著者
矢部 博 成島 康史 M. Al-Baali 五十嵐 夢生 稲葉 洋介 大谷 亮介 小笠原 英穂 加藤 惇志 小林 宏 菅澤 清久 中谷 啓 中村 渉 中山 舜民 林 俊介 原田 耕平 平野 達也 柳田 健人 山下 浩 山本 哲生 渡邉 遊
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大規模な無制約最適化問題に対する3項共役勾配法ならびに微分不可能な関数を含む非線形方程式系に対する共役勾配法について新しい解法を提案し、その大域的収束性を示した。また、無制約最適化問題を解くための準ニュートン法に関してメモリーレス準ニュートン法および目的関数値のみを利用する準ニュートン・パターンサーチ法も研究した。制約付き最適化問題に対して実行可能方向を生成する新しい非厳密逐次二次制約二次計画法を提案しその大域的収束性・超1次収束性を示した。さらに、画像処理などの応用分野で扱うトレース比最適化問題に対する新しい解法も提案した。以上の提案解法について数値実験を行って、実用的な有効性を検証した。
著者
田中創 西上智彦 山下浩史 今井亮太 吉本隆昌 牛田享宏
雑誌
日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会
巻号頁・発行日
2020-11-20

末梢器官から脊髄後角へ伝達された痛みの情報は,脳の広範な領域へ伝えられる.その中でも,体性感覚野は痛みの強度,部位,性質を同定する役割を担っている.特に,体性感覚野は痛みの部位を同定する機能を果たしているため,痛みの慢性化により体性感覚野の体部位再現が不明瞭になると,「どこが痛いのか正確に分からない」,「痛みのある部分が実際よりも腫れたように感じる」という訴えが聞かれることがある(Maihofner, 2010).このように,末梢からの侵害刺激によって身体知覚異常が生じることが明らかにされており,慢性疼痛患者の評価において身体知覚は重要な概念である.慢性疼痛患者の身体知覚を客観的に評価する指標には,2点識別覚(Two point discrimination: TPD)がある.TPDは皮膚上の2点を同時に刺激し,2点と感じられる最小の距離を識別する感覚であり,体性感覚野や下頭頂葉の可塑性を反映する評価とされている(Flor, 2000, Akatsuka, 2008).慢性腰痛症例において,腰部の輪郭が拡大していると感じる群ではTPDが有意に低下することを明らかにした(Nishigami, 2015).また,成人脳性麻痺者を対象とした調査において,見かけ上の姿勢異常よりも主観的な身体知覚やTPDの低下が慢性腰痛に関与することを明らかにした(Yamashita, Nishigami, 2019).さらに,我々は超音波を用いて変形性膝関節症(膝OA)患者の膝腫脹を評価し,自覚的腫脹との乖離がある膝OA患者では,安静時痛・運動時痛が強く,TPDの低下を認めることを明らかにした.このように,身体知覚が痛みに影響する一方で,痛みの慢性化には運動恐怖が影響する.運動恐怖とは,痛みによる恐怖心から行動を回避することであり,例えば慢性腰痛患者が腰を曲げることを怖いと感じることなどがそれに当たる.このような運動恐怖を評価する指標としては,これまでFear Avoidance Beliefs QuestionnaireやTampa Scale for Kinesiophobiaが用いられてきた.しかし,これらの評価は自記式質問紙であり,痛みに関連した運動恐怖を客観化する指標にはなり得ない.そのような背景から,近年では痛みに関連した運動恐怖を運動学的異常として捉える運動躊躇という概念が提唱され,運動方向を切り変える時間(Reciprocal Innervation Time: RIT)として表される(Imai, 2018).橈骨遠位端骨折術後患者において,術後早期の運動躊躇が1ヵ月後の運動機能に悪影響を及ぼすことが明らかにされている(Imai, 2020).また,我々はSingle hop test時に運動恐怖を感じている前十字靭帯再建術後患者では,膝屈伸運動中のRITが遅延し,それには位置覚の異常が影響することを調査している.これらより,痛みや身体機能には身体知覚や運動恐怖が密接に関与しており,それらを客観的に定量化することが重要である.今後は,定量化した因子に対して介入することで,慢性疼痛の予防や身体機能の改善につなげていくことが課題である.
著者
青山 道彦 吉岡 靖雄 山下 浩平 平 茉由 角田 慎一 東阪 和馬 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.40, 2013

