著者
小松崎 明 末高 武彦 山田 敏尚 干場 貫二
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.464-472, 1995-07-30
被引用文献数
8

著者は,効果的な学校歯科保健対策を検討する手始めとして,歯科健康診断と事後措置の状況について,全国の小中学校合計1,201校を対象として郵送法を用いて調査検討を行い, 398校から回答を得た。定期歯科健康診断はすべての小中学校で実施され,結果については90%以上の学校で養護教諭が学校歯科医から指示・指導を受けている。またほとんどの学校では結果を児童生徒・保護者に報告し,治療勧告を行っている。なお,市部と郡部では特徴ある大きな差が見られなかった。しかし,健康診断当日に欠席した者を放置している学校も多く特に中学校では50%あり,学校歯科医からの指示・指導を校長では50%近くが,学級担任では50%以上が把握しておらず,疫学的な分析が50%以上で行われていなく,集計結果も学校歯科医に30%以上の学校で報告されていないなど,問題点も多くの学校で認められる。この結果,歯科健康診断等はいまだ多くの学校で義務づけられた保健管理として行っていると見られ,この結果を学校保健が目指す保健教育へ活用し,歯科保健の特性を生かして保健教育と保健管理との調和した学校保健を進めている学校はわずかと考えられる。著者は,保健教育と保健管理とが調和した学校保健活動を求めて,この調査の結果を踏まえ学校内の体制について,また,学校歯科医活動のあり方について若干の方策を提案した。
著者
渡邊 健 小谷 允志 伊藤 真理子 小根山 美鈴 白川 栄美 山田 敏史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.315-322, 2014

ISO 30300は記録のマネジメントシステム(MSR)の国際標準である。われわれは小規模な勉強会を通じてISO 30300の理解と分析を試みた。すでに記録管理の国際標準として浸透しているISO 15489を参照しながら,両者の違い―実務レベルから戦略レベルへ―が具体的にどのように盛り込まれているのかを検証した。ISO 30300ではMSRの原理原則とともに,ますます複雑化する記録管理を効果的・効率的に実践するために,トップマネジメントが率先してMSRを実行することの重要性が述べられている。日本のビジネス界では,いまだに体系的な記録管理に対する理解が深まらない状況にあり,ISO 30300の公式な邦訳版も存在しない。われわれの勉強会では結果的にISO 30300の全文邦訳も完了することができた。今後JIS化を含め,ISO 30300シリーズの普及にかかわりをもっていきたい。
著者
渡邊 健 小谷 允志 伊藤 真理子 小根山 美鈴 白川 栄美 山田 敏史
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.315-322, 2014

ISO 30300は記録のマネジメントシステム(MSR)の国際標準である。われわれは小規模な勉強会を通じてISO 30300の理解と分析を試みた。すでに記録管理の国際標準として浸透しているISO 15489を参照しながら,両者の違い―実務レベルから戦略レベルへ―が具体的にどのように盛り込まれているのかを検証した。ISO 30300ではMSRの原理原則とともに,ますます複雑化する記録管理を効果的・効率的に実践するために,トップマネジメントが率先してMSRを実行することの重要性が述べられている。日本のビジネス界では,いまだに体系的な記録管理に対する理解が深まらない状況にあり,ISO 30300の公式な邦訳版も存在しない。われわれの勉強会では結果的にISO 30300の全文邦訳も完了することができた。今後JIS化を含め,ISO 30300シリーズの普及にかかわりをもっていきたい。
著者
根本 規生 鈴木 浩一 中川 剛 山田 敏行 菅沼 克昭
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.15-18, 2010-11-05

地上用部品の鉛フリー化に伴い、鉛入り部品が枯渇しているため、現在は宇宙機において鉛フリー部品の使用を制限しているが、将来的に使用せざるを得ない状況を想定して準備している。鉛フリー部品に成長するすずウィスカによる短絡故障等のリスクを低減するため、すずウィスカ抑制効果に関する評価を実施している。宇宙環境を想定した熱真空試験におけるウィスカ成長評価を実施し、大気中で熱サイクルにより成長するウィスカと比較するとウィスカの形状が異なることが判明した。熱真空試験で成長したウィスカの方が直線的に成長し、細く長いことが明らかになった。また、宇宙機に適用されているコンフォーマルコーティング材を用いたウィスカ抑制効果の評価では、熱膨張係数差により成長するウィスカは、コンフォーマルコーティングを貫通しないことを確認した。
著者
山田 敏彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.263-269, 2009-10-15

