著者
吉田 正己
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.272-277, 1985-04-01 (Released:2012-03-15)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

昭和54年2月から昭和57年5月までの期間に臨床的に皮膚粘膜の単純ヘルペスと診断した134例(そのうち分離陽性107例)を対象とし, ウイルスの分離率と分離ウイルス株の型別を検討し, 次の結果を得た。1)発疹の形態別によるウイルス分離率: 小水疱と膿疱から95%以上, 糜爛と痂皮下糜爛から75%以上にウイルスを分離できた。さらにアフタ, 潰瘍, 丘疹, 水疱前紅斑からも分離できた。しかし痂皮と水疱後紅斑からは全く分離できなかつた。2)病日とウイルス分離率の変動: 1病日100%から6病日57%まで漸減傾向を認めた。しかし7病日から30病日の検索でも今回は注意深く湿潤病巣を捜し出したところ67%に分離できた。3)病巣部位別によるウイルスの型別: 顔および体幹上半からは75例すべて単純ヘルペスウイルス(HSV)1型が分離され, 手からは6例中2例にHSV 2型が分離された。臀部と男子外陰部の14例からはすべてHSV 2型が分離されたが, 女子外陰部からは5例中4例にHSV 1型が分離された。とくに成人の初感染11例はすべてHSV 1型であり, このうち女子外陰部, 乳房, 口腔に生じた6例が性的接触による感染と考えられた。
著者
吉田 渉 玉井 敦司 谷中 俊広 石田 幸子
出版者
弘前大学農学生命科学部
雑誌
弘前大学農学生命科学部学術報告 (ISSN:13448897)
巻号頁・発行日
no.4, pp.16-23, 2002-03-27

We indicated that the breeding season of Stichopus japonicus Selenka living in Mutsu Bay is from May to August based on the analysis of several reports. The adult sea cucumbers transferred from cool sea water (10℃) to warm sea water (20℃) started ejaculation and spawning within an hour. In the artificial induction, the best season may be during the end of May to the first ten days of June, because of the large number of mature eggs were collected from an adult sea cucumber. The number is about 3,000,000 eggs per individual. The normal development was as follows:(1)blastula:(13 hrs after fertilization), (2)gastrula:(19-30 hrs),(3)auricularia:(2-9 days),(4)doliolaria:(15-16 days),(5)pentactula:(18-22 days). When sea cucumber larvae were bred in the condition added Chaetoceros gracilis and commercial tropical fish food (TetraMin禾 baby) at low density (a larva / ml) in filtration sea water, they grew up into juvenile sea cucumbers. In this paper we reported the table of the stages in the normal development of sea cucumber, Stichopus japonicus Selenka under such conditions at 20℃.
著者
吉田 英明
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.735-740, 2009-06-01 (Released:2011-06-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1
著者
吉田 啓晃 木下 一雄 平野 和宏 中山 恭秀 角田 亘 安保 雅博 河合 良訓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3040, 2009

