著者
山本 真規 藤岡 健彦
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.911-916, 2015 (Released:2018-01-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究の目的は,各車両パラメータ,およびパラメータ間の相互関係がロール・平面連成運動に及ぼす影響を明らかにすることである.ロールと平面運動が連成する3 自由度モデルと近似モデル(平面モデル,断面モデル,単純ロールモデル)の特性根を対比して解析することにより,各車両パラメータが連成運動に及ぼす影響を示し,単純ロールモデルと平面モデルの固有振動数比が連成運動に支配的な影響を及ぼす指標であることを導いた.加えて,慣性主軸傾角とロール軸傾角の操舵応答特性に及ぼす影響の相違点と類似点,およびその由来を明らかにした.
著者
山本 喜晴
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.12-23, 2018

<p>本研究では投影法心理検査の中からロールシャッハ・テストおよび箱庭を用いて,コンピュータゲームに対する親和性とパーソナリティとの関連を調べた.質問紙法調査によって,コンピュータゲーム親和性尺度を作成し,ロールシャッハ・テストの各スコアについて,コンピュータゲーム親和性尺度の高群・低群間の有意差を調べたところ,高群は色彩を伴いかつ形の明確な反応の数が有意に高く,血液反応の数が有意に低かった.このことから,コンピュータゲームへの親和性が高い人は,色彩を手掛かりにイメージを投影する傾向があり,外界に対する情緒的反応が程よい傾向にあることが考えられた.一方で,据え置き型ゲーム機を長時間プレイする人は,現実検討力に課題を抱えやすい傾向も示された.箱庭の結果からは,個性的な創造性に結びついた箱庭はコンピュータゲーム親和性の高群と低群の両方に確認できたが,特に,コンピュータゲーム親和性の高い人が創造性を発揮する際には,退行が生じやすい可能性が示唆された.</p>
著者
山本 良郎 土屋 文安
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.431-439, 1976-01-15 (Released:2009-11-16)
参考文献数
36

油脂の脂肪酸配列とCa含量の違いが油脂および脂肪酸, Ca, Mgの消化吸収性に及ぼす影響を知るために, 油脂としてパーム分別油, 牛脂分別油, 豚脂分別油を選び, Ca含量として3水準 (飼料中での目標含量450mg%, 270mg%, 100mg%) をとり, 離乳直後の白ネズミによる消化吸収実験を行ない, あわせて糞便中の脂質につき検索した。油脂の消化吸収率に及ぼす効果は油脂の種類よりCa水準のほうがはるかに大であり, Ca含量の高いほど消化吸収率は低下した。3油脂のなかでは豚脂分別油の消化吸収率が最も優れ, 豚脂分別油の優秀性はCa含量の高いときにとくに顕著であった。パルミチン酸 (C16) の消化吸収率は, C16含量に大差のない油脂では, C16のグリセリンの2位への結合比の高い油脂において高く, この差はCa含量の高い群において大であった。C16含量に大差のある油脂間では, この関係はなかった。ステアリン酸 (C16) の消化吸収率はC16の2位結合比の高い油脂で高い傾向にあったが, むしろ消化過程で遊離してくるC16の量の影響が大きかった。糞便中に排泄されるけん化脂肪酸, 遊離脂肪酸量はCa水準の低下により減少するが, 減少の度合いはけん化脂肪酸のほうが顕著であった。また両者の脂肪酸組成も異なり, けん化脂肪酸のほうが明らかに飽和脂肪酸が多いが, 脂肪酸組成はCa水準によっても変化し, Ca含量が低下するとけん化脂肪酸中のオレイン酸含量が上昇した。グリセリドとして排泄される脂肪酸の割合はCa量の少ない飼料群で高く, また豚脂分別油群で高かった。Caの吸収量はCa含量の上昇とともに上昇したが, 消化吸収率は低下した。油脂については豚脂分別油群でCaの消化吸収率が高かったが, Ca水準と油脂の種類の効果を比べれば, 前者の効果のほうがはるかに大であった。Mgの消化吸収率は, Ca含量が多くなると低下した。糞便中に排泄されたけん化脂肪酸, 遊離脂肪酸総量と排泄Ca量との間には強い正の相関があった。
著者
山本 麻里子 井出 直仁 北島 信三 大林 正和 淺田 馨 松島 暁 伊藤 政治
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.11, pp.1479-1483, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
17
被引用文献数
5

