著者
北折 充隆 吉田 俊和
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.28-37, 2000
被引用文献数
2

本研究は, 社会規範からの逸脱行動に対する違反抑止メッセージについて, 以下の5タイプのメッセージ効果について検討した。(1) ここは駐輪禁止。(2) ここは駐輪厳禁。(3) ここに駐輪すると後の人も続くので, 自転車を止めないで下さい。(4) ここに駐輪すると通行の邪魔です。自転車を止めないで下さい。(5) ここに駐輪した場合, 自転車を撤去します。自転車を止めないで下さい。本研究は, 大学構内での駐輪違反に着目し, 3つの実験を実施した。実験1では, 2つの看板を3メートル間隔で設置したが, 看板の間に自転車が駐輪されていないことが強く影響して, 誰も駐輪をしなかった。実験2では, 1, 2台の自転車をあらかじめ駐輪させ, 逸脱者の存在を顕示した。その結果, 制裁を提示したメッセージに大きな効果が見られた。その他のメッセージでは, 約半数がメッセージに従い, 自転車を別の場所に移動した。実験3では, 多数の逸脱者が存在していることを, 5台の自転車を置いておくことで顕示させ, メッセージの効果を検討した。その結果, 制裁提示のメッセージ効果がなくなり, 全てのメッセージにおいて, 約半数が別の場所に自転車を移動させた。
著者
吉田 琢哉 吉澤 寛之 浅野 良輔 玉井 颯一 吉田 俊和
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.147-159, 2020-06-30 (Released:2020-11-03)
参考文献数
45
被引用文献数
5

本研究では,地域に根ざした学校運営におけるチームワーク尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検証した。予備調査として,小中学校で学校教育に参加している保護者・地域住民ならびに教師を対象に面接を行った。予備調査を踏まえて質問項目を作成し,小中学生の保護者を対象としたweb調査を実施した(N=495)。探索的および確認的因子分析により,学校運営におけるチームワーク尺度はチーム志向性,チーム・リーダーシップ,チーム・プロセスからなる3因子構造が確認された。チームワークと集団同一視,および教師と地域住民に対する信頼感との関連から,基準関連妥当性が確認された。学校運営におけるチームワーク尺度の教育場面での活用法について議論された。
著者
吉田 栄一
出版者
錦正社
雑誌
軍事史学 (ISSN:03868877)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.p63-76, 1984-09
著者
小川 基彦 萩原 敏且 岸本 寿男 志賀 定祠 吉田 芳哉 古屋 由美子 海保 郁夫 伊藤 忠彦 根本 治育 山本 徳栄 益川 邦彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.359-364, 2001-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
16
被引用文献数
5 7

1998年にツツガムシ病と診断された患者416人の臨床所見について解析を行った. 主要3徴候である刺し口, 発熱, 発疹は, それぞれ86.5%, 97.7%, 92.3%の患者に, またCRP, GOT, GPT, LDH上昇が, それぞれ957%, 84.8%, 777%, 90.7%に認められた. これらの所見はほとんどの患者に認められ, 診断に有用であることが示された. また汎血管内凝固症候群が21人に認められ, 命を脅かす疾病であることがうかがわれた. リンパ節腫脹は49.7%の患者に認められ, そのうち74.6%は局所にのみ腫脹が認められた.さらに, 腫脹した部位が刺し口の近傍に認められる傾向があった. また, 大部分の刺し口は痂皮状で, 腹部や下半身 (特に下肢) などに認められた. 一方, 刺し口, 発疹が, それぞれ13.5%, 77%の患者には認められず, 風邪などと誤診されやすいことも示唆された. また, 血清診断で陰性であった患者においては, 主要3徴候は約半数に, 刺し口は約70%の患者に認められた.したがって, 現在の血清診断法では診断できないツツガムシ病が存在する可能性が推察された.今回の解析によって全国レベルでの臨床医学的側面があきらかとなり, 今後の診断および治療に役立つものと考えられる. 一方で, 臨床所見だけからは診断が難しいケースが明らかとなり, 血清診断法の改良の必要性も示唆された.
著者
石田 寛 吉田 仁 中本 高道
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.128, no.12, pp.472-477, 2008-12-01 (Released:2008-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

