著者
高木 志郎 吉田 雄紀 岡田 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

Batch Normalizationはニューラルネットワークの学習を高速化,安定化させ,汎化性能を向上させる方法として知られている.しかし,その知名度に比してBatch Normalizationがニューラルネットワークの学習ダイナミクスに与える影響についての理解は依然として不十分である.近年この問題に取り組むいくつかの研究が出てきているが,Batch Normalizationつきニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した研究はほとんどない.学習ダイナミクスを導出することはBatch Normalizationが学習にどのような影響を与えているかについて理解する上で重要であるため,我々は統計力学的な手法を用いた先行研究を頼りに,Batch Normalizationつき3層ニューラルネットワークの学習ダイナミクスを解析的に導出した.具体的には,Batch Normalizationありのニューラルネットワークについて,系の大域的な挙動を表すオーダーパラメータの微分方程式を導出した.
著者
小島 千枝子 横地 健治 岡田 真人
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.225-234, 1983

特異な経過をとった言語発達遅滞の1例を報告した.症例は9歳男児.妊娠, 分娩, 新生児期著変なし, 運動発達は正常.幼児期前半は言語理解, 表出ともになく, 対人関係の孤立, 行動異常をあわせ持つ重度精神遅滞児の病像であった.理解は, 視覚的理解が聴覚的理解に先行して得られ, 対人関係の孤立も消失してきた.5歳10ヵ月の初診時, 発語失行が認められ, 構音訓練を中心とした言語指導を開始し, 急速な発語数の増大, さらに知的機能の上昇が得られた.8歳4カ月時にはIQ (WISC) は104となり, 現在は行動上の問題もないが, なお軽微な発語失行と失文法の問題は残されている.これらの言語, 知能を構成する各種高次機能の不均一な成熟の遅れによってもたらされた, 特異な臨床表現であろうと考えられた.
著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
岡田 真幸 鵜山 淳 岡村 有祐 三宅 茂 寺薗 貴浩 山本 一宏 髙石 吉將 近藤 威
出版者
医学書院
雑誌
Neurological Surgery 脳神経外科 (ISSN:03012603)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.799-804, 2019-07-10

Ⅰ.はじめに 頚部の外傷が原因で動脈解離や動脈瘤形成などの血管損傷を来すことはよく知られている5,14,22,27).内頚動脈系・椎骨動脈系の損傷は脳虚血症状を引き起こすため,脳神経外科医が治療を担うことが多い.外頚動脈の動脈瘤形成の多くは仮性動脈瘤であり,脳への血行動態に影響を及ぼさず,有痛性(ときには無痛性)の腫瘤で発症し,出血破綻の程度によっては出血性ショックや気道閉塞に至る15,24,25).過去には,原因不明の頚部腫瘤としてドレナージや生検を試みて大出血を来したことが報告されている20,21).一方で,特発性とされるものの中に出血のない真性の動脈瘤も含まれているようで,長期間経過観察のみで何ら病状の進行がなかったとの報告2,11)も散見され,症状が進行性であるかどうかを見極める必要がある. 形成外科,耳鼻科,血管外科などで治療されることが多いが,アテローム性頚部頚動脈疾患を治療する機会の多い脳神経外科医にとっては日常よく経験している手術領域であり,直達術あるいは血管内治療のどちらの治療法にも熟達していることにより,症例ごとに適切な治療の選択が可能である.今回われわれは,脳神経外科医にとっては遭遇する機会の少ない,頚部外頚動脈仮性動脈瘤を直達術にて治療したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
渡辺 匠 岡田 真波 酒井 真帆 池谷 光司 唐沢 かおり
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.59-65, 2013 (Released:2013-06-29)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

There were two primary purpose of this study. One major purpose was to test the effects of disbelief in free will on self-control and the other purpose was to examine whether free will beliefs affect causal attribution of success and failure. Although a great deal of effort has been made on the definition or existence of free will, only few attempts have so far been made at how people's belief in free will influences subsequent judgment and behavior. As an example of such attempts, Rigoni, Wilquin, Brass, and Burle (2013) found that induced disbelief in free will weakens people's motivation of self-control, which suggests dismissing free will leads people to rely on more automatic and impulsive actions. On the basis of this earlier research, the authors intended to confirm the phenomenon that disbelief in free will reduces motivation of self-control. Furthermore, we investigated the processes of causal attribution by belief in free will since they are thought to be associated with both free will beliefs and self-control. Fifty-two undergraduates participated in the study and they were randomly assigned to one of the three conditions (free will, determinism, or control). After free will manipulation, participants completed the Stroop task, whose performance reflects motivation to self-control. Finally, participants received false feedback of success or failure in the Stroop task and they answered attributional questionnaire. The results did not confirm our hypothesis regarding self-control: Participants who were induced to disbelieve in free will performed equally well in the Stroop task as other conditions. However, causal attribution was linked with manipulation of disbelief in free will: Participants who were induced to disbelieve in free will showed less self-effacing bias in task attribution. The findings are suggestive that free will beliefs alter causal attribution processes, which in turn affect a person's social judgment and behavior.
著者
大谷 弘樹 岡田 真典 小林 成行 久保 雅俊 宇高 徹総 白川 和豊
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.843-846, 2010-09-30 (Released:2010-11-09)
参考文献数
13