地球温暖化への対策や化石燃料の枯渇問題などから、サスティナブルな低炭素社会構築を目指し、持続再生可能なエネルギー生産のシステム開発が各方面で注目されている。アメリカ合衆国オバマ大統領のグリーン・ニューディール政策をはじめ、各国でその取り組みが開始されている。植物バイオマス資源からバイオ燃料、特にバイオエタノールを製造する技術もその一つである。アメリカ合衆国ではトウモロコシ子実からバイオエタノールを製造するためのプラント建設が、2000年以降急激に拡大し、2007年には25百万kLのエタノールが生産されている。食糧との競合を避ける意味で、セルロース系バイオマス資源が、将来の原料として、にわかに注目を浴びることになった。セルロース系バイオマスには、作物残渣である稲わら、麦わらやトウモロコシ・ストーバー(茎・葉)および木本植物の早生樹(ヤナギ、アカシア、ユーカリなど)があるが、ここでは草本系植物として、イネ科草類、特に、ススキ属植物について言及する。ここでは主に欧米におけるススキ属研究を紹介しながら、バイオ燃料のフィードストック用エネルギー作物としてのススキ属への期待について触れたい。
著者
清水 龍瑩 岡本 大輔 海保 英孝 古川 靖洋 佐藤 和 出村 豊 伊藤 善夫 馬塲 杉夫 清水 馨 山崎 秀雄 山田 敏之 兼坂 晃始
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.69-89, 1994-10-25
被引用文献数
1

企業の活性化,個性化は優れた企業の条件である。企業の活性化とは,企業の全経営過程に好循環が起き,企業内のすべての構成員が新しいことへの挑戦意欲をもやし,創造性を発揮している状態をいう。企業の個性化とは,他社にまねられない強みをたえず強化,拡大していくことである。このうち,企業の活性化については,過去30年間,日本企業について行った実証研究による仮説の構築と検証の繰り返しから,ある程度理論が出来上がってきた。しかしながら,個性化については未だ十分な実証研究が行われていない。そこで今回,「企業の個性化」に焦点を絞って,アンケート調査を行ってみた。我々はまず,個性化指標を作成した。議論の中で,考えうる様々な個性化現象のうち,プラスの太い効果に注目しなければ,意味が消失してしまうことが明らかになった。このような観点で,他社にまねられない幾つかの強みを合成し,指標を作成した。更に,他社にまねられない強みの強化・拡大と業績との関連を考えた。そして"個性化している企業は業績をあげている"という体系仮説を基盤として,個性化を推進する変数(トップマネジメント,人事管理方針,製品開発,主力製品,経営管理方針,財務管理方針)と個性化,業績についての多くの単称仮説を構築し,QAQF(Quantitative Analysis for Qualitative Factors)を用いて分析を試みた。調査の結果,様々な体系仮説の構築が可能になった。たとえば,"大企業では経営者の個性化が企業業績の向上に貢献し,中堅企業では製品の個性化が企業業績の向上に貢献する","現在の日本企業では,技術,市場について個性的な戦略をたて,経営管理を行っている企業は高い業績をあげている"などである。もちろんこれら体系仮説が理論にまでなるには,今後相当期間調査が繰り返され,仮説の構築,検証が必要となるであろう。
著者
上原 景子 金澤 貴之 フーゲンブーム レイモンド 中野 聡子 山田 敏幸
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の主な目的は、聴覚障害児の英語学習促進を支援する手立てとして、英語字幕の呈示方法と授業で使われる英語の視覚化の方法を開発することである。障害者差別解消法の施行を背景とした聴覚障害児支援のあり方と英語教育改革実施を目指す英語教育の変化を視野に、英文を読む際の眼球運動測定の実験や聴覚障害児に聞き取りやすい口頭英語のあり方の実験、小中高の英語の授業の実態把握、聴覚障害をもつ大学生や英語上級者への英語学習経験についての調査を行った。それらの結果に基づいて、「コミュニケーション能力の育成」を目指す新しい英語の授業における聴覚障害児の支援についての提案を行う。
著者
眞田 康治 田村 健一 山田 敏彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.80-85, 2011-07-15

