何によって育まれるのかということについての理論モデルのことである(図1)。 本稿では,以下,こうしたSOCとその着想のもとになった健康生成論とはどういう概念であり理論なのか,特に,SOCはどういう感覚なのか,人生における究極の健康要因として,ストレスフルな出来事や状況に直面して,どのような働きをする,どういう力なのかということについて,Antonovskyの提唱した理論をベースに,その後の実証研究の成果も踏まえて,概説してみたい。筆者らが2008年に出版した『ストレス対処能力SOC』(山崎・戸ヶ里・坂野編,2008)の第1章「ストレス対処能力SOCとは」とも重なるところが少なくはないが,本稿では,さらに整理と深化を随所で図ったつもりである。
著者
佐々木 茂美 佐古 曜一郎 小林 泰樹
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1-7, 1993-04-30 (Released:2018-03-01)

A series of experiments of Qi-water was conducted to investigate the outer Qi radiated by Qi sender and the characteristics of outer Qi. Spending 17 days in total, the experiments have been carried out on 10 Qi senders. Firstly, Qi water gained from each Qi sender was kept in constant temperature bath of 40±1℃. We measured the conductivity of each water with the operational amplifying water analyzer. Then the value was assessed in comparison with the control. (1) When the changes of each value were assessed hourly, the result showed three different types of curves, that is increasing, constant, and decreasing, even though all Qi senders put Qi into each water simultaneously with the same method. (2) However when daily changes are assessed for those increased in hourly assessment, there were three types of changes, that is, decreasing after increasing, decreasing after some period of unchanging, and gradual but continuous decreasing. (3) The degree of these changes seemed to have nothing to do with Qi senders' self-consciousness. (4) There seemed the tendency that Qi is not put into the water which Qi senders does not perceive consciously or unconsciously. (5) There seemed another tendency that Qi is not put into purified water. This could mean that some ions and impurities need to exist in the water for the input of Qi. (6) Another tendency is that the outcome of the staring is larger than that of the hands shading.
著者
八木 真奈美 池上 摩希子 古屋 憲章
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.404-423, 2019-12-31 (Released:2020-03-10)

本稿は,研究は「生きるために学ぶ人々の要求に応えるもの」でなければならないという問題意識から,移住者が語ったナラティブをリソースとする教材を作成するに至ったプロセスとその意義,並びに作成した教材を使って行った実践について述べる。移住者が語ったナラティブを教材化する目的は,以下の3点である。すなわち,学習者個人のナラティブを(1) 社会に向けて開くこと,(2) それによって日本語教育に対する意味付けを変革すること,(3) それを学習者自身の未来につなげること,である。教材を作成し,実践を行った結果,実践後のワークシートやインタビューから,語りによる移住者へのエンパワーメントや移住者間での経験の共有などが見られた。また,教員養成講座での実践では,受講生の気づきが促され,未来の変化への期待が持たれた。
著者
橋爪 圭司 山上 裕章 塩見 由紀代 古家 仁
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.833-836, 1997-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

中枢神経 (脳・脊髄) の障害に起因する持続性の下肢痙性に, 芍薬甘草湯 (エキス剤) が有効であった2例を経験した。症例1は, 脊髄炎後遺症の61歳女性で, 冬期に左下肢の痙縮が増強し, 左膝の屈曲困難・歩行困難となった。症例2は, 痙直型脳性麻痺の29歳女性で, 坐骨神経痛の悪化と共に, 足尖の痙縮が増強し, 歩行困難となった。いずれも各種筋弛緩薬の効果が不十分であったが, 芍薬甘草湯の定期的投与により, 短期間で著明な痙性の改善を認め, 歩行が容易になった。
著者
古賀 広志
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.36-56, 2019 (Released:2020-09-23)
参考文献数
53

In information system research, research focusing on the practice of IT artifacts has received muchattention. One perspective is the idea of “design science.” The focus of Design Science is a research on IT artifacts developed based on Simonʼs seminal book “The Science of the artifacts”. However, there is no consensus on the idea of digital science, and there is confusion over the perspectives. Therefore, in this paper, in order to unravel conceptual confusion of design science, the author conduct a comprehensive review of previous studies with two keywords “design” and “science” as clues.
著者
古勝 正義
出版者
北九州大学外国語学部
雑誌
北九州大学外国語学部紀要 (ISSN:02878062)
巻号頁・発行日
no.89, pp.1-22, 1997-03

陳淏「花鏡」と古呉墨浪子「西湖佳話」とを比較検討してみると、ともに杭州西湖へのつよい思いが表現されており、南京と深い関係をもつ書物であり、書中には釈道二家への傾斜、文人趣味(山水園林、隠逸)など共通する人生観や生き方が現われており、また細部の措辞においても類似・同一性が認められる。古呉墨浪子の自序および図版の跋語の書きぶりなどを考え合わせると、「西湖佳話」の作者は陳淏その人と見なすほかない。
著者
佐古 仁志
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.31, pp.291-299, 2021-03-15

本稿の目的は,科学の方法におけるアブダクションの位置づけを確認し,発見の方法とも呼ばれるアブダクションが,たんなる偶然のひらめきによりなされているのではなく,あらたな発見(の驚き)に対する心構えとしての習慣を必要とすると論じることにある。日本において「科学」という言葉は,理系,特に,自然科学をさすものと考えられがちであるが,「科学」を意味する英語のscience は「知る」を意味するラテン語に由来するものであり,疑念を解消するために知ろうとする探求の営みは,社会科学や人文科学(人文学)にも共通している。本稿では,まず科学の方法について確認したうえで,科学の成立と現在における様々な科学の営みを確認する。そのうえで,そのような科学の方法を駆動させる推論としてのアブダクションに注目し,広い意味での科学的な発見がどのようになされるのかを自然科学,社会科学,人文科学(人文学)それぞれについて検討する。 それらの検討を通じて,本稿では,一般にセレンディピティやひらめきとよばれるものが単なる偶然によるものではなく,そもそもそのような機会をつかみ取る心構えとしての習慣,つまり,何かをあらたに知る,あるいは発見するためには,日頃からあらたなものに対する予測と,そのような予測が裏切られることに対して驚く準備ができている必要があると論じる。
著者
古川 哲史
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.24-28, 2012 (Released:2015-06-18)
参考文献数
3