著者
清水 裕文 山本 淳一
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.22-43, 1998
被引用文献数
1

本研究では4名の発達障害児を対象に、授与動詞や助詞を含む文の獲得に及ぼす条件の検討をおこなった。まず、高次条件性弁別の枠組みを用いて文法を分析した。実験Iでは2人の他者が物を受け渡ししている動画を提示し、"わたす""もらう"といった授与動詞を使用した文の構成を訓練した。文構成のために助詞選択条件と動詞選択条件を設定した。その結果、すべての対象児において適切な文構成が成立しなかった。実験IIでは対象児に実際動作を行ってもらい、それに対応する"わたしました""もらいました"という授与動詞を含む文を構成する反応の出現を分析した。動詞選択条件、名詞選択条件、助詞選択条件といった3つの条件性弁別場面を設定した。ベースラインでは動詞選択条件の正反応率が高く、他の条件の値はチャンスレベルであった。助詞選択条件の2つの事例を訓練することで、他の未訓練の文や名詞選択条件の正反応率も上昇した。実験IIIでは、対象児の実際動作に対応して、"あげました""くれました"という授与動詞を含む文を構成する反応を分析した。構成のために、実験IIと同じ条件性弁別手続きを設定した。その結果、ベースラインでは動詞選択条件の正反応率が高く、他の条件はチャンスレベルであった。助詞選択条件を訓練することで、名詞選択条件の正反応率も上昇した。本研究の結果から、自分自身の実際の行為を見本刺激とすることで、少数事例の訓練によって、発達障害児が適切な授与動詞や助詞を含む文を表出することが、可能となることが示された。また、授与動詞の獲得の困難さは、条件性弁別の階層性の高さに対応することが示唆された。
著者
白井 清兼 西村 崇 山本 淳子 伊藤 興一 加藤 浩徳 城山 英明
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.93-106, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
30
被引用文献数
3

本論文は,地域のアイデンティティ確立を目指すまちづくりに成功した事例として,千葉県香取市(旧佐原市) の先進的な取組を取り上げ,過去の取組経緯をインタビューによって丹念に調査するとともに,関係主体の問題構造認識を分析することによって,成功の要因を抽出することを目的とする.情報収集のため,佐原の観光政策に関係する主要主体に対するインタビュー調査を実施し,また,分析に当たっては,問題構造化手法を適用した.分析の結果,「町並み保存関係者」と「佐原の大祭関係者」による独自活動がもたらした意図せざる相乗効果,市民団体による巧みな行政の活用および行政の巧妙な戦略的なプロセスマネジメントが,佐原の持続的な観光政策ならびにまちづくり型観光地形成を成立させるための成功要因であったことを明らかにした.
著者
山本 淳子
雑誌
人間文化研究
巻号頁・発行日
vol.36, pp.202-174, 2016-03-10
著者
山本 淳子 森山 三千江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.40, 2018 (Released:2018-08-30)

【目的】日本近海の砂地に生息する貝であるツメタガイは、アサリの繁殖時期と同じで、潮干狩りの際に見かけるがアサリの天敵である。アサリは愛知の地産であるが年々漁獲量が減っており、その原因の一つとされている。ツメタガイは、独特の粘りと臭い、硬い肉質が嫌厭される。そこで、ツメタガイの調理法を開発し、嗜好性が高く多く食べるようになれば、アサリの漁獲量増加の貢献となる。本研究では、ツメタガイの利用を進める基礎データを得ることを目的とし、加熱方法の検討を行った。【方法】ツメタガイは、愛知県水産試験場(蒲郡)の提供品を用いた。加熱方法は、水・酒・茶を用いてゆでる・蒸す・圧力鍋・レンジ・真空調理の5つを比較検討した。測定項目の、破断応力・テクスチャー測定は、クリープメーター(山電)を、組織構造観察は、走査電子顕微鏡(日立S-4200 SEM)を、色調は、色差計(日本電色)を用いた。官能評価は、評価項目「色」、「香り」、「食感」、「味」、「総合」について嗜好型官能検査を5点評点法で行った。【結果】加熱方法により、食感は大きく異なった。破断応力は、真空調理加熱の硬さが低く、柔らかくなることが分かった。電子顕微鏡観察では、真空調理の組織構造のみ、他の変化と異なり、組織の破壊における亀裂がなく平滑であった。色調は、水では色が暗く、茶ではあくが付き、明度が下がったが、酒を用いると明度が最も高いものとなった。官能評価において、水でゆでたものが硬く、においも強く好まれないものとなった。評価の高かった加熱方法は、レンジ加熱と真空調理であり、茶・酒を用いることで嗜好性は上がった。特に酒は、見た目、硬さにおいて嗜好評価が高かった。以上のことから、酒を用いてレンジ加熱、真空調理が適していた。
著者
山本 淳
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.838-844, 1955

1. 弱イオン交換樹脂及び電子交換体樹脂として知られているHg-F及び其の酸化に依つて得られるQ-Fが共にメルカプタン類を良く選択的に吸着する事を見出した.<br> 2. エチルメルカプタンを用いて,両樹脂の等温吸着量を測定した結果,共に吸着量は温度及び溶媒に依り支配される.又Q-Fに比してHg-Fの方が吸着能率が良い.<br> 3. 吸着速度の測定結果,両樹脂共に其の吸着速度が桜田氏の不均一系二次反応速度式で良く表わされる事が分つた.又吸着速度を支配するものは拡散速度であると思われる.<br> 4. Hq-Fは水蒸気蒸溜に依り吸着メルカプタンを脱着,再生出来,反覆使用が可能である.又これを利用してメルカプタン類の分析等に利用し得ると考えられる.<br> 5. 清酒の精製にHq-Fを使用して,石当り15~20gの少量で繭香等完全に除去出来る.
著者
山本 淳
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 = Bulletin of Yonezawa Women's Junior College
巻号頁・発行日
no.38, pp.47-62, 2003-06-30

