著者
坂本 昭二 倉石 沙織 小田 寛貴 江南 和幸 岡田 至弘 安 裕明 池田 和臣 河野 益近
雑誌
じんもんこん2010論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.19-26, 2010-12-04

本研究では、4世紀の李柏文書から20世紀までの古文書等の様々な料紙を対象として、これらの料紙を科学的に分析したデータを用いて料紙の比較分類を試みた。まず、紙の色情報によって料紙の分類を行った。この結果、時代的に古い紙は比較的黄色味を帯びた暗い色をしているが、新しい紙では黄色味が減少して白い紙が多いことを示した。次に、蛍光X線元素分析によって料紙に含まれる元素の種類を調べ、時代的に古い紙が含む元素の種類数は多く、新しい紙に含まれる元素の種類数は少ないことを示した。特に大谷文書の多くに元素Fe, Ti, Alが含まれていることを確認した。
著者
古川 誠志 斉藤 仲道 丸山 義隆 小田 東太
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.1091-1094, 1996-08-10

薬剤性膵炎のなかでエストロゲン製剤の占める割合は約5%であり,また高脂血症が膵炎に合併する頻度は4〜53%と報告されている.なかでもIV型高脂血症の患者にエストロゲン製剤投与後に急性膵炎を発症している報告が多い1).近年トリグリセライドと凝固線溶系,動脈硬化との関係やエストロゲン投与がもたらす血清脂質変化が明らかにされた.本症例は高トリグリセライド血症の患者に起きたエストロゲン誘発性急性膵炎であるが,エストロゲン,高トリグリセライド血症.膵炎の関係を考えるうえで興味ある症例と思われた.また本例を通じて,エストロゲン製剤を多用する産婦人科領域でもその適切な使用と代謝に及ぼす影響についての調査の必要性を感じた.
著者
小田 康友 福森 則男 坂本 麻衣子
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.2019-021, 2019 (Released:2019-09-27)
参考文献数
11

佐賀大学ではアクティブ・ラーニングを中心とした教育改善に取り組んできた.2001年にハワイ大学と提携してPBL(Problem-based Learning:問題基盤型学習)を導入し,2008年にはPBLを半減させてDuke-NUS(Singapore)大学方式のTBL(Team-based Learning:チーム基盤型学習)を併用し,さらに2016年にはTBLを廃止してCBL(Case-based Lecture:症例基盤型講義)とPBLの併用へと転換した.それは,受動的学修から能動的学修への転換の壁,学生の網羅的な知識基盤の構築と問題解決能力養成のバランス,運営コストに対する学習効率の問題に対処するための取組であった.本論ではこれらの経緯を総括し,医学教育におけるアクティブ・ラーニングの課題と展望を述べる.
著者
今枝 奈保美 後藤 千穂 加藤 利枝子 服部 奈美 山本 和恵 小田 敦子 田中 秀吉 藤原 奈佳子 徳留 裕子 徳留 信寛
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.229-240, 2011 (Released:2011-10-25)
参考文献数
41
被引用文献数
1 1

【目的】地域在住高齢者のビタミン摂取量分布を観察し,摂取量評価や栄養計画がまだ十分に実践されていないビタミン群(α-カロテン,β-カロテン,β-カロテン当量,クリプトキサンチン(以下Cry),葉酸,V.B6,V.B12,V.E,パントテン酸)と,従来から評価されてきたビタミン4種(V.A, V.B1, V.B2, V.C)との相関を観察し,栄養計画の効率化を検討する。【方法】健康な地域在住高齢者242人を対象に,隔日4日間の食事を調査し,ビタミン摂取量の分布,分布を正規化する変換係数,個人内分散と個人間分散の分散比を観察した。ビタミン間の関連はデータを正規化後,エネルギーを調整した偏相関係数で評価した。【結果】不足者割合が高かったのは,V.A, V.B1, V.B2, V.B6, V.Cであった。個人内/個人間の分散比はV.D,V.B12 で男女とも高値,V.K,葉酸,V.C,は男性で低値,V.B2 は男女とも低値であった。次にV.B2 の摂取量はV.B6,葉酸,パントテン酸の摂取量と相関が高く,V.CはV.K,V.B6,葉酸との相関が高かった。V.AとCryの相関は低かった。【結語】偏相関係数の観察から,4種のビタミンを増やすよう食事計画すると,β-カロテン,レチノール,V.K, V.B6,葉酸,パントテン酸の摂取増加が期待できるが,Cry, V.D, ナイアシン,V.B12 に関しては独立した食事計画が必要であることが示唆された。
著者
小田川 保奈美 篠塚 咲良 市村 哲
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:21888744)
巻号頁・発行日
vol.2017-GN-101, no.9, pp.1-8, 2017-03-03

