著者
塚本 昌彦 寺田 努 義久 智樹
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ユビキタスコンピューティング環境において多数のユビキタスデバイスによる群コンピューティングを実現することを目標として、環境内に数百から数千個規模のユビキタスデバイスが存在するときに、デバイス全体を対象としたマクロなプログラミングを行えるような方式を確立した。複数のLEDマトリックス上で光パターンをエディットする方法、グローバル通信とローカル通信を組み合わせてトポロジを構築していく方法などを開発した。さらにプログラム方式としては、ルールベースやプログラム変換、モバイルエージェントなどの枠組みを考えた。
著者
河口 信夫 西尾 信彦 角 康之 藤波 香織 寺田 努 井上 創造 川原 圭博 酒造 正樹 大村 廉 羽田 久一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

大規模データベースの構築を実現するための検討を進め,データ収集のための技術チャレンジであるHASC Challengeを継続的に開催した.また,年齢・性別でバランスさせた被験者を含む行動データ及び構造物内移動データ(HASC-IPSC)を公開した.その結果,当初の目標であった500名を超える被験者のコーパス構築が実現できた.センサ信号処理研究を支えるツールとして,行動信号処理ツール HASC Tool, HASC Logger の開発を行った.国際ワークショップHASCA2013をUbicomp2013の併設ワークショップとして開催した.
著者
五味 雄一 万井 真理子 森田 圭紀 寺田 努 東 健 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.97-104, 2009-01-19
被引用文献数
1

入院中の患者の娯楽の手段・時間は治療上の制約やプライバシの問題から自宅での生活に比べて大きく制限される.しかし,治療や入院生活における身体的・精神的苦痛や退屈の緩和のためには,患者が自宅と同様に周囲を気にせず娯楽を楽しめる環境が必要である.本稿では,頭部装着型ディスプレイ (HMD: Head Mounted Display) で映像コンテンツを提供することによる苦痛や退屈の緩和の効果を調査し,入院生活における QOL の向上において,HMD による映像コンテンツ視聴の効果を明らかにすることを目的とする.アンケート評価の結果より,入院中の HMD によるコンテンツ視聴が精神的苦痛や退屈の緩和に有効であることがわかった.The entertainment for patients in hospital is strictly limited because of remedial limitations and look at privacy compared with that at home. However, it is important to provide an environment that the patients enjoy entertainment without concerning for reducing the physical pain and tedium of patients in hospital. In this paper, we investigate the effect of offering video contents with HMD (Head Mounted Display) to improve QOL (Quality Of Life). The result of experiment clarified the effectiveness of browsing contents on HMD for relaxation of mental pain and tedium of patients in hospital.
著者
寺田 努
出版者
神戸大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

近年,モバイル技術および無線通信技術の発展により,人々が受け取る情報は飛躍的に増大しており,大量のデータから必要なデータのみを抽出する情報フィルタリング技術,必要なデータを的確にユーザに提示する情報提示技術の重要性が高まっている.本研究では,(1)ハードウェア・ソフトウェア連動型の低消費電力・高信頼な状況認識技術として,センサのサンプリングレートを動的に制御する低消費電力化方式や,センサ内で波形のピーク情報を抽出し送信データを削減することによる低消費電力化,(2)外部音の有無や明るさなどの周辺状況に応じて提示情報を適切にフィルタリングする機構およびそれらの機構を一般のアプリケーションプログラマが容易に記述できるモジュール化の実行,(3)上記の機構を容易に組み合わせてアプリケーションを記述できるエンジンであるWearable Toolkitの開発および拡張を行った.さらに,これらの基盤システム開発を応用し,ナビゲーションシステムや技術伝承システム,新たな文字入力システム,MCシステム,バイクレース支援システム,着ぐるみ装着者の支援システム,ダンスパフォーマンスの支援システムなどを開発し,枠組みの提案だけでなく提案機構が実際に運用に耐えるクオリティにあることを明らかにした.成果は学術論文誌やウェアラブルコンピューティング分野のトップカンファレンスであるISWC2010などで複数発表しており,高い評価を受けた.
著者
丸山 裕太郎 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.1-6, 2009-05-14

