著者
御園生 尭久 吉見 武義 福田 利弘 小林 淳一 長尾 幸徳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.11, pp.1526-1531, 1978
被引用文献数
2

1,8-ナフタレンジカルボキシミド[1a]およびN-メチル換-1,8-ナフタレンジカルボキシミド(X=H,OCH<sub>3</sub>,0H,NH<sub>2</sub>,SO<sub>3</sub>Na)[Ib~f]をパラジウム触媒を用いて水素化することにより,[1f]の場合を除き,それぞれ相当するテトラヒドロ誘導体である1,2,3,4-テトラヒドロー1,8-ナフタレンジカルボキシミド[2a](収率77%),およびN-メチルー5-置換-1,2,3,4-テトラヒドロー1,8-ナフタレンジカルボキシミド(X=H,OCH<sub>3</sub>,0H,NH<sub>2</sub>)[2b~e](収率b:82%,c:62%,d:68%,e:78%)を得ることができた。<BR>さらに[1a]を同じ触媒でより強い条件で水素化するとデカリンー1,8-ジカルボキシミド[3]が得られることを確認した。また[2a]および[2b]を塩化アセチルで処理すると,それらのアシル誘導体である3-アセトキシー5,6-ジヒドロー4荏ベンゾ[de]インキノリンー1-オン[4a],および3-アセトキシー2-メチルー5,6-ジヒドロ-4-ベンゾ[de]インキノリンー1-オン[4b]を生じた。
著者
石井 正則 金田 健作 関 博之 小林 直樹 八代 利伸 小林 毅 吉田 茂 栄 春海 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.604-613, 1994-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
4

めまいや耳鳴を主訴とした患者の中には, 症状の増悪に患者の心理的因子や環境因子が関係することがあり, その治療には心身症としての側面を考慮する必要がある。とくにメニエール病では, ストレスが発症に関与していることが多く, ときとしてその治療に難渋することもある。そこで, 心身症や神経症に対して優れた臨床効果の報告がある抗不安薬 (Ethyl Loflazepate, メイラックス ®) を使用し, メニエール病を中心にめまいや耳鳴を主訴とした疾患に対してその臨床効果を検証した。その結果, この薬剤の内服により動揺感, 悪心・嘔吐, 耳鳴の大きさなどにその改善度や有用率が高いことがわかった。しかも心理検査のCMI検査や健康調査表でも服用後にCMIの値や健康調査の値が有意に低下することを認めた。以上により抗不安薬であるメイラックス ® が自律神経症状や動揺感を主体としためまい感や耳鳴の大きさに対する自覚症状を和らげる効果を示すことがわかった。
著者
小林 美恵子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.29-45, 2017-12-31 (Released:2018-01-12)
参考文献数
3

日本国憲法口語訳の「話しことば」文体について分析・記述する。口語訳には、「国民」を「俺」とし、「お前」の呼びかけを用いること、文末に「命令」「禁止」「依頼」「許可」「勧誘」など訴え型の述語形式が使われ、「よ」「ね」「な」「ぜ」などの終助詞が多用されていることなど、憲法原文にはない特徴が見られる。これらは、20代男性の訳者(話者)の立場から、同年代以下の親しい友人などを相手として想定した「話しことば」文体で書かれていることによる。それは憲法に対する親しみを喚起しているが、同時に口語訳されることによる解釈の制約や限界もある。
著者
位藤 邦生 吉田 典可 小林 芳規
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

