著者
馬原 文彦 古賀 敬一 沢田 誠三 谷口 哲三 重見 文雄 須藤 恒久 坪井 義昌 大谷 明 小山 一 内山 恒夫 内田 孝宏
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1165-1172, 1985
被引用文献数
22 61

昭和59年5月中旬より7月までの短期間に, 徳島県阿南市において, 紅斑と高熱を主徴とし特徴的な経過を辿ったリケッチア症と思われる3症例を経験した. これらの症例は, Weil-Felix反応OX2陽性で, 恙虫病とは異なる反応を示し, 詳細な臨床的血清学的検索の結果, わが国初の紅斑熱リケッチア症と判明した.<BR>症例は, 62~69歳の農家主婦で, 藪または畑に入ってから2~8日後に発熱, 悪寒戦標をもって発病し, 稽留熱 (39~40℃ 以上) と, 四肢末梢から全身に拡がる皮疹を特徴とした. 皮疹は, 米粒大から小豆大, 淡紅色の痒みを伴わない紅斑で, ガラス圧により消退するが, 次第に出血性となった. 3例中2例で痂皮または潰瘍を伴う硬結を認めた (刺し口). 全身リンパ節腫脹, 肝脾の腫大は認めなかった. 治療は, テトラサイクリン系抗生剤 (DOXY) が著効を示した.<BR>血清学的検査では, Weil-Felix反応で, 3症例共OX2に有意の抗体価上昇を示した. 間接免疫ペルオキシダーゼ反応では, 恙虫病リケッチア3株に陰性であり恙虫病では無いことが証明された. 更に, CF反応で紅斑熱群特異抗原に対し陽性となり, 本症例は, 紅斑熱リケッチア感染症であることが確認された.
著者
小山 正
出版者
人間環境大学
雑誌
こころとことば (ISSN:13472895)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.43-50, 2002-03-31

本稿では、初期の子どもの象徴遊びの発達と言語獲得について、象徴機能、表象機能の発達という観点から考察を加えた。特に、ふり遊びなどにみられる表象・象徴化能力の発達が子どもの遊びやことばの生産性と密接に関係していることを強調した。遊びを通して象徴機能・表象機能の発達を支えていくことは、また学童期の子どもの良き自己感や自我形成を考えるうえにおいても重要であることを指摘した。
著者
白玉 公一 相薗 充江 熊谷 健夫 池辺 憲一 間瀬 一郎 城野 隆 高山 佳久 大日向 幸一 倉 伸宏 小山 善貞 荒井 功恵 阿部 旬也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.107, pp.63-68, 2006-06-14

光衛星間通信実験衛星(OICETS「きらり」)は、将来の宇宙活動で重要となる光衛星間通信技術の軌道上実験を行うことを目的として平成17年8月24日に打ち上げられた。OICETSに搭載された光衛星間通信機器(LUCE)は、打ち上げ後のロンチロック解除から、初期段階における機器のチェックアウトを経て、平成17年12月9日に欧州宇宙機関(ESA)の先端型データ中継技術衛星(ARTEMIS)との間で、世界で初めての双方向光通信実験に成功した。本稿では、OICETS打ち上げ後のLUCEの機能確認から光衛星間通信実験におけるLUCEの機能性能評価について述べる。
著者
藤本 真記子 坂江 千寿子 佐藤 真由美 上泉 和子 角濱 春美 福井 幸子 木村 恵美子 小山 敦代 杉若 裕子 秋庭 由佳
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.321-329, 2005-12-28

看護における新しい考え方、方法の普及速度に差が見られることから、普及に関する影響要因を検討する目的で、全国47都道府県から規模別に抽出し、調査協力が得られた141施設の看護部責任者及び各施設10名のスタッフに質問紙調査を行った。看護部責任者、スタッフそれぞれに質問紙を作成し、個人の属性、施設の状況に加え、革新性(知的興味、上司の姿勢など普及に影響すると考えられるもの)に関する質問に4段階の尺度で回答を得、返送された看護部責任者の有効回答124部、ナースの有効回答886部を対象に、属性と革新性との関係を分析した。その結果、看護部責任者で、「新しいことを取り入れ広める時、チームや委員会を組織する」「リーダークラスの看護師に根拠を説明する」「学会や看護協会などの情報を活用する」などで平均得点が高く、「降格人事をしている」が低かった。スタッフは、「研修の参加者は、内容を伝達し広める使命がある」「病棟では協力体制がある」「病棟責任者は積極的に研修を勧める」などで、低い項目は、「新しいことを取り入れるのは提案者が誰かによる」「新しいものを受け入れにくい理由として『時間がとれない』『面倒だ』と感じることがある」「病棟責任者は『トラブルは引き受けるから』という姿勢である」などであった。属性との関係では、「研修伝達の使命感」は、学会・研修参加回数、講読雑誌数が多い群が高く、20代が低かった。「面倒、時間がない」は、高い年代の群がやや高かったが、全体として低い点数であり、研修伝達と同様、看護者としての使命感が強く自覚されているのではないかと考えられた。学会・研修会、雑誌など、情報へのアクセスと革新性の関連が確認でき、これを普及にうまく活用していくことの重要性が示唆された。
著者
小山 充道
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.9-18, 1979-10-15

