著者
小田 宗宏 桑田 有
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.565-567, 2004-11-20 (Released:2017-10-10)
参考文献数
14

生活の向上や環境衛生の改善により生活習慣病やアレルギー性疾患が多くなっている. そのため, 日常的に利用できる食品が, 健康維持や疾病予防改善に対して貢献することに大きな期待が寄せられている. 食生活では, 摂取カロリーや栄養バランスなどに配慮することが重要であることは勿論であるが, 食品あるいはその成分で保健効果や安全性が科学的に実証されたものについては, それらを適切に摂取していくことも生活習慣病予防の観点からは重要なことである. 2. 整腸食品の主な有効成分とその機能 我が国では, 1991年に特定保健用食品制度が制定されて以来, 2003年末までに398品目が「特定保健用食品」の表示許可を受けている. これら食品の中で, 保健の用途として整腸作用を訴求する品目数は193品目にのぼり, 特定保健用食品のほぼ半数を占めている. いずれも「お腹の調子を整える」等の旨を表示できる食品として厚生労働省より表示許可を受けていることから, これらを整腸食品ということができる.
著者
モンティーンーアート パンヤット 中薗 孝裕 岡本 智伸 小田原 健 菊地 正武 椛田 聖孝
出版者
Japanese Society of Grassland Science
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.115-121, 1998-07-31 (Released:2017-07-07)
参考文献数
23

日本において動物園は, 有害物質による汚染のない排水の制御や飼料コストの増加などいくつかの問題をかかえている。本研究では, 生物的浄化や飼料としての水生植物の利用を熊本市動植物園内で行った。 3種類の水生植物(ホテイアオイ, ボンテデリア, マコモ)を汚水の流入する池で栽培したとき, 水中における全リンの濃度は, 植物の成長に伴い有意に減少した。 収穫した3種の植物は,湿地帯に生息する草食動物の嗜好性において良い結果がえられた。さらに, 飼料としての植物の利用は本動物園において1ヶ月当たり少なくとも約8万円の飼料費削減をもたらした。サイレージ調製について検討した結果, 添加物の必要性が認められた。 この研究から, マコモ, ポンテデリア, ホテイアオイのような水生植物による富栄養池の生物的浄化とその飼料としての利用は動物園において有効であることが示唆された。
著者
小田 寛貴 池田 和臣 坂本 昭二 増田 孝
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

鎌倉時代以前の現存古写本は,極めて少ない.これは,室町以降,茶室の掛軸等にするため,古写本が数行毎に裁断されてきたためである.この古写本断簡を古筆切という.故に,古筆切の史料的価値は高く,同一の本を構成していた古筆切(ツレ)を蒐集することで,貴重な史料である元の写本を復元できる.ただし,問題点が一つある.古筆切には,後世の偽物や写しが大量に混在しているのである.そこで,14C年代測定により古筆切の書写年代を求め,さらに,顕微鏡観察によって原料・繊維幅・紙漉法等を求め,それらが等しいツレを蒐集することで,失われた古写本の一部分を復元することができる.本研究では,その方法の確立を行った.
著者
浜田 亮 吉藤 和久 堤 裕幸 堀 司 吉川 靖 山本 晃代 寺田 光次郎 山本 大 足立 憲昭 浅沼 秀臣 小田 孝憲
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.153-156, 2017

<p>血友病は先天性血液凝固障害のなかでは最も頻度の高い疾患であるが,母体が血友病保因者の場合の分娩方法について明確な指針は定められていない.今回我々は経膣分娩時のストレスに起因すると考えられた頭蓋内出血をきたした症例を経験したので報告する.母親の実弟が重症型血友病Aであり,遺伝子診断でイントロン22の逆位を認めていた.祖母および母親は確定保因者であった.本児は胎児エコーで男児と判明しており器械分娩禁止の方針とした.正期産で経膣分娩で仮死なく出生し,出生直後は皮膚に出血症状はなく頭部エコーでも異常所見は認められなかった.生後19時間のエコー再検査で両側脳室の拡大認め,CTでは右小脳半球を中心に40×30 mmの血腫を認めた.第VIII因子製剤の投与により保存的治療を行い,血腫は拡大せずにその後自然消失した.現在2歳,神経学的異常を認めない.</p>
著者
小田 麻代 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.99-103, 2002-09-30
参考文献数
20