【目的】<BR>人工股関節全置換術症例は、下衣更衣動作や靴下着脱動作の獲得に難渋することが多い.その際、股関節屈曲・外転・外旋の複合的な可動域の拡大が求められる.臨床経験上、このような動作時に大転子後面の痛みを訴える場合があるが、我々が渉猟しえた範囲では、疼痛因子を検証した報告は見当たらない.今回、股関節の局所解剖を行い、股関節後面とくに股関節深層外旋筋の構造を観察した.股関節屈曲・外転・外旋運動において、外旋筋の一つである大腿方形筋の伸張が制限因子となりうるという興味深い知見を得たので報告する.<BR>【対象と方法】<BR>東京慈恵会医科大学解剖学講座の解剖実習用献体2体4肢(78歳男性、84歳女性)を対象とした.ホルマリン固定した遺体の表皮及び結合組織、脈管系、表層筋を除去し、深層外旋筋と呼ばれる梨状筋、上・下双子筋、大腿方形筋、内・外閉鎖筋筋と関節包を剖出した後、大腿骨は骨幹部1/2で切断した.遺体は観察側を上にして側臥位に固定し、股関節を他動的に屈曲、外転、外旋させた時の外旋筋群の伸張の程度を観察した.尚、肉眼で観察する限りでは4関節ともに股関節の変形は認められなかった.<BR>【結果】<BR>股関節中間位(解剖学的肢位)からの外旋に伴い深層外旋筋群はすべて弛緩した.一方、屈曲に伴い梨状筋及び大腿方形筋が伸張され、外転に伴い梨状筋、上・下双子筋、内閉鎖筋は弛緩するが大腿方形筋、外閉鎖筋は伸張された.複合的な運動では、屈曲位からの外転では梨状筋や上・下双子筋、内閉鎖筋は弛緩するが、大腿方形筋は伸張され、さらに外旋が加わると大腿方形筋は最大限に伸張され、筋線維が切れる程であった.とくに大腿方形筋を上下部の二等分した場合の下部の線維で顕著であった.<BR>【考察】<BR>骨盤と大腿骨の相対的な位置関係と筋の走行により、股関節に関する筋の作用や筋による関節運動制御は多様に変化する.解剖学書での筋の作用より、解剖学的肢位からの屈曲は梨状筋・内閉鎖筋・大腿方形筋が、また外転は大腿方形筋と外閉鎖筋が関節運動を制御すると考えられる.その中で屈曲・外転ともに制御するのは大腿方形筋であり、屈曲と外転の複合的な運動では大腿方形筋が伸張されたという今回の結果を裏付ける.さらに屈曲・外転位からの外旋では、外旋筋とされる大腿方形筋が伸張された.外転位からの外旋は、大転子後面を背側から尾側に向ける運動であり、大腿方形筋の停止部を遠ざけるため、とくに大腿方形筋の下部線維が伸張されたと考えられる.<BR>変形性股関節症による人工股関節全置換術症例では、手術の展開において大腿方形筋は温存されることが多いが、術中操作により過度のストレスがかかり、術後の関節運動時に大転子後面に痛みが生じることも予想される.今後は術中の様子も含めて、関節運動時の疼痛因子を検討する必要がある.
著者
平井章康 吉田幸二 宮地功
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.633-638, 2014-07-02

近年,登場してきた簡易脳波計は携帯可能な大きさであり,装着が簡単で,装着者の行動を制限しない.このため,日常的な使用が可能で,比較的安価で入手し易い利点がある.そこでこの簡易脳波計を用いて脳波情報を取り入れた遠隔教育における指導支援にフィードバックできるシステムの構築を検討している.本論文では昨年の実験で記憶作業に関する反応がlow_γと,ワーキングメモリと呼ばれる短期記憶領域で反応を示しているθ波の2つの波長の関係性を調べ,その特性を利用したサポートシステムを構築,実際に脳波計測において学生の記憶作業中の脳波データの相関関係を実験により比較分析した.その結果,(θ+α)/10とLow_γが同期した波長である事が判明した.またこの2つの波長の特性を利用したプロトタイプシステムを構築し,実験により,(θ+α)/(10×low_γ)がサポートシステムの有無で記憶力の変化が見られた事から記憶の度合いを測る指標として有効であると結果が出た.
著者
吉田 文
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:13440063)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.71-93, 2005

<p> 本稿は,アメリカの学士課程カリキュラムの構造と機能を,日本との比較の視点で検討することを目的とする.アメリカでは,先行するliberaleducation に専門教育が導入されたという歴史的な経緯があるために,学士課程教育の理念はliberal education に,実態は専門教育に傾斜という関係が,組織構造上の矛盾として存在し,その延長上でカリキュラム改革は繰り返されてきた.日本にあるもの・ないもの,アメリカにあるもの・ないものという2軸で日米を比較すると,両者ともカリキュラムの編成形態は類似しているが,日本にはアメリカのliberal education の理念はなく,アメリカには一般教育と専門教育の教員組織を別にしていたという日本の形態はなく,編成されたカリキュラムの背後にあるものが異なっていることが明らかになった.</p>
著者
荒井 崇史 藤 桂 吉田 富二雄
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.397-405, 2010 (Released:2011-04-20)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

