著者
藤社 勉 竹元 伸之 甲斐 敏弘 岡本 秀樹 小西 文雄 山田 茂樹
出版者
自治医科大学
雑誌
自治医科大学医学部紀要 (ISSN:13488198)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.113-117, 2003-12-01

症例は,65歳女性。左側乳房腫瘤を主訴に近医を受診し,乳癌を疑われ精査目的に当センターを受診。来院時,左側乳房AB領域に径3.4cm大の腫瘤を触知した。穿刺吸引細胞診で角化を伴う悪性腫瘍細胞塊を認め,扁平上皮癌と診断し,胸筋温存乳房切除術(Bt+Ax)を施行した。病理組織検査では,扁平上皮癌が主体で,一部乳頭腺管癌も認め,腺癌からの扁平上皮化生によって生じた混合型の乳腺扁平上皮癌と考えられた。ホルモンレセプター(ER,PgR)はともに陰性であった。乳腺扁平上皮癌は,乳癌取扱い規約では特殊型に分類され,その頻度は0.1%前後と比較的稀な疾患とされる。以上の症例に対し,若干の文献的考察を加えて報告する。
著者
原 猛也 山田 裕 青山 善一 杉島 英樹 藤澤 俊郎
出版者
日本付着生物学会
雑誌
Sessile Organisms (ISSN:13424181)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.35-45, 2005-08-28 (Released:2009-10-09)
参考文献数
21
被引用文献数
1

全国の沿岸を北方、中部、南部の3海域に分け、それぞれの海域ごとに1カ所の代表発電所を選定し、取水口、放水口において採集した標本を比較するなどの方法により発電所の冷却水路に取り込まれた動・植物プランクトン、魚卵、稚仔魚に対する取放水系通過の影響を調査した。その結果、1. 植物プランクトンの死亡率は、塩素注入時に大きく約30%であった。2. 動物プランクトンの死亡率は、わずか数%であった。3. 動・植物プランクトンの減耗量は、水路長が長ければ大きく、水温が高ければ大きいが、海域、発電所の構造などによって減耗量の程度は異なる。4. この減耗の主要因は付着生物による捕食と考えられた。この影響は、水路内で受ける他の要因 (機械的、化学的、昇温) による影響に比べ大きい。5. 水路通過時に何らかの影響を受けた動・植物プランクトンは、放水口から放流された後は、速やかに周辺の群と混合して、活性度、生残率、細胞密度、個体数密度は回復した。6. 動・植物プランクトンへの水路通過影響が検出される範囲は、放水口近傍の温排水内に限られた。7. 魚卵、稚仔魚が受ける水路通過による影響は、従来、動・植物プランクトンより大きく、100%死亡するものとして扱われてきたが、放水口から放出されたときの生存率は少なくても30%以上であると推定された。
著者
山田 嘉昭 佐藤 俊雄
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.217-225, 1974-06-01

振動や動的応答の解析では,大次元の固有値問題に直面するのが普通である.この報告では有限要素法の分野で最近新しく開発された2つの有力な固有値解法,すなわちsubspace iteration(またはsimultancous iteration)およびWilkinson-Gupta法について各々の特徴を 従来用いられてきた解法との関連において明らかにする.またsubspace iterationについては,数値実験を通じてその有力なことを実証する.二つの固有値解法により,有限要素法は,また新しい進歩の段階を迎えたものと考えられるのである.
著者
山田 祐子
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-01

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1849号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2004/1/21 ; 早大学位記番号:新3689
著者
山田 弘明
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
no.12, pp.57-65, 2012-03

