著者
松岡 茂
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-28, 1994-07-25 (Released:2007-09-28)
参考文献数
12
被引用文献数
1

地上で採食しているヒヨドリに人間が接近して行って,ヒヨドリの群れが飛び立ったときの,人間とヒヨドリの群れとの距離(飛び立ち距離:FLD)と群れサイズ(SIZE)との関係を野外で調査した.ヒヨドリの群れサイズが大きくなるにつれ,飛び立ち距離が大きくなった.回帰式は,FLD=6.9×ln(SIZE)+26.1であった.ヒヨドリの群れサイズの増加に伴い,群れの広がり(RD)も増加した.回帰式は,RD=1.3×ln(SIZE)-1.1であった.しかし,飛び立ち距離の増加は,群れの広がりの増加だけでは説明できなかった.1羽のヒヨドリの飛び立ち距離の分布をもとに,もっとも神経質な個体の飛び立ち距離が群れの飛び立ち距離を決定するという仮定で,シミュレーションを行なったところ,回帰式SFLD=3.6×ln(SIZE)+28.2を得た.これは,実際のヒヨドリの飛び立ち距離の回帰式の傾きとは有意に異なっていた.実際の群れの飛び立ち距離とシミュレーションの結果との違いを神経質な個体の行動から考察を行なった,その結果,神経質な個体は,単独あるいは小数羽の群れに出現する頻度が低いという予想を得た.
著者
須田 義大 松岡 茂樹 小川 雅
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.63, no.611, pp.2329-2336, 1997-07-25 (Released:2008-02-26)
参考文献数
8

This paper presents a quantitative evaluation method for seat arrangements in commuter railway cars. The purpose of the study is to evaluate seat arrangements based on passenger comfort and accessibility, which are important during train operation. To determine the unknown parameters in the function, experimental examination was done. A full-scale mockup with variable seat arrangements was manufactured. It was modeled on a 20 m-long car with four or six doors per side, because a choice of the door arrangement is one of the main parameters. Using this mockup, comfort and accessibility were measured for ten types of seat arrangements. The results of the proposed evaluation functions using computer simulations agreed with measured experimental results. Applying the evaluation method to several seat arrangements, it is found that the most suitable seat arrangement depends on the average boarding time of passengers. From the evaluated results, suitable seat arrangements for commuter trains are discussed.
著者
廣岡 茂樹 外田 洋孝 小林 夕里子 折田 博之
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.71-77, 2013-02-25 (Released:2013-02-27)
参考文献数
34

●要 約:原発性鎖骨下静脈血栓症(Paget-Schroetter症候群)は静脈性胸郭出口症候群および特発性鎖骨下静脈血栓からなり,アルゴリズムに従った治療法が普及しつつある.3例の原発性鎖骨下静脈血栓症を保存的(血栓溶解療法,抗凝固療法)に治療し,1例は良好な鎖骨下静脈の開存を得ることができ,1例は狭窄を残したものの再開通を得ることができた.1例は鎖骨下静脈に閉塞を認めたが,豊富な側副血行路の発達を認めた.3例とも症状は完全に消失し社会復帰を果たした.本邦論文報告86例の中で,治療後の開存性の記載のある42例に関し検討し,本邦の治療の現状を概観するとともに,当院の治療方針を構築したので報告する.
著者
山下 哲史 千代延 友裕 吉田 路子 諸戸 雅治 森田 高史 森岡 茂己 加藤 光広 才津 浩智 森本 昌史 細井 創
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.64-66, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
10

STXBP1変異による大田原症候群の1例を経験した. 新生児期に部分発作で発症し, 生後1カ月よりepileptic spasmsが出現した. その後, 種々の抗てんかん薬およびACTH療法に対して難治に経過したにもかかわらず, 生後8カ月より開始したlevetiracetam (LEV) が著効した. STXBP1変異がもたらすてんかんの病態とLEVの作用機序を考察する上で示唆に富む症例と考えられたため報告する. 一方で, 発作が抑制されたにもかかわらず痙性を伴う重度の発達遅滞を呈しており, STXBP1のハプロ不全はてんかんのみならず, 神経機能に重大な障害を引き起こすことが示唆される.
著者
平岡 茂夫 宮本 一伸 富松 潔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2520-2527, 2003-11-15
参考文献数
14
被引用文献数
8

