著者
山岡 耕春 中禮 正明 安藤 雅孝
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.185-191, 2002-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

The temporal relationship between the interplate and inland earthquakes of Kyushu Island region was investigated. We analyzed this relationship by stacking the temporal frequency of the inland earthquakes with reference to the occurrence time of each major interplate earthquake in the Hyuga-nada region, that occurred between 1900 and 2000. A good coincidence of occurrence between the inland and the interplate earthquakes is recognized. While the tendency of the occurrence after the interplate events has already been pointed out, we found that the inland earthquakes also tend to occur before the interplate events. Abrupt activation of the inland earthquakes within several months before major interplate earthquakes is recognized in addition to the tendency to occurr afterwards. The preceding inland earthquakes may indicate that they are triggered by precursory slow slips around the hypocenters of the Hyuga-nada earthquakes.
著者
埴淵 知哉 村中 亮夫 安藤 雅登
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.81-98, 2015-01-01 (Released:2015-10-08)
参考文献数
35
被引用文献数
7 17

社会調査環境の変化を受けて,廉価で迅速にデータを収集できるインターネット調査に注目が集まっている.本論文では,標本の代表性と測定の精度という二つの側面からインターネット調査の課題を整理するとともに,実際に行われた調査データを用いて,回答行動,回答内容,そして地理的特性について分析した.その結果,インターネット調査における標本の偏りや,「不良回答」が回答時間と関連していることを確認し,地理的特性がそれらと一定の関連をもつことを指摘した.さらに,地理学における今後のインターネット調査利用の課題と将来の利用可能性について考察した.
著者
松多 信尚 太田 陽子 安藤 雅孝 原口 強 西川 由香 Switzer Adam LIN Cheng-Horng
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2010年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.88, 2010 (Released:2010-11-22)