本研究は角筆文献の発見者でありその後の角筆文献研究を領導してきた小林芳規を研究分担者に迎えて、角筆文献をさらに発掘し、従来の語学的見地からのみでなく、広く文化史資料として角筆文献を活用せんとする試みであった。さらに角筆文献によって得られる情報(文字情報および絵画情報)を画像処理によってコンピュータに入力し、それらの情報を国内外の研究者に提供する方法の研究を同時に行ってきた。位藤邦生は山口県宇部市厚東にある恒石八幡宮蔵『角筆下絵八幡大菩薩御縁起』に注目し、これを三原市御調八幡宮蔵『角筆下絵八幡大菩薩御縁起』と比較することによって両本の関係や中世において寺社縁起の類がどのようにド伝播したかの研究を進めた。小林芳規は二年間にわたって全国各地の図書館や文庫に赴き、多くの角筆文献を発見調査した。これまでの全発見点数は平成7年3月現在で1,485点にのぼっている。そうした発見の文献の中には、大英博物館蔵の敦煌文献中にあった角筆文献があり、日本における角筆文献の淵源としての中国大陸での角筆使用の実態を探ることが今後の重要な研究課題となった。また高野長英が獄中で書いた角筆による手紙が解読され、脱獄の半年前から長英が脱獄の意思を持っていたことが判明した。広島大学が新たに購入した角筆文献の中には千利休の聚落屋敷の絵図等があり、これには角筆で方眼が描かれている。角筆文献の大半は漢籍であるが、山林の境界線を角筆で描いたものなど、さまざまな分野の文献が発見され、文化史的見地からの研究は今後ますます重要になることが予想される。文字だけでなくこうした絵画・地図資料等をコンピュータに入れて提供する方法の検討も今後併せて行われなければならない。
著者
味方さやか 小林一郎
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.161-162, 2011-03-02

災害時における復旧計画の作成は,迅速な機能回復のための重要な課題の1つである.しかし,復旧に当たる人員や順序は相互連関を持つと考えられるため複数の制約が生じる。そのため、これらの条件を考慮しつつ早急な復旧を行うスケジュールを作成するのは困難であると考えられる。そこで,本研究では,複数のライフラインの相互連関を取り入れた目的関数を定義し,複雑なライフライン網の復旧計画の作成を試みる.解の探索には,遺伝的アルゴリズム(GA)を適用した手法と遺伝的アルゴリズムにローカルサーチを取り入れた手法を用い,両者の比較を行った.
著者
味方 さやか 小林 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2D24, 2010

<p>大規模な災害発生時には、複数のライフラインが同時に被害を受ける可能性があり、人々の生活に多大な影響を及ぼす。そのため、早急に災害復旧を実現する計画が必要となるが、ライフライン同士は密接な関係を持っているため、復旧には複数の制約が生じ、それに合った復旧計画の作成は困難な問題である。 本研究では、最適化計算を用い、より効率良く複数の相互連関を持ったラフライン網の災害時復旧計画の作成を目的とする。 </p>
著者
味方 さやか 小林 一郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.480-490, 2011-08-15
参考文献数
22
被引用文献数
3

災害が起こった際には,複数のライフラインが同時に被害を受ける可能性がある.その際,我々は迅速かつ効率良く都市機能を復旧させる計画が必要となる.都市機能においては,複数のライフラインは相互依存関係を持っていることが考えられ,被災地の復旧順序や復旧人員の配置は被害地域全体の復旧速度に大きく影響する.現在までに一つのライフラインの復旧計画問題を解く研究は多くなされてきたが,複数のライフライン間の相互連関を考慮した復旧計画問題を解く研究は少なく,とても重要であると考えられる.そこで,本研究では複数のライフラインが同時に被害を受けた状況を想定し,ライフライン間の相互連関を考慮した復旧計画を作成することを目的とする.復旧計画作成手法として,遺伝的アルゴリズムを用い,複数の制約条件下における組み合わせ最適化問題を解くことにより課題を達成する.遺伝子のコーディングにおいては,復旧班の配置と復旧順序を同時に考慮した遺伝子モデルを利用して計算することにより,ライフライン間の相互連関を考慮した復旧計画の作成を実現しているまた,提案した遺伝的アルゴリズムを用いた解法の性能を向上させるために Random Flip という局所探索手法を導入し,満足する災害復旧計画を少ない計算時間で求められることを確認した.
著者
味方 さやか 小林 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.1A43, 2009

<p>家族のような生活共同体における集団生活では,共通のTODOタスクが発生する.それらのTODOタスクは家族の誰かが達成しなければならないものであり,家族員に負担をかけずに達成されることが望ましい.このことより,本研究では家族を取り上げ,家族員の個々の能力やスケジュールを考慮し,互いが協調することにより負担を軽減し,効率よくタスクを達成できるように振り分けがなされたスケジュールの作成方法を提案する.</p>
著者
西井 修 竹内 亨 高橋 稔 岡村 隆 柳沼 〓 小林 拓郎
出版者
日内分泌会誌
雑誌
日本内分泌学会雑誌 (ISSN:00290661)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.108-116, 1986

