著者
小林 啓二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.305-308, 2016

<p>日本では,総務省消防庁,災害派遣医療チーム(DMAT),自衛隊等の災害対応機関が運用する災害救援航空機による救援活動が頻繁に発生している.宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究開発を進めてきた「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の目的は,①「より安全かつ効率的な救援航空機の運用を実現するために災害対応機関間での情報共有を実現する」,②「共有された情報に基づいて機種や装備等に応じた最適な任務割当支援を行う」ことである.JAXAは,機上及び地上システムの開発を行い,災害対応機関と連携して実運用下での有効性評価を実施してきた.その結果,D-NETを活用することにより,無駄時間(任務割当待ち時間,離着陸許可までの時間,給油待ち時間等)や異常接近確率を従来方式と比較して50%以上削減可能であることを確認した.研究開発されたD-NET技術のうち,特に有効性が認められたものについては民間企業等に技術移転され,実運用で使用されてきている.現在は,ヘリコプタのみではなく,陸域観測技術衛星(ALOS-2)や無人機などで観測された災害情報も共有化し,ヘリコプタによる救援活動の計画立案に役立てるシステムの研究開発(D-NET2)を進めている.</p>
著者
小林 茂人
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.47-51, 2012 (Released:2012-07-27)
参考文献数
10

反応性関節炎とは, 広義には関節以外の部位の微生物感染後におこる無菌性の関節炎である. レンサ球菌感染症に起因する反応性関節炎は海外ではpoststreptococcal reactive arthritisと呼ばれ, リウマチ熱との異同が論議されている. 扁桃炎に続く反応性関節炎の多くはレンサ球菌感染に起因するがレンサ球菌以外の微生物によることも多いので注意する必要がある. 扁桃炎に伴う反応性関節炎の多くは抗生物質治療によって治るが, 関節炎が持続する症例には抗リウマチ剤治療は有効ではなく, 扁桃摘出術によって完治する. つまり, 扁桃の陰窩膿瘍を除去することによって関節炎が治るという「病巣感染」である. このため, 本疾患は「扁桃摘出によって完治する関節炎」として, 耳鼻科医との医療連携においてきわめて重要なリウマチ性疾患である.
著者
荒川 和久 小林 克巳 黒崎 亮 佐藤 弘晃 富澤 直樹 安東 立正
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.409-412, 2015-05-31 (Released:2015-09-08)
参考文献数
15
被引用文献数
1

手術により絞扼性イレウスと診断された103例を対象として,腸管壊死群と非壊死群とに分けて,臨床症状,血液検査,血液ガス分析,CT画像の項目で比較・検討した。単変量解析では術前SIRSの有無,白血球数,PaCO2およびCT所見の腸間膜濃度の上昇,腸管壁浮腫,腸管の造影不良で有意差があり,多変量解析ではPaCO2と腸間膜濃度の上昇で有意差を認めた。絞扼性イレウスは重篤な状態に陥る可能性のある疾患であり,そのリスクの高い腸管壊死症例を早期に診断し治療することは重要である。今回の検討で有意差のあった項目に注意しながら,症状および検査結果の解釈とCT画像の読影の精度を高くすることが重要である。
著者
岡田 成生 上野 泰宏 星 健太郎 伊藤 弘人 神部 芳則 草間 幹夫 小林 馨
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会
雑誌
歯科放射線 (ISSN:03899705)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.8-11, 2008

We report a patient with jaw trismus demonstrating Square-Mandible face.<BR>Clinically, the patient had a square face with prominent masseter muscles and mandibular angles. The interincisal opening was 26mm, with limited lateral and anteroposterior mobility.<BR>The clinical diagnosis was restricted mouth opening due to bilateral hyperplasia of the masseter muscle aponeuorses. Masseter muscle myotomy with aponeurectomy was performed bilaterally by an intraoral approach. Mouth opening improved to 40mm after incision of the aponeuroses.<BR>An examination of the patient one year after surgery demonstrated an interincisal opening of 37mm without strain.
著者
小林 正佳
出版者
天理大学人間学部総合教育研究センター
雑誌
総合教育研究センター紀要 (ISSN:1347975X)
巻号頁・発行日
no.9, pp.58-63, 2010