台湾はユーラシアプレートとフィリピン海プレート上のルソン弧の衝突によって形成されている.その衝突速度は82mm/yr程度で衝突しており,多くの活断層やプレート境界が存在する.特に東海岸に大津波を起こす可能性のある給源としては,琉球トレンチと沖合の海底活断層が考えられる.もしそこで地震が発生すれば,東海岸の海底地形は急に浅くなることから,大きな津波が来襲すると考えられる.台湾の歴史津波記録は少ない.東海岸の詳細な記録があるのは日本統治時代以降である.その中には東海岸に大きな津波の襲来した記録はなく,チリ地震などでも津波が台湾に押し寄せたことは無かったため,台湾では東海岸には津波が来ないと信じる人が多い. しかし,台湾の東海岸は無人だったわけでなく,阿美族と言われる原住民族が主にすんでいた.彼らの伝承の中には”津波”を思わせる伝承も少なくない.その例の中に,阿美族の創世神話の一つがある. これは通りすがりの旅人の神がそこに住んでいた神の一家を懲らしめるために海の神に頼んで大波を起こすという話である.その中で海の神が旅人の神に「今日から五日後,月が丸くなった夜に海ががたんがたんと鳴るでしょう.その時あなた方は星のある山をめがけて逃げなさい」と言い,いよいよその日,旅人の神は星の輝く山に向け逃げ,山頂に着いた頃海はにわかに鳴り始め大波はみるみる高まって,そこに住んでいた神の一家を押し流す.しかし,大波に襲われた一家はかろうじて助かる.それを不満に感じた旅の神は再度海の神に頼むと,海の神は再度大波を起こす.とある.これは,まさに津波が押し寄せたと考えられる.南西の島に住むタオ族の伝説にも津波を思わせる言い伝えがある.この神話も突然大波が押し寄せたという.このように東海岸には津波が押し寄せたと思われる伝承が点在する. 最近の津波の記録と思われる話が成功という町に存在する.これは昭和12年に印刷された安倍明義著「台湾地名研究」にある.その中の新港(現在の成功)の説明には「この地名は大正九年にマラウラウを新港に改めた.」とあり,「8,90年前に畑地が津波に洗われて草木が皆枯死したために,その有様をラウラウといい地名とした」とある.8,90年前とは,経験者が生存している可能性もあり,確かな出来事と思われる.これは,1840-50年頃と思われる.我々はこの言い伝えを頼りに成功で津波堆積物を探す調査を実施した. 成功には5段の完新世段丘が分布する.川沿いの_I_面と_II_面は,厚い堆積物が見られる.これは,氷期でできた谷を埋めた堆積物と考えられる.一方東側に見られる海成の面と川沿いの_III_面の堆積物は厚くなく,基盤を確認することが出来る. 阿美族の集落は高位の段丘の上にあり,成功の地名の由来になった津波が阿美族の集落に被害が及んだ報告はない.したがって,最高位段丘まで遡上したことはないと考えられる.一方,_IV_,_V_面のみに津波が遡上したのであれば,その範囲は限られており,地名の変更を行うほどのインパクトがあったとは考えがたい.したがって,我々は_III_面まで津波が遡上したと考えて,掘削調査を行うことにした. 成功の町の中心部が位置する_III_面は_II_面によって川の陰になっており,堆積物は河成の礫質ではなく,海の影響が強い砂質で構成されると予想された.この_III_面の範囲は日本統治時代以前は湿地であり,日本人が段丘崖の基部に排水溝を掘ることで利用できる土地となったという.この話からこの範囲には湿地性の堆積物が予想された. 我々はまずハンドオーガーによって予備調査を新港中学校の西南の地点で行った.その結果,peatに挟まれた海の貝を含む砂が見られた.我々はこの砂の下位のpeatの年代を測定し,上部が1810-1570 Cal Yrs B.P.,下位が3070-2860 Cal Yrs .B.P.という値が得られたため,同地点を中心にジオスライサー調査を行った.その結果,陸生のカタツムリの殻が見られるpeat質な地層の間に厚さ50cm程度の二枚の海生の貝を含む砂層を確認し,砂層の間の地層から2340-2150 Cal yrs B.P.,下位の層から2990-2790 Cal yrs B.P.の年代を得た.これらの年代には,すでに海水準は安定しているため,海水準が上昇することはない.また,この地は7-15m/kyr程度の速度で隆起している.したがって,砂層堆積時の標高はかなり低かったと考えられ,離水した地域にイベント的に海水が入り込んだことは事実だが,津波と断定するのは難しい.しかし,我々は砂層が上方に細粒化することなどから,津波の可能性が高いと考えており,珪藻分析などを行う予定である. 調査の目的であった最近の津波の確実な証拠は認められなかった.
著者
後長 孝佳 服部 友紀 安藤 雅規 波柴 尉充 富野 敦稔 宮部 浩道 加納 秀記 津田 雅庸 平川 昭彦 武山 直志
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.546-550, 2015-06-30 (Released:2015-06-30)
参考文献数
10