近年,幼児期の生活習慣の確立が難しいことが問題視されている.生活習慣中でも,毎日かかさずに行う習慣の一つとして歯磨きは代表的なものであるといえる.しかし,歯磨きは幼児が自ら率先して行うことが少ないことから,保護者の悩みの一つとなっている.本論文ではスマートフォンの普及に伴い,地磁気センサーを利用して幼児の歯磨きを支援できる migaco を提案する.幼児期の子どもの歯みがきの習慣づけと,子どもと保護者のコミュニケーションのきっかけを作ることが目的である.Android 端末上での web アプリケーションとして開発を行い,端末に搭載されている地磁気センサーが歯ブラシに装着した磁石に反応しカウントを行う歯ブラシ動作計測機能を実装し,評価を行った.評価実験の結果,コミュニケーションの面では高い評価を得たが,機能面の改良を行う必要があることがわかった.
著者
中野 真代 小田 真隆 永浜 政博 山本 博文 今川 洋 櫻井 純 西沢 麦夫 樽井 敬史 渋谷 昌弘 大林 寿美代 玉城 翔太
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.333-338, 2012

Vizantine (3) is a synthetic derivative of treharose-6,6-dicorynomycolate (TDCM) which was characterized in 1993 as the cell surface glycolipid of Corynebacterium diphtheriae and shows a variety of significant biological activities for adjuvant development. In vitro, vizantine activates not only the macrophages of mice sera, but also induces the release of MIP-1β, IL-6, IL-8 etc. from human acute monocytic leukemia cell line cells (THP-1 cells). Because almost no TNF-α is induced in vivo, the lethal toxicity to animals was found to be ncredibly low. However, oral administration of vizantine to C57BL/6 mouse (p.o. 100 μg x 7 times) inhibits lung metastasis of B16-BL6 melanoma cells (which are classified in highly metastatic tumor cell). In recent years, structural components of the outer surface membrane of bacteria have attracted considerable attention as lead compounds for adjuvant development. However, a concern of the use of these compounds is that they can over-activate innate immune responses leading to the clinical symptoms of septic shock. Therefore, an important issue is a detailed knowledge of the immunostimulatory mechanism to harness beneficial effects without causing toxicity. Here, to advance the mechanistic studies of vizantine, we have synthesized magnetic beads-attached 4 that maintain immunological activities and can therefore act as a molecular probe. Using a pull-down assay of 4 and the extract of HEK-293T cells transfected with plasmid for TLR4 and MD2, vizantine was found to act as a ligand of the Toll-like receptor 4 (TLR4) and MD2 complex. Furthermore, the macrophage from TLR4 knockout (TLR4 -/-) mice showed decreased response to vizantine, but that from TLR2 knockout (TLR2 -/-) mice did not. Taken together the results suggest that vizantine suppresses the tumor lung metastasis through the activation of macrophages via TLR4/MD2 complex.
著者
小田 朋宏 荒木 啓二郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.4_129-4_143, 2017-10-25 (Released:2017-11-03)

ソフトウェアシステムの開発において仕様記述は重要な工程であり,仕様記述の曖昧さや誤りは開発全体の生産性および信頼性に重大な影響を与えることが知られている.形式仕様を記述することはモデリングの一種であり,数学的な裏付けのある道具立てによって適切な抽象度でシステムの機能を厳密に定義する工程である.厳密で適切な抽象度の仕様記述を得るために,形式仕様記述者は仕様記述の初期段階において問題領域を探索し対象ドメインの知識獲得や要求項目への理解を深めながらモデリングを進める.本論文では,探索的なモデリングを支援するためのツールに求められる性質を示した上で,形式仕様記述言語VDM-SLによる探索的モデリングを支援する統合開発環境ViennaTalkのデザイン指針,設計および実装を示す.
著者
福島 建次郎 大野 耕一 小田巻 俊孝 高津 善太 前田 真吾 辻本 元
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.13-19, 2018-04-10 (Released:2018-05-18)
参考文献数
8