本稿の取り上げる手紙は,先に出された反論(「某氏からデカルトへの書簡」1641年7月)に対するデカルトの答弁である.論点は反論に沿って14点ある.なかでも,心身関係,生得観念,永遠真理創造説などの話題には,この手紙ならではの議論の発展が読み取れる.その点で貴重な文献である.デカルトは,当初それを『省察』の付録に組み入れるつもりで力を入れて書いており,これは手紙の形式ではあれ一つの論文をなしている.以下では,それらの論点を明らかにしたうえで全文の翻訳を試みる.
著者
長谷見 雄二 山田 常圭 金森 道 李 海峰
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、環境共生建築のひとつの手法として注目されているアトリウム型建築とダブルスキン型建築について、自然換気と煙制御を両立させる技術的可能性を検討した。環境共生や省エネルギーの要求などから、自然換気の活用への期待が高まっているが、火災安全の視点からは、このように自然換気を促進するための開放的な空間構成は、火災時には、煙の流動拡大を引き起こし、全館に人命危険を及ぼすおそれが大きいため、特殊な例を除いてはなかなか普及していない。この実状は、自然換気システムは、今後、必要性を増すと考えられるにも関わらず、それに適した煙制御計画手法が未整備なままであることが、その適用を特殊な条件に限定し、普及や技術的展開を阻んでいることを浮き彫りにするものである。そこで、本研究は、自然換気と煙流動が同一の流体力学的原理-煙突効果に支配されることに注目し、新たな視点から、ソーラーチムニーによる自然換気システムをほぼそのまま煙制御システムとして利用する設計概念を提示して、その有効性・妥当性を模型実験と数値計算により実証した。本システムでは自然換気のシステムを煙制御に対しても用いることになるので、火災時にも機械の力を頼らずに自然換気システムのポリシーを一貫にしたうえ、設備・しくみが煙制御のためだけのものでない分、コスト的に有利になるものという二次的な効用も得られると考えられる。意匠・空間計画に対しては、排煙設備や遮煙シャッターなどが軽減・省略できるという観点では、本システムは有利なものであるといえる。本研究の成果に基づいて、現在の一般的なアトリウム型建築・ダブルスキン型建築に著しい改変を及ぼすことなく、火災安全性能を確保できるため、今後、自然換気を活用した環境共生・省エネルギーと火災安全性の両立を実現させる建築を普及させていくことが期待される。
著者
山田 茂夫 加山 英 徳田 雅史 立野 祐子 相内 聖峰
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-102, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
6

両耳の外耳道に耳垢腺癌が同時発生した1歳,スコティッシュホールドを経験した。肉眼所見として,左外耳道には5 mm径の自壊した出血性暗色丘疹,右には隣接した各3 mm径の暗赤色および黒色丘疹がそれぞれ外耳道開口部内側皮膚のほぼ同位置に観察された。両耳に外耳炎は認められなかった。病理組織学検査では左右ともに耳垢腺が強い異型性と浸潤性を有し,大小の塊状に乳頭状―腺様増殖していた。この結果から,両耳共に丘疹を含むように外耳道皮膚および耳介軟骨を拡大切除した垂直耳道切除術を実施した。術後1年間において再発は認められなかった。
著者
山田 雅子
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2005-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1978号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2005/3/15 ; 早大学位記番号:新3905
著者
山田 浩之
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.308-324, 1992-08-07

The purpose of this article is to clarify the pre-World War II status differences among secondary school teachers through examining their educational background. Secondary school teachers before the War have not been examined in detail. As well, status differences and their influences on professional activity and culture have not yet been clarified. These two topics are discussed. First, changes in teachers' social status and differences in their salary as influenced by educational background are examined. Second, among the graduates of Teikoku-daigaku (Teidai, Imperial Universities) and Koto-Shihan (Koshi, Higher Normal Schools) and others, differences in salary and types of secondary school to which they belonged are analyzed, using Yamaguchi prefecture as a case study. The results may be summarized as follows ; 1) Social status of secondary school teachers before the War was high, and declined until the mid-Taisho era and then rose in the Showa era. It also differed due to their educational background. 2) In Yamaguchi prefecture, the status of graduates of Teidai and Koshi as secondary school teachers was superior to others. And it was supposed that teachers qualified by Bunken (examination by the Department of Education) and graduated from Senmon-Gakko (special schools) were inferior to those graduated from Teidai and Koshi. That is, a hierarchy existed as follows, Teidai, Koshi, Senmon-Gakko and those qualified by Bunken. 3) In particular, graduates of Teidai held dominant positions, and they were superior to those of Koshi in salary and promotion, and more often occupied the positions of principal of prestigious secondary schools, etc. Finally, based on these findings, hierarchical influences on secondary school teachers' life are discussed.
著者
阪井 康友 門間 正彦 山田 哲
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-24, 2007-03