近年流通している危険ドラッグの主な成分は,合成カンナビノイドと合成カチノン系化合物である。今回,合成カチノン系化合物を含有する「Sex Bomber」を繰り返し飲用し,1カ月間に2度,同様の重篤な症状を呈した急性中毒例を経験した。症例は30歳代男性。3週間前から「Sex Bomber」を飲用していた。興奮・異常行動を認めるようになり,救急搬送された。来院時,興奮・不穏・頻脈・発汗の他,乳酸アシドーシス,横紋筋融解,肝障害,急性腎障害を認め,多臓器障害の状態であった。退院後も「Sex Bomber」の飲用を続けており,1カ月後,再び前回と同様に多臓器障害の状態で搬送された。2回とも経過中にDICに陥ったが集中治療管理により,約1週間で退院となった。合成カチノン系化合物は,組織移行性が高く作用が強力であるため,発症は急速かつ激烈である。急性中毒症例では多臓器不全をきたし死亡する例も散見されており,これら化合物に対する知識に基づいた的確な管理が必要である。
著者
大倉 敬宏 安藤 雅孝
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.464-470, 1994-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The relation between the Pinatubo eruption of 1991 and the Philippine earthquake of 1990 is studied on the basis of strain changes calculated from a fault model of the Philippine earthquake. At Pinatubo volcano, which is located 100 km away from the earthquake fault, the volumetric strain change induced by the earthquake is about 10-6. This caused gradual squeeze up of magma to the surface and the Pinatubo volcano erupted eleven months after the earthquake. The volumetric change calculated by a fault model of the 1990 earthquake is, however, several orders of magnitude smaller than the total volume observed during the eruptions. The magma squeezing model alone cannot explain the whole volume of ejected magma. A possible interpretation is that the volumetric strain change could have squeezed up magma in the magma reservoir, resulting in lowering the density of magma and enhanced the magma to rise further more. Such a positive feedback process could have occurred after the Philippine earthquake of 1990. It is possible that the Philippine earthquake triggered the activity of Pinatubo volcano.
著者
宮部 浩道 後長 孝佳 安藤 雅規 波柴 尉充 都築 誠一郎 田口 瑞希 植西 憲達 武山 直志
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.523-526, 2015-11-01 (Released:2015-11-06)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

水中毒に起因する低Na血症は,多量の利尿を引き起こし急激な血中Na濃度上昇をきたすことがあり,osmotic demyelination syndrome(ODS)を惹起する危険性がある。我々は水中毒に伴う低Na血症の急激な補正を防ぐ目的で,大量の自由水輸液を施行した症例と酢酸デスモプレシンと3%高張食塩水を併用した症例を経験した。いずれも血中Na濃度上昇は12 mmol/l/day以下に制御可能であった。水中毒に起因する重症低Na血症の治療に際し,酢酸デスモプレシンと3%高張食塩水を使用した治療法は,有効かつ安全であると考えられた。
著者
岡田 篤正 安藤 雅孝 佃 為成
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.81-97, 1987-04-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
35
被引用文献数
6 2

Four trenches (Trenches A-D) were explored across the Yasutomi fault (a strand of the Yamasaki fault system) to date recent past faultings. Trench A was 3 m deep and 28 m long across the fault (Upper in Fig. 3 and Fig. 4), and the additional excavation was made down to 5 m deep (Fig. 5) from the western wall of trench A. The sizes of other tenches are similar to that of trench A. Since this site was being developed after this trenching for the building lot of a factory, many pieces of important geological evidence were gradually exposed with progress of the construction. This enabled us to make a further detailed geological and geomorphological study of the Yasutomi fault. The results are summarized as follows : 1) Yasutomi fault, which has been considered to be predominantly left-slip active one estimated from tectonic morphologies, was geologically confirmed that this had dislocated with predominantly lateral-slip component at least since a few tens of thousand years.2) Widely sheared zones appeared along the north side of the active trace do not accompany any tectonic features. Therefore, this straightly trending depressional zone is to be recognized as a fault-line valley. A new fault was originated along the southern rim of pre-existed weak zone probably since the late Quaternary.3) The valley-filling deposits are disturbed at the lower part of the trench but not at the upper part this suggests that the fault has not moved since the deposition of the upper horizon although small earthquakes have been reported to occur frequently around the fault. Sense and amount of vertical offset, drugged structure and other fault features vary laterally along this, as common in high angle strike-slip fault.4) The latest displacement occurred between late 7 th and 12 th Centuries, probably associated with the 868 Harima Earthquake (M=7.1). Two more faultings were also inferred from C-14 dates of disturbed and undisturbed strata within a deformed zone of the fault, although they are less reliable. The recurrence interval of earthquakes as large as the 868 event is estimated to be at least 1000 or possibly a few thousand years along this strand of the Yamasaki fault system.
著者
関 優子 清水 立矢 藍原 正憲 山口 玲 相島 薫 好本 裕平 安藤 雅 須藤 高行 対馬 義人
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
pp.oa.2021-0018, (Released:2021-09-17)
参考文献数
13