1年間の台湾滞在で一番思い出深いのは,今回も「日本語劇」だった。みんなが参加してくれるきっかけになったのは天理大学生の中国語劇台湾公演で,4 0人以上の学生が集まった。劇のスタイルは能狂言とギリシャ劇が手本。あくまで日本語学習の中での劇だから,正しい日本語をきちんと話すことを目指した。台詞はできる限り完結した文章の形の丁寧語で書き,演技にスタイルは,日常的な会話調より定型化された様式を採用した。大きな声での発声を重視したが,日本語らしいイントネーションを生み出す仕掛けとして,「発音」というより「発声」に注意を向けさせることはよいきっかけになる。天理大学と文化大学両校の学生が一緒に演じるという夢を実現するためにも,日本語劇が再び恒例の伝統行事となってくれたら嬉しい。1年間の台湾滞在で一番思い出深いのは,今回も「日本語劇」だった。みんなが参加してくれるきっかけになったのは天理大学生の中国語劇台湾公演で,4 0人以上の学生が集まった。劇のスタイルは能狂言とギリシャ劇が手本。あくまで日本語学習の中での劇だから,正しい日本語をきちんと話すことを目指した。台詞はできる限り完結した文章の形の丁寧語で書き,演技にスタイルは,日常的な会話調より定型化された様式を採用した。大きな声での発声を重視したが,日本語らしいイントネーションを生み出す仕掛けとして,「発音」というより「発声」に注意を向けさせることはよいきっかけになる。天理大学と文化大学両校の学生が一緒に演じるという夢を実現するためにも,日本語劇が再び恒例の伝統行事となってくれたら嬉しい。
著者
原田 直哉 中島 容子 中村 徹 橋本 平嗣 林 道治 堀江 清繁 赤崎 正佳 小林 浩 井上 芳樹 高井 一郎 潮田 悦男 大井 豪一 小畑 孝四郎 喜多 恒和 下里 直行
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-10, 2013

妊婦健康診査(以下,健診)をほとんど受診することなく分娩に至る妊婦健診未受診妊婦(以下,未受診妊婦)に関する既報では多くが施設単位であるため,奈良県全体での実態を把握するためのアンケート調査を実施した.未受診妊婦の定義は,(1)全妊娠経過を通じての産婦人科受診回数が3回以下,または(2)最終受診日から3カ月以上の受診がない妊婦,のいずれかに該当する場合とした.県内のすべての分娩施設に対し,平成22年1月からの1年間の分娩数と,未受診妊婦があれば個別に母児の状況を調査した.年間11,168例の総分娩数中の11例(0.10%)の未受診妊婦を認めた.初産婦は4例(36.4%)で,5回あるいは7回と多産の経産婦もいた.未入籍は9例(81.8%),妊娠のパートナーと音信不通になっている者が5例(45.6%)いた.重篤な合併症を認めた母体が3例(27.3%),集中治療室に収容された新生児が3例(27.3%)であった.産褥健診を受診しなかった1例(9.1%)は,新生児の1カ月健診も受診しなかった.未受診を防ぐことは,母児の健康を確保するだけでなく,周産期母子医療センターへの患者集中を防ぎ,周産期の医療資源の有効利用にもつながるため,社会全体でその解消に取り組む必要がある.また未受診であった妊婦に対しては,虐待のハイリスクグループと考え,その後を通常の妊婦と異なる個別の対応を行うことにより,虐待を防止することができるかもしれない.〔産婦の進歩65(1):1-10,2013(平成25年2月)〕
著者
丹治 肇 桐 博英 小林 慎太郎
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.5, 2009