優れた殺菌/抗菌効果を発揮する銀粒子は,粒子径の微小化に伴い,その抗菌活性を飛躍的に向上させることから,既に直径10~100 nmのナノマテリアル(NM),1~10 nmのサブナノマテリアル(sNM)としての応用が急速に進展している。従って,銀微小粒子の安全性担保に向け,物性-動態-安全性の詳細な連関解析によるナノ安全科学研究が急務となっている。特に近年,NMが生体蛋白質と相互作用し,NMを核とした蛋白質の層構造(プロテインコロナ)が形成されることが報告され,NMの動態・安全性を制御する可能性が示されつつある。しかし,粒子径や表面性状といった物性が,プロテインコロナの形成におよぼす影響は未だ不明な点が多い。特にsNMは,当研究室が昨年の本会で報告したように,分子ともNMとも異なる動態・生体影響を示すことから,粒子径の違いがプロテインコロナの形成に影響を与えた可能性が疑われる。そこで,本検討では,物性-プロテインコロナ形成-生体影響の連関解析の第一歩として,粒子径の異なる銀粒子を用いて,血清存在/非存在下における細胞傷害性を比較解析した。ヒト肺胞癌細胞株(A549細胞)に,直径20 nm未満のナノ銀(nAg),直径1 nm未満のサブナノ銀(snAg)を血清存在/非存在下で添加し,細胞傷害性を比較した。その結果,nAgは血清非存在下で高い細胞傷害性を示すものの,血清の添加によって細胞傷害性の低下が認められた。一方で,snAgは血清の有無に関わらず,ほぼ同等の細胞傷害性を示すことが明らかとなった。以上の結果から,sNMの生体影響に対する血清蛋白質の寄与は少ないことが示唆された。今後は,プロテインコロナの観点から,細胞内取り込み効率を含めた解析を進め,本現象のメカニズム解明を図ると共に,本現象が認められるNM/sNMの粒子径の閾値を探索していく予定である。
著者
佐藤 弘樹 山下 浩樹 関 公輔 佐藤 英雄
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.84-90, 2016-08-30 (Released:2016-09-07)
参考文献数
15

【目的】側臥位における下側肩甲骨の位置について,端座位と比較し,検証することである。【対象】身体に整形外科的疾患がない健常男性9名(年齢:23.7±1.4歳,身長:172.0±2.2㎝,体重:66.7±7.6㎏)とした。【方法】吉田らの方法を参考に,肩甲骨の位置を測定した。測定肢位は,①端座位上肢下垂位,②端座位左肩関節45°屈曲位,③端座位左肩関節90°屈曲位,④左側臥位左肩関節45°屈曲位,⑤左側臥位左肩関節90°屈曲位の5条件とした。統計処理は,5条件における4距離の平均値についてTukey-Kramerの多重比較検定を用いて比較した(有意水準は5%未満)。【結果】側臥位では端座位と比較して(②と④,③と⑤),肩甲骨が挙上,外転,上方回旋することが示された。【結語】側臥位における下側肩甲骨位置の特性から,ポジショニングの方法に応用が可能と考える。
著者
新井田 秀一 山下 浩之 笠間 友博
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.3_28-3_37, 2011 (Released:2015-11-07)
参考文献数
27

Map is one of the most appropriate and synthetic ways of understanding the features of Hakone volcano: landform, surface formulation processes, distribution of volcanic ejecta, and also geo-historical development. Topographic map can show basic geographic information and is useful to many kinds of professional such as civil engineers, forest scientists, naturalists, and land conservationists. Nowadays, the development of remote sensing and GIS have added further valuable information to classical maps. Bird’s eye view map made by satellite image or shading image gives unique and useful views of landscape. Shadow maps, shape maps, and geologic maps are also useful, but in general they are not popular. Therefore, we have tried map-integration among bird’s eye view map and those maps of other types.
著者
山下 浩平 吉岡 靖雄 潘 慧燕 小椋 健正 平 茉由 青山 道彦 角田 慎一 中山 博之 藤尾 滋 青島 央江 小久保 研 大島 巧 鍋師 裕美 吉川 友章 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.O-36, 2012 (Released:2012-11-24)