脳卒中運動麻痺の回復機序は,神経系リハビリテーションの中で関心を持たれる課題の一つである。本研究は,運動の学習過程に伴う小脳の賦活状況の把握を目的にした。研究方法は,健常者5名を対象に正弦波の手指トラッキング・タスクを連続6日間行った。そのタスクのデータから正確度を算出し,タスク遂行中にfunctional MRIを用いて大脳皮質と小脳の賦活状態を経時的(1,2,5,6日目)に測定した。結果は,全例において,タスク正確度(運動学習)は徐々に高まる傾向を示した。小脳領域の賦活(横断面積)については2日目で急速に賦活部位は縮小し,6日目まで賦活部位の面積は維持されていた。一方,大脳皮質における感覚,感覚連合,運動,運動前,視覚の領域の賦活状態は,1日目より2日目は賦活部位が収縮しており,手指トラッキング運動の学習過程に大脳皮質とともに小脳の関与も考えられた。
著者
山田 岳晴
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

災害に関連する未刊行の文書の発見・確認により、海と共存する社殿の維持には、突発的な災害対策活動以外にも日常の活動が重要であることが明らかとなった。また、本殿内の玉殿安置形式は事前防災の観点から生じたともいえる。その形式は安芸国に広く分布し、厳島神社を祖型とすることが判明した。さらに、その他類例調査の分析により、施設の維持には災害の許容などの特徴が見出され、厳島神社の伝統的な災害回避と保護機能が明らかとなった。
著者
進藤 裕英 小堀 智之 堀口 勝三 山田 英一 中嶋 秀夫 辻 博史
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.793-798, 1995 (Released:2008-04-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2

This paper discusses fracture toughness and temperature rise for JJ1 austenitic stainless steel forged plate at liquid helium temperature for fusion reactor magnets of next generation. Elastic-plastic fracture toughness (JIC) testing was conducted in general accordance with ASTM standards E813-81 and E813-87, and unloading-compliance technique was applied using compact specimens 25.0 mm and 12.5 mm thick. Thermocouples were used to measure the temperature rise near the crack tip. The effects of specimen size and side-groove on the cryogenic fracture properties of this alloy are examined. Examination of the fracture surface of CT specimens by scanning electron microscopy showed ductile failure by microvoid coalescence. The effect of inclusion on fracture mechanics parameters (JQ, JIC) is also discussed using energy dispersive X-ray analyser.
著者
山田 陽巳
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.964-970, 1997-11-15

Mantle length-body weight relationships of the swordtip squid Photololigo edulis in the East China Sea were studied using samples from 1986 to 1995 bottom trawl surveys. Allometry formulae of the body weight (BW in gram) against the mantle length (ML in mm) of this squid were estimated by using linear analysis as follows, which showed clear differences between both sexes and sizes by AIC values; in males less than 13cm ML, <i>BW</i>=2.7730•10<sup>-4</sup>•<i>ML</i><sup>2.5961</sup>, 13cm and larger, <i>BW</i>=4.1228•10<sup>-3</sup>•<i>ML</i><sup>2.0429</sup>; in females less than 13cm ML, <i>BW</i>=2.0434•10<sup>-4</sup>•<i>ML</i><sup>2.6705</sup>, 13cm and larger, <i>BW</i>=1.2271•10<sup>-3</sup>•<i>ML</i><sup>2.3002</sup>. This squid tended to have a more slender body shape in males, and in larger squids regardless of sex. It is suggested that the difference of development of reproductive organs causes the difference of body shape in sex. Mantle length-body weight relationships of this squid by season were also estimated by dividing each sex into two size groups.