症例は,75歳,女性。約30年前に胆石症にて開腹手術を施行。約20年前より腹壁瘢痕ヘルニアがみられていたが放置しており,徐々に巨大化していった。数年前頃から食後に嘔吐をくりかえしていたが,今回は症状の改善がみられずイレウスと診断され当院紹介入院となった。来院時,BMI 37.3kg/m2と高度肥満であり,腹部には巨大な腹壁ヘルニアを認めた。腹部CT検査では,12×12cm大のヘルニア門がみられ,拡張した胃や小腸の大半がヘルニア嚢内に脱出していた。保存的治療にてイレウスが改善した後,Composix Kugel Patch XLを用いて腹壁瘢痕ヘルニア根治術を施行した。術後は集中治療を行い腹部コンパートメント症候群による呼吸機能障害や循環器障害などを発症することなく良好に経過した。
著者
高橋 光太郎 柏原 健之朗 五十嵐 康彦 馬場 俊孝 堀 高峰 岡田 真人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4K3J1304, 2019 (Released:2019-06-01)

津波による被害を抑えるために,水圧計を使用した津波高即時予測システムは世界中で使われている. 津波の高さは,基本的に伝播中の地形(海底地形)に依存するため,予測には沿岸付近で観測された圧力計の値と海岸近くの予測点での津波の高さの間の相関関係を利用する. 津波高の予測には,被害を最小限に抑えるために予測精度と過小評価を避けることの両方が重要になっている. 従来の方法は,1506の地震シナリオから観測された水圧計の値に幅を持たせその中で最大の津波高を予測値としている.しかし,過小評価を避けるために実際の津波高に比べて大きく予測され,精度の低い手法となっている. 本研究では,ガウス過程回帰を用いた津波高予測手法を拡張し,過小評価が少なく精度の高い予測手法を提案した.また,従来法と提案法において,南海トラフの震・津波観測監視システム(DONET1)の圧力計データを用いて津波高を予測する検証を行い,予測精度と過小評価率の比較を行なった.
著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.225-236, 2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
吉塚 武治 庄野 逸 宮本 弘之 岡田 真人 福島 邦彦
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.266-272, 2007-12-05 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

It is known that the object recognition is processed in the ventral pathway of the visual system in humans and monkeys. The neocognitron that was proposed by Fukushima is a hierarchical neural network model for pattern recognition. In this paper, we show that the neocognitron can be regarded as a proper biological model of the ventral pathway. From the biological point of view, the model of the ventral pathway should satisfy the following conditions. The model should be hierarchical, the synaptic connections should spread locally, and each component in the hierarchy should be homogeneous. The network architecture of the neocognitron satisfies these conditions. Thus, we investigate the functional similarity between the neocognitron and the ventral pathway. We compared the response property of the neocognitron with that of IT cells. On comparing our results with those obtained by Logothetis et al., we found that the result were very similar qualitatively. Thus, we conclude that the neocognitron is a proper model for the ventral pathway.
著者
小西 文雄 古田 一裕 斉藤 幸夫 片岡 孝 柏木 宏 岡田 真樹 金澤 暁太郎 菅原 正 篠原 直宏
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.789-796, 1994 (Released:2011-06-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1

直腸癌に対する術前放射線化学治療において, 温熱療法を加えることによる腫瘍壊死効果の増強について検討した.A群 (18例) では放射線温熱化学併用治療を, B群 (18例) では放射線化学治療を施行した.放射線照射は総量40.5Gy, Whole Pelvisの照射野で施行した.温熱療法は, 8MHzRadiofrequencyを用いて1回50分計5回施行した.また, 5-nuorouracil坐薬1日200mg計3,400mgを投与した.治療前後で施行した下部消化管注腸造影における腫瘍の縮小率の平均値は, A群では31.8%, B群では18.2%であり, A群において有意に縮小率が高かった.切除標本の病理組織学的所見における治療効果を, 胃癌取扱い規約の規準に従って評価した結果, A群ではB群と比較して有意により高度な腫瘍の変性や壊死が認められた.以上より, 温熱療法を併用することによって治療効果が増強されることが示され, 放射線温熱化学併用治療は直腸癌の術前治療法として有用であろうと考えられた.
著者
岡田 真衣 角田 友紀 蛭間 基夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101831-48101831, 2013