ナノテクノロジーの進歩により、粒子径が100 nm以下に制御されたナノマテリアルが続々と新規開発され、工業品・化粧品・食品など、多くの分野で既に実用化されている。さらに、近年開発されているサブナノ素材(10 nm以下)は、分子とも異なるうえ、ナノマテリアルとも異なる生体内動態や生体影響を示すなど、新たな素材として期待されている。特に医療分野において、ナノ・サブナノ素材を用いた医薬品開発が注目されており、抗炎症作用などの薬理活性を発揮するナノ・サブナノ医薬の開発が世界的に進められている。サブナノ素材の一つであるC60フラーレン(C60)は、ラジカルスポンジとよばれるほどの強い抗酸化作用に起因する抗炎症作用を有するため、炎症性疾患に対する新たな医薬品としての実用化が待望されている。しかし、非侵襲性・汎用性の観点で最も優れた経口投与製剤としてC60を適用した例は無く、医薬品化に必須である安全性情報も乏しいことから、C60の医薬品化は立ち遅れているのが現状である。本観点から我々は、C60の経口サブナノ医薬としての適用に向けて、経口投与時の安全性情報の収集を図った。異なる数の水酸基で修飾された4種類の水酸化C60をマウスに7日間経口投与し、経日的に体重を測定した。また、各臓器・血液を回収し、臓器重量測定・血清生化学的検査・血球検査を実施した。その結果、各種水酸化C60投与群で、マウスの体重、臓器重量に変化は認められず、白血球数などの血球細胞数や、血漿中ALT・AST・BUN値など組織障害マーカーにも大きな変化は認められなかった。以上の結果から、短期間での検討ではあるものの、水酸化C60は、ナノ毒性の懸念が少なく、安全な経口サブナノ医薬となり得る可能性が示された。今後は、腸管吸収性や体内動態を評価するなど、有効かつ安全なナノ・サブナノ素材の開発支援に資する情報集積を推進する予定である。
著者
森 慎一 山下 浩之 有馬 眞 藤岡 換太郎
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.67-86, 2012 (Released:2012-06-28)
参考文献数
185
被引用文献数
2 3

We determined K-Ar ages of the late Miocene to Pliocene andesitic to basaltic dykes and lavas distributed in the Tanzawa-Oiso area in the southern Fossa Magna region, central Japan. Our data indicate two distinct periods of volcanic activity in this region; one took place during the middle Miocene (about 15 Ma) and another during the late Miocene to Pliocene (7.5-4.2 Ma). Combined the present results with the age data reported previously from volcanic rocks in the southern Fossa Magna region, the present study suggests that the volcanic front in this region during 8 to 4 Ma was located at about 40 km east of the present-day volcanic front. The volcanic front began to migrate westward to the present-day location at about 4 Ma. The westward migration of volcanic front was probably associated with an abrupt change of lateral motion of the Philippine Sea Plate from north- northwestward to northwestward occurred between 4 and 2 Ma.
著者
下野 洋 市川 智史 梅埜 国夫 小椋 郁夫 恩藤 知典 河原 富夫 小島 繁男 小林 道正 五島 政一 佐藤 俊一 猿田 祐嗣 下畑 五夫 浜中 正男 藤田 郁男 松田 義章 三宅 征夫 山下 浩之 山田 正昭 渡辺 享
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.315-316, 1995

理科の野外学習指導法の体系化を図るために、野外学習の有効性、必要性、児童・生徒の環境認識の実態、野外学習の目標、カリキュラム上の位置付け、野外学習の指導の型、観察対象の類型化、野外学習の指導法などについての検討を行った中間報告である。
著者
平田 大二 山下 浩之 坂本 泉 小田原 啓 滝野 義幸 鬼頭 毅 藤巻 三樹雄 萬年 一剛 新井田 秀一 笠間 友博 齊藤 靖二
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.911-916, 2010-10-25 (Released:2011-01-21)
参考文献数
12

The bottom topography of lake Ashi-no-ko, in the Hakone volcano caldera, was examined using the SeaBat8101 narrow multi-beam sonar system. The purpose of micro-topographical observations of the lake bottom is to understand the tectonic relations between the historical formation-process of the caldera and the strike-slip motion in the Tanna-Hirayama active fault system. At the southeastern part of the lake, west of the Dougashima, undulations at the bottom such as swells, hollows, and stairs extending in the northwest-southeast direction, were observed. These bottom-forms show a northern extension of the Hakonemachi active fault, running along the east side of lake Ashi-no-ko. They may correspond to one of the north spray faults of the Kita-Izu active fault system, which is the source of the A.D.1930 Kita-Izu earthquake, and to motions of the western margin of the Manazuru micro-plate, in relation to caldera formation as a strike-slip basin.
著者
向井 理朗 山下 浩生 岡 隆一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.79, pp.9-16, 1998-09-17
参考文献数
6
被引用文献数
7

