著者
宍戸 原 由紀子
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.17-26, 2006-06-26
参考文献数
32
被引用文献数
1

ヒトポリオーマウイルスJC(JCV)は,重篤な脱髄脳症である進行性多巣性白質脳症の原因ウイルスで,感染した希突起膠細胞(oligodendroglia)に核内ウイルス封入体を形成する.JCVの粒子外殻は,360分子のメジャーカプシド蛋白VP1と,マイナーカプシド蛋白VP2,VP3が一定の割合で会合して形成すると推定される.しかし,カプシド蛋白の発現制御機序や,核移行,ウイルス封入体形成の過程には不明な点が多かった.近年我々は,JCV粒子形成機序について,次のことを明らかにした.即ち,(i)メジャーカプシド蛋白とマイナーカプシド蛋白は,選択的スプライシングにより発現比が制御されたmRNAから合成される,(ii)メジャーカプシド蛋白とマイナーカプシド蛋白のmRNAはpolycistronicで,両カプシド蛋白の翻訳は制御蛋白agnoproteinの下流で行われる,(iii)メジャーカプシド蛋白とマイナーカプシド蛋白は共同して核に移行し,PML核体と呼ばれるドット状の核内構造に集積する,(iv)PML核体ではJCVゲノム複製と粒子形成が連動し,効率の良いウイルス複製が行われると考えられる.PML核体は,宿主細胞の重要な核機能の発現の場である.JCV感染の標的がPML核体であることは,核内ウイルス封入体形成後の細胞変性機序の解明にも寄与するところが大きい.
著者
畑 有季 宍戸 邦明
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.66, pp.60-65, 2015-12-18 (Released:2018-02-05)
参考文献数
7

アスパラガス斑点病に対し,本病登録薬剤の防除効果をポット試験で調査した結果,TPN 水和剤およびイミノクタジンアルベシル酸塩水和剤の効果が高く,薬剤散布から8日後に接種した場合にも効果が認められたが,他の薬剤の効果は低かった.また,2013~2014 年に新たに斑点病に農薬登録となった薬剤,およびアスパラガスの他病害に農薬登録のある殺菌剤の効果を調査した結果,イプロジオン水和剤およびトリフルミゾール水和剤で防除効果が高く,有機銅水和剤,ペンチオピラド水和剤,ミクロブタニル水和剤はやや劣るものの効果があった.
著者
宍戸 常寿 工藤 郁子 クロサカ タツヤ 庄司 昌彦 山本 龍彦
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策研究 (ISSN:24336254)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.201-224, 2020-12-01 (Released:2021-01-07)

日本が目指すべき未来社会の形としてSociety5.0が提唱されてから数年が経ち、デジタル経済社会においてはサイバー空間とフィジカル空間の融合は深化している。そこでは、Society5.0の名の下にイメージされていた創造性の発揮や利便性の向上が見られる一方で、従来の個人情報保護政策や競争政策の枠では捉えきれないデジタル経済社会における「新たな課題」も出現してきている。このような「新たな課題」を適切に捉えるためには、現在起きている地殻変動を、単にサイバー空間の領域が拡張し、フィジカル空間を侵食しているものとイメージするのではなく、むしろ、サイバー空間における活動とフィジカル空間における活動が、データの流通を介して相互に深く影響を与え合うという関係性・循環性を適切に認識することが重要である。そのようなサイバー空間とフィジカル空間の活動がデータの流通を介して相互に深く影響を与え合う相互の関係性・循環性を含む総体としての「ネットワーク空間」における状況と課題について、大きく4つの議題(「ネットワーク空間の環境変化とその背景」、「環境変化に伴う社会経済的な課題」、「課題解決に向けて採るべき政策、目指すべき姿」、「新型コロナウイルス感染症拡大に係る問題意識」)に分け、それぞれについて話題を提起しつつ、有識者による議論を行った。
著者
宍戸 良洋 熊倉 裕史 堀 裕
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.95-102, 1993 (Released:2008-05-15)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