要旨 : 推量辞「む」の連体形は、他の活用形とははたらきが別であり、仮定や娩曲を表すとされてきたが、枕草子を調査した結果、「む」本来のはたらきである、未確認の事実に対する想像を表すものであることが判り、中古語文法では仮定の用法を認める必要がないことを述べた。また、連体形「む」は相関する文節に推量辞が伴われることが多く、かつまた、「らむ」「けむ」とは異なって命令・希求表現との相関を示しているが、そのことが連体形「む」を必要とする条件にはならず、連体形「む」の取捨が話者の主観に委ねられることを説明した。 キーワード : 連体形「む」の有無、未確認の事実、恣意性、相関する文節、推量表現
著者
山本 淳 橋本 清澄 畑中 久勝 金田 吉男 大路 正雄 日笠 譲
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.T5-T9, 1979-02-05
被引用文献数
1

銅化カドミウムカラム還元法を用いて,水道水及び原水中の硝酸塩の日常分析を行うには,まず還元操作の迅速化が要求される.エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA,0.08%)及び塩酸(試薬特級の0.125mlを水でうすめて1lとしたもの)を含む溶液50mlで1日1回活性化すれば,繰り返し5回の試行で(96〜110)%の還元効率が得られた.この条件での硝酸態窒素(以後NO_3-Nと略記)の4及び20μgの添加回収率は(88〜105)%と良好であり,又定量精度のよいサリチル酸ナトリウム法に匹敵する精度を示した.この改良で,10本のカラムを用いると,1日50件の検査が可能となった.一方,カドミウム及び銅のみを含む実験排水の処理は,硫酸第一鉄七水和物30g/l1を用いて鉄共沈法でよい結果を得た.EDTA-重金属キレート含有排水処理には,硫化ナトリウム法及び過マンガン酸カリウム酸化-鉄共沈法を工夫して適用してみたところ,後者はより簡便であるうえ,カドミウム,銅,マンガン及び鉄の残存濃度が排水基準をはるかに下回る濃度にまで処理できた.
著者
山本 淳
出版者
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所
雑誌
山形県立米沢女子短期大学附属生活文化研究所報告 (ISSN:0386636X)
巻号頁・発行日
no.39, pp.1-14, 2012-03

山形大学附属博物館後藤文庫が持つ、近世村山地方の郷土本『老の寐言』を国語学的に検討した。文章語体を旨として書かれながらも、聞き手を意識した箇所での断定辞ジャの使用、あるいは助辞ニの脱落や助辞イの使用が観察され、音韻面でも促音や撥音の使用といった口頭語性が諸処に発現している。さらに連接母音こと ai・oi におけるイからエヘの交替、チからツへの交替、カタ行有声化などの方言的事象も色濃く観察され、さらに同系統の江口本では、音韻現象において後藤本とは異なる現れ方をしていることが判った。 キーワード:近世村山地方郷土本, 口頭語性, 音韻表記, 村山方言資料
著者
山本 淳
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 = Bulletin of Yonezawa Women's Junior College
巻号頁・発行日
vol.44, pp.7-23, 2008-12-01

明治30年代に筆写された方言会話集「鹿児嶋言葉わらひの種』(真田宝物館所蔵)に用いられている共通語訳文について、対立する言語事象を中心に検討した。実態としては、東日本的表現が主として用いられながら、西日本方言に通用する言語事象も出現する。また文語的な古体の表現が口頭的表現に交って使われることもあり、この二つの傾向は、明治期の東京語が新たに共通語として全国に広く通用するようになるまでの過渡的様相として捉えられ、鹿児島方言を共通語に翻す便宜として現れた特徴でもあると考えられることを述べた。
著者
奥田 健次 井上 雅彦 山本 淳一
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.7-22, 1999-03-31

本研究では、文章中の登場人物の情緒状態の原因を推論する行動について高次条件性弁別の枠組みから分析を行った。そして、中度精神遅滞を持っ発達障害児2名を対象に、文章課題において登場人物が表出している情緒状態に対して、その原因について適切な感情表出語を用いて応答する行動を形成した。そのために、課題文に対して感情表出語カードを選択する条件性弁別訓練が行われ、さらに文中の感情を引き起こした出来事と感情表出語を組み合わせて応答するための条件性弁別訓練が行われた。その結果、課題文の登場人物の情緒状態にっいて、原因となる出来事と感情表出語を組み合わせて応答することが可能となり、未訓練の課題文に対しても適切な応答が可能となった。これらの結果から、発達障害児に対する文章理解の指導において条件性弁別訓練の有効性が示され、さらに文章理解を促進するために文中の文脈刺激への反応を強化することの重要性が示唆された。
著者
松崎 敦子 山本 淳一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.359-368, 2015 (Released:2015-11-19)
参考文献数
19
被引用文献数
1

児童発達支援事業所に勤務する保育士2名を対象に、応用行動分析の知識と技術に関する研修プログラムを実施した。研修は、講義、オンザジョブトレーニング(OJT)、ビデオフィードバックで構成した。保育士の支援技術は、本研究用に作成した40項目の支援技術リストを用いて評価し、参加児の評価は、介入前後に標準化テストと行動観察を実施した。その結果、保育士の支援技術が向上し、介入終了から2か月後の事後評価においても維持されたことが示された。また、参加児の発達も複数の評価指標において示された。本研究において、保育士の支援技術を向上させるには、フィードバックが必要であること、フィードバックの手続きとして、OJTとビデオフィードバックを並行して実施することが有効であること、技術の向上が認められても安定するまでは介入を継続する必要があること、などの条件が示唆された。