水耕栽培法を用い、培地に添加したアルミニウムがクヌギ(Quercus acutissima Carr.)、クスノキ(Cinnamomum camphora (L.) Sieb.)およびユーカリ(Eucalyptus viminalis Labill.)の2年生苗木の成長とバイオマス配分におよぼす影響を調べた。苗木は0、0.027、0.27、2.7、および27mMのアルミニウムを添加した改良Hoagland培地を用いて水耕栽培した。2.7mMのアルミニウム処理をした苗木は、バイオマスの増加が認められ、新根の形成による増加は他の器官での増加に比べて顕著であった。これらの結果から、樹木のアルミニウム耐性には根量増加が重要な役割を果たしているものと考えられた。
著者
小田 麻代 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.79-84, 2008-04-30
参考文献数
18

我が国の森林土壌は,一般に弱酸性であり,特に針葉樹林では酸性土壌(pH4-5)が見られることがある.土壌酸性化の過程では,カルシウム,マグネシウム,ナトリウム,カリウムなどの陽イオン溶脱の後に,アルミニウムの滲出が生じ,それによる植物への毒性が指摘されている.作物の研究ではアルミニウム感受性の植物で,アルミニウムによるリン欠乏症などのほかに,根における細胞膜や細胞分裂への影響があることが知られている.一方で,アルミニウム耐性植物の報告もいくつかおり,チャノキやユーカリの一種は酸性土壌に適応し,アルミニウム解毒能があるとされている.我々の過去の実験では,シラカシ,ミズメ,ユーカリ(Eucalyptus viminalis),オオバヤシャブシ,クヌギ,クスノキなどでアルミニウムによる著しい発根が確認されている.そこで本研究では,クヌギ実生苗に及ぼす酸とアルミニウムの影響を,伸長成長,根の伸長,光学顕微鏡による根の細胞の観察,サイトカイニン様物質の分析により調べた.一年生のクヌギ実生苗をpH5.8の1/5濃度のHoagland培地で水耕栽培し,対照区とした.また,1/5濃度Hoagland培地にpH4.0及び2.7mMの酸とアルミニウム添加処理を行い,処理後4週間の伸長,肥大成長及び根の伸長量を計測した.同じ苗木から光学顕微鏡による観察用の根の切片を採取した.また,4週間後の各器官の乾物重量を測定した.その結果,2.7mMのアルミニウム処理によって,葉と茎の乾物重は減少した.しかしながら,対照区の根の伸長が8.5cmであったのに対し,2.7mMのアルミニウム処理区の根の伸長はおよそ31cmであった.また,2.7mMアルミニウム処理区の根の木部と師部の細胞数は増加し,水平方向の表皮細胞数も増加した.表皮細胞の直径と長さ,および表皮の幅も2.7mMアルミニウム処理区で増加し,根の直径と木部及び師部の幅も増加した.また,一部のサイトカイニン様物質にもアルミニウム処理によって増加したものがあった.これらのアルミニウムによるクヌギ実生苗の根量の増大は,根細胞にアルミニウムを蓄積し,地上部へのアルミニウム毒性の発現を抑制する機能であると予測している.
著者
市田 篤郎 小田島 武志 水野 守道 西風 脩
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.372-376, 1979 (Released:2010-10-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

生後4週の雌マウスにビタミンAパルミテート1万単位を毎日投与して, 顎下腺におけるシアル酸含量, CMP-シアル酸合成酵素 (CSS) 及びシアル酸転移酵素 (ST) 活性の変動を追及した。ビタミンA過剰投与は糖タンパク合成を亢進させるという従来の報告に反してシアル酸含量, ST活性は投与日数の経過と共に低下した。これに対してCSS活性は初期に低下がみられたが7~9週目には対照群のレベルに回復した。9週目においてはNeuraminidase活性は対照群との間に差が認められなかった。シアル酸含量の低下はST活性の低下によることが示唆された。
著者
小田 達夫
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1091-1177, 1942