【目的】血管内治療のアクセスルートとなる大動脈弓部の形態がアプローチ時間に与える影響を検討する.評価に際して,単純 CT の 2D 画像から,造影 3DCTA と同等の大動脈弓部の情報を取得できるか検討する.【方法】2017 年から 2019 年に大腿動脈経由で脳血管内治療を施行した連続症例のうち,大動脈弓部を含む CTA を行った 65 名を対象とした.目的血管と大動脈弓(頂部もしくは下縁)のなす角度,大動脈弓頂部から目的血管分岐までの距離を 2D 画像および 3D 画像で計測し,年齢,性別,穿刺部位,アプローチ時間(穿刺時刻からガイディングカテーテル留置後の目的血管造影までの時間),治療方法,疾患名,検査時間,治療部位との関連を後方視的に検討した.【結果】アプローチ時間は平均 24 分であった.2D と 3D の計測では,大動脈弓下縁と分岐血管の角度(r=0.721)と大動脈弓頂部からの距離(r=0.858)で強い相関を認めた.2D 計測にてアプローチ時間と大動脈弓頂部から分岐までの距離においては正の相関を認めた(r=0.478).また,大動脈弓と目的血管分岐がなす角度には負の相関(r=−0.197)を認め,大動脈弓下縁との分岐角(r=−0.298)がより相関が強かった.【結論】2D での簡便な計測でも,3D と同等の情報を得ることができる.大動脈弓頂部から目的血管分岐までの距離が長い,または目的血管と大動脈弓下縁のなす角度が鋭角なほどアプローチ時間は長くなる.
著者
中村 衛 松本 剛 古川 雅英 古本 宗充 田所 敬一 田所 敬一 安藤 雅孝 古川 雅英 松本 剛 古本 宗充
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

琉球海溝に固着域が存在するか否かを明らかにするため、中部琉球海溝で海底地殻変動観測を開始し、琉球海溝付近前孤側でのプレート間カップリングを検出する試みをおこなった。2年間の観測から、海底局群が沖縄本島に対して北西方向に7cm/yrで移動したことが明らかになった。予想される固着域の幅は約30-50kmである。このように琉球海溝の海溝軸付近には固着域が存在しプレート間カップリング領域が形成されていることが明らかになった。
著者
山岡 耕春 中禮 正明 安藤 雅孝
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.185-191, 2002-04-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

The temporal relationship between the interplate and inland earthquakes of Kyushu Island region was investigated. We analyzed this relationship by stacking the temporal frequency of the inland earthquakes with reference to the occurrence time of each major interplate earthquake in the Hyuga-nada region, that occurred between 1900 and 2000. A good coincidence of occurrence between the inland and the interplate earthquakes is recognized. While the tendency of the occurrence after the interplate events has already been pointed out, we found that the inland earthquakes also tend to occur before the interplate events. Abrupt activation of the inland earthquakes within several months before major interplate earthquakes is recognized in addition to the tendency to occurr afterwards. The preceding inland earthquakes may indicate that they are triggered by precursory slow slips around the hypocenters of the Hyuga-nada earthquakes.
著者
安藤 雅行 河原 吉伸 砂山 渡 畑中 裕司 小郷原 一智
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.2M2OS34a2, 2017 (Released:2018-07-30)

近年,深層学習を用いた様々な応用システムが開発されてきている.しかし,その多くは出力の精度向上を目指したものとなっているため,出力を導いた具体的な分類パターンが不明なことが多い.そこで本研究では,文章の分類問題を例として,出力を導くネットワークの一部を可視化することで,分類パターンの意味付けを支援する.これにより,学習された内容に基づく新たな知見を,人間が獲得できる環境の構築を目指す.
著者
酒井 優介 藤ノ木 太郎 安藤 雅洋 湯川 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.4M3J904, 2019 (Released:2019-06-01)