Empagliflozin reduces blood glucose levels independently of insulin secretion by reducing glucose reabsorption in the proximal renal tubules through inhibition of sodium-glucose cotransporter 2 (SGLT2). Because SGLT2 inhibitors have a different mechanism of action to conventional antidiabetic drugs, recommendations have been issued about the management of specific side effect such as ketoacidosis, urinary tract infection, and genital infection. There have been some reports of SGLT2 inhibitor-associated euglycemic diabetic ketoacidosis (euDKA), but there have been few reports about euDKA in patients with type 2 diabetes using SGLT2 inhibitors while on a low-carbohydrate diet. Here we report a patient who developed euDKA after starting a very low-carbohydrate diet while taking empagliflozin. A 51-year-old man was hospitalized with nausea and vomiting, and investigations revealed metabolic acidosis. euDKA was diagnosed from the information about medications in his drug notebook and a history of eating a low-carbohydrate diet (1900 kcal, consisting of 5.7% carbohydrate, 21.1% protein, 47.3% fat and 25.9% alcohol) for 4 d. The patient improved after infusion of acetated Ringer's solution with 5% glucose and administration of regular insulin. It is necessary for physicians and pharmacists to thoroughly inform patients about the side effects of SGLT2 inhibitors such as ketoacidosis, urinary tract infection, and genital infection. Patients should also be advised about the higher risk of euDKA associated with a low-carbohydrate diet while taking SGLT2 inhibitors.
著者
山本 もと子
出版者
信州大学留学生センター紀要
雑誌
信州大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.9-21, 2001-03-31

原因・理由の接続助詞「から」と「ので」の意味と用法の違いは、これまで永野(1952)以来「から」は原因・理由を主観的に説明するものであり、「ので」は因果関係を客観的に描写するものであると分類されてきたが、未だ統一的な見解に至っていない。本論では、これらの意味と用法の違いはBrown and Levinson(1978,1987)が論じる「丁寧さ」のストラテジーによって生じるのではないかという仮説を立て、シナリオや漫画などにおける日常的な会話では「から」と「ので」がどのように使い分けられているかを検証する。その分析をもとに、これらの違いは話し手が聞き手や話している場面や発話内容に応じて、無意識に表現の使い分けをしていると結論付ける。
著者
山本 博樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.46-62, 2017-03-30 (Released:2017-09-29)
参考文献数
85
被引用文献数
3

本稿の目的は,2015年7月から2016年6月末までの1年間を中心に,教授・学習研究の動向を概観し,今後の展望を考察することである。授業の中ではたくさんの教師が説明実践に本質的な問題を抱えていることに加えて,説明実践にかかわる問題が教授・学習領域に要請された重要な研究課題となっている。それ故,説明実践に焦点をあてて,説明実践の支えになると考えられる教授・学習領域の1年間の動向を概観する。概観にあたっては,説明実践を支援モデルの観点から捉えて,次の5つの節に分けて検討したい。それらは,1) 授業での説明の役割,2) 授業中の理解不振・学習不適応,3) 説明方略・理解方略,4) 教科に即した説明実践,5) 説明力の育成,である。これらの概観を過去30年にわたる研究動向の中に意味づけた上で,今後の展望を示す。最後に,説明の原点に立ち返り,説明実践が抱える難題を示し,この解決に資する研究推進上の原則を示したい。本稿を通して,教授・学習研究が説明実践の支えになるという可能性を提示する。
著者
杉本 均 山本 陽葉
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
no.65, pp.179-200, 2019

本論文は日本の学校で働くフィリピン人ALT教師の実態について調べることで、ESLであるフィリピン人をALTとして雇用することがJETほか日本の英語教育プログラムにおいてどのような意味を持つかについて考察することを目的としている。結論としては、日本側はより多くのALTを必要としており、それに伴って十分な英語能力を持つESLの英語話者を採用しつつあるが、実際の現場では未だネイティブスピーカーが好まれる傾向があり、職場における人種差別を感じている者も多かった。しかしながら帰国後ALTとしての職歴が有利に働くことや、他国出身者よりも勤務歴が長いことなどから、メリットのある取り組みであることが明らかになった。ESLの英語能力は英語教育の推進を図る日本の英語教育界においては十分通用するものであり、ESLであるALTは人員確保の面だけでなく、生徒に多様な文化に触れる機会を与えるという点においても、今後の日本にとって必要な存在であると言える。
著者
田中 弥 大沼 かおり 三瓶 真菜 佐々木 一謹 山本 博之
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P04, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

