著者
梶本 まどか 松重 武志 山田 健治 小林 弘典 山口 清次 市山 高志
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.150-152, 2013 (Released:2014-10-11)
参考文献数
10

Cefditoren pivoxil (CDTR-PI) の長期投与中に二相性けいれんの経過をたどった急性脳症を発症し, 低血糖の関与が疑われ, 後遺症を残した1例を経験した. 症例は1歳2カ月女児. 1カ月前より感冒症状があり近医でCDTR-PIを約25日間投与した. 全身強直性けいれんを認め, 当科へ救急搬送され, 低血糖, 血中遊離カルニチン低下, C5アシルカルニチン上昇を認めた. 二次的なカルニチン欠乏症による低血糖が原因と考えた. 3病日に再びけいれんが群発し, 二相性けいれんの経過をたどった急性脳症と診断した. 症候性てんかんを発症し, 左片麻痺, 軽度発達遅滞を合併した.
著者
山口清
出版者
九州産業大学国際文化学会
雑誌
九州産業大学国際文化学部紀要 (ISSN:13409425)
巻号頁・発行日
no.11, pp.115-134, 1998-03
被引用文献数
1

明治10年に創立された東京数学会社は数学用語訳語音を設置して,数学用語の訳を審議し,その結果はSUGAKU YAKUGOとしてまとめられた(明治19年)。訳語会の審議が進まないために,藤沢利喜太郎は「数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書」を著した(明治22年,訂正増補第二版:明治24年)。本稿において,SUGAKU YAKUGOの用語と藤沢「数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書」の聡悟について,数学諸科,角,解析幾何学,函数に関する用語の場合を比較検討する。Early in Meiji-Era, the Ministry of Education introduced the Western Mathematics for school mathematics. How translate the mathematical terms of Western Mathematics into Japanese was a serious problem of mathematics education. The Tokyo Mathematical Society founded in 1877, set up a Translation Committee of Mathematical Terms in 1880. The results was reported as "SOC.AKU YAKUGO" or Translation of Mathematical Terms in the Journal of the Tokyo Mathematico- Physical Society, Vol. 3. No. 2 (1886). However, this work was not complete. Prof. Rikitaro Fujisawa (1861-T933) published "Vocabulary of Mathematical Terms in English and Japanese" in 1889, and Second corrected and enlarged edition in 1891. In this paper, we compare the mathematical terms of "SIJGAKU YAKUGO" and of "Vocabulary of Mathematical Terms in English and Japanese" for the cases of Branches of Mathematics, Angles, Analytical Geometry, and Functions, and we sec that the former was one of the elementary character and the latter was one of far advanced level than the former.
著者
山口 清
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.56-63, 1967-01-20 (Released:2017-04-05)

L'idea della visita di peasonaggi al loro autore, concepita nel famoso dramma di Pirandello, "Sei personaggi iu cerca d'autore, " puo essere tracciata fino alla novella sua intitolata "La tragedia d'un personaggio." Auche le due novelle inchiuse nei "Colloqui coi personaggi, " apparsi dopo nel momento della prima guerra mondiale, tratta la medesima idea. Dunque il prototipo del famoso dramma si trova nella novella. Ecco auche un esempio dove il novelliere precede il drammaturgo in Pirandello. E un fatto molto importante per gli studi delle varie opere sue. Pirandello e come un visionario quaudo egli vede i peronaggi che vivono nel suo mondo dell'arte.
著者
甲斐 福代 鵜養 恭介 江口 里美 西沢 茂樹 田中 勤 山口 清子 田沢 四男 杉 薫 村石 州啓
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.698-702, 1985