Behind Touchは,携帯電話やPDAなどの携帯端末を対象とした入力デバイスおよび画面インタフェースである.携帯電話は,携帯性が重要視されるため,機器の大きさには限界がある.提案するデバイスは,携帯電話の液晶ディスプレイを大型化することを目的に,本体表面から12キーを廃し背面に位置させる.しかし,背面のキーは,ボタンを直接視覚で確認しながら操作することができない.本研究は,この背面キー操作を触覚デバイスと指の位置をディスプレイに表示することによって,高速で分かりやすく,直接的な操作が可能となる手法を実現した.Behind Touchは,背面キーに触れることでディスプレイに表示されたボタンを選択し,そのままの指の位置で背面キーを押すことで実行操作を行う.PDAやウエアラブルコンピュータ,または家電機器のリモコンなど表示ディスプレイが操作部と離れている場合でも,小型な入力デバイスで快適な文字入力などの様々な操作を提供することが可能となる.Behind Touch are input device and GUI for mobile medias like as mobile phones or PDA. Mobile phones have a limit in size, because portability is significant condition for them. In the proposed device, 12 keys are not arranged on the top but on the backside of mobile phone, in order to enlarge the liquid crystal display. However we cannot look the keys on backside to confirm their position when we operate. This research realizes a method to operate directly and speedily by interface which can help the operation of keys on backside by tactile sense device and Behind Touch's GUI of showing users' finger position. In Behind Touch, we select the button showing on display by touching the keys on backside and operate by pushing them. Behind Touch can offer comfortable text inputting or various operations with small-sized input device not only for PDA, wearable computer, but also remote controls of home electric appliances which their display are positioned away from the operating point.
著者
斎藤 綾乃 鈴木 浩明 藤浪 浩平 村越 暁子 松岡 茂樹 平井 俊江 斉藤 和彦 西垣 昌司
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.231-240, 2008-08-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
21
被引用文献数
2 3

列車の振動環境下における適切な縦手すりと吊り手の径を検討した. 79名の被験者を, 59歳以下 (非高齢群) と60歳以上 (高齢群) に分けた. 縦手すりの径5水準, 滑り止め加工3種類, 吊り手の径6水準を評価した. 縦手すりの使いやすい径はステンレス (SUS) では28~38mm程度であり, 滑り止め加工の場合は40mmも使いやすいと評価された. 使いやすい径は, 年齢による大きな違いはみられず, 手のサイズ (握り内径) による違いがみられた. 吊り手の使いやすい径は18~29mm程度で25mmが最良であり, 縦手すりより細かった.
著者
小沼 憲祥 池田 太郎 杉藤 公信 石岡 茂樹 井上 幹也 萩原 紀嗣 越永 従道
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.71-75, 2014-02-20 (Released:2014-02-20)
参考文献数
24

小児腸間膜裂孔ヘルニアは,腸閉塞の原因として稀である.我々は,絞扼性イレウスを伴った小児腸間膜裂孔ヘルニアの1 例を経験した.症例は,2 歳の女児.腸閉塞の診断で当院へ紹介となった.腹部超音波検査とCT 検査にて腸内容の貯留を伴った小腸の拡張と腹水を認めた.絞扼性イレウスの診断で緊急開腹術を施行した.小腸間膜に1×2 cm の欠損孔を認め,欠損孔に130 cm にわたる回腸末端が入り込み壊死していた.小腸壊死部を切除し,欠損孔を修復した.小児腸間膜裂孔ヘルニアについて,文献的考察を含めて報告する.
著者
土方 浩平 細田 利史 石岡 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.1141-1145, 2021-12-20 (Released:2021-12-20)
参考文献数
9

作為症/虚偽性障害(いわゆるミュンヒハウゼン症候群)は身体症状を意図的に捏造する疾患であり,小児では稀である.今回,我々は上部消化管出血との鑑別を要した作為症/虚偽性障害の1小児例を経験したので報告する.症例は13歳女児で,黒色便の訴えがあり当院を受診し,上部消化管出血を疑い上部消化管内視鏡検査,腹部造影CT,メッケル憩室シンチグラフィが行われたが,異常所見を認めなかった.外来経過観察中に吐血の訴えがあり,入院の上で上部消化管内視鏡検査,鼻咽頭内視鏡検査を行ったが異常所見を認めなかった.入院中に,患児が持参したシリンジで末梢静脈輸液路から血液を採取しているところを巡回中の看護師により目撃され,作為症/虚偽性障害と診断された.精査でも原因が明らかにならない身体症状を呈する症例では,作為症/虚偽性障害も鑑別に挙げて診療を行う必要があると考えられた.
著者
石水 毅 乗岡 茂巳 中西 テツ 崎山 文夫
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.35-38, 1998-01-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

ニホンナシの優れた栽培品種の一つである'豊水'のS遺伝子型は, 長年の交配実験によっても決定されていない.ニホンナシ花柱由来の7種類のS遺伝子産物(S1-RNaseからS7-RNase)を二次元電気泳動により分離・同定する系をすでに確立したので, この系を用いて'豊水'のS遺伝子型の決定を試みた.花柱タンパク質抽出液を一次元目が非平衡等電点電気泳動(NEPHGE), 二次元目がSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)からなる二次元電気泳動に供したところ, S3a, S3b, S5a, S5b-RNase(aとbは糖鎖の不均一性により分離したと考えられている)と同じ位置にそれぞれタンパク質スポットが検出された.これらのタンパク質をPVDF膜に電気転写し, 気相シーケンサーにより分析したところ, 4種類のタンパク質のN末端アミノ酸配列はすべて同じ(YDYFQFTQQY)で, S3-およびS5-RNaseのN末端アミノ酸配列と一致した(S3-RNaseとS5-RNaseのN末端アミノ酸配列は同じである).以上の結果より, '豊水'のS遺伝子型はS3S5であると推測した.
著者
川路 則友 東條 一史 松岡 茂 高野 肇 北原 英治
出版者
森林総合研究所
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.271-350, 2003 (Released:2011-03-05)