【はじめに】2000年に施行した介護保険により要介護認定者を対象とした住宅改修が全国で統一的に受給できるようになった.しかし,一方で改修内容は6項目に限定されており, 多様なニーズに対応するため,基礎自治体による費用支援制度の整備が求められる.ただし,この自治体による費用支援制度の実態調査は人口規模の大きい市区に限定され,町村を対象とするものは少ない.また,自治体による費用支援制度の実態調査は建築分野における報告は多いものの,理学療法士をはじめとする医療技術者による報告は少ない.【目的】本報告では自治体による費用支援制度の整備状況を把握することを目的として,関東甲信越地方を対象として調査を実施した.【方法】対象は関東甲信越地方1都9県の全452市区町村で,質問紙によるアンケートを実施した.調査票の配布,回収は郵送またはFAXで行った.全452自治体のうち263自治体(有効回収率58.3%)から回答を得た.回答が得られた自治体のデータは住宅改修に要した費用の助成及び融資制度について,市区(158自治体)と町村(105自治体)に分け,クロス集計を用いて分析した.調査期間は2012年4月7日から2週間であった.【倫理的配慮,説明と同意】自治体に対して調査票とは別に研究の目的,方法及び個人情報の取り扱い等を記した書面を同封し,返信をもって研究参加に同意があるとして調査を行った.【結果】(1)制度の整備状況:市区,町村とも「助成制度あり」の割合が最も高く,整備率は市区88.6%(140自治体),町村74.3%(78自治体)である.また,「融資制度あり」の整備率は市区24.1%(38自治体),町村1.9%(2自治体)である.「両制度あり」の割合は市区21.5%(34自治体),町村1.9%(2自治体)である.また,いずれの制度も整備されていない割合は,市区8.9%(14自治体),町村25.7%(27自治体)である.(2)助成制度の整備数:各市区町村における助成制度の整備数は,「1制度のみ」の割合が最も高く,市区77.9%(109自治体),町村85.0%(68自治体)である.「複数制度あり」は市区22.1%(31自治体),町村15.0%(12自治体)である.(3)助成制度の制限内容:制度の利用対象者は「障害のある者」とする割合が最も高く,市区69.6%(190助成制度),町村70.5%(93助成制度)である.障害の程度に関する規定は「障害者手帳」による割合が高く,市区56.8%(108助成制度),町村61.3%(57助成制度)であり,次いで「要介護認定」による割合が高く,市区43.2%(82助成制度),町村38.7%(36助成制度)である.年齢による規定では,年齢による「規定なし」とする割合が高く,市区53.8%(147助成制度),町村61.4%(81助成制度)である.年齢制限を設けている場合には「65歳以上」とする規定が最も高く,市区86.5%(109助成制度),町村82.4%(42助成制度)である.(4)融資制度の整備数:融資制度は町村の整備数が少ないため,以下市区と同時に記載する.市区町村における融資制度の整備制度数は,「1制度のみ」の割合が最も高く,87.5%(35自治体)である.「複数制度あり」は12.5%(5自治体)である.(5)融資制度の制限内容:制度の利用対象者は,障害による「規定なし」とする割合が高く, 80.4%(37融資制度)である.「障害のある者」とする割合は,41.3%(19融資制度)である.障害の程度に関する規定は「障害者手帳」による割合が高く,73.7%(14融資制度)であり,次いで「要介護認定」による割合が高く,21.1%(4融資制度)である.年齢による規定では,年齢による「規定なし」とする割合が高く,73.9%(34融資制度)である.年齢制限を設けている場合には「65歳以上」とする規定が最も高く,92.3%(24融資制度)である.【考察】本調査では人口規模に関係なく市区及び町村において,助成制度の整備が同水準で進んでいるが,融資制度では整備率が市区に対して町村が低い傾向にあった.つまり,現在の我が国の自治体による住宅改修の費用支援が助成制度を中心としていることが明らかになった.様々なニーズを有する利用者に対応するためには,複数の制度が整備されることが望ましい.しかし,支援額が高額になる融資制度は,人口規模が小さく財源が限られる町村では整備が難しいと考えられる.また,利用者にとっても返済する義務があるため,経済的負担が大きく,利用が難しい制度である.助成制度の内容を検討すると制度利用者に関しては何らかの障害を有する65歳以上の者を対象としているものが多い.これは介護保険による住宅改修と対象者が重複するものであり,これは介護保険では対応しきれない利用者のニーズを補足する制度となる可能性もあるが,本調査では各制度の具体的な内容について明らかにできていない.従って,各制度の内容を調査し,介護保険との関連性について検討する必要性が示された.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から,住宅改修において重要な役割を有する理学療法士に対して自治体による費用支援制度の啓発の契機となり,今後の制度の利用促進に貢献する可能性がある.
著者
市川 寛子 川端 大貴 五十嵐 康彦 永田 賢二 永福 智志 田村 了以 岡田 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

我々は識別問題に対して,N個の入力変数からK個選んだすべての変数の組み合わせに対して,クロスバリデーションエラー(CVE) を計算し,その分布を求めるK-スパース全状態探索をもちいた変数選択法を提案した.本研究では,この手法の数理的な性質を研究するために,実データ解析だけでなく,仮想計測実験(VMA)を用いて,この手法の数理的な性質を調べた結果を報告する.
著者
岡田 真人
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

近年,統計学,機械学習,パターン認識,信号処理,通信工学, 計測工学といった幅広い分野で,高次元データのスパース性に 注目したスパースモデリングの方法論が提案されている. 本講演では,生命・脳科学,医工学,地球惑星科学・天文学などの 幅広い分野に関して普遍的な,スパースモデリングによる データ駆動型科学の可能性について議論する.