著者
瀬尾 恵美子 小川 良子 伊藤 慎 讃岐 勝 前野 貴美 前野 哲博
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.71-77, 2017-04-25 (Released:2018-07-05)
参考文献数
14

目的 : 研修医の抑うつに関して, 臨床研修制度導入時と, 制度が広く周知された段階とで比較検討を行う.方法 : 全国の臨床研修病院250施設で, 2011年採用の研修医1,753名に対し, 研修開始時と開始3カ月後に, 抑うつ反応, 勤務時間, ストレス要因, ストレス緩和要因などに関するアンケート調査を行い, 2004年の同様の調査と比較した.結果 : 研修開始3カ月後, 抑うつ状態の研修医は30.5% (新規うつ状態率19.6%) で, 2004年より有意に減少していた. 一因として勤務時間の減少, ストレス要因, 緩和要因の改善が考えられた.考察 : 依然多くの研修医が抑うつ状態となっており, 研修環境の更なる改善が望まれる.
著者
小川 成
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.313-321, 2016-09-30 (Released:2019-04-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1

慢性の腰痛を併存した社交不安症に対しアクセプタンス&コミットメント・セラピー(Acceptance and Commitment Therapy: ACT)を施行した経験について報告する。クライエントは40歳代の女性である。経過の中で認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)を施行したが改善は見られていなかった。アイフォート・フォーサイス(2012)のマニュアルに基づいた毎週1時間、計12回のACTを施行した結果、社交不安症の症状と腰痛に変化が見られた。しかし、CBTを施行されたことのあるクライエントの場合、ACTとCBTを混同する可能性があり留意すべきである。
著者
鈴木 昌治 小川 明宏 高橋 力也 米山 平 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.575-580, 1984-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
21

紹興酒もろみ及び麦麹より分離した発酵性酵母12株の同定試験を行ない, 形態学的性質および生理学的性質の結果よりSacch. cerevisiaeと同定した。また, これら酵母はメレジトーズの資化性 (-), ビオチン欠培地での増殖 (+), イーストサイジンの抵抗性 (-), カリ欠培地での増殖 (+), 高泡形成能 (-), L.caseiによる凝集性 (+Weak), 対5番抗原活性 (-) であり, 本邦の焼酎酵母に類似していた。本研究の遂行にあたり, 試料の提供とともに有意義な御助言を賜わった鈴木明治博士ならびに懇切なる御指導をいただいた竹田正久博士, 中田久保氏に深謝する.
著者
山野井 貴浩 小川 博久 川島 紀子
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.215-223, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
26

中学校理科における進化の学習では,脊椎動物は祖先を共有しながらも進化してきたことを理解させることが求められている。これまで進化のしくみや進化の定義に関する認識調査は中学生対象になされてきたが,祖先共有の認識についての調査は国際的にもほとんど行われていない。そこで本研究は,中学生の祖先共有の認識と他の進化認識との関係を明らかにするため,5つの質問群から成る質問紙を作成し,進化の学習を終えた中学生を対象に質問紙調査を行った。欠損値を含んだ回答を除き,1175名の回答を用いて統計分析を行った。その結果,以下の3点が明らかとなった。1.ヒトとチンパンジーといった哺乳類どうしの祖先共有の認識は強いが,哺乳類と爬虫類および魚類の祖先共有の認識は弱いこと,2.祖先共有の認識と進化の道筋に関する図の選択に明確な関連は見られないこと,3.脊椎動物は祖先を共有しながらも,ヒトに向かって進化していくという誤った進化観が形成されていること。今後,本研究で明らかとなった生徒の認識を踏まえた授業開発がなされることが期待される。
著者
正田 哲雄 畠山 淳司 磯崎 淳 小川 倫史 野間 剛 中村 陽一 川野 豊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.357-362, 2008-08-01 (Released:2008-11-05)
参考文献数
30

症例は7歳,男児.平成19年6月,マムシに右第3指を咬まれ受傷した.腫脹・疼痛があり近医にて外科処置を受け,受傷約10時間後に当院を紹介受診した.マムシ咬傷の重症度分類はGrade III であった.まむしウマ抗毒素に対する皮内試験は陰性であり,メチルプレドニゾロンを予防投与した後に静脈内投与した.投与直後から,全身に蕁麻疹が出現し,同時に喘鳴・呼吸困難のアナフィラキシー反応を生じた.0.1%アドレナリンを筋肉内投与,ヒドロコルチゾンを静脈内投与し症状は改善した.まむしウマ抗毒素はウマ血清であり,アナフィラキシーを高率に合併するが,小児の使用に関して検討されていない.本邦における小児マムシ咬傷報告例のうち抗毒素血清投与を行った12症例を検討したところ,アナフィラキシーを呈したのは本症例のみであった.海外ではアドレナリン予防投与も行われており,その適用基準の検討を含め,小児例の蓄積が必要である.
著者
小川 裕子 矢ノ下 良平 辻本 雅文 後藤 芳邦 池本 守 秋元 義弘 三浦 ゆり 粂田 奈宝子
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-10-21

