著者
太田 慎一 伴場 裕巳 今井 幸紀 新井 晋 藤原 研司
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.99, no.3, pp.253-263, 2002-03-05
参考文献数
90
被引用文献数
1

大腸癌の予防は重要な課題であり,この点でプロスタグランジン合成酵素であるCOX-2が注目を集めている.家族性大腸腺腫症ではヒトで有意の腺腫に対する退縮効果が報告された.しかしながらその作用機序に関しては現在も様々な議論がある,ヒトの癌においては臨床的展開が期待されると共に癌発生機構解明の手がかりを与えてくれる可能性のある分野であり,今後の発展が期待される.
著者
太田 美智男 山田 景子 岡本 陽
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1.黄色ブドウ球菌biofilm形成は菌株によって発現が異なる。Biofilm高度産性株において、ica遺伝子ノックアウト、プロテアーゼ処理、DNase処理のいずれでもbiofilm産生は大幅に低下した。したがってbiofilm高度産生にはica産物であるPIAならびに蛋白、DNAが関与していた。icaノックアウト株ではプロテアーゼ処理、DNase処理の影響はほとんど見られなかった。したがってノックアウト株が形成する少量biofilm形成はc-di-GMPの影響を受けるが、蛋白、DNAが関与せず、恐らく他の多糖体のみによって形成される。このことはc-di-GMPが主に多糖体合成調節に関与することを示唆する。2.A群連鎖球菌はc-di-GMP生合成を行うGGDEFモチーフを持つ蛋白をゲノム配列から見いだすことができない。これは他の連鎖球菌においても同様である。しかし我々はA群連鎖球菌の細胞内にc-di-GMPを検出することに成功した。ゲノム配列を再検索したところ、GGDQVモチーフを持つ蛋白が一種類見いだされた。この蛋白はPAS,DHHドメインを有し、c-di-GMP生合成に関与することが予想された。この蛋白の遺伝子をノックアウトすると、biofilm形成が促進された。またc-di-GMPの産生が失われた。したがってこの蛋白はc-di-GMPの合成を行うことが証明された。GGDQV蛋白はGGDEF蛋白を持たない多くのグラム陽性菌などにおいて広く見いだされた。したがってc-di-GMPは細菌におけるbiofilm合成に関与する普遍的なシグナル分子であることが明らかとなった。
著者
太田 裕 音田 功 前川 博
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1397-1413, 1969-03-17

A large earthquake occurred to the south of Cape Erimo, Hokkaido, at about 9 h 49 m (JST) on May 16, 1968, and severely shook the Tohoku and Hokkaido areas. According to the Japan Meteorological Agency, the epicenter of this shock is 40°7N, 143:7E and 20km depth, and the magnitude 7.8 on the Richter scale. After about ten hours of this main shock, the largest aftershock (M=7.4) occurred at the location 41°4N, 143°3 E and 20km depth. Recently, the southern part of Hokkaido was rocked by two huge earthquakes, one was the Off-Tokachi earthquake of March 4, 1952 (M=8.1), and the other the Off-Hiroo earthquake of April 23, 1962 (M=7.0) (cf. Figure 1).
著者
太田 智己
出版者
美術史學會
雑誌
美術史 (ISSN:0021907X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.407-423, 2010-03
著者
太田 照美 村上 武則 シェラー アンドレアス
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ドイツの社会法上の回復請求権の法的性質について損害賠償請求権との違いを明確にした。その学問的意義は大きい。また日本の景観権につき、ドイツの公法上の結果除去請求権の対象とされる絶対権と比較し、わが国の民法学で論争されている「権利論」との関わりで、わが国で初めて考察した。さらに日本の地方公共団体の租税過誤納金返還問題につき、日本で初めて、ドイツの公法上の原状回復請求権により救済を求めることができるとする理論を呈示した。
著者
石原 裕規 諏訪 博彦 鳥海 不二夫 太田 敏澄
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

東日本大震災では,Twitterに多くのツイートが投稿された.この際,震災に関する情報は人々のコミュニケーション(リプライ,リツイート)により流通している.この情報流通においては,情報拡散の起点となるアカウントや,情報を仲介するアカウントが重要となる.本研究では,東日本大震災前後のツイートデータからコミュニケーションネットワークを1日毎に生成し,次数中心性と媒介中心性を求めることで重要なアカウントの特定を行っている。震災前後の変化を観察するために,重要アカウントがどのように時系列変化するのかを確認している.また,抽出した重要アカウントのコミュニケーション形態を分類し,震災前後で比較している.
著者
岩坪 美兼 太田 道人
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