急性心筋梗塞の合併により, 心機能の低下している関節症状の強い, 慢性関節リウマチ患者に対し, 血漿急速冷却を加えた血漿交換療法(Double Filtration Plasmapherasis: DFP)を行つた. 回路には, 2つのフィルターを用いた. 第1フィルターで分離した血漿は, 冷却槽で0°-4℃に冷却した後, 第2フィルター一に入り, ここでCryoproteinを除去し, 残りの血漿とPPF, 25%アルブミンを恒温槽で暖めてから, 血球成分と合流させ返血する方法をとつた.<br>DFPにより, 関節の運動痛, 腫脹は著しく軽減し, ベツド上で寝たきりの生活から, 歩行による外来通院が可能となつた. 検査データでは, 関節痛の消失と共にβ, γグロブリン(β-g, γ-g)が低下して, アルブミン(Alb)が上昇し, 高IgA血症が改善された. しかし, CRP, RA因子は陽性のままであつた. 本法の副作用は特にみられず, 薬物療法, 及び外科療法で, 治療効果の少なかつた慢性関節リウマチ患者に有効であつた.
著者
山口 清
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-7, 1968-01-20

「一人であって、誰でもなく、十万人でもある」(Uno, nessuno e ceutomila)という異様な題名を持つピランデルロの長篇小説はヴィタンジェロ・モスカルダという人物の自伝的な反省録の形式で書かれた作品である。ピランデルロ研究家の一人であるアルミーニオ・ヤンネルによれば、それはかってイタリア語で書かれたことのある最も特異な長篇である。形而上的であると同時に現実的で、作者の鋭い論理が全篇を貫いている。それは決して通俗的な小説とは言えない。芸術としての価値も否定されるかも知れない。しかしその中に表現された作者の思想は不思議な魅力を持っている。それは彼の他の長篇の中では感じられないような魅力、神秘的な思想の魅力である。この長篇は、同じく人格のテーマを扱った短篇「ステファノ・ジョーリ、一人で二人」(一九〇九年)が出された翌年、即ち一九一○年頃に書き始められたものであろうと推測されている。完成されたのは一九二四年、発表されたのは一九二五年から一九二六年にかけてである。一九二五年という年は、ピランデルロがローマに彼の芸術劇場を創設した年であり、劇作家としての彼の活動がその頂点を極めた年である。彼は既に「作者を探す六人の登場人物」(一九二一年)や「エンリコ四世」(一九二二年)などの大作のほかに幾多のすぐれた劇作を発表し、劇作家としての彼の名声は既に世界的になっていた。そういう時期に「一人であって、誰でもなく、十万人でもある」という謎のような長篇が発表された。第一次大戦の前から、大戦の時期を通じ、また劇作の多忙な時期を通じて、約十五年という長い年月がこの長篇のために費されたことを思えば、如何にそれがピランデルロの執念の作であったかが容易に想像されるであろう。この長篇については、それが未だ完成される以前に、既に一部の人々の間には知られていた。一九二二年に「エポカ」誌のためにピランデルロと会見を行ったディエーゴ・マンガネルラに対して作者は次のように語った。「それは私の劇作への序文となる筈であったが、その要約として終るであろう。それは個人の人格の解体の物語である。それは最も極端な結論、最もかけ離れた結末に到達するであろう。」この作品は個人の人格、即ち我(われ)の追究である。彼の全作品はこの我の追究ということもできる。「個人の人格の解体」はその追究の結論である。「一人であって、誰でもなく、十万人でもある」という題名はその人格の解体を説明している。Il romanzo "Uno, nessuno e centomila" e direttameute connesso alla novella "Stefano Giogli, uno e due" pubblicata nel 1909, dove si tratta della dualita di personalita-tema discusso spesso nelle opere pirandelliane. Pare che l'autore abbia iniziato a scrivere il romanzo subito dopo la pubblicazione della novella. Poiche il romanzo fu compiuto nel 1924. L'autore si occupava di questa opera almeno durante quindici anni. Fu pubblicato nel 1925-momento che marca un nuovo sviluppo della sua attivita, cioe la fondazione del suo Teatro dell'Arte a Roma. In un senso il romanzo e una conclusione data alla lunga discussione del tema di personalita. Il Vitangelo, protagonista del romanzo, si trova come tante personalita diverse secondo gli occhi che lo vedono. Decide di distruggere tutte le false personalita dategli dagli altri, e tenta di diventare una personalita definita, ma in vano. Alla fine, rompendo tutti i legami con la famiglia e la societa, e liberandosi da tutta la sua possessione, si mette a vivere come un vagabondo e ottiene la felicita. Nel pensiero pirandelliano c'e qualcosa che s'avvicina al pensiero orientale.
著者
山口 清
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学国際文化学部紀要 (ISSN:13409425)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.137-152, 1996-03

