著者
小林 久芳 村沢 忠司 HISAYOSHI KOBAYASHI TADASHI MURAZAWA
出版者
京都府立大学学術報告委員会
雑誌
京都府立大学学術報告 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
no.37, pp.p81-90, 1986-11

パーソナルコンピュータを用いた家計管理の方法について, 家計簿記帳を中心に問題点とその解決方法についての考察を行った。また, 多くの家庭に対して家計簿の記録データを集計することにより, 消費動向に関する基礎資料が得られる点に着目し, そのために家計簿プログラムが備えるべき機能, 記録データの内部構造等について, 詳細な検討を行った。さらにコンピュータによる家計診断の可能性について, 一つの提案を行なった。
著者
江見 美子 鵜殿 俊史 小林 久雄 早坂 郁夫
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第20回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.131, 2004 (Released:2005-06-30)

【目的】チンパンジーはヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)の寄生により、下痢や嘔吐、食欲不振などを起こし、時に肝臓などへの迷入により死に至る場合がある。また蟯虫の雌は産卵時期になると、寄生部位である盲腸から肛門に移動し産卵を行う。この時の掻痒感のため、蟯虫寄生は肛門いじりや各種肛門疾患の原因になると考えられている。しかしチンパンジーにおける蟯虫駆除は 1) 糞便いじりによる再感染率が非常に高い、 2) 投与が容易で蟯虫に対し高い駆除効果が期待できる駆虫薬がない、など非常に難しく、チンパンジー飼育施設にとって長年解決できずにいる問題となっている。そこで、ブタの回虫・鞭虫駆虫薬として既に使用されているフェンベンダゾール (Fenbendazole) のチンパンジーにおける蟯虫駆虫効果について調べ、清浄化を図った。【方法】 (1) 駆虫効果判定の為、蟯虫寄生が確認されたチンパンジー8頭にフェンベンダゾール10mg/kgを2週間隔で2回投与し、排虫の確認と、1、2、4、8、12、16週後に検便を行った。 (2) 蟯虫清浄化を目的として、チンパンジー80頭にフェンベンダゾール10mg/kgを5~11回投与し、2~7カ月おきに検便を行った。【結果】 (1) 8頭とも多数の排虫が確認され、その後12週まで蟯虫は検出されなかった。 (2) 投与前は30.2%だった蟯虫の検便陽性率が、投与開始から9ヶ月後および12カ月後には0%となった。しかし、16カ月後の検便で1頭から蟯虫が検出された。【考察】これらの結果から、フェンベンダゾールはチンパンジーの蟯虫に対し高い駆虫効果を発揮することが確認された。しかし初回投与の16カ月後に1頭から蟯虫が検出されたことから清浄化には至らず、環境中の虫卵から再感染した、あるいは駆虫しきれずに腸管内に残っていたことが考えられた。今後は投与間隔の再検討が必要である。
著者
小林 久雄 河合 匡彦
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.207-210, 1960 (Released:2008-02-29)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

(1) It is difficult to tear off experimentally the scales of mud-loach, Misgurnus fossilis anguillicaudatus, because of their relatively small size. If the operation is carried out unskillfully, deformed scales would oftenly be regenerated on account of presumptive damage of the scale pockets. (2) The early regenerative scales have a broad sculptureless focal area occupying almost all of the scale dimention, and they resemble the ordinary scales of Cobitis taenia. (3) Regenerative scales observed 172 days after the operation are a little smaller in the whole shape and somewhat fewer in number of circular grooves than the ordinary ones. As time goes by, the structure of the former bears resemblance to that of the latter and consequently when the breeding of the fishes is continued, it may be supposed that these regenerated scales would completely return to the ordinary ones.
著者
小林 久隆
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.274-284, 2014

より特異的な癌イメージングは、より正確な治療を可能にし、さらに超特異的癌治療は、癌に対しては強力でありながら、患者の体に対してはやさしい治療になりうるはずである。より良い癌の臨床を追い求める医学研究者として、さらなる「病気に厳しく、患者の体に優しい」方法の開発が、究極の目標である。この稿では、私たちの研究室で行ってきた特異性を重視した次世代のイメージング方法論、さらに造影薬剤作成と利用の基本理念と方向性を解説したい。加えて、次世代のイメージング技術の新たな進化形である、超特異的癌治療「近赤外光線癌治療」の開発理念と特徴、さらにそのさまざまな応用法についても触れたい。
著者
小林 久高 山本 圭三 Hisataka Kobayashi Keizo Yamamoto
出版者
同志社社会学研究学会
雑誌
同志社社会学研究 = The Doshisha Shakaigakukenkyu (Doshisha review of sociology) (ISSN:13429833)
巻号頁・発行日
no.24, pp.55-118, 2020-03-31