人間の身振りを計算機システムにいかに理解させ,より円滑で自然な対話を支援するかは重要な課題である.こうしたジェスチャー認識システムの開発を進めるための共通的な基盤となる人間の身振りのデータベース整備はその対象となる身振りが非常に多様であることやデータ整備自身についての知見の不足からこれまで十分には行われてこなかった.そこで我々はジェスチャーデータベースの企画,仕様決定,作成を行ったので,データベースの収録方法,収録データ等についてを報告し,今後のデータベース整備の概要を報告する.In this paper, we describe about Gesture Database. It is important to be understood human gesture by computer. A common database is necessary to develop gesture recognition system. We developed gesture database. We used sign language as a gesture. Sign language includes a rule of movement. Therefore, we use sign language as the data which don't depend on recognition system. We describe specification and recording method of database and describe preparation of future database. And, we intend to show this database to a general researcher.
著者
森実 庸男 滝本 真一 西川 智 松山 紀彦 蝶野 一徳 植村 作治郎 藤田 慶之 山下 浩史 川上 秀昌 小泉 喜嗣 内村 祐之 市川 衞
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.207-216, 2001-12-15
被引用文献数
12 25

1996年以来発生している赤変化を伴うアコヤガイの大量へい死の実態を把握するため, 1997-1999年に母貝の生育, へい死率, 外套膜の病理組織学的変化を調査した。本疾病は冬季水温の高い南部の海域で6月に発生し, 8~11月には北部に至り, 宇和海全域に広がった。本病の発生には, 冬期の水温が影響するなど強い温度依存性が示唆された。
著者
山下 浩
出版者
筑波大学
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.151-188, 1994
著者
山下 浩子 山村 涼子
出版者
久留米信愛女学院短期大学
雑誌
久留米信愛女学院短期大学研究紀要 (ISSN:13487310)
巻号頁・発行日
no.32, pp.57-61, 2009-07

The city of Kurume enacted the Basic Ordinance on Kurume's Foods, Agriculture and Farming Villages in March 2004. In line with the basic principle, the Kurume Central Wholesale Market (Kurume Seika K.K.) collaborated with the producers to carry out R&D of a new vegetable, caulibro.Caulibro, a cross between cauliflower and broccoli, is another name for Romanesco (scientific name: Brasica oierancea var. botrytist f. botrytis), a variety of vegetable originally from the Netherlands. The edible portion is a flower bud, and is characterized by a light, sweet taste and short heating time (2 or 3 minutes of boiling).To publicize caulibro to citizens and promote its consumption, the authors developed cooking recipes using this vegetable. The recipes consisted of two staple dishes, five main dishes, six side dishes, and one soup. The cooking method makes use of caulibro's culinary characteristics. The amount per serving was either 70 g for caulibro only, or 140 g in combination with other vegetables. The standard amount used in the Meal Balance Guide for one side dish (sv) was used as a reference.The cooking recipes that were developed have been published on the Kurume Seika's website.
著者
山下 浩平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

好中球細胞外トラップ(NETs)は好中球の新たな細胞外殺菌機構として生体防御に寄与するが、強い傷害因子を細胞外へ放出するため、血栓症や炎症性・自己免疫性疾患などの病態形成に関与することが報告されている。本研究では主に以下の3点、①NETs形成機構に活性酸素の一種である一重項酸素が重要であること、②同種造血細胞移植後の重篤な合併症の一つである血栓性微小血管障害(TMA)の病態形成にNETsが深く関与し、血清NETs高値がTMA発症の予測因子になりうること、③高濃度の尿酸が活性酸素非依存性にNETs形成を誘導し、NETsが高尿酸血症による心血管障害に関連する可能性があること、を明らかにした。
著者
高木 修作 村田 寿 後藤 孝信 市來 敏章 ムナシンハ マデュラ 延東 真 松本 拓也 櫻井 亜紀子 幡手 英雄 吉田 照豊 境 正 山下 浩史 宇川 正治 倉本 戴寿
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.279-290, 2005-09-20
被引用文献数
8

ブリの無魚粉飼料給与による緑肝の発症原因を、タウリン補足量の異なる無魚粉飼料で41週間飼育したブリ稚魚における、飼料タウリン含量と体内のタウリン含量、胆汁色素含量および肝臓のタウリン合成酵素活性の関連から調べた。タウリン無補足区では、飼育成績は劣り、貧血と緑肝が高率にみられ、肝臓のタウリン含量が低く、胆汁色素含量が高かった。タウリン補足区では、これら劣悪な状況は著しく改善した。肝臓のタウリン合成酵素活性は、全区で著しく低かった。ブリのタウリン合成能は著しく低く、無魚粉飼料にはタウリン補足が必要であり、無魚粉飼料給与による緑肝はタウリン欠乏に伴う胆汁色素の排泄低下と、溶血による胆汁色素の過剰産生により発生することが分かった。