本研究は、準備電位の臨床的応用を目標とした基礎研究と位置づけられ、その第1段階として準備電位の準備性について健常成人を用いて検索したものである。実験手続きとしては、従来用いられてきた拇指による随意運動、すなわちスイッチ押し行動が用いられた。随意運動開始までの準備時間として、自由反応条件、0秒後反応条件、2秒後反応条件、4秒後反応条件が与えられた。0秒後反応条件は、周波数125c/sec、音圧約75Bd、持続時間約200msecの連続音を手がかりに受動的に反応することが求められ、2,4秒後反応条件では、運動の開始時は自己プログラミングスケジュールに従い、被験者の意志に委ねられたが運動行動は、頭の中で1から数え始め、"2,4"のところでスイッチを押すことを求められた。その結果、振幅については、自由条件、2秒条件、0秒および4秒条件の順に有意に増大し、緩電位変動の持続時間については、自由条件、0秒条件および2秒条件、4秒条件の順に有意に増大し、自由条件よりも4秒条件の準備電位が有意に大きいことから、自発的な心理的準備時間が長いと、それに対応して準備電位は増大し、つまり電位差が大となり、かつ準備電位の陰性方向への立上りが早くなるということは、準備電位は準備行動の生理学的反映であるとする仮説を支持しているものと解釈された。また準備電位の出現は、大脳賦活水準と賦活閾値に関係し、緩電位の基線変動水準が覚醒水準(arousal level)に対応し、賦活は筋電図発射までの陰性化の持続時間に、また努力(effort)は準備電位の振幅に対応していることが示唆された。本研究では加算回数が少ないことから、準備電位の各成分の生理学的意味づけについては討論されなかった。
著者
小山 真人
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.4, pp.346-369, 1999-08-25
被引用文献数
4 14

There remain many challenges in using historical documents to reconstruct a reliable history of earthquakes in Japan. Previous catalogs of historical earthquakes in Japan are not conclusive and contain uncertainties about date, hypocenter, magnitude, and tectonic interpretation of each earthquake. There is no database of digital texts of historical documents, which describe each earthquake. Since the density of historical records in Japan is temporally and spatially heterogeneous, seismologists should carefully remove apparent changes of earthquake frequency, which are caused by the heterogeneity of record density. There is, however, no detailed database of the density variation of historical records. The number of researchers, who are interested in historical earthquakes, is small.<BR>The situation stated above is caused mainly by the multi-disciplinary character of historical seismology. Japanese seismologists, who usually have little knowledge of history and classical literature, are not qualified to read a historical document and evaluate its reliability.<BR>The environment for research on historical seismology is, however, getting better. Japanese historians have published and are still publishing many historical documents, sometimes with translations into modern language. Evaluations of the reliability of each document can easily be done by referring to historical dictionaries or other databases. All these publications and information are available in many libraries. It is now easy and stimulating for many seismologists to read, evaluate, and interpret historical documents.
著者
柴田 洋一 高松 竹男 Yoichi Shibata Takeo Takamatsu 小山工業高等専門学校一般物理 小山工業高等専門学校技術室
出版者
小山工業高等専門学校
雑誌
小山工業高等専門学校研究紀要 = The research reports of Oyama Technical College (ISSN:02882825)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.23-27, 2005-03-10

ペットボトルロケットの工作上、翼部分は最も精度が要求されやっかいである。しかし翼は実はもっと単純な構造で同様の効果が得られる。形状と同時に翼の取り付け位置も変え、どのように飛行が変化するか実証実験を行った結果を報告する。またこれらの実験を通して、翼の働きについても考察をおこなった。
著者
小山 次郎
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.182-183, 1988-02-01
著者
松岡 是伸 小山 菜生子 Yoshinobu MATSUOKA Naoko KOYAMA
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-29, 2012-03-31