An olfactory display is a device that delivers various odors to the user's nose. It can be used to add special effects to movies and games by releasing odors relevant to the scenes shown on the screen. In order to provide high-presence olfactory stimuli to the users, the display must be able to generate realistic odors with appropriate concentrations in a timely manner together with visual and audio playbacks. In this paper, we propose to use computational fluid dynamics (CFD) simulations in conjunction with the olfactory display. Odor molecules released from their source are transported mainly by turbulent flow, and their behavior can be extremely complicated even in a simple indoor environment. In the proposed system, a CFD solver is employed to calculate the airflow field and the odor dispersal in the given environment. An odor blender is used to generate the odor with the concentration determined based on the calculated odor distribution. Experimental results on presenting odor stimuli synchronously with movie clips show the effectiveness of the proposed system.
著者
後迫 宏紀 吉田 剛 長谷川 智彦 大和 雄 夏目 貴弘 小川 真弥 阿波賀 祐治 Hama Aldric 髙松 宏幸 松山 幸弘
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.45-51, 2020-03-31 (Released:2020-05-06)
参考文献数
15

Functional magnetic resonance imaging (fMRI) is expected as a biomarker of pain because it can objectively evaluate changes in cerebral blood flow associated with neuron activity against pain. We have developed pain models for cynomolgus macaques because it is more compatible with humans in regard to the structures and functions of brain regions which is suggested to be involved in pain in humans. Aside from humans, the cynomolgus macaques are the most widespread primate genus, ranging from Japan to North Africa. Since the macaques are the animal species closest to humans among those which can be used for invasive experiments, they are widely used to understand the mechanisms of the human brain. The purpose of this study is to elucidate pain–related brain activation regions in the macaque models using fMRI. Generally, pain testing in animal models has been based on avoidance behavior against pain stimuli. However, we identified pain–related brain activation regions using fMRI under propofol anesthesia as a more objective evaluation method. In the macaque model of chymopapain–induced discogenic low back pain, the activity of the insular cortex occurred in response to lumbar compression stimulation. In the macaque model of oxaliplatin–induced neuropathic cold hypersensitivity, activation of the insular cortex also occurred in response to cold stimuli. As a result of evaluating pregabalin, duloxetine and tramadol, only duloxetine showed behavioral effectiveness and suppressed activation of the insular cortex due to oxaliplatin–induced neuropathic pain. In the macaque model of postoperative pain, activation of the insula cortex was mainly activated by pressure stimulation. As a result of evaluating morphine, pregabalin and diclofenac, only morphine showed behavioral effectiveness and suppressed activa­tion of the insular cortex due to postoperative pain. However, macaques with naturally occurring endometriosis exhibited a pain response against pressure stimuli to the abdomen, and had activation of the thalamus. As a result of evaluating morphine, meloxicam and acetaminophen, only morphine showed behavioral effectiveness and suppressed activation of thalamus due to abdominal pain from endometriosis. It was suggested that the brain activation regions could change due to various conditions that can cause the pain, as the acute pain increased activation in the insula cortex and the chronic pain increased activation in the thalamus. This study demonstrated the usefulness of fMRI as a pain biomarker, and fMRI analysis using the macaques might provide an advantage for the translation of the findings to human patients. Therefore, these study will contribute to the development of new analgesics for each pain as well as to the progress in the areas of brain research.
著者
吉田 恵美子 村田 実 水谷 仁 清水 正之
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, 1994

20歳女性の下腿にみられたM.chelonae subsp. abscessusによる難治性潰瘍を報告した.水族館勤務中にカワウソにより左下腿に咬傷をうけ消毒,抗生剤内服による治療をうけるが歯痕より皮疹は拡大し難治性潰瘍を形成.免疫不全,ステロイド投与などの既往はない.抗酸菌培養にてM. chelonae subsp.abscessus検出.抗結核剤,ミノサイクリンによる感受性検査では耐性を示したがミノサイクリン投与により潰瘍は著明に縮小し上皮化した.M. chelonae感染症は比較的希な疾患であるが,難治性外傷性潰瘍を見た場合考慮すべきものと考えられた.
著者
服部 充洋 廣瀬 勝一 吉田 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.422, pp.85-91, 2004-11-09
参考文献数
9