幕末期に,洋学者柳河春三は"洋算用法初編"を著し,西洋算術の解説を行った(安政4年)。同書では,アラビア数字を用いて,西洋数学の考え方を基に,筆算による計算四則,比例計算が述べられている。本稿の目的は,"洋算用法初編"のなかで述べられているオランダ語の数学用語{己号とそれらの日本語訳について,同書の解説との関連において考察すること,及びこれらの数学用語・記号が現在の小学校算数教材のどの部分に対応しているかを調べることである。
著者
田部 有香 安田 謙二 中嶋 滋記 藤本 欣史 山口 清次
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.347-351, 2015-11-30 (Released:2015-12-23)
参考文献数
12

左心耳瘤(left atrial appendage aneurysm, LAAA)は,1938年にSemansとTaussigにより初めて報告された非常に稀な疾患で,先天性のものの多くは原因不明である.小児期に無症状で発見されると,将来的な不整脈,胸痛,呼吸困難,血栓塞栓症などの合併症予防のために外科的切除を行う.今回我々は,急性気管支炎の際に胸部レントゲン写真で異常を指摘された2歳女児におけるLAAAの症例を経験した.経胸壁エコー,経食道エコー検査を行い,瘤内や心耳内血栓を否定した.また造影CTにて周囲に異常構造がないことを確認した.手術により切除した病理組織において,三層構造は保たれていたが,筋層の菲薄化と粘液性変化がみられた.恒常性を維持させられないほどの組織障害が生じたことが,瘤の原因となりえた可能性が示唆された.
著者
菅原 民枝 大日 康史 多屋 馨子 及川 馨 羽根田 紀幸 菊池 清 加藤 文英 山口 清次 吉川 哲史 中野 貴司 庵原 俊昭 堤 裕幸 浅野 喜造 神谷 齊 岡部 信彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.555-561, 2007-09-20 (Released:2011-05-20)
参考文献数
19
被引用文献数
6 8

目的: 現在ムンプスワクチンの予防接種は任意接種であるが, 定期接種化された場合の費用対効果分析を行った.方法: 本研究は, 外来診療における医療費と家族の看護負担に関する調査を行い, 入院や後遺症死亡例の重症化例の情報を加味した.外来診療の医療費と家族看護に関する調査は, 平成16年6月15日から平成18年1月15日までの19カ月間, 人口10万人都市で, 小児科を標榜する9診療所と県立病院大学付属病院の11医療機関で実施した.入院例調査は, 平成16年1月から平成17年12月までの2年間, ムンプス及びムンプスワクチン関連により24時間以上入院あるいは死亡した例について実施した.結果: 外来診療に関する回収は189枚家族票112枚であった. 外来診療の疾病負担は, 家族看護費用も含めて平均値471億円 (最大値2, 331億円, 最小値6億円) であった.ムンプスの入院患者数は全国で4596例と推測した. 入院は, 家族看護も含めて平均値13.5億円であった. 後遺症, 死亡例を加え総疾病負担は, 平均値525億円 (最大値2434億円, 最小値109億円) であった.費用対効果分析では, 予防接種費用を6000円とすると, 増分便益費用比は, 5.2であり, 95%信頼区間下限においても1を上回っていた.考察: 増分便益費用比は1を上回っており, 定期接種化によってもたされる追加的な便益が, 追加的な費用を上回っていた. したがって, ムンプスワクチンの定期接種化に向けて政策的根拠が確認された.
著者
臼田 信光 深澤 元晶 森山 陽介 厚沢 季美江 橋本 隆 山口 清次 深尾 敏幸 田中 雅嗣 下村 敦司
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

