著者
有田 英子 小川 節郎 花岡 一雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-42, 2009-01-15 (Released:2009-02-07)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

痛みは主観的な感覚であり, その測定・評価は難しい. 痛みの強さの測定についても, visual analogue scale (VAS) など, これまでにいくつかの評価法が提示されているが, いずれも主観的な測定法であった. この度, 患者がもつ痛みを, 痛みを伴わない異種感覚に置き換えて定量評価する知覚・痛覚定量分析装置が考案された. これにより, より客観的に痛みの強さを測定することができ, 患者間の痛みの強さや, ある患者の長期にわたる痛みの強さの比較・検討が可能になると考える. VASと比較した臨床データの一部を提示する.
著者
藤村 政樹 野村 将春 坂本 さゆり 上尾 友美恵 柴田 和彦 小川 晴彦 西 耕一 松田 保
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.105-112, 1990-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

若年健康女性にみられる深吸気の Vmax 増加効果と basal bronchomotor tone の関係にっいて, partial and maximum expiratory flow-volume curve を用いて検討した. 深吸気の Vmax 増加効果は, ipratropium bromide によるPEF25の増加率 (r=-0.81, p<0.0002) および salbutamol によるPEF25の増加率 (r=-0.62, p<0.01) と有意の相関を示した. 深吸気の Vmax 増加効果の日差変動は, PEF25の日差変動と有意 (r=0.68,p<0.005) に相関したが, MEF25の日差変動とは相関しなかった. 以上より, 若年健康女性における深吸気の Vmax 増加効果は, 迷走神経緊張による basal bronchomotor tone が亢進しているためにみられる現象と考えた.
著者
駒木 伸比古 佐藤 正之 村山 徹 森田 実 小川 勇樹
出版者
[三遠南信地域連携研究センター]
巻号頁・発行日
2017-09-30

本図説を作成するにあたり,以下の助成金を利用しました。・文部科学省「共同利用・共同研究拠点(越境地域政策研究拠点)」(代表者:戸田敏行)・日本学術振興会科学研究費「ポストまちづくり三法時代における大規模集客施設の越境地域政策に関する地理学的研究」(代表者:駒木伸比古)・日本学術振興会科学研究費「民主主義の規模と行政の自律的裁量」(分担者:村山徹)
著者
小川 芳範
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-13, 2002

In this paper, I consider a philosophical interpretation of Hilbert's program put forward by Paul Bernays. The paper consists, roughly, of two parts. In the first part, I briefly describe Bernays's polemic against "immanence philosophy" over the question concerning the epistemological status of theoretical sciences and its relation to the foundational controversy in mathematics in the 1920s. In the second part, I briefly discuss the theory of cognition contained in the transcendental philosophy of Jakob Friedrich Fries and his twentieth century evangelist, Leonard<BR>Nelson, and consider Bernays's view against the background of this intellectual tradition. I conclude the paper by arguing for the importance of attending to Friesian influence in order to achieve a deeper understanding of Bernays's (and Hilbert's) philosophy of mathematics.
著者
小川 剛史 白井 博章 柳沢 豊 塚本 昌彦 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.390, pp.55-62, 1996-11-22
被引用文献数
5

近年, 計算機上に仮想空間を構築する技術を用いることで, リアリティの高いヒューマンコミュニケーションを実現しようとする研究が盛んに行なわれている. このような中で, 筆者らの研究グループにおいては, 計算機上に構築した仮想空間を現実空間と一対一に対応付け, 計算機のユーザが仮想空間内で行動することで, そのユーザがあたかも現実空間内で行動しているかのように感じさせることのできる, 「透明人間」と呼ぶ環境を提案している. 本稿では, この「透明人間」環境を実現するためのシステムの設計について述べる. この「透明人間」環境においては, 机上の計算機内に表示される仮想空間内で行動するユーザと, 移動可能な携帯型端末をもつユーザが, それらの端末を通して柔軟にコミュニケーションをとることが可能となる.
著者
小川 俊彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.504-510, 1994
参考文献数
2

公共図書館における自習室の問題は,図書館の本質的サービスでないとしながらも,30年以上その必要性を認めてきている。新しい図書館を作り出していくために,市民や行政に,そしてマスコミに対して,図書館のあるべき姿をどう訴えていくのか,市民に期待される図書館とは,を検証していく。更に,具体的なPRの方法として,サインやパンフレットなどの必要性と,作成する目的について考えてみる。しかし結局は,図書館のPRは口コミで伝わるものであり,そのきっかけは職員のサービスによるものである。
著者
小川 隆雄 栗原 崇 伊藤 公紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.45-55, 2014