SHA-OのメッセージスケジュールにはGF(2)上の16次原始多項式が用いられている.GF(2)上の16次原始多項式は全部で2048個存在する.各多項式を用いてメッセージスケジュールを構成することにより,2048個のSHA-O variantが構成される.本稿ではこれらのSHA-O variantsに対しCRYPTO'98で提案されたChabaud-Joux攻撃を適用する.そして,いくつかのvariantsが攻撃に耐性を持つこと,元のSHA-Oが必ずしも攻撃に耐性をもたないことを示す.また最も攻撃に弱いvariantにおけるcollisionを示す.これらの結果はChabaud-Joux攻撃を何ら改良することなくそのまま適用することにより得られる.
著者
クリスチャン ジェン―レンデュ 吉田 実
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.1193-1197, 2015

製紙メーカーは多くの品質的な課題に取り組む一方,生産コスト削減のため様々なアプローチを行っている。このような今日の製紙業界の課題に対する新たな解決策として,BASF社は革新的な生産性向上剤ゼロレックスを提案する。<br>ゼロレックスはポリビニルアミンをベースにした製品である。あらゆる紙,板紙に容易に適用でき,抄紙工程のトータルコスト削減に大きく寄与できる。本製品は海外で多くの採用実績があり,アジア地域においても既に20社以上の採用実績がある。本製品はカチオン電荷を有するビニルアミン基とビニルホルムアミド基をあわせもつ。ビニルアミン基により疎水性物質を繊維に定着させ,ビニルホルムアミド基の存在により水素結合が増強し紙力が増大する。<br>本製品を抄紙工程に適用することによりわずか1製品で,定着,ろ水,歩留りの改善に加え紙力の向上も可能となる。それによって古紙のような安価な原料や填料の使用を増やすことができ,紙切れの減少,蒸気使用量削減,抄速アップといった生産性の向上が期待できる。このように本製品でマシンを最適化することによって,抄紙工程のトータルコストの削減が可能となる。
著者
高野 和郎 坂田 暉英 福山 公基 太田 宏 前田 洋 李 雅弘 尾上 保夫 青木 隆一 高場 利博 岩堀 嘉和 松下 功 金子 和義 三富 静夫 唐沢 弘文 藤井 浩一 森本 和大 石井 淳一 上村 正吉 藤巻 悦夫 村田 恒雄 森 義明 菅谷 修一 西堀 実 薄井 武人 安藤 公信 清田 卓也 熊谷 日出丸 前田 正雄 鈴木 庸之 本多 儀一 門馬 満 藤本 昇 安藤 光彦 口石 将博 崔 相羽 高須 克弥 平井 啓 小池 勝 平塚 進 鈴木 武松 土持 喬 初鹿野 誠彦 津田 紘輔 諸岡 俊彦 藤井 陽三 清水 一功 八田 善夫 直江 史郎 坂木 洋 海老原 為博 太田 繁興 佐々木 彰 村山 義治 塚田 政明 清水 晃 山口 明志 江頭 亨 坂本 利正 渡辺 佐 加藤 水木 片桐 敬 吉田 文英 小島 昭輔 新谷 博一 鈴木 孝臣 金沢 英夫 落合 泰彦 堀坂 和敬 藤巻 忠夫 平木 誠一 橋本 敏夫 加藤 国之 石井 靖夫 菅 孝幸 赤坂 裕 今村 一男 甲斐 祥生 中西 欽也 太田 繁興 近藤 常郎 落合 元宏 松井 恒雄 依田 丞司 吉田 英機 丸山 邦夫 池内 隆夫 入江 邦夫 佐々木 彰 清水 晃 鈴木 周一 坂木 洋 塚田 政明 秋田 泰正 森 弘道 天野 長久 本多 平吉 山口 明志 坂本 利正 安達 浩行 草ケ谷 雅志 高野 和郎 中川 克宣 鶴岡 延熹 小野 充 阿万 修二 植原 哲 渋谷 徹 桑原 紘一郎 小黒 由里子 後藤 晋 島袋 良夫 安藤 彰彦 国枝 武幸 今西 耕一 小田切 光男 鄭 政男 佐川 文明 田代 浩二 大瀬戸 隆 菅沼 明人 町田 信夫 前田 尚武 小泉 和雄 鈴木 一 安藤 弘 山崎 健二 井出 宏嗣 福山 公基 木村 明夫 小林 祐一郎 狩野 充二 長嶺 安哉 木村 明夫
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.820-825, 1970
著者
吉田 昌平 守田 武志 舌 正史 沼倉 たまき 小出 裕美子 中尾 聡志 足立 哲司 原 邦夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.474, 2003