これまで日本語の文書から明示的な感情を検出することは 自然言語処理の分野で精力的に研究されてきた.しかし日本人は感情の表出を抑制する傾向にあり,怒りを表現する際にはそれが特に顕著である.そのため,日本語の文書から怒りを検出するには明示的な怒りだけではなく感情が抑制された暗示的表 現による怒りも含めた検出が求められる.そこで,暗示的表現 による怒りの自動検出技術の確立を目指し,本稿では暗示的表 現による怒りが含まれる文書の特徴に基きディープニューラルネットを用いて怒り文書を検出する手法を提案し評価した.結果,3つの提案方式のうち1つが,従来方式より10ポイント程度良い正解率が得られた.しかし全く検出されない怒りがあったことから暗示的怒り検出手法が確立できたとは言い難い.感情の出現順序や頻度に着目した検出手法では精度が0.18と低い性能となった.各文の感情分類として正解を付与し,文書全体の怒りを判別する部分のみを評価したところ精度は0.49となったことから,暗示的怒りの検出のために,文書中に現れる感情の順序,頻度も活用すべきであることが示唆された.
著者
酒井 優介 藤ノ木 太郎 安藤 雅洋 湯川 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.4M3J904, 2019

<p>これまで日本語の文書から明示的な感情を検出することは 自然言語処理の分野で精力的に研究されてきた.しかし日本人は感情の表出を抑制する傾向にあり,怒りを表現する際にはそれが特に顕著である.そのため,日本語の文書から怒りを検出するには明示的な怒りだけではなく感情が抑制された暗示的表 現による怒りも含めた検出が求められる.そこで,暗示的表現 による怒りの自動検出技術の確立を目指し,本稿では暗示的表 現による怒りが含まれる文書の特徴に基きディープニューラルネットを用いて怒り文書を検出する手法を提案し評価した.結果,3つの提案方式のうち1つが,従来方式より10ポイント程度良い正解率が得られた.しかし全く検出されない怒りがあったことから暗示的怒り検出手法が確立できたとは言い難い.感情の出現順序や頻度に着目した検出手法では精度が0.18と低い性能となった.各文の感情分類として正解を付与し,文書全体の怒りを判別する部分のみを評価したところ精度は0.49となったことから,暗示的怒りの検出のために,文書中に現れる感情の順序,頻度も活用すべきであることが示唆された.</p>
著者
堤 浩之 岡田 篤正 中田 高 安藤 雅孝
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p113-127, 1992-12
被引用文献数
1

四国中央部における中央構造線の活動的なセグメントのひとつ岡村断層のトレンチ発掘調査を1988年3月愛媛県西条市で行なった。断層と地層の変形構造を水平方向に明らかにすることにより断層運動に伴う水平変位量の解明を試みた。壁面で観察される断層の構造は横ずれ断層に共通する特徴を備えている。断層を挟んでの地層の食い違いは右ずれを示し, 断層変位地形から推定される岡村断層の変位のセンスと一致する。地層の変形と^<14>C年代測定結果に基づいて最近2回のイベントを解読した。最新イベントは断層がすべての自然堆積の地層を切断するためその時期を確定することはできないが, それに伴う変位量が右ずれ約5.7 mと求められる。それより1回前のイベントはB.C. 1405~925年にあったと推定される。特定の谷がら供給される地層の年代と供給源との位置関係から過去1万数千年の岡村断層の右ずれ変位速度が6.8 mm/yr以下と推定される。
著者
安藤 雅孝 生田 領野
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