トマトのソース•シンク関係に及ぼすソース葉やシンク葉の摘除ならびに暗黒処理の影響を明らかにしようとした.その結果,8葉期のトマトでは第3および4葉はそれぞれ,全シンク器官に光合成産物を分配しており,独立したソース•シンク関係を持っていることが認められた.さらに,第3葉は第8葉とは強く,第7葉とは弱いソース•シンク関係があり,第4葉では第8葉とは弱く,第7葉とは強いソース•シンク関係を持っていることが認められた.それらの関係の中で,弱い関係のシンクを摘除してもソース葉からの分配パターンはあまり変化しないが,強い関係のシンクを摘除すると大きく変化するというように,シンクの摘除は二つのタイプの反応を引き起こすことが認められた.1枚のソース葉以外の全てのソース葉を摘除または暗黒処理すると,残ったソース葉からの光合成産物の転流は減少した.この場合,根への分配を減少させても,将来ソースになるべき若い葉への分配を増加させるような分配パターンを示し,シンク葉を暗黒下において光合成を抑制した場合には,この分配パターンの傾向が強まることが認められた.このような反応は光合成産物の転流分配現象における劣悪な条件に対する植物体のサバイバル反応と考えられる.
著者
宍戸 穂 矢野 理香
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.172-182, 2016-08-20 (Released:2016-09-30)
参考文献数
45

本研究の目的は, 清拭方法, 研究デザイン, 測定方法とそれらに基づく効果にどのような特徴があるかということに焦点をあて, 清拭に関する国内外の先行研究の内容と動向を明らかにすることである. Cooperの統合的文献レビューの方法を参考に行った. 国内文献は医学中央雑誌web版, 海外文献はCINAHL web版およびPub Medを用いて, 「清拭」をキーワードとし, 文献検索を行った結果, 24件の国内文献と9件の海外文献が分析の対象となった. 国内では, 主に健康成人を対象とした新たな清拭方法の検討, 海外では患者を対象に他の清潔援助と比較した清拭の有効性の検証がされていた. 清拭が心身に及ぼす影響として, 清浄度および角質水分量が上昇するが, 皮膚表面温度は清拭方法によって異なること, 対象者の不安や不快を緩和する可能性があることが明らかとなった. しかし, 測定に使用した器具が異なることや尺度が統一されていないため, 清拭方法による効果の差違や主観的評価と客観的評価の関連については明らかになっているとは言えなかった.
著者
于 麗玲 塩見 佳也 加藤 穣 宍戸 圭介 池澤 淳子 粟屋 剛
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.125-133, 2013-09-26 (Released:2017-04-27)

中国「優生優育」政策は、「中華人民共和国母嬰保健法」(以下、母嬰法と称する)及びその下位法令(「母嬰保健法実施方法」、「出生前診断技術管理方法」、「新生児疾病検査管理方法」ほか)から看取される。「優生」に関して、母嬰法及びその下位法令は、婚姻予定のカップルや一定の医師に、以下のような義務を課している。すなわち、同法等は、まず婚姻予定のカップルに対して、(1)婚姻前の一定の時期に「婚前医学検査」を受ける義務、及び(2)婚姻登記機関へ「婚前医学検査証明」を提出する義務を課している。次に、一定の医師に対して、一定の場合に、(3)カップルに婚姻の時期を暫く延期するように勧告する義務、(4)カップルに「婚前医学検査証明」を発行しない義務、(5)カップルに長期間の避妊もしくは避妊手術を行うよう勧告する義務、(6)妊婦に出生前診断を実施する義務、(7)妊婦に人工妊娠中絶をするよう勧告する義務を課している。母嬰法及びその下位法令は「優生」に関する義務を課すのみではない。「妊産期医療サービス」(母嬰法第14条1項と2項、「母嬰実施方法」第26条)、「新生児保健」(母嬰法第14条4項、「母嬰実施方法」第26条)等をも規定している。これは、「優生優育」政策における「優育」の側面を表すものである。
著者
宍戸 立三
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.T8, no.556, pp.335-343, 1919-11-05 (Released:2015-06-12)
著者
前田 健永 中野 誠 愈 燕蕾 間宮 純一 宍戸 厚 塩野 毅 池田 富樹
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子学会予稿集 第53回高分子学会年次大会
巻号頁・発行日
pp.1405, 2004 (Released:2010-03-29)