エネルギー供給とスマートグリッド技術の進歩を前提に,21世紀の水田灌漑システムの再編の条件を検討した.今後,化石エネルギーから自然エネルギーへの転換が起こり,灌漑システムでもエネルギーの自立性が求められよう.スマートグリッドの通信制御技術を効率的に使うために,水田灌漑システムは流水システムから貯水システムへの転換が必要になり,耕作放棄地を活用したラグーン等の設置が求められる.スマートグリッド技術を活用し,水循環を制御すれば,水利用の自由度が上がるとともに,生態系,水質問題の解決が可能である.また,ラグーンを揚水発電と組み合わせることで,灌漑システムのバッテリー利用も有望である.これらの改変で,農地面積は減少するが,発電等の使用料が農家の収入になれば,全所得の向上が可能になろう.
著者
井上 正人 井上 倫夫 小林 康浩
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.99, pp.9-16, 1989-11-20

本報告では,全てのプロセッサが大容量共有メモリを,アクセス競合による待機時間を回避して利用するためのアーキテクチャとして,共有メモリの階層化およびメインメモリのマルチリード・ワンライトメモリ方式について述べる.具体的には,メインメモリのリードアクセス用バスとライトアクセス用バスを分離し,マルチリード・ワンライトメモリ方式を採用することによって,各プロセッサの稼働率を落とさずに接続できる台数を多くできること,そのときメモリアクセスに占めるリード動作の割合が0.7?0.8であるとき最も能率がよいこと,さらに共有メモリの階層化について,メインメモリのアクセスの割合を0.8くらいに保てば,アクセス競合による性能低下を起こさずに稼働できるプロセッサの台数を最大にできることなどを示した.This paper proposes a memory architecture which is necessary for scaling up a tightly coupled multiple microprocessor system and is useful for implementing highly parallel processing. The proposal consists of (1) introduction of a concept of hierarchy into memory organization, (2) furnishing of shared memories with two ports, (3) equipment of two kind of shared memories; system memories for storaging prime data, and main memories for offering common working areas, (4) adoption of multiple access for read operations and once access for write operations, (5) construction of exclusive read buses and exclusive write buses, (6) use of two-way interleaved main memories, (7) provision of the omega network connecting to processor units through exclusive write buses. Usefulness of the above measures is discussed with theoretical investigations.
著者
神尾 彪 小林 孝生
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.799-802,a2, 2004

水稲田1耕区 (無暗渠水田, 30a) 内において, 用水路側, 中央部および排水路側の3地点でメタンフラックスの測定を行った。その結果, 次のことが明らかになった。<BR>(1) メタンの発生量は場所によって異なり, 用水路側でのメタンの発生量は排水路側でのそれの約1.8倍であった。<BR>(2) 同一水田の同一場所におけるメタンの発生量は毎年異なり, 3力年間で約1.8倍の相違があった。<BR>(3) 梅雨寒時のメタンフラックスは地温の低下によって若干減少した。<BR>(4) 中干し後にメタンフラックスが激減する要因として, 中干し後の土壌中メタン濃度の著しい減少が考えられた。<BR>(5) 田植え前と落水後の水田からのメタンの発生量は微少であった。
著者
尾田 成幸 上妻 智行 藤吉 栄次 玉城 泉也 小林 正裕 吉田 吾郎 菊池 則雄
出版者
福岡県水産海洋技術センター
雑誌
福岡県水産海洋技術センター研究報告 (ISSN:09192468)
巻号頁・発行日
no.22, pp.77-81, 2012-03