ギターは長い歴史をもち,幅広い音楽のジャンルで用いられてきた.しかし,従来のギターはフレット数や弦数の固定された構造をしているため,求められる構造に柔軟に適応できなかった.そこで本研究では,弦の音高を制御する指板ユニットおよび発音のタイミングを制御するピックアップユニットを動的に組み合わせることでさまざまなギター構造に適応できるユニットギター (UnitGuitar) を構築する.UnitGuitar は各ユニットを組み合わせることでさまざまな構造のギターを構築できる.さらに,センサやアクチュエータなど入出力機器を搭載した拡張ユニットを用いて直観的な操作や特殊なエフェクトが実現できる.加えて,UnitGuitar は各ユニットが接続されると接続関係を認識し音色および音高の設定を自動で行う機能をもつ.UnitGuitar の有効性を検証するために 2008 年 12 月 13 日および 14 日に行われた,神戸ルミナリエのイベントステージにてプロトタイプを実運用した.The guitar has been used in various genre of music in its long history. Generally, a guitar lacks structural flexibility to cover variety of playing styles, which has been one of the limitations of performance using it. In this study, we propose UnitGuitar that can dynamically change the structure by dividing and combining finger-plate units that are used for controlling the pitch, and pick-up units that are used for controlling the timing as unit components. The system recognizes the connection relationships among units configure the settings. We developed a prototype of UnitGuitar and used it in the event stage of Kobe Luminarie on December 13 and 14, 2008, which showed the effectiveness of UnitGuitar.
著者
竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.111, pp.101-106, 2004-11-06

筆者らの研究グループでは,いつでもどこでも楽器を演奏して音楽を能動的に楽しみたいという要求を満たすため,手軽に持ち歩いて利用できるモバイル楽器の開発を行ってきた.これまで,あたかも演奏しているかのようなPC操作が行える小型鍵盤楽器モバイルクラヴィーアIや,音域変更操作をスムーズに行う仕組みを備えることで,音域が広い楽曲を演奏しやすくした楽器であるモバイルクラヴィーアIIを開発してきた.そこで本研究では、文字入力可能な小型鍵盤であるモバイルクラヴィーアIと,黒鍵追加型小型鍵盤であるモバイルクラヴィーアIIを統合し,より芸術的な文字入力を可能にしたモバイルクラヴィーアIVの構築を目的とする.さらに,モバイルクラヴィーアIVのアプリケーションである歌唱機能について述べ,小型鍵盤を用いた新たなエンタテイメントシステムの可能性について議論する.Our research group has proposed and developed mobile electronic musical instruments to enable users to play music anytime and anywhere. Mobile Clavier I enables a user to control his PC like playing a musical instrument, and Mobile Clavier II is an instrument for playing a music that has a wide diapason easily by the function for changing diapason smoothly. The goal of our study is to construct the Mobile Clavier IV, which is a new musical instrument enables a user to input character artistically by integrating Mobile Clavier I and Mobile Clavier II. Moreover, we discuss the possibility of a new entertainment system by exploiting Mobile Clavier IV to melodia.
著者
磯山直也 寺田努 塚本昌彦
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.7, pp.1-6, 2012-07-07

近年,インターネットの普及等により情報過多が問題視されており,適した情報をすぐに取得することや重要な情報を見落とさないことが困難になっている.一方,ウェアラブルコンピューティングシステムへの注目とともに,ユーザの行動や状況を認識し,状況に合わせて適切に情報を提示する手法が数多く提案されている.このようにユーザはいつでもどこでも情報を閲覧することが可能となってきているが,提示情報以外の情報取得を補助することや,実世界上の偶然的な出来事に気付くことのできるようなシステムはこれまでに存在していなかった.本研究では,先行する事柄が後の事柄に影響を与えるというプライミング効果を利用し,ユーザの関心事に関連する視覚情報を常時閲覧させることにより,無意識的に特定の情報に気付きを与えるシステムを提案する.本稿ではまず,聴覚情報を取得することに対する視覚情報の補助的効果について予備調査を行なった.予備調査の結果から視覚情報を与えることによって,聴覚情報取得において影響があるユーザがいることを確認した.また,ユーザが関心事に関する視覚情報が得られるよう,画像や動画を提示するシステムを実装した.
著者
西尾 章治郎 原 隆浩 寺田 努 小川 剛史
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