第18回気候変動枠組条約締約国会議(COP18)は2012年末に開催され、2020年から新たな枠組みを開始することが合意された。次期枠組みでは途上国の参加が鍵となるが、途上国の削減行動の実効性を高めるために導入されたのがMRV(測定・報告・検証)制度である。MRV制度については2007年から検討されてきたが、具体的な実施方法は未定である。本稿では、MRV制度の検討にはP2M理論によるアプローチが適していると考え、3Sモデルを適用しMRV制度の実行スキームモデルの構築を行った。具体的には、民間主導により世界で広く実施され、MRV制度と共通の構造(PDCAサイクル)を持つISO認証制度を利用することで、途上国にも受け入れが容易でかつ実効性の高い国際枠組み(ISO-MRV)の構築を試みた。
著者
井澤 修平 城月 健太郎 菅谷 渚 小川 奈美子 鈴木 克彦 野村 忍
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.91-101, 2007
被引用文献数
17 34

近年,疾病予防などの観点からストレスの評価法に注目が集まっている.本稿では唾液を用いたストレス評価について概説した.人の唾液には様々なストレス関連物質が存在することがわかっており,非侵襲的なストレス評価法として利用できる可能性が考えられる.唾液採取,検体の取り扱い,測定などの基本的事項を紹介し,唾液より測定可能な 7 つの物質(コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン,テストステロン,クロモグラニン A,3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルグリコール,α アミラーゼ,分泌型免疫グロブリン A)の各種ストレスとの関連や使用の際の留意点を概観した.最後に目的や状況に応じた唾液によるストレス評価の方法や今後の課題について述べた.<br>
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 和田 篤志 菊地 勘 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.665-723, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
22
被引用文献数
10

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2021年末時点における年次調査は,4,508施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,454施設(98.8%),患者調査票に関しては4,251施設(94.3%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2021年末の施設調査結果による透析患者数は349,700人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,786人であった.患者調査結果による平均年齢は69.67歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.6%),次いで慢性糸球体腎炎(24.6%),第3位は腎硬化症であった(12.8%). 2021年の施設調査結果による透析導入患者数は40,511人であり,2020年から233人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.09歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.2%で,昨年より0.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.2%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.2%)を上回った.2021年の施設調査結果による年間死亡患者数は36,156人であり,年間粗死亡率は10.4%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(22.0%),悪性腫瘍(8.4%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2021年末の施設調査票による患者数は176,601人で,維持透析患者全体の50.5%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,501人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDF との併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2021年末の在宅HD患者数は748人であり,2020年末から3人減少した.2021年は,施設調査として災害対策調査,また本年も引き続き,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
名畑 理津子 小川 健二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16315, (Released:2017-05-10)
参考文献数
23

Eidetic imagery is a kind of mental visual imagery that is externally localized and literally “seen” by the eidetiker. Previous studies have not clarified whether eidetikers have enhanced visuo-spatial memory abilities. This study compared visuo-spatial short-term memory capacities between eidetikers and non-eidetikers who were matched in terms of age, gender, and visual imagery ability. We measured the memory capacity of nine eidetikers and 18 non-eidetikers in two memory tasks (Visual Pattern Test and Corsi Block Test) that differed in the mode of presentation of visual stimuli (simultaneous and sequential, respectively). Eidetikers performed better than non-eidetikers on simultaneous tasks but performed similarly to non-eidetikers on sequential tasks. This study suggests that eidetikers are better at retaining stimuli presented simultaneously.
著者
名畑 理津子 小川 健二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.260-266, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
23

Eidetic imagery is a kind of mental visual imagery that is externally localized and literally “seen” by the eidetiker. Previous studies have not clarified whether eidetikers have enhanced visuo-spatial memory abilities. This study compared visuo-spatial short-term memory capacities between eidetikers and non-eidetikers who were matched in terms of age, gender, and visual imagery ability. We measured the memory capacity of nine eidetikers and 18 non-eidetikers in two memory tasks (Visual Pattern Test and Corsi Block Test) that differed in the mode of presentation of visual stimuli (simultaneous and sequential, respectively). Eidetikers performed better than non-eidetikers on simultaneous tasks but performed similarly to non-eidetikers on sequential tasks. This study suggests that eidetikers are better at retaining stimuli presented simultaneously.
著者
飯田 武 小川 丈彦 沖田 由美 中嶋 直美 藏田 明日香 杉野 香代子 勝原 優子 矢木田 早苗 黒川 典枝
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.1071-1077, 2012 (Released:2012-08-28)
参考文献数
19
被引用文献数
1

【目的】経皮内視鏡的胃瘻造設術Percutaneous endoscopic gastrostomy (以下PEGと略) を行った症例の長期予後について検討した。【方法】2000年から2009年までに当院でPEGを行った227例を対象に追跡調査を行った。【結果】追跡できたのは215例で平均追跡期間は559.2±521.2日。PEG後30日における生存率は95%、1年生存率は64.4%、5年生存率は25.1%であった。PEG前に誤嚥が経験されていた群はそれ以外の群に比し生存率が有意に低かった。PEG施行時におけるアルブミン (Alb) 値が3.0g/dL以上の群はそれ未満の群より、また小野寺の予後推定指数 (PNI) 35以上の群はそれ未満の群より生存率が有意に高く、その傾向は特にPEG施行後早期において顕著であった。【結論】胃瘻造設前の誤嚥経験の有無は重要な予後予測因子である。またAlb値やPNIは造設後早期の予後予測の指標として有用である。