近年、炎症性腸疾患(IBD)の病態や治療に関連して、腸内細菌叢や消化管粘膜の免疫寛容などに関しての関心が高まっている。しかしながら日本国内において、プロバイオティクスやプレバイオティクスの投与が動物の消化管に及ぼす影響に関する基礎的な研究は限られている。本研究では健常犬6頭にビフィズス菌・乳酸菌製剤(ビヒラクチンDXTM)およびサイリウムを2週間同時投与し、投与前、投与後の腸内細菌叢および腸粘膜における制御性T細胞(T-reg)数の変化について検討した。腸内細菌叢の解析では、投与後に Firmicutes門が減少し、Fusobacterium門および Bacteroides門の菌の構成比が増加していた。 また6頭中5頭で、投与後の細菌構成比が類似したパターンへと変化したことが明らかとなった。しかしながら消化管粘膜におけるTreg数については、有意な変化は認められなかった。今後はT-regの制御に関わるとされる短鎖脂肪酸の解析も実施し、また症例犬を用いた臨床的な検討も必要であると思われる。
著者
田中 亮 金田 浩太郎 戸谷 昌樹 宮内 崇 藤田 基 河村 宜克 小田 泰崇 鶴田 良介
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.398-401, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

当施設では心停止蘇生後患者に対する目標体温管理の導入と維持など,治療を目的とした体温管理に血管内冷却システムを使用している。今回,38歳男性のIII度熱中症患者に対し,体温管理目的に血管内冷却システムを使用し,良好に体温を管理できた症例を経験した。当施設に救急搬送され,体表冷却・冷却輸液などの従来の冷却方法を用いて管理した症例との比較では,目標温度到達時間や冷却速度は両者に差はなかったが,従来型冷却法では体温のリバウンドが認められたのに対して,血管内冷却システムを使用した本症例では目標温度到達後も体温を安定して管理できた。血管内冷却システムは熱中症症例の体温管理にも有用である可能性が示唆された。
著者
豊福 明 吉田 美紀 嶋村 知記 古賀 勉 瀬戸 富雄 清水 敏博 中小田 直子 松原 聖子 有吉 祐二 喜久田 利弘 都 温彦
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.88-95, 1996-06-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

We have proposed that the management of serious psychosomatic TMJ disorder should be undertaken in a hospital environment where the patient can be fully investigated and the response to medication and psychotherapy monitored.This is not only because they are too tired to do anything but also they wander about many hospitals having wrong conviction that occlusion is the cause of many systemic disorders.To release the oral function from this pathological attention of brain, we reduce their symptoms by antidepressants without dealing with their occlusion. In this process, we take a psychotherapeutic method to make them notice their changes to understand that occlusion had nothing to do with patient's symptoms.A 34-year old man, complaining of TMJ disorder and systemic fatigue and many symptoms, was shown as a case example in the process of improvement of wrong conviction.Once he came to our department, but was lost to follow-up, and wandering many hospitals including neuro-pcychiatry. 8 months after the last visit, the patient came to our hospital again for admission.In the process of therapy, constant stimuli were provided to patients in the therapeutic frame, in which the therapist tried to maintain an emotionally steady attitude toward him and gave active support to his healthy mind, through stable and proper comments without being affected by perpetual and entrapping inciation of his ill mind.Comstancy not only in psychological stimuli but also bodily sensation was evaluated as one of the most important factors for the cure of the disorders. Psychosomatic therapy by the dentist made it possible for this patient to resusciate his own bodily (especially oral) perseption.
著者
小田 僚子 橋北 太樹 菅原 広史 清野 直子 稲垣 厚至
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.37-42, 2016