無線通信機能をもつ小型センサノードで形成するセンサネットワークに対し、(1)センサネットワークノードのための動的機能交換ミドルウェア、(2)センサネットワークのためのデータ配置管理技術、(3)センサネットワークのためのデータ送受信技術の3 テーマを中心に研究を推進し、センサネットワークのためのデータ処理基盤となる技術の研究開発を行った。本研究の成果は、多数の学術論文誌や国際会議録等に掲載され、国内外において高い評価を得ている。
著者
塚本 昌彦 寺田 努 義久 智樹 義久 智樹
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、実世界に多数散らばるユビキタスデバイスをそれらのトポロジを用いてプログラミングする(群コンピューティング)枠組みを構築した。特に、ネットワークのトポロジを用いてうまくコーディングしていくこと(トポロジコーディング)を考えた。まず最初に、格子状のネットワーク上でグローバル通信とローカル通信を組み合わせて全体制御をする枠組みGlocalGridを設計し、デバイス、システムを実装した。さらに、主としてセンシングデータ収集を行うことを想定して、さまざまな効率的なアルゴリズムを検討した。応用分野としてはダンス、演劇、スポーツなどのアート・エンターテインメント分野を考え、システム展開を図った。
著者
村尾 和哉 寺田 努 矢野 愛 松倉 隆一
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.18, pp.1-8, 2011-08-29

近年,建物内にセンサを配置したスマートホームやスマートオフィスが出現してきたことで,人の位置情報や移動情報を把握して家電などの効率的な制御による省電力化が期待されている.従来研究における人の移動検出方法として,RFIDタグを用いる手法が提案されているが,一般家庭などで移動推定のために部屋を移動するたびにタグをかざす作業はユーザの負担になる.一方,人はデバイスをもたない例として環境に設置されたカメラによる画像認識を用いる方法が存在するが,人の移動を追うには家中にカメラを設置しなければならず設置コストが高く,必要以上の情報を取得してしまうためプライバシの面で適さない.本研究では蛍光灯制御のために既に設置されている赤外線人感センサを利用した一般家庭における住人の移動検出において,センサの設置箇所と検出精度の関係について調査する.Recently, smart home and smart office where sensors are installed are expected to reduce power consumption by effective home appliance control considering human positions and movements. Though the methods using RFID tags and cameras have been proposed so far, it is a burden to put the tag over a reader whenever passing through rooms and camera is costly and may invade our privacy. In this paper, we examine the relationship between sensor positions and detection accuracy for the simultaneous tracking in the home environment where passive infrared sensors have originally been installed for light control.
著者
村尾 和哉 寺田 努
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.1968-1979, 2011-06-15

近年,計算機の小型化・軽量化によりコンピュータを装着するウェアラブルコンピューティングに注目が集まっている.特に行動認識の分野では,加速度センサを用いたシステムが数多く提案されてきた.従来の行動認識システムで認識可能なコンテキストはその波形の形状から「座る」などの姿勢,「歩く」などの運動,「円を描く」などのジェスチャの3種類に分類できる.姿勢と運動は一定時間継続される状態であり,特徴量を用いて認識される.一方,ジェスチャは1回きりの動作であり,波形自体を用いて認識される.このような認識手法の違いから運動中のジェスチャ認識は困難とされてきた.また,従来のジェスチャ認識はジェスチャの開始点を明示するためにいったん停止したりボタンを押したりする必要があった.そこで本論文では,加速度波形の定常性を判定し,ジェスチャの部分に対してのみジェスチャ認識を行うことで姿勢,運動,ジェスチャを認識するシステムを提案する.評価結果より,5種類の運動中に行った7種類のジェスチャ認識のRecallとPrecisionは従来手法では0.75および0.59であるのに対し,提案手法では0.93および0.92と改善した.提案システムを用いることで運動中でもジェスチャによる入力や機器の操作が可能になる.
著者
田中 宏平 田中 聡 木下 浩平 南 靖彦 村尾 和哉 寺田 努 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-05-15

電子情報技術は,人々の注目を集めたり,新たなインタラクションの幅を広げる可能性をもつ.本研究では,そのような電子情報技術の有効利用を目指し,募金活動における寄付行為を促進するための IT 募金箱を作成する.派手なイルミネーションの募金箱やセンサによる状況認識技術を用いることでインタラクティブな募金箱を作成し,神戸ルミナリエの募金活動において実運用することで,その効果を評価した.運用を通じて,単純な電子情報技術を活用ではなく,その活用方法を工夫することで効果を得られる可能性があることがわかった.Electronics and information technology have great potentials to attract people's attention and to improve interactions among people. In this study, as an example of utilizing information technologies to objects conventionally used without IT, we create new several collection boxes to encourage donations. We implemented three collection boxes such as a box with fancy illuminations and a sensor-enabled interactive box. We actually used them through the activity of donations in Kobe Luminarie 2008 and evaluated the effect of new technologies. We found that the appropriate use of technologies makes the donation activity effective.
著者
岡田 直之 佐野 渉二 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.28, pp.25-32, 2009-03-06