アゾベンゼン液晶モノマーを様々な配向状態で光重合し,均一に配向した透明な液晶フィルムを得た。液晶フィルムに光照射を行い,屈曲挙動を検討した。
著者
石川 健治 小島 慎司 宍戸 常寿 岡野 誠樹 西村 裕一 山羽 祥貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は,およそ,五・一五事件が生じた1930年代初めから,内閣に憲法調査会が設置された1950年代半ばまでを対象とし、そうした体制変革期における憲法および憲法学を考究する。その際、当該時代における日本の憲法学を連続するものとして捉えること,それらを歴史的・理論的に考究するだけでなく、そうした歴史研究と理論研究の有機的結合を試みること、の2点に注力する。それらの歴史的解明は,個々の論者の理論枠組みを踏まえてはじめて果たすことができる一方(「理論」を踏まえた「歴史」研究),個々の理論や解釈論も,当時の政治的文脈に置いてこそ、その真価を問うことができるからである(「歴史」を踏まえた「理論」研究)。
著者
宍戸 周夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.810-811, 1998-08-15

インテルが開発中の64ビット・マイクロプロセッサ(MPU)「Merced」(マーセッド)によって, 一時WindowsNTの陰に隠れ勢いを失いかけていたUNIXが息を吹き返した.WindowsNTが64ビット・アーキテクチャに対応するまでしばらく時間がかかるからだ.しかし, 再度脚光を浴びたのはいいが, UNIXお決まりの陣営争いがすでに始まっている.そうこうしているうちに, WindowsNTに追いつかれてしまうということになりかねない.その裏には, オープンシステム手法は決してスタンダードを生み出さないという致命的な欠陥がある.
著者
林 建二郎 宍戸 俊英 菅田 明子 中村 雄 板谷 直 原 秀彦 多武保 光宏 桶川 隆嗣 東原 英二 奴田原 紀久
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.137-141, 2015 (Released:2015-05-27)
参考文献数
10

【目的】高齢者におけるホルミウムレーザー前立腺核出術(holmium laser enucleation of the prostate:HoLEP)の治療成績を若年者の成績と比較検討した. 【対象と方法】2005年12月から2010年5月の期間にHoLEPを施行した患者168例を後期高齢者とされる75歳以上51例の群と74歳以下117例の群にわけ,自覚症状の変化や尿流動態および合併症を比較検討した. 【結果】両群でともに有意な自覚症状の改善,尿流動態の改善が認められた(p<0.001).合併症は74歳以下の群で一過性尿閉5例(4.3%),精巣上体炎5例(4.3%),後出血4例(3.4%)を認め75歳以上の群より多かった.両群間で術後のヘモグロビン減少や輸血率,尿失禁の合併に有意差はなかった. 【結語】HoLEPは高齢者の前立腺肥大症に対し,比較的侵襲の少ない有用な術式と考えられた.
著者
宍戸 駿太郎 川上 彰 黒川 基裕
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.40-50, 2011-10-31 (Released:2014-08-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

東日本大震災の経済・社会的損害の測定をストックとフローの両面から地域別に計測し,次に復興の過程の経済効果を地域別とマクロ経済の両面から代替的な政策の下で分析を行う.とくに財源とその規模をめぐる政策如何で,日本経済の中・長期の成長経路とデフレ脱出にいかに影響するかの観点から,代替的政策の評価を行う.使用される計量経済モデルは日米・世界モデル研究所のレオンチェフ・ケインジアンモデル:DEMIOS と(財),東北経済開発センターの地域間産業連関表ならびに経済産業省の全国・地域間産業連関表である.

1 0 0 0 OA 〔日記〕

著者
宍戸璣
巻号頁・発行日
1862-01

1 0 0 0 OA 〔日記〕

著者
宍戸璣
巻号頁・発行日
1862-12

1 0 0 0 OA 〔日記〕

著者
宍戸璣
巻号頁・発行日
1864-08