秋季生長に優れる寒地向きオーチャードグラス品種を育成するために,越冬性の異なる4品種を用いて,秋季の休眠性と耐凍性の変化に及ぼす日長の影響を明らかにした。秋季の生長量は,「アキミドリ」が多く「北海28号」が少なかった。低温・24時日長条件下における耐凍性の増大と休眠の深まりは,「北海28号」は低温・自然短日々長下より約2週遅れたが,「アキミドリ」は11月17日までは日長間の差異が小さかった。「北海28号」の秋季休眠と低温馴化は短日に反応して促進されるが,「アキミドリ」は11月上旬までは日長感応性が低いことが明らかとなった。寒地向き品種の秋季生長改良のためには,生育停止までの生長を増やし,11月上旬までの日長感応性を低めて,それ以降速やかに耐凍性を高めるように育種する必要があることが示された。
著者
山田 敏之
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.323-341, 2007-08

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty十川廣國教授退任記念号 = In honour of Professor Hirokuni Sogawa50周年記念論文・退任記念論文本稿は,企業倫理再生の本質をとらえ,従来の企業倫理の制度化や仕組みづくりの限界を示すとともに,企業倫理再生に向けた新たな視点として組織学習の有効性を明らかにすることを目的とするものである。これにより,企業倫理の再生という現象をより厳密に説明するための理論構築の基礎を提示することができるものと期待される。企業の倫理問題は,ステークホルダーからの要請の変化あるいは新たなステークホルダーの出現という形で表面化する社会理念の変化,企業責任に対する社会的合意の水準が企業の理念や価値観と乖離することで生じる。このような乖離を埋め合わせていく作業が企業倫理の再生であり,それには計画的なものと自発的なものとが存在している。再生の有効性の視点からみると,事前に乖離の兆候を発見し,有効な変革行動に移行できる自発的な再生活動の生起ということが重要になる。企業倫理の制度化のアプローチには,①合理性やコントロールへの偏重,②個人の行動や思考の標準化,規格化の促進,③法令や規則遵守の強調,④個人の倫理性の向上を究極の目的としている点,⑤仕組みづくりの目的化といった問題があるため,自発的な再生を生起させるには限界がある。これを回避するには,組織内で自発的な問題発見,原因探索,変革行動が生起されるような倫理自律性を身につけ,個々人の相互作用により支配的な価値観の修正を行い,同時に構造や仕組みの創造プロセスまで遡って批判・検討する組織学習の視点を導入することが重要になる。
著者
土肥 義康 山田 敏規 上野 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.549, pp.17-24, 2000-01-19

シャッフル交換ネットワークとde BruijnネットワークはFFTなどの並列計算に適した構造としてよく知られている.N点から成るシャッフル交換ネットワークとde Bruijnネットワークの2次元VLSIの面積と配線長は, それぞれΘ(N^2 / log^2N)とΘ(N / logN)であることが知られている.本論文では, N点から成るシャッフル交換ネットワークとde Bruijnネットワークが3次元VLSIにO(N^<3 / 2> / log^<1 / 4>N)の面積とO(N^<1 / 2> / log^<1 / 4>N)の配線長でレイアウトできることを示す.
著者
高橋 正道 山田 敏弘 長谷川 卓 安藤 寿男
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