近年,携帯電話の高性能化が進み,その用途が広がっている.これに伴い携帯電話に写真編集やウェブブラウジングなどのアプリケーションが搭載され,携帯電話上でもポインティング操作が必要不可欠となりつつある.しかし,携帯電話には表面にボタン型入力装置が設置されており,片手で操作する場合には手で把持しながら範囲指定やドラッグなどのポインティング操作を行うことは困難である.そこで本研究では,デバイスの背面にポインティング装置を設置して利用する背面ポインティングに着目する.本研究では,携帯電話の背面にタッチパッドを装着し,前面でキー操作を行いつつ背面タッチパッドによるポインティングを行う環境を想定する.背面タッチパッドの利用により効率的な入力が実現できるが,予備実験により背面でポインティングを行う場合には操作しにくい方向があり,ポインティングが安定しないという問題があることがわかった.そこで提案方式では,ユーザが行う操作に対して方向別にカーソル移動量を調整する操作量フィルタと操作方向を 8 方向に強制的に変換するフィルタを提案し,操作性の改善を実現する.評価実験により,提案方式を用いることで背面タッチパッドの操作性が改善されることがわかった.Recently, portable devices such as mobile phone are used in various purposes because of explosive popularization of mobile phones with high efficiency. Accordingly, various applications such as photo editor and web browser have become to be used on mobile phones. Although these applications need pointing operations for effective use, it is difficult to do pointing operation on mobile phones because users operate the device with their one hand while holding the device by the hand. Therefore, the goal of our study is to construct a pointing operation specialized to a back touch pad. In our using assumption, users input characters with front keys on a mobile phones and operate a pointer with the back touch pad. We achieve the efficient input with the proposed method. However, as the result of pilot study, the proposed using style has a difficult direction of pointing. To resolve this problem, we propose a filter which adjusts distance of cursor according to a direction and that forcibly converts direction of operation into eight directions.
著者
北島 信哉 原 隆浩 寺田 努 義久 智樹 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.88, pp.103-108, 2008-09-14

近年,サーバが PDA やスマートフォンなどのモバイル端末にデータベースの内容を周期的に放送する放送型データベースシステムが注目されている.放送型データベースシステムにおける問合せ処理手法としては,オンデマンド型方式,クライアント型方式,協調型方式の 3 方式が考えられる.これらの方式は電力消費に差があり,また,モバイル端末では利用できる電力に限りがある.そこで本稿では,モバイル端末を用いた実機評価により消費電力の特性を明らかにする.さらに,モバイル端末の電力残量を考慮し, 3 方式の中から動的に処理方式を選択する手法を提案する.In recent years, there has been an increasing interest in a broadcast database system where the server periodically broadcasts contents of a database to mobile clients such as PDAs and smartphones. There are three query processing methods in the broadcast database system. Generally, mobile clients have limits in power consumption, i.e., battery, and each of the three methods consumes different amount of power for query processing. In this paper, we reveal the characteristics of power consumption by conducting a preliminary experiment on the implemented prototype, then propose a new query processing method which dynamically chooses a query processing method among the three query processing methods considering energy consumption.
著者
村尾 和哉 クリストフファンラールホーフェン 寺田 努 西尾 章治郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1068-1077, 2010-03-15

ウェアラブルコンピューティング環境では小型の装着型センサを用いて取得した行動や状況(コンテキスト)を利用するさまざまなアプリケーションが提案されている.装着者のコンテキストを取得する際に,センサの値に対して特徴量抽出と呼ばれる前処理が行われる.この特徴量抽出ではこれまで,判別性能の高さから平均や分散,FFT係数などが多くの研究で採用されてきたが,これらはデータサイズが元のデータよりも大きくなるため,センサは生データの状態でコンピュータに送信し,その後特徴量抽出と認識が行われる.しかし,生データの通信やセンサ内のメモリへの書き込みによって消費する電力は大きく,低消費電力ハードウェアにとって負担となるものであった.本論文では,従来の特徴量と同等の性能を示しつつデータサイズは小さい新たな特徴量として,加速度波形のピークの高さと幅を提案する.提案する特徴量を用いることでセンサ内で特徴量変換を行いデータサイズを削減したうえでメインコンピュータに送信するため,消費電力の削減につながる.
著者
高橋 悟史 黄耀華 宮前 雅一 寺田 努 野間 春生 鳥山 朋二 小暮 潔 西尾章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.118, pp.99-104, 2007-11-30
被引用文献数
4