Eight women with normal term pregnancy were i.v. administered 10 mg Metoclopramide (M), dopamine antagonist, before and during labor. Serum prolactin (PRL), TSH, GH and cortisol levels were measured at -30, 0, 30 and 60 minutes after M administration by specific radioimmunoassay. Basal serum PRL levels before labor, 287.5&plusmn;28.6 ng/ml (mean&plusmn;S.E.), significantly declined during labor to 237.0&plusmn;22.4 and 216.4&plusmn;22.9 ng/ml (p<0.05 at both) at 0 and 30 minutes before M administration, respectively. The increments in serum PRL at 30 and 60 minutes after M administration during labor (209.5&plusmn;33.9 and 120.0&plusmn;27.1 ng/ml, respectively) were not significantly different from those before labor (202.1&plusmn;48.7 and 89.9&plusmn;30.1 ng/ml, respectively), suggesting that the decline in serum PRL levels during labor is not due to the dopaminergic control. Basal serum TSH and GH levels were not significantly changed by labor and M administration either before or during labor. Serum cortisol levels tended to increase during labor, but these changes were not significant. The data suggest that the PRL releases from the pituitary during labor are not controlled by the dopaminergic mechanism.
著者
柳沼 つとむ 岡村 隆 宮田 礼輔 高橋 稔 竹内 亨 西井 修 小林 拓郎 泉 陸一
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.354-358, 1984
被引用文献数
1

陣痛中および分娩時における種々のストレスに対する母体の反応としての交感神経,副腎髄質機能と副腎皮質機能の光進状態を知るために,尿中のアドレナリンとノルアドレナリン濃度と血清中のコーチゾル濃度の経時的変化を調べた.アドレナリンは,陣痛発来前の妊娠38~41週の6.53±0.75(SE)μg/lから陣痛発来後の入院時と入院後4時間までは著明な変化はないが,子宮口8~10cm開大時と胎児,胎盤娩出直後には,夫々54.72±16.37と78.16±15.36μg/lと有意に上昇し(p<0.005),娩出の翌朝には24.14±6.66μg/lと著しく低下した(p<0,025),ノルアドレナリンの陣痛発来前の濃度は89.13±9.43μg/lであり,アドレナリン程著明な上昇ではたいが,子宮口8~10cm開大時と娩出直後に高値を示し(夫々198.25±35.18と215.83±34.76μg/l,p<0,005),アドレナリンと反対に娩出の翌朝もたお高値に留った(212.77±44.51μg/l).血清コーチゾル濃度は,陣痛発来前の52.02±6.11μg/dlから,陣痛発来後の入院時そして胎児,胎盤娩出直後(175.62±11.19μg/dl,p<0.005)と次第に上昇し,娩出の翌朝には46.84±3.88μg/dlと元の濃度に戻った.尿中のカテコールアミン濃度のこれらの経時的変化は,血漿中のこれらの濃度の経時的変化(文献)より遅れて現われるが,その傾向は極めて類似している.従って陣痛,分娩中に尿中のカテコールアミン濃度を経時的に測定することは,これらのカテコールアミン分泌状態を知るために役立ちうると考える.これらのホルモン濃度の経時的変化は,文献的諸事実を考慮して,アドレナリン分泌が精神的ストレスの,ノルアドレナリン分泌が肉体的ストレスの,そしてコーチゾル分泌がストレスの主た反応であるとして,十分理解されうる.
著者
小林 和夫 Kazuo KOBAYASHI
出版者
創価大学社会学会
雑誌
SOCIOLOGICA (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.29-56, 2019-03-20

本論では,ザカート(喜捨)を原資とする社会基金であるバイトゥル・マルを事例として,日本占領期ジャワにおけるイスラーム教理の制度化の歴史的背景を考察した.分析の結果,バンドゥン県のイトゥル・マルの導入というイスラーム教義の制度化は,ウィラナタクスマのロイスの構想とエリート官吏としての指導力,困窮者救済を義務とするイスラームの教理,そしてジャワ軍政当局のイスラーム対策の構造的欠陥と住民の動員・統制の必要性―という3つの歴史的条件が重なって行なわれたことが明らかになった.また,1942 年6月という軍政初期に導入されたバンドゥン県のバイトゥル・マルは,その規模や機能は限定的とはいえ,ジャワ軍政における事実上はじめての大衆組織としての性格をもっていたことが指摘された.
著者
ガイタニディス ヤニス 小林 聡子 西住 奏子 和田 健 吉野 文
出版者
千葉大学国際教育センター
雑誌
国際教育 = International education (ISSN:18819451)
巻号頁・発行日
no.9, pp.1-73, 2016-03