本プロジェクトでは、メタボローム解析においてしばしば問題となる未知化合物の構造推定に、2種の独立したアプローチで取り組んだ。一方は一般的に用いられるタンデム質量分析 (MS/MS) を用いた推定であり、もう一方は代謝に基づく発表者ら独自の推定である。これにより十種程度の未知化合物の同定に成功してきたが、それには一方の手法がより良い推定を示したものも、両方の手法にて有力候補となったものも含まれていた。置換基の位置のようにMS/MSでは得にくい情報も、前駆体探索により構造推定に取り組むことができた。一方で、前駆体探索が困難な構造の化合物では、MS/MS による推定がより有力であることが考えられる。独立した2手法を用いることでそれぞれが得意な推定対象を補完しあい、また両手法の結果の組み合わせからより精度の高い推定を導くことが可能となった。
著者
高地 雄太 山本 一彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.150-155, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

膠原病・リウマチ性疾患の多くは,環境・遺伝因子によって発症する多因子疾患である.従来より,HLA遺伝子多型と各疾患の感受性との関連が知られていたが,近年,ゲノム全体を探索対象とするゲノムワイド関連解析が可能となったことにより,非HLA遺伝因子の解明が急速になされつつある.これらの疾患には,PTPN22,TNFAIP3,CTLA4などの共通遺伝因子が存在する一方で,関節リウマチにおけるPADI4遺伝子のように,疾患特異的な遺伝因子も存在する.したがって,これらの遺伝因子の組み合わせによって,個人における各疾患への感受性が規定されているものと考えられる.また,遺伝因子を複合的に解析することによって,個人の病態予測・治療反応性予測にも応用されることが期待されるが,遺伝因子には少なからず人種差が存在するため,今後,日本人における全貌を明らかにする必要がある.
著者
高橋 裕樹 山本 元久 篠村 泰久 今井 浩三
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.442-451, 2013 (Released:2013-12-31)
参考文献数
30
被引用文献数
6

IgG4関連疾患はグルココルチコイド(GC)が奏効することから,生命予後は良好であると推測されていたが,長期観察例の増加に伴い,臓器機能の予後に関する臨床情報が集積されてきた.これらをもとに,早期治療の必要について検討した.IgG4関連涙腺・唾液腺炎では発症後2年以内の治療開始,および臨床的寛解の維持が唾液腺分泌能の回復・維持には重要であった.IgG4関連腎臓病では治療前の推算糸球体濾過量が60 ml/分未満の場合,腎機能の回復が不十分であることから,早期の治療介入の有用性が示唆された.自然寛解率が比較的高い自己免疫性膵炎においてもGC治療が有意に再燃を抑制することが示されているが,長期例での膵萎縮,膵石形成などを伴う慢性膵炎への移行が指摘されており,治療方法や治療介入のタイミングについて検討が必要である.IgG4関連疾患は既存の慢性炎症性疾患に比較し,臓器破壊は緩徐であることが想定されるが,病変の持続により線維化の拡大とともに臓器障害が進行することより,GCなどの治療薬の副作用を考慮した上で,可及的早期の治療介入が望ましいと考えられた.
著者
戸倉 規仁 山本 剛 原 邦彦
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.112, no.9, pp.799-806, 1992-09-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
10

Current sensing function is indispensable to modern intelligent power semiconductor devices to detect whether or not a load is driven at a predetermined power level and/or an overcurrent at the time of overload, in order to protect the load and the power device.In this paper, a new current sensing device technology is presented firstly, in which the operation principle is based on detecting voltage drop through a field effect resistance (FER) consisting of mainly channel resistance in DMOSFET. Our new current sensing device consists of DMOS, FER & voltage sensing cell, and lateral MOSFET operated as a temperature compensation resistor in a same chip. The FER-cell has the same structure as DMOS cell, and lateral MOSFET is electrically isolated from substrate by p-n junction. The accuracy of current sensing is within ±2% in a temperature range from -40 to 150°C.The new current sensing device technology which can be integrated easily into power MOSFETs realizes intelligent power MOSFETs with high accurate current sensing and control in a wide temperature range.