海域環境に適合したノリ養殖対象種および育種素材を探索するため,2010年と2011年の3月に福岡県豊前海沿岸の16河川の河口域でアサクサノリPorphyra tenera Kjellmanの分布状況を調査した。その結果,奥畑川(北九州市門司区大積)と近衛川(京都郡苅田町新浜町),および長野間川(行橋市稲童浜)の3河川でアマノリ属の生育が確認された。3河川で採取されたアマノリ属の葉状体は,奥畑川で採取されたソメワケアマノリPorphyra katadae Miura等を除き,形態的特徴とDNA分析結果からアサクサノリと判断された。アサクサノリはアシ原などの自然環境が残る干潟付近で生育が認められることが多い。近衛川は工業団地を流れ両県を護岸に囲まれた人工的な小河川で、長野間川についても護岸に囲まれた小河川であったが,いずれの河川も共通して河口域に広い感潮域が形成されていた。福岡県内でアサクサノリの生育が発見されたのは初めてである。今後は養殖対象種および育種素材として利用できるか否かを評価する必要がある。
著者
伊藤 龍星 原 朋之 樋下 雄一 藤吉 栄次 玉城 泉也 小林 正裕 阿部 真比古 吉田 吾郎 菊地 則雄
出版者
大分県農林水産研究指導センター水産研究部
雑誌
大分県農林水産研究指導センター研究報告. 水産研究部編 = Bulletin of Oita Prefectural Agriculture, Forestry and Fisheries Research Center (Fisheries Research Division) (ISSN:2186098X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.9-22, 2014-07

国東半島及び別府湾の沿岸で、アサクサノリほか希少アマノリ類の分布について調査した。1. 採集した葉状体は形態観察を行い、アサクサノリと思われるものはさらにPCR-RFLP分析による種同定を行った。2. 調査を行った46地点のうち、国東半島10地点、別府湾2地点の計12地点で採集したアマノリ葉状体がアサクサノリと判断された。3. 国東半島の1地点で採集したアマノリ葉状体がイチマツノリと判断された。4. 国東半島の3地点で採集したアマノリ葉状体がソメワケアマノリと判断された。5. アサクサノリは環境省の「絶滅危惧I類」、水産庁の「絶滅危惧種」に、イチマツノリは水産庁の「絶滅危惧種」に、ソメワケアマノリは環境省の「準絶滅危惧種」、水産庁の「絶滅危惧種」に選定されており、国東半島及び別府湾には、貴重な絶滅危惧種アマノリ類が分布していることが判明した。
著者
堀 秀昭 藤本 昭 山崎 美帆 伊藤 のぞみ 大谷 浩樹 小林 康孝 林 正岳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E0340, 2008

【目的】今回の介護保険制度改正は、「できない」「足りない」を補うだけでなく、「できる」「している」を増やす目標志向型にシフトし、特に運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上に関しては加算が行われる。しかし、これらのプランも事業所で行われるだけでは効果はなく、在宅・地域コミュニティで継続されることが重要である。今回、高齢者スポーツ実施を通して継続的に地域で介護予防を実施するために、スポーツ高齢者の身体機能を調査し、スポーツの特殊性を検討するための基本的な調査を行った。<BR>【方法】対象は、スポーツを行っている高齢者366名(平均年齢69.8歳)とスポーツを行っていない高齢者399名(平均年齢76.5歳)とした。スポーツの種類としては、エスキーテニス、バウンドテニス、ラージボール卓球、シルバーバレーボール、グランドゴルフ、マレットゴルフ、ゲートボール、太極拳とした。身体機能測定項目は、片脚立位時間、握力、5m速度とし、各々の測定値から運動機能総合判定指標を算出した。また同時に転倒リスクに関する調査も行った。分析は、実施の有無、種目別、年齢別にて分散分析、また重回帰分析により転倒リスクとの関連を検討した。<BR>【結果】1、片脚立位時間は、太極拳(49.2秒)、シルバーバレー(46.2秒)がマレット(28.0秒)ゲートボール(32.6秒)より有意に長かった。握力は、グランドゴルフ(36.5Kg)エスキー(35.5Kg)バウンド(35.1Kg)ゲートボール(34.3 Kg)であり、太極拳(27.8 Kg)より有意に強かった。5m歩行は、バウンド(2.1秒)がゲートボール(2.8秒)より有意に早かった。運動機能総合判定指標においては、各種目に有意差は認められなかった。2、転倒リスクとの関連では片脚立位時間(p=0.011)握力(p=0.013)が有意な関連が認められた。<BR>【考察】運動機能総合判定指標では各スポーツの種目において違いが認められなかったが、バランス能力の片脚立位時間や総合筋力指標の握力で、スポーツ間に違いが認められた。これは競技特性を表しており、ラケットを使用しての競技は握力が必要であり、前後左右への動きが必要とされるラージボール卓球、シルバーバレーボール、太極拳は片脚立位時間が必要とされる。また転倒リスクと片脚立位時間や握力に関連性が見られたことで、高齢者スポーツを紹介する手段として、高齢者の握力と片脚立位時間を測定し、過去のスポーツ暦を考慮に入れながら、転倒予防を目標としたスポーツ紹介が可能と考える。また運動の精神的効果や社会的効果も報告されており、汗を流す喜びを体験させ、体力の向上は健康感を実感させ、ストレスから解放し、また地域に住む人々とともに運動やスポーツを楽しむことで友達づくりに貢献できるので、高齢者スポーツの推進を積極的に行う必要性がある。
著者
岡部 多加志 小林 俊恵
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.71-76, 2006 (Released:2008-01-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