Fur das biologische Studium der Oberflachenspannung ist zunachst eine exakte Messmethode, die die folgenden 3 Bedingungen erfullt erforderlich: 1. Der Zusammenhang zwischen den direkten Messungszahlen und der aus ihnen berechneten Oberflachenspannung muss theoretisch genau bestimmt sein, und zwar mussen die theoretisch festgesetzten Bedingungen bei der Messung genau erfullt werden. 2. Bei jeder Messung muss die betreffende Methode den betreffenden momentanen Zahlenwert der Oberflachenspannung ergeben. Es muss eine Methode sein, mit der sich die statische bzw. die dynamische Oberflachenspannung nach Belieben bestimmen lasst. 3. Wunschenswert ware es auch ferner, dass die Messungsmethode sehr leicht und einfach durchzufuhren und zur biologischen Untersuchung geeignet ist. Von den Abreissmethoden erfullt die Bugelmethode nach P. Lenard die 1. und die 2. Bedingung und die Ringmethode nach du Nouy die 2. und die 3. Bedinguing Ich mass die Oberflachenspannung der verschiedenen Losungen einmal durch die Bugelmethode, ein andermal durch die Ringmethode und fand, dass zwischen den beiden berechneten Zahlenwerten der spezifischen Oberflachenspannung folgende Beziehung besteht: Y=1,081X-8,053, wo Y den Zahlenwert bei der Bugelmethode und X den bei der Ringmethode bedeutet. Aus dieser Formel kann man eine fehlerfreie Oberflachenspannung errechnen, wenn man sieh auch der Ringmethode bedient. Bei der vorliegenden Untersuchung wurde die Messung der Oberflachenspannung meistens durch die Ringmethode ausgefuhrt und der korrigierte Wert wurde aus obiger Formel errechnet. Das Ergebnis der Untersuchung lasst sich folgendermassen zusammenfassen: 1. Glutaminsaures Natrium und Insulin erweisen sich als oberflachenaktive Substanzen. Die Adsorptionsgeschwindigkeit ist anfangs sehr gross, wird dann immer geringer, bis ein Gleichgewichtszustand, meistens nach 30 bis 60 Stunden, erreicht ist. Die Zeit, die von der Erneuerung der Oberflache bis zur Erreichung ihres statischen Zustandes verstreicht, ist um so grosser, je konzentrierter die Losung ist.2. Mittels eines Differentiators wird. erstmalig der Weg eroffnet, (∂σ)/(∂C)an einem beliebigen Punkt auf der σ-C Kurve zu berechnen, wo σ die Oberflachenspannung und C die Konzentration der Losung vorstellt. Nach Gibbs'scherFormel soll (∂σ)/(∂C)der adsorbierten Menge des Adsorbendum bei einer Einheitkonzentration proportional sein; es kommt also (∂σ)/(∂C)eine wichtige physikalische Bedeutung zu.3. Der Zahlenwert von (∂σ)/(∂C)fallt in einem gewissen Konzentrationsbereichder Losung geradlinig mit zunehmender Oberflachenspannung ab. Ausser diesem Bereich ergibt (∂σ)/(∂C)stets einen konstanten Wert, und zwar bei stark konzentrierterLosung einen grosseren konstanten Wert als bei sehr verdunnter. Es ist dies immer der Fall bei Alkohol, Aktisol und Kongorot. Bei Insulin und Blutserum mangelt es an einem konstanten Bereich in hoheren Konzentrationen. Bei gesattigtem einwertigen Alkohol erwies sich ein geradliniger Zusammenhang zwischen log (∂σ)/(∂C)und der Kohlenstoffzahl im Alkoholmolekule.4. Die spezifische Oberflachenspannung von einigen biologischen Flussigkeitenwurde bestimmt, und zwar hatte das Blutserum eine solche von 76.18, Liquor cerebrospinalis von 86,40, Aszites von 78,47 und Amnionwasser von 68,70. Bei Jungfrauen mit regelmassigem Menstruationszyklus wurde nachgewiesen, dass die Oberflachenspannung des fruhmorgens in nuchternem Zustand entleerten Harns den 13. bis 18. Tag nach der vorhergehenden Menstruation einen merkwurdigen,diskontinuierlichen Abfall aufweist.
著者
林 薫 三舟 求真人 七条 明久 鈴木 博 松尾 幸子 牧野 芳大 明石 光伸 和田 義人 小田 力 茂木 幹義 森 章夫
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.p129-142, 1975-12