本稿の目的は児童養護施設におけるソーシャルワーク実践事例を用いて,ソーシャルワークの機能を明確にしていくことである。その意義は実践事例の分析と検討からソーシャルワーク実践理論の研究的積み上げに多少なりとも貢献できるからである。 その結果,ソーシャルワーク機能は子どもの生活援助・支援においては随所に活用されていた。直接的援助機能やケースマネージャー機能,保護機能などが実践では多く活用され,子どもの成長と発達によってソーシャルワーク機能は広範囲にわたり活用されることなどが明らかになった。
著者
小山 健一 山口 洋典
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.17-32, 2010-09

論説(Article)本論文は、民間の劇団による公的事業の展開に着目し、フィールドワークを通じて、文化芸術分野からの地域活性化の方策を取りまとめたものである。特に、第一筆者が自治体からの交付金を得ておこなった演劇公演の運営を経て感じてきた、創造集団における「作家性・芸術性」とアートマネージャーによる「戦略」とのあいだで生じた衝突・軋轢の中から、いくつかの検討を重ねた。実践に対しては、文化政策やアートマネジメントの観点から論考がなされた。そして、(1)公立文化施設での非文化芸術分野の活動への公的資金充当で市民芸術家は育成されるか、(2)アートマネージャーと創造集団の代表者とのあいだにはどのような確執があるかについて接近している。これらを通じて、公による文化施設の活用、すなわち「アウトリーチ」の視点に加えて、民による公への「インリーチ」の観点が重要であることを明らかにした。そして、アウトリーチとインリーチが断続的に展開されること、すなわち反復的交替するとき、公民協働のダイナミックスが導かれることを示し、その状態を担保するために民に求められる視点をまとめた。This fieldwork argues about the difficulty of the community revitalization through a private theatrical company with local government. The difficulty is featured of the gap between artisticity and strategy in the 1st author's practice. From reviewing some references especially in arts management and cultural policy studies, two critical points became clear. (1)How can public fund develop a citizens' art movement in cultural facilities. (2)What kind of discords are generated between Arts manager and representative. mutually as feed-forwarding to create the better future. Finally, this paper proposed the importance of private inreach activity for public outreach program. Furthermore, we had pointed it out about the necessity of repetitive change in project independence which is started from a citizen's action to keep the dynamics on inreach and outreach.
著者
小山 健一
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.45-61, 2009-12

研究ノート(Note)本稿は、わが国の地域文化政策のあり方について、演劇を事例にまとめたものである。考察にあたり、はじめに、演劇の定義や社会的効用について、先行研究をふまえながらまとめた。次に、演劇の振興をはかるうえで重要な役割を果たすこととなる行政と劇団については、いずれも筆者の活動フィールドであることから、その現状の整理と課題の析出に多くの分量を割いた。そのうえで、地域文化政策のあり方を提示した。本稿では地域文化政策を論じるうえで協働という概念を採用しており、協働する主体を「行政」「劇団」「アートNPO」「企業」の4つとした。また、協働のあり方については、それぞれが他の協働主体に対し、どのようなコンテンツを提供することが必要かという観点から論じた。特に、行政や劇団、アートNPOについては、アウトリーチとよばれる活動に焦点を当て、そのうえで協働主体としてのあり方を提示した。その際、筆者みずからが参加した関連活動における事例をいくつか紹介した。最後に、4者が協働による地域文化政策において果たすべき役割を、主体間の相互作用も含めて明らかにしたうえで、今後の展望と課題を示した。本稿は2009年6月27日、28日両日に、大阪市立大学にて開催された日本演劇学会全国大会において、筆者がおこなった研究発表に大幅な加筆修正を加えたものである。I argue in my paper the local cultural policy, especially theater arts ,  in Japan. First, I review the previous research to define social effects by theater arts . Second, I discuss about the administrative policy of local government and the situation of the theatrical company from my action research. In this paper, "collaboration" is the key concept for an appropriate cultural policy agreement with local government, theatrical company, nonprofit organization in Arts and profit organization. This kind of collaboration brings about cooperation to share the each contents and ideas each other. And this paper feature the action which is called "outreatch" by collaboration among stakeholders in my practices as the cases. Finally,  I show the the roles of collaborators in a local cultural policy,  especially theater arts . Incidentally, this paper is based on the my presentation in the Japanese Society for Theatre Research annual conference 2009 on June 27-28 at Osaka City University.