多変量解析の基礎となる回帰分析について、(1)記述統計的な解説、(2)ベクトルを用いた図形的解説、(3)推測統計的解説、(4)数学的解説をしたもの。
著者
小林 久高
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.392-405,478, 1989-03-31 (Released:2010-05-07)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

権威主義の基本概念は、弱者に対する攻撃を意味する権威主義的攻撃と強者に対する服従を意味する権威主義的服従の結合にある。アドルノ、ロキーチ、アイゼンクの研究を検討すると、この権威主義の基本的な意味と保守主義とが密接に関係していることがわかる。この事実を説明するために、一つの図式が提出される。この図式は、概念的な観点から、権威主義と保守主義の密接な結合を明らかにしたものである。次に、シルズのいう左翼権威主義の問題が検討される。そこでは、左翼の位置する体制の違いを考慮する必要性、体制に対する態度と党派に対する態度の違いを考慮する必要性、態度とパーソナリティのレベルの違いを考慮する必要性が述べられ、自由主義・資本主義体制内の左翼は、過激主義的ではあるが、右翼に比べて権威主義的ではないという指摘がなされる。
著者
鈴木 佳苗 坂元 章 小林 久美子 安藤 玲子 橿淵 めぐみ 木村 文香
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.suppl, pp.117-120, 2004-03-05 (Released:2017-10-20)
参考文献数
8

本研究では,インターネットの各種アプリケーション(電子メール,ウェブページ作成,ウェブページ閲覧,チャット,ページャー,フォーラム,掲示板,ネットワークゲーム)の使用がソーシャルスキル(会話スキル,問題解決スキル,仕事・勉強スキル)に及ぼす影響を検討した.情報系専門学校の男子学生を対象に,約3ヵ月の間隔で2時点のパネル調査を行い,得られたデータに対して構造方程式モデルを用いて因果関係を分析した.その結果,電子メール,ネットワークゲームの使用がソーシャルスキル全体を高めること,ネットワークゲームの使用が問題解決スキルを高めることが示された.インターネット使用がソーシャルスキルを低めるという悪影響は見られなかった.
著者
工藤 倫子 小林 久美子 内藤 健太郎
出版者
ファンクショナルフード学会
雑誌
Functional Food Research (ISSN:24323357)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.34-41, 2019 (Released:2020-01-01)
参考文献数
19

生薬の一種であるオウゴンは,主に炎症の軽減やウイルス感染の治療のための漢方薬として伝統的に用いられている.近年の研究により,メラニン色素の産生を抑制する効果を持つことが新たに示され,色素沈着を改善する美白剤としても期待されている.しかしながら,それらの生理活性成分についての検証や作用メカニズムについての詳細な研究はあまりなされていない.本研究では,初めに137種類の植物抽出物中において,オウゴン抽出物がメラニン産生を最も強力に抑制する効果を持つことを示し,次いでメラニン産生抑制効果を示す生理活性成分がwogoninであること,その作用機序がメラニン産生に対し律速的に働く転写因子であるmicrophthalmia-associated transcription factor (MITF)の発現抑制であることを示す.また,これに加え,wogoninはメラノソーム輸送に対する阻害効果も併せ持つ二機能を有する成分であることを偶発的に見いだした.この効果はオウゴンの主成分であるbaicaleinなど他のフラボノイドでは見られないほか,メラノソーム輸送関連タンパク質であるmelanophilin (MLPH)を特異的に減少させるメカニズムによって生じていることを発見した.われわれの知見はオウゴン抽出物の美容分野における有益性を示唆するものであり,新しい色素沈着改善剤の開発の可能性が期待できるものである
著者
中村 やす 野副 めぐみ 小林 久子 中尾 貴美子
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.234-242, 1998
被引用文献数
1

10年あまりの長期訓練経験に基づき独自に心理・社会的側面の評価表を作成し,信頼性を検討した。グループ訓練に参加している慢性期失語症者17名についてその評価表を用いて評価を行った。同評価表は参加態度,対人意識,情緒,自己認知,障害の受容に関する5大項目と15の下位項目から成る。グループ参加年数と良好項目数の割合との関係および評価プロフィールの分析を行った。結果として, (1) 失語症者の自己評価の低下や自己開示への抵抗,障害へのこだわり,頑固さなどの心理・社会的側面の問題が明らかに示された。 (2) これらの問題は特に重度者およびグループ参加年数2年未満の対象者で顕著であり,参加年数の経過とともに軽減する傾向が認められた。 (3) また評価表にはグループ内での個人の心理・社会的側面の状態や変化をとらえやすくなる,スタッフ間で視点の共有が可能となる,グループ訓練の効果を示す1つの指標と成りうる,などの有用性があると考えられた。
著者
小林 久幸
出版者
帝塚山大学
雑誌
帝塚山大学短期大学部紀要 (ISSN:13459732)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.64_a-53_a, 2002-02-01