[要旨] 本稿は、筆者ら5名が共同で取り組んだ、参加者の言語的文化的多様性を前提とした協働学習に関する実践研究を報告するものである。「日本」を題材とする4つの学部生向け教養科目(「時事から日本を考える」、「現代日本の宗教と社会」、「バイリンガリズムと言語学習」、「異文化交流演習」)を取り上げ、担当教員がどのように学習の場を設定したか、またその結果どのような気づき、学びがあったかを談話データ、コメントシート、フォローアップインタビューなどをもとに分析した。本研究では、協働学習を学生間の対話のプロセスを重視する学習形態を表すものとして捉え、知識、言語、経験など参加者の多様性・差異を肯定的に見なすとともに、それによって生じる学習過程における葛藤にも注目した。「座談」、「協働論証」と名付けた対話の手法、対等な参加を促すための仕掛けの必要性と具体例を紹介するとともに、今後の課題について述べた。[Abstract] This paper is a report of a joint research project on collaborative learning in a multilingual andmulticultural class environment. The report is composed of four case-studies of liberal arts coursesat undergraduate level. Each course convener uses records of in-class student discussions, commentpapers and follow-up interviews to analyse how the learning locus set up in advance impacted onthe learning experiences and outcomes of the course participants.In this research project, collaborative learning is considered to be a form of learning that 1)emphasizes the process of student interaction, 2) takes an affirming stance towards student diversityin terms of linguistic, experiential and knowledge levels and differences, and 3) pays particularattention to the tensions arising from such diversity in the process of learning. Through specificexamples, the report discusses methods of interaction such as zadan (round-table conversation) orcollaborative argumentation and focuses on the necessity of introducing learning techniques thataim for student participation on even grounds.
著者
佐藤 孝幸 中川 隆雄 仁科 雅良 須賀 弘泰 高橋 春樹 出口 善純 小林 尊志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.941-947, 2009-12-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

カフェインは嗜好品の他,感冒薬や眠気予防薬として普及しているため,過剰摂取が容易である。大量服用から致死的中毒を来した2症例を救命した。〈症例1〉34歳の女性。市販感冒薬を大量服用後,心室細動から心静止状態となり救急搬送された。感冒薬成分中の致死量のカフェインが心肺停止の原因と考えられた。〈症例2〉33歳の男性。自殺企図にて市販無水カフェイン(カフェイン量24g)を内服,嘔吐と気分不快のため自らの要請で救急搬送となった。いずれも大量のカフェイン急性中毒例で,薬剤抵抗性の難治性不整脈が特徴であった。早期の胃洗浄,活性炭と下剤の使用,呼吸循環管理により救命することができた。とくに症例2では,早期の血液吸着により血中濃度の減少と症状の劇的な改善を認めた。これは血液吸着の有用性を示す所見と考えられる。
著者
香川 昌平 野村 早苗 小林 邦夫 四宮 由美子 津村 洋子 伊勢 久代 松岡 瑛
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.135-145, 1977