免疫関連タンパク質のDPP IV、IgA、唾液タンパク質のムチン5B、口腔内細菌由来のLPSは、ヒト唾液由来エキソソーム表面に緩く相互作用している。これら表面分子のうちムチン5Bは消化酵素で分解され、IgAおよびLPSの大部分はゲルろ過クロマトグラフィーによりエキソソーム表面から剥がれるが、一部は強固に結合していた。表面分子を除去したエキソソームはマクロファージからのNO産生を増強させた。本作用には膜貫通タンパク質であるDPP IVがLPSと協調している可能性を見いだした。唾液由来の粘膜免疫エキソソームは口腔内では免疫系の過剰な活性化を抑制し、消化管内では免疫系の活性化に関与する可能性がある。
著者
水木 理恵 出口 真紀子 平山 亮 小川 公代 熊本 理抄
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、日本人における個人の境界線の感覚を量的に測定する指標の開発と多様性教育コンテンツの開発を最終目標とするが、その過程で日本内外の多様性教育及び個人の境界線の教育の現状、人権問題当事者・支援者、人権教育担当者への聞き取り調査から日本人の境界線に関する意識を明らかにしていく。また、指標作成後、量的調査により、指標の妥当性を検討する。さらに、聞き取り調査、文献レビュー及び海外の多様性教育の現地調査結果と統合し、日本社会に適した多様性教育コンテンツを開発する。その後、このコンテンツによる多様性教育の研修会を実施し、境界線の指標を含めた尺度を使いその評価を行う。
著者
舘 和彦 小川 宣子 下山田 真 渡邊 乾二 加藤 宏治
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.456-462, 2004-09-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

乾熱卵白を生中華麺に添加した時の影響について力学物性値の測定と官能試験の結果より評価した.また走査型電子顕微鏡を用いて中華麺の表面および断面構造を解析することにより,以下の結論を得た.(1) 中華麺に乾熱卵白を添加することで茹で伸びを抑制し,破断応力,瞬間弾性率は上昇し,硬さおよび弾力性に改善が見られた.さらに付着性の低下より舌触りが良くなること,引っ張り時の歪率の上昇から伸長が良く切れにくくなっていることが推測された.(2) 官能試験の結果より,乾熱卵白を添加した中華麺は噛みごたえ,弾力性,つるみ感,伸長度において無添加麺や乾燥卵白を添加した麺よりも良い評価となり,且つ高い嗜好性を示した.(3) 走査型電子顕微鏡による観察結果より,乾熱卵白を添加した麺の表面構造は,無添加麺や乾燥卵白を添加した麺と比較して隙間が狭く,滑らかであった.また乾熱卵白を添加した麺の断面構造も,蛋白質によって構成される網目構造が細かく,密であった.
著者
和田 誠 小川 隆申 田村 浩章 山下 公明 大日方 昭善
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.79, no.806, pp.1963-1972, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

The motion of a liquid pouring from a beverage can is experimentally and numerically studied. First, we measure pouring motion for sixteen examinees and find that the can motion in pouring consists of three stages; tipping stage, filling stage, and returning stage. In each stage, the angular velocity of a can is nearly constant, and its average velocity is obtained. A liquid flow from a can rotating at the average angular velocity is visualized with high-speed cameras and is also numerically simulated with the Volume of Fluid (VOF) method. At the beginning of pouring, the liquid from a can opening is once blocked by the rim of a upper lid and then flows over the rim. It falls from the can forming a V-shaped surface, which converges few centimeters below the rim expanding the liquid surface in the direction perpendicular to the V-shaped surface. This results in a wavy pattern of the liquid surface. The computational result agrees with the experiment.
著者
谷口 大 小川 浩平 磯邊 友美 後藤 典生 石黒 浩
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.288-297, 2021-12-24 (Released:2021-12-24)
参考文献数
29

With the development of engineering technology, many attempts have been made to persuade humans using engineering technology. Research on persuasion toward physical purposes using engineering technology has been conducted. For example, about changing attitudes toward purchasing products. On the other hand, for persuasion toward metaphysical purposes such as understanding abstract concepts and religious ideas, no methodology for using engineering technology has been established. This research aimed to realize persuasion toward metaphysical purposes. We focused on persuasion on the peripheral route in the elaboration likelihood model, and targeted transmission of Buddhist Doctrine as a metaphysical content. In order to achieve this, we have developed the media integrating an android and projection mapping. We discussed the relationship between the conventional media for transmission of Buddhist Doctrine and the developed system, and conducted the field experiment to verify the effectiveness of the developed system. As a result of the analysis, it was shown that the developed system could be effective for the transmission of Buddhist Doctrine. In the future, we plan to verify the effectiveness of the developed system outside of the transmission of Buddhism, and the synergistic effects that occur only by integrating an android and projection mapping in laboratory experiments.