森林総合研究所に所蔵してある数多くの鳥獣類標本のうち、仮剥製鳥類標本4,790点について、リストを作成、公表する。これら標本は、おもに1920年代から1930年代にかけて、当時の農林省鳥獣調査室によって収集されたものである。標本には、おもに渡り期に全国の灯台から収集された衝死鳥や千島列島からの収集品などが含まれる。
著者
廣岡 茂樹 外田 洋孝 折田 博之
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.7-11, 2012-02-25 (Released:2012-02-28)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

2011年3月11日午後2時46分にマグニチュード9.0の巨大地震が三陸沖で発生し,その数分後には巨大津波が東日本を襲い甚大な被害をもたらした.翌日には福島第一原子力発電所で爆発事故が起こり,多数の被災者が山形県に避難して来た.われわれは震災発生後9日,10日に避難者に対し,山形市の落合スポーツセンターの避難所において下肢静脈エコーによる急性期深部静脈血栓症のスクリーニング検査を行った.男性24名,女性99名の計123名中女性14名(11.4%)に深部静脈血栓症を発見した.血栓陽性者の平均年齢は75.4±12.8歳,陰性者は59.0±13.6歳,車中泊経験者27名中3名(11%),歩行困難者25名中9名(36%)に血栓を認めた.合わせて深部静脈血栓症予防の避難生活指導および弾性ストッキングの配布を行ったので報告する.
著者
中岡 茂
出版者
日本森林技術協会
雑誌
森林技術 (ISSN:1349452X)
巻号頁・発行日
no.752, pp.2-6, 2004-11
被引用文献数
1 1
著者
安岡 茂和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPM, 電子部品・材料 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.563, pp.21-24, 2007-03-02

ニッケル水素電池の自己放電のメカニズムを検討した結果、負極から溶解したCoやMnを含む化合物のセパレータや正極への析出物や窒素化合物等によるシャトル効果等による正極の還元が原因であることを見い出した。負極としてCoやMnを含まない超格子水素吸蔵合金を用いることによりセパレータ上の析出物を抑えて自己放電を抑制することができた。この知見を基に自己放電の改良を行った結果、我々は、次世代のニッケル水素電池"eneloop"の開発に成功した(Fig.1)。"eneloop"は優れた自己放電特性に加えて、1000回繰り返し使うことができる。
著者
吉田 達彦 豊田 正夫 菅 由紀子 高岡 茂 橋本 敏弘 浅川 義範
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.38, pp.397-402, 1996-09-02

Liverworts (Hepaticae) are known to be rich sources of both terpenoids and aromatic compounds with biological activities. The Hepaticae occasionally produce their own peculiar phenolic bis(bibenzyl) derivatives. In the course of our systematic investigation of the chemical constituents of liverworts belonging to the Blasiaceae, we isolated four novel cyclic bis(bibenzyl) dimers, pusilatins A-D (1-4) and two depsides (16, 17) together with nine phenolic compounds (5, 6, 9-15) from Blasia pusilla L. and a novel optically active cyclic bibenzyl-dihydrophenanthrene derivative.(+)-cavicularin (18) from Cavicularia densa Steph. Their structures were characterized by a combination of spectroscopy, X-ray crtstallogarphic analysis and chemical evidences. Further investigation of the phenolic constituents of the thallic liverworts, we isolated a new cyclic bis(bibenzyl) dimer, pusilatin E (8) from Riccardia multifida (L.) S. Gray subsp. decrescens (Steph.) Furuki which was easily derived from riccardin A (7) by coupling reaction using Mn(OAc)_3 ・2H_2O. Previously, we isolated pusilatin D from B. pusilla and proposed the structure (4b) linked by ether C12-O-C1''' bond on the basis of comparison of the ^<13>C NMR data of its acetate with those of the related acethyl compounds. However, the structure (4b) was revised to 4a possessing C10'-O-C11" linkage on the basis of the HMBC analysis. (+)-Cavicularin (18) might be formed by intramolecular phenolic oxidative coupling between 3' and 10' position of riccardin C. On the other hand, riccardin C dimers, pusilatins A-D (1-4) might be biosynthesized by intermolecular coupling between two molecules of riccardin C. These bibenzyl derivatives are significant chemical markers of the Blasiaceae. Pusilatins B (2) and C (3) showed DNA polymerase β inhibitory activity.