【目的】今回我々は体重の1%(1%BW)、2.5%(2.5%BW)、5%(5%BW)、7.5%(7.5%BW)、10%(10%BW)の5種類の負荷を用いて全力ペダリングを実施し、それぞれの負荷によって得られるパワー発揮特性をピークパワー(PP)、体重あたりのPP(PP/BW)、ピーク回転数(P-rpm)と最大無酸素パワー(MAnP)から評価し、実際の30mスプリントパフォーマンスとの関係について検討した。【方法】某大学サッカー部、男子14名(年齢19歳、身長172cm、体重68kg)を対象とし、自転車エルゴメーター(パワーマックスVII)を用いて、1、2.5、5、7.5、10%BWの5種類の負荷で各1回10秒間の全力ペダリングを実施した。それぞれの負荷で得られたPP、PP/BW、 P-rpmを二次回帰し、負荷-PP 、PP/BW、 P-rpm曲線を算出した。30mスプリントテストは3回の試技を手動により計測しその平均時間を求めた。【結果】1)PPは負荷との間にY=-3.689+ 230.247*X-13.146*X^2(r=.99)の関係が認められた。PP/BWは負荷との間にY=-.267 +3.612*X-229*X^2(r=.99)の関係が認められた。rpmは負荷との間にY=227.96- 10.405*X-.311*X^2(r=.95)の関係が認められた。負荷-PP 曲線から算出したMAnPは988wattで、体重あたりのMAnP(MAnP/BW)は14.4 watt/BWであった。MAnPが得られた時のrpm(MAnP-rpm)は120 rpmで、負荷は12.4%BWであった。2)3回試技における30mスプリントテストの平均時間は4.15±0.13秒であった。30mスプリントパフォーマンスと各負荷のPP、PP/BW、P-rpmの相関係数は1%BWでそれぞれr=-.21、r=-.41、r=-.59(ns、ns、p=.026)、2.5%BWでそれぞれr=-.21、r=-.48、r=-.61(ns、ns、 p=.020)、5%BWでそれぞれr=-.28、r=-.68、r=-.70(ns、p =.010、p=.006)、7.5%BWでそれぞれr=-.29、r=-.55、r=-.57(ns、p =.041、p=.034)、10%BWでそれぞれr=-.31、r=-.42、r=-.42(ns)、MAnP 、MAnP/BW、MAnP-rpmでそれぞれr=_-_.21、r=-.22、r=-.42(ns)であった。多変量解析で30mスプリントパフォーマンスと有意に相関したのは5%BW でのP-rpmのみであった(p<.01)。【考察】PPおよびPP/BWは、負荷-PP、PP/BW曲線からMAnPが得られた負荷12.4%BWを上限として負荷が大きくなればなる程高い値を示した。P-rpmは、負荷-P-rpm曲線から負荷が小さくなればなる程高い値を示した。このようなパワー発揮特性とスプリントパフォーマンスとの関係について検討すると、パワーは負荷が大きい程高い値が得られるが、スプリントパフォーマンスとの関係はむしろ弱くなった。逆に負荷を小さくして高回転を得た方がスプリントパフォーマンスとの関係は強くなった。すなわち、スプリントパフォーマンスは踏力よりもむしろ回転速度に依存したパワー発揮特性と関係が強く、ペダル回転数が実際の走動作であるピッチ数と関係していると推察した。
著者
佐々木 剛 田澤 大 長谷井 嬢 国定 俊之 吉田 晶 橋本 悠里 矢野 修也 吉田 亮介 宇野 太 香川 俊輔 森本 裕樹 浦田 泰生 藤原 俊義 尾﨑 敏文
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.124, no.2, pp.105-110, 2012-08-01 (Released:2012-09-03)
参考文献数
15