フィリピン海プレートの北西域端では、琉球海溝に沿って沈み込み、台湾東海岸では衝突する。この地域で、我々が最近実施した津波堆積物の調査、海底地殻変動観測に基づき、琉球海溝南西部の巨大地震のテクトニクスについて議論する。1.宮古島・石垣島沖での巨大津波本地域では、過去数千年にわたり、巨大な津波が繰り返し発生したことが知られている。我々が行った石垣島での津波堆積物の調査から、過去2000年にわたり、ほぼ600年に一回の割合で巨大津波が発生したことを明らかになった(Ando et al. 2017)。これらの地震のうち、最新の1771年八重山地震の際には、石垣島沿岸では地割れが生じ、揺れは震度V弱(またはそれ以上)に達したことも判明した。この地震による、400km離れた沖縄本島での震度は、IVと推定されおり(宇佐美 2010)、1771年地震は“津波地震”ではなく、通常の地震である可能性が高い。1771年地震の東側でも、別の巨大津波がそれ以前に発生したことが知られている。下島(宮古島市)には、日本で最大の津波石(帯石)が打ち上げられており、珊瑚のC14年代測定から、11世紀以降、1771年以前に、巨大津波によるものと推定される。このような結果を総合すると、琉球海溝南西域沿いには、長さ250kmを超える巨大地震発生域があると考えられる。Nakamura(2009)のプレート境界面上の逆断層地震モデルを採用すると、プレートの地震性カップリング率は20%程度と低くなる。2.琉球海溝の後退と伸張歪み場GPS観測によると、沖縄諸島は4–6cm/yの速度で南〜南東に向かって移動する。この変動は琉球海溝が南東に後退するために生じるもので、先島諸島は1–3x10-8/yの伸張歪み場にある。この伸びに応じて、背弧の沖縄トラフでは、マグマの貫入が起きるものと考えれる。2013年4月には与那国島の北50kmの沖縄トラフ内で、2日間にわたりマグマが貫入したと推定された(Ando et al., 2015)。2013年7月から9月の間に、その地点から西100kmで、マグマ貫入が生じたと、海底地殻変動観測から推定されている(香味・他、2017)。琉球海溝南西域では、海溝が後退しつつ、プレート沈み込みに伴う歪み応力を蓄積し、巨大地震を発生させるものと考えられる。カップリング率の低い伸帳応力場でも、巨大地震が繰り返し発生しうることは注目される。3.海底地殻変動観測結果2014年に、波照間島(西表島の南)の南60kmに、海底地殻変動観測点が設置され、観測が継続されている。この結果から、観測点が西表島に対し南に移動していることが明らかになった。ただし、観測期間は2年間と短く、結果の信頼性はまだ低い。海溝付近でも伸張場であることを確かめるには、さらに3年間の観測が必要である。一方、台湾東海岸には、琉球海溝から沈み込むプレート間カップリングの検証を目的として、3カ所に海底地殻変動観測点が設置された。その内の一つの宜蘭沖の観測点の2012年〜2016年の地殻変動観測結果が明らかにされた(香味・他、2017)。それによると、速度ベクトルは、南向きに4cm/y、東向きに8cm/yで、60km西の陸域の変動と調和的である。ただし、観測点が海溝から離れ過ぎているため、プレート間カップリングの有無を検証するに至っていない。さらに、海溝に近い他の2地点での観測を継続する必要があろう。今後、波照間沖、台湾沖での海底地殻変動から、この地域の巨大地震の準備過程が、解明されよう。4.まとめ琉球海溝南西域の巨大地震発生のメカニズム解明には、波照間島沖の地殻変動観測を継続し、かつ台湾東海岸に海溝に近い海底地殻変動観測を継続して行う必要がある。
著者
安藤 雅行 河原 吉伸 砂山 渡 畑中 裕司 小郷原 一智
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

近年,深層学習を用いた様々な応用システムが開発されてきている.しかし,その多くは出力の精度向上を目指したものとなっているため,出力を導いた具体的な分類パターンが不明なことが多い.そこで本研究では,文章の分類問題を例として,出力を導くネットワークの一部を可視化することで,分類パターンの意味付けを支援する.これにより,学習された内容に基づく新たな知見を,人間が獲得できる環境の構築を目指す.