高脂血症による引き起こされる動脈硬化と脂肪肝は、虚血心疾患や肝硬変などの重篤な生活習慣病のリスクファクターとなる。細胞内における脂質代謝の改善により、高脂血症の予防と治療が行える可能性がある。ミトコンドリア脂肪酸β酸化系は全ての脂肪酸を異化し、エネルギー産生で中心的な役割を演ずるが、未解明の部分が多い。全身臓器・培養細胞を材料として、分布とPPARを介する代謝制御について調べ、生理的な意義を研究した。
著者
山口 清三郎
出版者
岩波書店
雑誌
科学 (ISSN:00227625)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.126-129, 1951-03
著者
山口 清次 長谷川 有紀 小林 弘典 虫本 雄一 PUREVSUREN Jamiyan
出版者
島根大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

成人には無害でも小児に対して健康被害を起こす薬剤が知られている。そこで、培養細胞とタンデムマス質量分析計を用いるin vitro probe acylcarnitine(IVP) assayという方法を応用して、小児に対する薬物等の脂肪酸β酸化に対する毒性を評価するシステムを確立した。アスピリン、バルプロ酸などは、脂肪酸代謝の脆弱な細胞でβ酸化障害が増強された。ベザフィブレートはβ酸化異常症の代謝を改善した。
著者
林 進 伊藤 栄一 岡田 正樹 塚本 睦 中川 一 野平 照雄 山口 清 横井 秀一
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.9-26, 1992-12-25
被引用文献数
1

国指定天然記念物「臥龍桜」は,岐阜県宮村にある推定樹齢一千年の,淡墨桜に次ぐ県下第二位の老大樹である。その姿には,一千年という時間の厳しさ,またそれを生き技いてきた樹自身の生命力の強さが表されている。しかし,近年腐朽が進み樹勢維特上不安が持たれている。このため早急に何らかの対策を講じなければならない。樹木保護に当たっては総合的な対策が必要であるが,現在そのための調査方法や,対策技術が未確立な状況にある。そこでそれらの確立に向けて基礎調査研究を行った。調査は,現状を把握するため,桜本体の形状,腐朽部,成長状況,葉・花・根の様子,病虫害について行った。調査の結果から,臥龍桜の樹勢は旺盛である点,しかし,腐朽が強度に進行している部分もありそれらに対しての防腐対策,さらには,樹形保存のための外科手術など,多くの保護対策を講じる必要がある点などが考えられる。これらの保護対策は,それぞれ個別の対策ではなく,総合的に実施されること必要である。そのため,臥龍桜の保護管理サポートシステムを確立すること,モニタリングを長く継続して行うことが必要となる。以上のことから体系的樹木医学の確立へのステップとなり得る研究として報告する。
著者
横井 秀一 山口 清
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.15-19, 2000-02-16
被引用文献数
5

積雪地帯では, スギ不成績造林地の発生による経済的な損失と林地の公益的機能の低下が問題となっている。そこで, 既存のスギ人工林の成林状況(成林度)に影響する立地環境を解析し, 造林限界の再検討を行った。調査は岐阜県飛騨地方の最深積雪1.0〜3.0mの地域で行い, 成林度と立地要因の関係は数量化I類を用いて解析した。成林度に最も強く影響した要因は最深積雪で, 積雪深が大きいほど成林度は低くなった。成林度の出現頻度分布を最深積雪深ごとに検討した結果, スギの造林は最深積雪1.5m未満で可能, 2.5m以上では困難であると考えられた。最深積雪1.5〜2.5mの地帯では, 最深積雪とともに斜面の傾斜と縦断面の形状が成林度に影響し, 急傾斜や凹地形の斜面で成林度が低かった。したがって, この地帯でのスギ造林では, このような地形を避ける必要があると考えられた。