当院におけるアルツハイマー型認知症例に対する音楽療法について紹介した.軽度の認知症を伴ったアルツハイマー型認知症の患者10名(平均年令73.1歳)を対象として,小グループによる活動的音楽療法を1回60分,週2回のペースで6ヶ月間施行した.音楽療法終了後,異なった複数の評価方法を用いて効果の判定をした.音楽療法士による評価および高次大脳機能検査では,それぞれ半数以上の症例に改善効果を認め,お互いの判定結果には有意の相関性がみられた.ヘッドホーンを介しての音楽刺激によるデジタル脳波記録では,症例個々の好みの音楽に対するα反応性が良く,同時に好きな音楽を聴くことによりαリズムの速波化が認められた.
著者
藤田 綜一郎 小林 隼人 奥村 学
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

オンラインニュースサイトには,読者の議論の場としてコメント欄が設けられているものがある.そこでは,コメントを肯定的な読者評価が多い順にランキング(順位付け)し,読者に優先的に提示しているが,コメントの良さが平等に評価されていないという問題点が知られている.良いコメントを直接ランキングする研究も行われているが,分類器の精度が高くないという課題が残されていた.一方で,分類器のアンサンブルはモデルの精度を向上させる手法として広く知られている.最近では,要約タスクにおいて,モデル間の類似度を用いてモデルの多数決をとることで高速に動作し,かつ高い精度が得られたという報告がある.我々はドメインの性質から,コメントのランキングに,この類似度を用いた多数決によるアンサンブルモデルが適用できると考えた.そこで本研究では,ランキングの評価指標を用いて記事毎にモデルの重要度を変化させる,多数決ベースの教師なしアンサンブル手法を提案する.ニュースコメントの建設的度合いをランキングするタスクの実験を行い,結果として,モデルの出力を評価指標の値で重み付けや取捨選択することで既存手法を上回る精度を達成した.
著者
斎藤 奨 Chiang Chun-Wei Savage Saiph 中野 鐵兵 小林 哲則 Bigham Jeffrey
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

クラウドソーシングにおいて、ワーカーの多くが十分な賃金を獲得できていないことが問題視されている。原因の一つとして、まだ取り組んだことのないマイクロタスクの「割の良さ」を正確に見積もることの難しさが挙げられる。本研究では、他のワーカーによる過去のタスク作業履歴をもとに、新たに発行された未知のタスクに必要な作業時間と時給を推定する手法を提案する。Amazon Mechanical Turkのワーカー84人に独自に開発したウェブブラウザ拡張機能をインストールさせて9,155件のタスクデータを抽出し、異なる方法で計測した4パターンの時間の候補からワーカー自身に一つ選ばせることで作業時間のラベルを付与した。さらにGradient Boosting Decision Treeのモデルから作業時間を回帰推定するTurkScannerを設計・評価し、約150次元の特徴ベクトルから高い精度で作業時間を推定することを示した。