1973年2月3日から18日の間,新生成虫が検出されない時期に野外で捕集した冬期のコガタアカイエカ1083個体,8プールから4株のウイルスを分離し,日本脳炎(日脳)ウイルスと同定された.この事実は,越年蚊体内でウイルスが持ち越されたものと考えられる.そして1973年には年間を通じて,蚊一豚の感染環が証明され,奄美大島,瀬戸内地域における日脳ウイルスの特異な撒布状況が観察された.この所見は我国で初めてのことである.しかしながら,1974年では,コガタアカイエカから7月上旬にはじめてウイルスが分離されると共に,これと平行して豚の新感染も同時に証明された.この事は蚊一豚の感染環,特に蚊によるウイルスの越年が中絶したことを意味すると共に,奄美大島の調査地域へのウイルスの持込みがあったに違いないことを物語るものであろう.換言すれば,奄美大島の調査地域では環境条件さえよければウイルスの土着が可能であるが,条件が悪いと蚊によるウイルスの越年は中絶し,流行期に再びウイルスの持込みが行われるであろうことを推定してよいと思われる.1973年7月24日夜半から25日未明にかけて奄美大島名瀬港及び鹿児島港の中間の海上で,船のマスト上にとりつけられたライトトラップ採集でコガタアカイエカ数個体を捕集した.この事実はコガタアカイエカが洋上を移動していることを意味しているものと考えられる.1975年7月下旬,奄美大島から鹿児島(九州南域)に向け,標色コガタアカイエカの分散実験を試みたが,遇然に実験地域を通過した台風2号で阻止され不成功に終った.しかし,分散実験日の約10日前にフイリッピンからの迷蝶が鹿児島南端に到達していることから気流によるコガタアカイエカの移動は決して否定出来ない.Characteristics of the ecology of Japanese encephalitis (JE) virus dissemination were investigated in Amami island located between the southern part of Kyushu and the main island of Okinawa. Four strains identified as JE virus were isolated from 8 pools of 1083 hibernated female mosquitoes of Culex tritaeniorhynchus caught in the field from 3rd to 18th February, 1973, before the appearance of newly emerged vector mosquitoes. This finding suggested the overwintering of the virus in the vector mosquitoes in survey areas. The virus dissemination in the survey area in 1973 was observed through the year in connection with the cycle of vector mosquitoes and pigs infection. In 1974, however, the virus isolation from vector mosquitoes was performed in July. This evidence indicated the interruption of the persistence of the virus in vector mosquitoes and the virus might be carried into the survey area in Amami island. These findings were of great significance in connection with the problems on the overwintering of JE virus in Japan. In the midnight on 24th to the very early morning on 25th July, 1973, mosquitoes of Culex tritaeniorhynchus were captured with the light traps set up on the ship sailing between the south part of Kyushu (Kagoshima) and Amami island. This finding suggest that vector mosquitoes might be transported with the wind over the ocean. In accordance with these evidence, the attempt to disperse mosquitoes of Culex tritaeniorhynchus experimentally labeled with dyes from Amami island to the southern part of Kyushu (Kagoshima) was made under the selected condition of the weather in the end part of July, 1975. It was, however, unsuccessful with hindering of occassionally happened typhoon.
著者
安部井 誠人 冨永 達郎 池田 和穂 丸山 常彦 小田 竜也 轟 健 正田 純一 松崎 靖司 田中 直見
出版者
Japan Biliary Association
雑誌
胆道 = Journal of Japan Biliary Association (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.73-78, 2002-03-25
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は85歳, 女性. 発熱と右悸肋部痛のため, 本院に緊急入院となった. 腹部超音波およびCT検査にて,胆嚢は15mmを越える大胆石6個以上の充満と胆嚢管への嵌頓が認められ,急性胆嚢炎と診断された.洞不全症候群,糖尿病,糖尿病性腎症,慢性気管支炎等,複数の重度合併症を持つ高齢者であり,手術には危険が予想されたこと,石灰化のないコレステロール石であること,PTGBDチューブが挿入され胆嚢炎が軽快したこと等の理由より,胆嚢結石の治療としてMTBEによる直接溶解療法を試みた.その結果,計28時間の治療により完全溶解が得られた.MTBE直接溶解療法は,手術リスクの高い急性胆嚢炎合併コレステロール石例に対して,PTGBDによる炎症改善後に考慮すべき治療法と考えられた.
著者
安武 芳紘 小田 謙太郎 吉田 隆一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.579-589, 2008-02-15