わが国には、400品種以上のサクラ品種が知られている。わが国のサクラは,二,三,四倍体からなることが知られていたが,それらのほとんどが二倍体であることが判った。なお。シラユキ系里桜のウスズミ(薄墨),オキナザクラ(翁桜),カリギヌ(狩衣),それにシラユキ(白雪)は全て三倍体であった。また,松前に存在,もしくは松前で育成されたタカサゴ系のサトザクラは,チョウジザクラが片親になった雑種群として知られているが,これまでに染色体数が判明した品種は,タカサゴ(別名;ナデン,ムシャザクラ;高砂),ベニユタカ(マツマエベニユタカ;紅豊,松前紅豊),マツマエハヤザキ(ケチミャクザクラ;松前早咲,血脈桜)すべて三倍体であった。片親がシナミザクラ(四倍体)と考えられているマザクラ群のサトザクラのアマヤドリ(雨宿),アリアケ(有明),オオヂョウチン(大提灯),クルマドメ(車止),コマツナギ(駒繋),シロタエ(白妙),センリコウ(千里香),タイハク(太白),ダイミン(大明),マザクラ(真桜),マンゲツ(満月),ワシノオ(鷲の尾),それにカンヒザクラ群の染色体数が判明じたツバキカンザクラ(椿寒桜),ハツミヨザクラ(初御代桜),ミョウショウジ(明正寺),それにケイオウザクラ(敬翁桜)は,すべて三倍体であることが判明した。それに対してしかし,ヤマザクラ(オオヤマザクラを含む)群,カスミザクラ群,オオシマザクラの影響が認められるサトザクラ群,それにエド系のサトザクラ群には,三倍体が全く見つからなかった。シナミザクラを祖先とする三倍体グループを除いて,サクラの核群を比較すると,三倍体が多い群,僅かに存在する群,全く見つかっていない群が存在し,グループにより三倍体の出現率に違いが認められた。
著者
西川 幸宏 太田 直秀 小升 雄一朗 高橋 雅興
出版者
The Society of Materials Science, Japan
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.29-34, 2011
被引用文献数
7

Three-dimensional real-space images of the carbon fiber (CF)/polymer composites were obtained by a high-contrast X-ray computerized tomography (CT). Since both CF and polymers do not include heavy atoms, CF has not been supposed to be suitable to X-ray CT observation. In this study, we used the X-ray CT apparatus which is designed to enhance the contrast of the materials consisting only of light-weight atoms. Besides the usage of the appropriate apparatus, the experimental conditions were found to be important : cutting the sample into a thin rod, and obtaining sufficient number of projections. In our case, we used 1mm × 1mm × 4mm sample, and 720 projections with 0.25 degree intervals in order to obtain the 3μm voxel resolution in the reconstructed three-dimensional images. Eventually, each CF in polystyrene was clearly visualized in three dimensions.
著者
島谷 弘幸 松原 茂 神庭 信幸 高橋 裕次 富田 淳 和田 浩 恵美 千鶴子 赤尾 栄慶 丸山 猶計 太田 彩 鍋島 稲子
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では日本、中国、韓国に残る装飾料紙を使用した書の作品について、その書の特徴の詳細を調査・データ化するとともに、料紙の科学的分析を行なうことを目的として、まずは国内外の関連作品のデータ収集を行ない、そのうち約200件の調査を実施した。それらの調査結果はデジタルデータで蓄積し、東京国立博物館での陳列に活用しながら、研究成果報告書を作成し公開している。
著者
太田 淳也 深谷 千絵 笠井 俊輔 赤松 真也子 森川 暁 田子森 順子 江口 徹 税所 芳史 河合 俊英 伊藤 裕 中川 種昭
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.336-345, 2013-01-16 (Released:2013-04-24)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究は糖尿病患者の歯周病罹患状況,ならびにその他の合併症との相互関係を明らかにすることを目的に行われた。被験者は,2010 年 7 月から 2011 年 12 月までに内科に教育入院した 2 型糖尿病患者 105 名(平均年齢 55.4±11.3 歳)とした。評価項目として,現在歯数,プロービングポケットの深さ(PPD),プロービング時の出血(BOP),動揺度を測定した。また,背景因子として年齢・性別・体格指標(BMI)・糖尿病罹患期間・血圧・既往歴,糖尿病合併症に関する評価として網膜症の有無(SDR:単純性網膜症・PPDR:前増殖性網膜症・PDR:増殖性網膜症),腎症の有無,神経障害の有無,動脈硬化性疾患の有無,血液指標を評価し比較検討した。今回の結果から糖尿病合併症である網膜症患者での残存歯数は PDR 患者で他のステージの網膜症患者に比べ有意に少なく(p<0.01 vs SDR, p<0.05 vs PPDR),4〜6 mmPPD 率や 7mm以上 PPD 率では SDR<PPDR<PDR と PPD が深い部位の割合が高くなる傾向を示しているため,網膜症の進行が歯周病の病態悪化になんらかの関与をしている可能性が考えられる。重度の歯周病(最大ポケット深さ 7 mm 以上)を有する患者の割合は腎症以外で有意に高く,糖尿病合併症の有無と歯周病の進行度には相関があることが示された。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)54(4):336-345, 2012
著者
三好 経子 高須 博 宮田 聡子 矢口 厚 太田 幸則 勝岡 憲生
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.603-607, 1998-10-01 (Released:2010-10-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

46歳, 男性。骨髄線維症で北里大学医学部附属病院血液内科入院中に, 下腿に有痛性の隆起性紅斑が生じ同院皮膚科受診となった。初診時, 左下腿外側上方に拇指頭大で紅色の浸潤を有する結節性の紅斑が認められた。右下腿伸側から内側にかけては小児手拳大, 暗紅色の消退傾向にある浸潤性紅斑が認められた。その後も同様の紅斑が下腿や前腕などに出没した。無治療で経過観察していたところ, 初診から約1ヵ月半後に右下腿伸側に胡桃大, 暗紫紅色で軟らかな出血性の紅斑が再発し, その組織像では, 真皮中下層から脂肪織にかけて, 瀰漫性および巣状を呈する多数の好中球と出血が認められた。生検部位は直ちに難治性の潰瘍となったが, ステロイド剤の内服と局所処置の徹底により上皮化した。紅斑はその後も増悪·寛解を繰り返し, 皮膚病変と骨髄線維症の病勢とに相関があり, 自験例の紅斑は, 骨髄線維症に関連して生じたものと考えた。ステロイド治療の継続により皮膚病変はしばらく寛解期が継続していたが, 骨髄線維症の進行と肺炎の合併により死亡した。