骨・軟部肉腫は, 一部に治療抵抗性で予後の悪い症例が存在するため, 新たな治療法の確立が重要な課題である. 我々は, 5型アデノウイルスを基本骨格として, テロメラーゼ活性に依存して増殖する腫瘍融解ウイルス(OBP-301)や, coxsackie and adenovirus receptor(CAR)陰性の腫瘍細胞に感染するファイバー改変型ウイルス(OBP-405)を用い, 骨・軟部肉腫細胞に対する抗腫瘍効果を検討した. 14種類の骨・軟部肉腫細胞株に対してOBP-301の細胞障害活性を検討し, 12種類の細胞株でOBP-301に感受性を認めた. また, OBP-301の細胞障害活性はCARの発現と相関していた. さらに, テロメラーゼ活性の低い細胞に対しても, 5型アデノウイルスの複製に必須のE1Aによりテロメラーゼ活性の増強効果がおこり, 強い抗腫瘍活性を示すことを明らかにした. 次に, 骨肉腫脛骨同所性移植動物モデルを作成しOBP-301を投与したところ, OBP-301投与群では対象群と比べて有意に腫瘍増殖を抑制した. 最後に, OBP-301に感受性を認めなかったCAR陰性細胞株に対してOBP-405を用いて検討し, OBP-405が有効に作用することを確認した. OBP-301やOBP-405を用いたウイルス療法は, 骨・軟部肉腫に対する新たな治療法となる可能性がある.
著者
吉田 絵里
出版者
一般社団法人 日本女性科学者の会
雑誌
日本女性科学者の会学術誌 (ISSN:13494449)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-12, 2007

分子内に溶媒不溶部を持たず分子的に完全に溶解している&ldquo;非両親媒性高分子&rdquo;に対して自己組織化を起こさせる新規なミセル形成法について紹介する。1,4-ジオキサン中では非両親媒性高分子であるポリ(4ビニルフェノール)-<i>block</i>-ポリスチレンジブロック共重合体は、単独では自己組織化を示さないが、&alpha;,&omega;-ジアミンの存在下では球状ミセルを形成する。このミセルは良好な感熱応答挙動を示し、温度により解離再形成が可逆的に制御される。また、臨界ミセル濃度は共重合体濃度ではなく、自己組織化の誘発物質であるジアミン濃度により決定される。このミセル形成を利用すればさまざまな分子設計が可能である。例えば、両親媒性高分子からは合成が難しいクルーカットミセルやランダムブロック共重合体ミセルを容易に得ることができる。これらの特徴を染料のナノ粒子化に応用した例についても述べる。
著者
吉田 聡宗
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.565-613, 2020-07-10

This paper reviews the history of anti-animal cruelty laws in America primarily on the basis of the contents of the first annual report of the American Society for the Prevention of Cruelty to Animals(ASPCA). In Japan, the basic guidelines for comprehensively promoting measures on the welfare and management of animals seek cooperation between the public sector with law enforcement powers and private organizations. In order to improve the system, it is helpful to examine the situation in other jurisdictions. Compared to animal welfare laws in European countries, American anti-cruelty laws have not been studied as deeply in Japan as their importance merit. As previous studies have noted, American anti-cruelty laws have their roots in the New York of the 1860s. The state legislature established the ASPCA in 1866 and delegated some law enforcement powers to it. In the ASPCA's first annual report, its list of members, related laws, some cases, and other important information are recorded. By reviewing such information, we can gain a clear understanding of how the ASPCA enforced anti cruelty laws from the outset. This paper thus analyzes the first annual report of ASPCA and other historical documents with a view to clarifying its implications for Japanese law today.