2000年10月開催アジア杯サッカー選手権レバノン大会の日本代表チーム出場6試合(00ACJ)を収録したVTRから, サッカー試合中のインプレーとアウトオブプレー時間の比率およびアウトオブプレーの要因別出現回数・所要時間とその比率などを検討した。結果は以下の通りである。(1)ロスタイムを除いた試時間90分におけるインプレーとアウトオブプレーの1試合当り平均時間(比率)では, 00ACJは54分50秒(61%)対35分10秒(39%)である。(2)インプレーの1試合当りの出現回数および1回当りの持続時間では, 00ACJは約115回, 28.7秒である。(3)アウトオブプレーの1試合当りの出現回数および1回当りの所要時間では, 00ACJは約125回, 16.9秒であり, 日本は約63回(51%), 17.1秒である。(4)アウトオブプレーの1試合当りの要因別出現回数の比率では, 00ACJは比率の高いものから順にFK33%(41回), TH32%(40回), GK15%(19回), OTH12%(16回), CK7%(10回)である。(5)アウトオブプレーの1試合当りの要因別所要時間では, 00ACJの最も長いのはFKの11分52秒, 次いでOTHの7分20秒, THの6分16秒さらにGKの5分51秒であり, 最も短いのはCKの3分52秒である。(6)アウトオブプレーの要因別1回当りの所要時間では, 00ACJは所要時間の長いものから順にOTH28.4秒, CK24.4秒, GK18.8秒, FK17.4秒, さらにTH9.3秒である。(7)アウトオブプレーの時間区分別の生起率では, 00ACJの最も多いのは10&acd;20秒の37%であり, 次いで10秒未満の30%である。(8)日本と対戦チームとのアウトオブプレーの比較では, 日本のFK20%(1試合当り26回)は対戦チームの12%(15回)よりも多く(P<0.001), さらにゴール前でのシュート・得点をねらうFKでは日本の7回は対戦チームの3回よりも多い (P<0.01)。逆に, GKでは対戦チームの10%(12回)は日本の5%(6回)よりも多い(P<0.001)。
著者
小林 久泰
出版者
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.1078-1084, 2013-03-25 (Released:2017-09-01)

ティミラ眼病とは一体何なのか.この問題について,かつて金沢篤氏が極めて詳細な研究(金沢1987)を発表された.この金沢1987に対して二つの疑問を提示することができる.第一に,インド医学の伝統においてティミラ眼病と「華」は全く無関係であったと断言することは可能か.第二に,瞳の第四膜に到達した病素をティミラとみなす大地原訳を「明らかな誤訳」と呼ぶことは可能か.この二つの疑問を出発点として,本稿では以下のことを明らかにした.第一の疑問点に関して,『アシュタ・アンガ・フリダヤ・サンヒター』にカパ性のティミラ眼病患者に見えるものとして,ジャスミンの花やスイレンが挙げられていることを明らかにした.但し,それは『スシュルタ・サンヒター』の異なる文脈にある二つの文章を一緒にしたために起こった,いわば副産物に過ぎないことも指摘した.第二の疑問点に関しては,『バーヴァ・プラカーシャ』に大地原流の解釈を挙げるインドの伝統も存在することを指摘し,当該個所に関して,大地原訳を「明らかな誤訳」と言うことは困難であることを明らかにした.その一方で,金沢氏の主張を支持する記述が『スシュルタ・サンヒター』自体に見られることも指摘し,それがサートヤキの伝統に従ったものであることを明らかにした.最後に,ティミラを瞳の第一・第二膜の病気と捉える『アシュタ・アンガ』の伝統とは異なり,『スシュルタ・サンヒター』作者があえて瞳の最外膜である第四膜の解説の中でティミラを持ち出すのは,彼がこの語の原義である「暗闇」というニュアンスに力点を置いたからではないか,ということを指摘した.ティミラ眼病とは,最終的に完全失明,すなわち「暗闇」に到る恐ろしい病に他ならないのである.
著者
小林 久子
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.71-78, 1990-10-31 (Released:2009-11-18)
参考文献数
12

1重度失語症例の9年間にわたる訓練の経過を報告する.症例は初診時63歳の右利き男性.右片麻痺と構成障害を伴い,観念運動失行も疑われた.自発語はわずかな残語のみで,発話開始時には発語器官の模索行動が顕著であった.最初の3年間,言語機能の改善を目的とした訓練をおこなったが,目立った改善はなかった.また指差しやジェスチャー,描画は拙劣でそれらを単一の代用コミュニケーション手段として活用することはできなかった.そのため日常のコミュニケーションに困難を示した.4年目より語用論に基づいた治療法PACE (Promoting Aphasics' Communicative Effectiveness)を家族の協力を得,また他の患者とともにおこなった結果,描画やその他の手段を併用することが可能になり,また伝達の内容は目前にはないことがらの報告や要求へと広がった.その結果,日常のコミュニケーションは改善し,コミュニケーション意欲の向上が見られた.