我々は様々な現場で働く人々を支援するために,人の通過を検出するセンサネットワークを開発した.センサネットワークを構成する各センサノードを既存の建物など電源環境が整っていない場所に設置する場合,AC 電源を供給することが難しいことがあり,電池で長時間駆動することが求められる.そこで無線通信に ZigBee を採用し電池駆動でも長時間稼動する低消費電力なセンサノードの開発を行った.このセンサノードでは,独自のスリープ制御プロトコルを実装することで頻繁にスリープを行い消費電力を低減しながらも高い時刻同期精度を実現した.実際の病院環境で取得した通過データと開発した試作機の消費電力による評価結果より,2400[mAh] の二次電池 4 本を用いることで,一般的な病室であればセンサノードは 30 日間以上連続稼動することがわかった.We have developed a sensor network system for tracking people in order to support their daily activities. If a sensor node that makes up the sensor network should be located an environment with poor electrical infrastructure, it becomes necessary for it to work under extended time periods using batteries. To solve this problem, we designed a new battery-operated sensor network based on ZigBee. Among the improvements are a flexible sleep control protocol and a high-accuracy time synchronization mechanism between sensor nodes. From the simulation based on the actual data collected at a hospital, we have confirmed that the system can last usually over 30 days using four AA size Ni-H batteries at a hospital room in the hospital.
著者
冨林 豊 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.78, pp.39-44, 2008-07-30

近年,人と音楽との新たな関わり方として,クラブやイベント会場における BGM の選曲や再生をコントロールする DJ (Disc Jockey) が現れた. DJ は選曲を行い,曲と曲のスムーズなつなぎ合わせやエフェクトの選択を行い,聴衆を盛り上げる重要な役割を持つ一方,行動範囲は機器が設置されているブース内に限られている.そこで本研究では,ウェアラプルコンピューティング技術を活用することで,この問題を解決した新たな DJ 支援システムを提案する.提案システムでは装着型の無線通信機能付き加速度センサとジェスチャ認識技術を活用することで,場所を問わずに直観的な操作で DJ パフォーマンスを行える.本研究では,2007年神戸ルミナリエのイベントステージにて実際にシステムを試用し,BGM の制御を行った.また,評価実験により,状況認識用のセンサを新たに装着することで認職精度を損なうことなく自由度の高いジェスチャ認識が行えることを確認した.In recent years, DJ (Disc Jockey) who selects and plays music has attracted a great deal of attention. DJ selects music, changes the playing music to another music smoothly, applies the effect, and excites audience. DJ cannot get away from the booth where there are DJ equipments. Therefore, in this study, we propose a new DJ system that solves this problem by using wearable computing and behavior recognition technologies. The system proposed enables DJ to perform DJ techniques by intuitive gesture operations using wearable acceleration sensors. We have actually used our prototype system on an event stage of Kobe Ruminarie in 2007. We have evaluated the accuracy of the gesture recognition by changing the parameters, and we confirmed the effectiveness of the proposed system.
著者
中宮 正樹 岸野 泰恵 寺田 努 西尾 章治郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1374-1386, 2008-03-15
被引用文献数
1

本研究では,コストマップと呼ぶ移動コストを表す地図を用いた移動型センサノードの経路探索手法を提案する.提案手法を用いることにより,従来の研究では扱われていなかったセンサのセンシング範囲やノード移動時の障害物,ノードの移動特性といった実用上の問題を考慮した経路探索が可能となる.提案手法では,センシング領域を4 つのパラメータを用いて定義し,コストマップを用いた最小コスト経路探索アルゴリズムを提案する.さらに,経路探索に広く用いられているA*アルゴリズムと提案手法をシミュレーションにより比較し,提案手法の有効性を確認した.また,提案手法を実機のセンサノードに実装し,実環境で正しく動作することを確認した.In this research, we propose a route planning method for mobile sensor nodes using cost map. The proposed method achieves a novel path planning that can solve several practical problems in previous works: the limitations of sensing area, barricades on nodes' path and restrictions on nodes' movements. We propose a method to define the sensing area as four parameters to deal with many kinds of sensors and a route planning method using cost map. The method can find the path that has the lowest energy consumption. Furthermore, we compared the proposed method to A*algorithm which is one well-known route planning algorithm. We also implemented prototypes of sensor nodes to verify our algorithm in the real environment.