<p><tt>首都圏では局地的大雨が多発し都市水害が深刻化しており,その発生場所や時間,降雨の規模などを予測し災害を最小限にすることが望まれている。本研究では,東京湾周辺の沿岸部</tt>4 <tt>地点に屋外ネットワークカメラを設置し,都心および東京湾上の大気場を常時観測するシステムを構築した。ステレオ観測により,都心で発生した積乱雲の成長初期段階から発生場所と発達高度を定量的に評価できることを示した。また,夏季における雲の流れ場から,雲の存在高度が</tt>2 <tt>層となっている状況は約</tt>35<tt>%あった。下層の雲の動きは衛星画像から捉えることは困難である一方,降雨の発生には下層の大気の流れを把握することが重要であることを指摘した。</tt></p>
著者
小田切 孝人
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.77-84, 2006-06-26
参考文献数
18

高病原性H5N1鳥インフルエンザは発生から2年が経過した現在では,東南アジア諸国のみならずユーラシア大陸を西に向けて拡大し,中近東,アフリカ,ヨーロッパ諸国にまで到達し,膨大な数の家禽が失われ大きな経済被害を出している.その間,ヒトへの感染例も増え続け200例を超える感染者が確認され,致死率は55%となっている.流行拡大の一因として渡り鳥が関与していることから,もはや封じ込めは不可能である.そのためH5N1ウイルスに起因したパンデミックが危惧され,ヒトーヒト感染が本格的に始まるフェーズ4になる前に,できる限りの準備が必要である.わが国においては新型インフルエンザ対策として迅速診断キットの開発,遺伝子診断系の改良,新型ワクチンの実用化などの研究開発が進められている.一方,H5N1鳥インフルエンザの発生している発展途上国に対しては,感染診断系の構築のための技術援助が必要で,先進諸国からの公衆衛生上の対応を優先させた国際支援が求められている.
著者
小田 晋
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.1083-1090, 1971-11
著者
小田 恭平 新部 昭夫 朴 壽永
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.86-96, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)
参考文献数
16

近年,クラウドファンディングが注目されているが,農業分野におけるクラウドファンディングの活用についてはほとんど研究が行われていない.そこで本研究では,農業分野におけるクラウドファンディングの活用現状と成功要因を分析し,その活用可能性を検討した.成功要因としては,「目標額」が低いほど,また「支援者数」「最高支援額」「活動報告回数」が高いほど成功率が上がることが示されたが,先行研究で成功要因とされていた「リターン種類数」の多さは農業分野では成功要因となりえないことが確認された.活用現状としては,リターンの種類では製品系のリターンが100%採用されている一方,比較的導入しやすい承認系のリターンの採用率が45.8%と半分を下回っている.また,プロジェクトの拡散ツールとしてEメールは適していないこと,比較的拡散力の高いTwitterやInstagramなどのSNSが活用されていないことが示唆された.66.7%のプロジェクト実行者が広告効果やファンを増やすなど従来の資金調達にはないメリットをクラウドファンディングの使用目的としていた.なお,プロジェクト成功者が失敗者よりも農業分野におけるクラウドファンディングの活用を高く評価している一方で,成功者も含め今後再度クラウドファンディングを利用しようと考えている実行者が多くないことも示された.
著者
中島 敬二 上田 貴志 植田 美那子 望月 敦史 近藤 洋平 稲見 昌彦 遠藤 求 深城 英弘 河内 孝之 小田 祥久 塚谷 裕一
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

植物は一生を通じて器官や組織を作り続けながら成長する。このような特性に起因して、植物の形態には固有の周期性が現れる。植物の周期形態は遺伝的プログラムや環境変化といった、内的・外的因子により変化し、植物はこれを積極的に利用することで、器官のかたちや細胞の機能を変化させる。植物の形態や成長に現われるこのような「可塑的な周期性」は、植物個体の内部に潜在する未知の周期性とその変調に起因すると考えられるが、周期の実体やそれが形態へ現れる仕組みは不明である。本新学術領域では、植物科学者・情報科学者・理論生物学者が密接に連携して共同研究を展開し、周期と変調の視点から植物の発生原理を解明する。