これまでに、2009~2011年の間、5回にわたるモンゴルの白亜紀についての野外調査を行った。主な調査地は、バガヌール、フレンドホ、テブシンゴビ、ツグルグ、シーブオーボ、シネフダク、バヤン、エルヘートなどのウランバートルの東南のゴビ地域である。この調査に参加した人数は、モンゴル古生物学研究所、エール大学、シカゴ植物園、金沢大学、新潟大学のメンバーである。これらの調査によってモンゴルの白亜紀の地層から初めて、3次元的構造を残している小型炭化化石を発見し、被子植物の初期進化と地球環境の変遷解明に有効な手掛かりを得ることができた。分担者の長谷川は,フレンドホ地域のフフテグ層において地質柱状図を作成し,植物化石試料採集露頭周辺についての地質学的な記載を行った。また、シネフダク地域のシネフダク層に関して柱状図を作成の上、採集した試料について有機炭素の同位体比を測定した.その結果,7‰程度の変動があることが明らかになった.この結果は,湖堆積物への植物プランクトン類と高等植物の相対的な含有率の変動を示していると考えられ,湖の成層状態や河川による高等植物遺体の流入量など,気候に関連する要因の変動読み取れることが判ってきた。また、マレー大学のLee教授と筑波大学の久田教授の協力を得て、モンゴルと対比可能なマレーシアで、熱帯地域での白亜紀の地層からの小型炭化化石の探索の可能性を探った。
著者
山田 敏広 山下 武彦 中村 正則 嶋村 浩 山口 東 高谷 昌弘
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.p799-806, 1980-08

In order to obtain more hydrophylic and more potent hemostatics, 2-semicarbazono-1,2-naphthoquinone analogs with or without sulfonic acid or its salts at 4,5,6,7 or 8 position (III and IV) and 4-semicarbazido-1,2-naphthoquinone analogs (V) were prepared and their hemostatic activities and acute toxicities were examined. Among these compounds, more hydrophilic 2-semicarbazono-1,2-naphthoquinone analogs with sulfonic acid group (IIIj and IIIr) as well as less hydrophilic 2-semicarbazono-1,2-naphthoquinones without sulfonic acid group (IVa and IVh) and 4-semicarbazido-1,2-naphthoquinone analogs (Ve) showed the activity comparable to that of 2-semicarbazono-1,2-naphthoquinone (II) or carbazochrome sodium sulfonate (I) in shortening the bleeding time.
著者
丸中 良典 新里 直美 中島 謙一 楠崎 克之 芦原 英司 細木 誠之 宮崎 裕明 山田 敏樹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アルドステロンが、管腔側膜結合型プロテアーゼ発現・活性を亢進させることにより、ENaCの管腔側膜上滞在時間を増大させることを明らかにした。1)アルドステロンの投与の有無により管腔側膜結合型プロテアーゼ(channel activating protease : CAP)の発現が促進されることをウエスタンブロッティング法を用いて確認した。この結果、アルドステロン投与により、CAPの発現および活性とも、増大することが明らかにした。2)上記の結果、アルドステロン投与によりENaCのクリベッジが促進され、リサイクル効率を増大させることを明らかにした。
著者
青木 幹喜 水谷 正大 山田 敏之 石井 昌宏 松崎 友世
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、チーム・エンパワーメントの概念を明らかにするとともに、チーム・エンパワーメントの先行要因やその諸効果を明らかにした。チーム・エンパワーメントは、チームに有意味感や自己決定感、効力感、到達感のある状態のことである。そして、こうした状態に至るには、外部チームリーダーの行動等が関係していることが明らかになった。さらに、チーム・エンパワーメントにより、チームの創造性発揮も促進されることが予測されている。
著者
西田 治文 植村 和彦 栗田 裕司 朝川 毅守 山田 敏弘 植村 和彦 栗田 裕司 朝川 毅守 山田 敏弘 寺田 和雄 矢部 淳 LUIS FELIPE HINOJOSA O. MIGUEL RANCUSI Herrera
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

チリ南部の南緯33度から54度までの地域で、白亜紀後期から中新世の植物化石の採集調査を行い、鉱化ゴミ化石群という新たな概念の化石群集を含む良質の化石植物群を発見した。産出時代決定に当該地域では初めて渦鞭毛藻類による生層序区分を試み、有望な成果を得た。化石の解析から、第三紀初期のフロラが温暖な要素を含み、同時代の南極との植物地理学的関連が確認された。鉱化ゴミ化石の高解像度X線CTという新手法も試みた。