This study examined a causal model that the effect of information about crime on risk perception, anxiety about crime, and crime prevention is mediated by the informational content and source. We measured risk perception and anxiety about crime from a social and an individual perspective. A web-based survey was conducted with mothers (N=1040) who have children aged 3-12 years. The results of structural equation modeling indicated the following. (a) Information about crime given by the mass media, Internet, and hearsay increased the risk perception and anxiety about crime through the impact of informational content (i.e., “feeling that crime is close,” “emotional fluctuations,” “sympathy for the victims,” and “remembering a similar crime”). (b) Hearsay information directly controlled optimistic cognitions. (c) Mass media and hearsay information directly promoted crime prevention. (d) Cognition about the deterioration of security advanced cooperative crime prevention in the neighborhood.
著者
矢部 修平 吉田 直人 進藤 斉 角田 潔和 葉坂 勝 小泉 武夫
出版者
土壌微生物研究会
雑誌
土と微生物 (ISSN:09122184)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.109-115, 2006
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究では,衛生的なコンポストを生産するには発酵初期の急激な品温上昇が重要であると考え,良好に発酵が立ち上がる高温コンポスターのミクロフローラを把握することを目的とした。発酵初期の温度上昇に伴うミクロフローラの変化を経時的に解析した結果,深層から品温上昇が始まり,生菌数がほぼ一定であったにも関らず,44〜52℃(0〜4時間後)および72〜80℃(6〜20時間後)にかけてフローラが大きく変動した。この期間に原料由来の腸内細菌や大腸菌群は淘汰された。72℃から80℃(6〜20時間後)にかけての優占菌の変動を16S rDNAライブラリー法を用いて解析した結果,Bacillus属からGeobacillus属へ遷移することが明らかとなった。さらに発酵2日後には,表層から深層まで80℃以上に達し,表層と深層ではGeobacillus属,中層ではThermus属が優占した。このように,深度別に特徴的なフローラが形成された。このことから,200cmと深く堆積することにより好熱菌の多様性を高めていると推察した。
著者
田原 優 平尾 彰子 坪井 琢磨 田中 麻貴 吉田 晶子 柴田 重信
出版者
日本生理学会
雑誌
日本生理学会大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.90, 2008

Glycine is now used as a chemical for promotion of sleep in humans. It has been demonstrated that glycine administration up to 2g/kg causes the increase of NREM sleep in sleep disturbed rat and hypothermia (0.6 C decrease) in rat. The administration of benzodiazepine not only caused the sleep but affected the circadian rhythm; it blocked the light-induced phase advance of activity rhythm and elevation of Per1 gene expression in the suprachiasmatic nucleus (SCN) in hamsters. In the present experiment, we examined the possibility whether glycine affect light-induced phase shift and c-fos expression in the SCN and retina of mice. Glycine dose-dependently decreased the body temperature of mice (1C decrease with 2 g/kg). After extended light exposure for 2 hrs in the night under LD cycle mouse was kept under constant dark condition. Glycine (0.5-2 g/kg) pretreatment before light exposure dose-dependently attenuated light-induced phase delay. Glycine (2g/kg) pretreatment slightly attenuated light-induced increase of Fos immunoreactivity in the mouse SCN. Further experiment should elucidate whether glycine administration itself causes the phase shift or not. The present results suggest that high dose of glycine may attenuate the light-induced phase shift of circadian clock. <b>[J Physiol Sci. 2008;58 Suppl:S90]</b>
著者
上子 優香 鳥海 不二夫 吉田 光男 大橋 弘忠
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.3P1NFC00a2, 2017

<p>ソーシャル・メディアにおける情報伝播に関してはこれまでもあらゆる研究が為されてきたが、直接情報が伝播するユーザのネットワーク推定を試みたものは数少ない。本研究ではユーザが起こす共有行動の時間差に着目した、情報伝播ネットワーク推定手法を提案し、さらに提案手法を2016年4月に発生した熊本地方の震災データに対して適用することで、災害が情報伝播ネットワークにもたらした変化を明らかにする。</p>