ラット膵灌流法をもちい, 種々のイオン環算下でのglucose刺激によるインスリン分泌動態を検討し, インスリン分泌機構の解明を試みた.<BR>[実験成績]<BR>I.K+, Li+-free液, 6.2mMK+, Rb+, Li+液による灌流: Glucose-freeの場合, K+, Li+-free, 6.2mMLi+液は後期相のインスリン分泌を惹起するが, 6.2mMK+, Rb+液はインスリン分泌を誘起しなかった.10mM theophyllineを含むK+, Li+-free液は対照の3倍量のインスリンを分泌するが, 6.2mM Li+液はtheophyllineによる影響はうけなかった.Hill plotの解析から, K+, Li+-free液, 6.2mMK+, Rb+液のglucose刺激によるKm値は, それぞれ, 6.5, 8.9, 8.7mMであった.<BR>II. 24.8mM, K+, R+, Li+液による灌流: Glucose freeの場合, 24.8mMK+, Rb+液は一過性のインスリン分泌を惹起するが, 24.8mM Li+液はインスリン分泌を誘起しなかった.また, 12.4mM Li++6.2mMK+液の前灌流により, 24.8mMK+液のインスリン分泌は対照に比し低下した.<BR>III. 6.2mMK+液から6.2mM K+, Rb+, Li+液に変換した際のα-およびβ-D-glucose刺激によるインスリン分泌: 16.7mM濃度で, 6.2mM K+液では, 両anomer刺激によるインスリン分泌は同等であるが, 6.2mM Li+液では, βanomerに優位なインスリン分泌がみられ, 6.2mM Rb+液では, ともにインスリン分泌は抑制された.<BR>以上より, Li+はK+, Li+-free条件に比して, インスリン分泌を低下させるが, receptorの親和性を増大させ, βanomer刺激に優位なreceptor conformationへ変化させる可能性が示された.
著者
小林 茂雄
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.71, no.609, pp.93-99, 2006-11-30 (Released:2017-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
2

This research investigated the recent adoption of legal graffiti walls and mural paintings as preventative measures against illegal graffiti, and it outlined their advantages and limitations. Mural painting activities generally conflict with those of people engaging in graffiti, causing lack of contact between wall painters and graffiti writers. It has been reported that legal graffiti walls increase illegal graffiti in the surrounding areas even if they work in the early stages. Therefore, this research examined the possibility of mural painting activities for young people engaging in graffiti. It predicted that inviting public participation and cooperating with residents would lead to the prevention of illegal graffiti and to regional revitalization. Finally, the research experimentally produced two constructive and effective mural painting activities in Tokyo.
著者
小林 岳人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本研究は教育困難校の一つの目安となる退学者の分布の分析を行うことによって教育困難校の改善のための方策を探るものである。筆者の前任校である千葉県立沼南高柳高等学校も教育困難校の一つである。1)入学者の居住地住所を10進緯度経度に変換しArcGISにて居住地と沼南高柳高等学校までの距離を求め距離帯ごとの退学者率を算出、2)卒業者の平均距離と退学者の平均距離を算出しこれらの間の有意差を検定(t検定)、という分析を行った。その結果、1)通学者は沼南高柳高等学校を中心に、東武鉄道野田線や新京成電鉄線の沿線に分布、2)沼南高柳高等学校からの距離が4kmまでは退学者の比率は漸増し、その後ほぼ一定、10kmを越えると再上昇、3)卒業者と退学者のそれぞれの平均通学距離の差に関するt値は0.0337で5%の水準で平均距離のその差は有意、という3点が明らかになった。教育困難校形成要因は多様である。その一つに学力による序列化がある。公立高等学校は学区によって通学範囲が制約されるが、千葉県では隣接学区への通学も認められている。この規定により学区境界の制約をそれほどうけることなく生徒の通学が可能となっている。しかし、普通科高等学校には学力による細かな序列化が形成された。志望生徒が学力に見合って高等学校を志願するため、少数の学力上位校と少数の学力下位校が生じた。これらの高等学校の通学区は広域なものとなる。そこで、この広域な通学部分を崩すことに注目する。それには、高等学校自身による「学区づくり」というアクションが効果的である。居住地までの距離2km以下の退学者率が15%と最も低いことから、この部分は沼南高柳高等学校が「おらが町の学校」というような地域的な意識がある範囲と考えられる。地域からより多くの生徒が通学してくるような学校にすることが学校改善のための重要な方策となる。これは、沼南高柳高等学校の学校改善のビジョンである「地域に密着した学校づくり」の意思決定への重要な背景となった。生徒募集のため教員の中学校訪問は10km以内の中学校を目安とした。近接中学校には管理職が訪問し連携を模索した。地域から「開かれた学校委員会」「ミニ集会」「沼南高柳高等学校応援団」、本校から「芸術演奏会・展覧会」「通学路清掃」「近隣中学校との部活動交流」など相互関係の構築をはかり、地域との密着感をより一層強めていった。