分散環境では複数のプロセスが通信をするため,メッセージの全順序保証を利用した通信は不可欠である.また,さまざまな実行環境が存在し,環境はたえず変化するため,最適な全順序保証プロトコルをあらかじめ選択することは困難である.そこで,環境変化へ動的に適応する全順序保証プロトコルが求められる.従来の適応的全順序保証プロトコルは悲観的全順序保証プロトコルを基盤にしている.そこで本論文では悲観的手法に加えて楽観的手法も対象とした適応方法を提案する.適応方法を楽観的手法にまで広げたことにより,異なる手法のプロトコルを動的に選択し環境変化に適応することが可能である.2 つの手法のコストを比較した場合,楽観的手法はメッセージの送信頻度に影響を受けやすく,悲観的手法は通信遅延の影響を受けやすい.適応的選択は,時々刻々変化する実行環境に対して,順序付けコストが最小の手法を選択することになり,これを実現するために,それぞれの手法に対して順序付けコストを評価し比較する方法を提案する.また,メッセージの全順序保証を維持するため,楽観的手法を考慮したプロトコルの切替え方法を提案する.例としてTime Warp とABCAST を対象としたコスト評価・比較,切替えについて具体的に述べ,本方式の有効性をシミュレーションにより検証する.
著者
瀧本 昭夫 増田 芳則 小田 直樹 吉松 敦宏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.54, no.508, pp.2135-2142, 1988

Fracture tests of unsaturated polyester resin on large, single-edge notched-bend specimens were conducted under static and dynamic bend tests at room temperature. The velocity of a loading point in the three-point bending was changed from 8.3&times;10<SUP>-6</SUP>mm/s to 7&times;10<SUP>5</SUP> times its value. The two types of fracture marks of the both-ends-closed mark (like ellipses) and the one-end-opened mark (like parabolas) were observed and they were expressed by the equation of fracture marks. A rocket mark, defined here, was also often observed in the dynamic bending test and was well-approximated by the equation. The experimental number, percentage, relative interference appearing distance and the calculated relative critical distance of the marks changed with the crack propagation distance and the testing speed. The velocity of a primary crack propagation was measured and approximated by a mixed-condition relation proposed by us. This change and the gammer-letter relation between the velocity and a dynamic stress intensity factor K<SUB>D</SUB> (or a dynamic strain energy release rate, S<SUB>D</SUB>) gives the latter (K<SUB>D</SUB> or S<SUB>D</SUB>) as a function of the crack propagation distance. This provides a good theoretical explanation of the above variations of fracture marks.
著者
甲田 宗嗣 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.125-131, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
31
被引用文献数
2 4

椅子座位から立ち上がり,歩行に至る一連の動作(起立-歩行動作)について,三次元動作解析装置および床反力計を用いてバイオメカニクス特性を分析し,膝筋力,バランス指標および転倒経験の有無との関連について検討した。対象は健常高齢男性18名(平均年齢73.9±5.3歳)であり,対象にはできるだけ速く起立し,3 m歩行するよう教示した。バランス指標はTUGテスト,Functional Reachテスト,左右最大一歩幅とした。結果として,起立-歩行動作のバイオメカニクス特性と膝筋力およびバランス指標との間に幾つかの相関が認められた。また,転倒群ではTUGテストの所要時間が長く,起立-歩行動作において直立位近くまで立ち上がってから歩き始めるという特徴を示した。