著者
山下 満智子 川島 隆太 三原 幸枝 藤阪 郁子 高倉 美香
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.134-139, 2007 (Released:2007-11-07)
参考文献数
21
被引用文献数
2

本研究では「調理習慣によって前頭前野機能が向上すること」を実証することを目的として実験を行った。  実験方法として, 生活介入法を採用し, 59~81歳 (平均68.5歳) の定年退職後の男性21名に対して, 料理講習会と家庭での調理 (週5回以上, 15分から30分間) を組み合わせ3ヵ月にわたり調理習慣導入の生活介入を行い, 介入前後に脳機能検査を実施した。これらの脳機能検査の得点の比較により, 調理の生活介入によって前頭前野機能が向上することを実証する。  脳機能検査 : 前頭前野機能検査2種 (FAB, ストループ), 思考力機能検査 (トポロジー), 総合的作業力検査 (符号合わせ), 認知機能検査 (ミニメンタルテスト) を面接法にて生活介入の前後に実施した。  FAB, トポロジー, 符号合わせの各検査で得点が有意に向上し, 調理習慣によって前頭前野機能が向上することが実証された。  調理を習慣にすることが, 前頭前野を鍛え, その働きであるコミュニケーションや身辺自立, 行動の抑制, 感情の制御など社会生活に必要な能力の向上もしくは低下を防ぐ可能性が示唆された。
著者
次田 章 福島 隆司 水口 昭憲 永澤 久直
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.685-691, 1988

均一沈殿法により, TiO<SUB>2</SUB>水和物とAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>水和物を雲母粉体表面上に沈着させ, これを焼成することによって, TiO<SUB>2</SUB>-Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>二層被覆雲母を調製する方法を開発した。雲母表面上に第一層としてTiO<SUB>2</SUB>層が, また第二層としてAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>層が積層沈着していることを, 反応過程の解析およびESCAによる表面分析により確認した。<BR>変角分光光度計を試作し, 調製した粉体の光学特性を測定した結果, 被覆物質 (TiO<SUB>2</SUB>+Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>) 中のAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>比率が少ないとき, 鏡面反射方向を中心とする反射強度が大きく, かつ反射光は青紫系の色彩を示すことがわかった。一方, Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>比率が50%以上では, 全受光角範囲で反射強度が減少し, かつ反射光は無彩色に近づき, 自然な艶感を与える外観となった。<BR>TiO<SUB>2</SUB>-Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>二層被覆雲母は, 雲母に比べて白色度が高く, かつオイルに濡れることによる色変化 (色くすみ) も少なかった。<BR>これらにより, TiO<SUB>2</SUB>-Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>二層被覆雲母はAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>比率50%以上において化粧品用体質顔料に適した光学的特性を示すことがわかった。
著者
寺島 隆史
出版者
信濃史学会
雑誌
信濃 〔第3次〕 (ISSN:02886987)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.115-128, 2008-02
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-43, 2012-03-26 (Released:2012-06-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.総合的芸術作品である映画と演劇の批評文を対象として,抽出対象を人名と作品名に絞り分析を行った.結果として頻度分析とネットワーク分析で批評における人物の重要性やグループの傾向,他分野との関わりの相違が明らかとなった.またスタッフのデータベースの利用により,語られる固有名詞の批評文中での意味と機能の傾向が抽出された.
著者
柴田 弘文 SAXONHOUSE G DENOON David INTLIGATOR M DRYSDALE Pet 韓 昇洙 PANAGARIYA A MCGUIRE Mart 井堀 利宏 猪木 武徳 福島 隆司 高木 信二 舛添 要一 八田 達夫 安場 保吉 佐藤 英夫 PANAGARIYA Arvind CHEW Soo Hong HON Sue Soo
出版者
大阪大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

安全保障問題の近年の急変転は目をみはるものがある。当国際学術研究の第1年目は東西冷戦下で資本主義と社会主義の二大陣営の対立から生まれる安全保障上の緊張とそれを突き崩そうとする潜在的な両陣間の貿易拡大の欲求が共存するもとでの安全と貿易の関係を探るべくスタ-トした。ところが第2年目には、ベルリンの壁の崩壊と共に東西の対立が氷解し、自由貿易の可能性が拡大して、もはや安全保障に対する考慮は必要なく、この研究課題も過去のものになったかとさえ見えた。しかし、東西の対立の氷解が直ちに全ての対立の霧散に向かうものではなかった。民族間の局地的対立はかえって激化し、更に貿易でなく直接支配によって原油資源を確保しようとする試みは湾岸戦争を引き起こした。世界の政治の経済の根本問題が貿易と安全保障の問題と深く関わっていることを最近の歴史は如実に物語っている。本研究課題が世界経済の平和的発展の為の中心的課題であることが再度認識された。しかし貿易と安全保障の相互関係の分析に正面から取り組んだ研究は少ない。分析のパラダイムがまた確立されていないことにその理由がある。従って当研究では基礎的分析手法の開発を主目的の一つとした。先づ第一に柴田弘文とマックガイヤ-の共同研究は安全保障支出によって平和が維持される効果が確率変数で与えられるとして、安全保障支出がもたらす一国の厚生の拡大を国民所得の平時と有事を通じての「期待値」の増大として捉えて経済モデルを開発した。このモデルは例えば国内産業保護策と、安全保障支出は代替関係にあることを示唆することによって、貿易と安全保障の相互依存関係の理論的分析の基礎を提供することになった。柴田は更に備蓄手段の大幅な進歩から有事に当たっての生活水準の維持のためには全ての国内産業を常時維持することよりも安価な外国商品を輸入し、有事に備えて備蓄することの方が、効率的である点に注目して、安全保障費支出、国内産業保護、備蓄の三者の相互関係を明らかにする理論を構築した。更に柴田はパナガリヤと共同研究を行い、貿易と安全保障支出及びそれらが二敵対国の国民厚生に及ぼす効果を説明する理論を構成した。井堀は米国の防衛支出のもたらす日本へのスピルオ-バ-効果の日米経済に及ぼす影響についてのマクロ経済学的分析を行った。安場は東南アジア諸国の経済発展がアジア地域の安全保障に与える効果を研究した。佐藤は貿易と安全保障が日米の政治関係に及ぼす効果を国際政治学的に分析した。オ-ストラリヤのドライスデ-ルは近年の日本の経済力の著しい増加が太平洋地区にもたらす効果を分析した。八田はチュ-の協力を得て安全保障のシャド-プライズについての数学的理論を構築した。第2年目に基本理論の深化を主に行った。パナガリアは1990年9月に再び渡日して柴田と論文「Defense Expendtures.International Trade and Welfare」を完成した。更にチュ-ス-ホングは8月に来日し、柴田と共同研究を行い「Demand for Security」と題する共同論文の執筆を開始した。本研究の研究協力者である岡村誠は農業問題と安全保障の関係の分析を行って論文を執筆した。第3年目には理論の応用面への拡張に努力した。猪木は国の有限な人的資源を民需から軍需活動に移転することから起こる経済成長への負の効果と、軍関係機関での教育がもたらす人的資源の高度化から生まれる正の効果を比較する研究を行なった。井堀利宏は貿易関係にある二国間の安全保障支出を如何に調整するかの問題について理論的分析を行い論文を完成した。この三ヶ年に亘る日米豪の研究者による共同研究の結果、今まで国際経済学者によって無視され勝ちであった安全保障と貿易の相互維持関係を分析する基礎となる重要な手法を幾つか確立すると云う成果が得られたと考える。世界経済の安定的な発展のためには貿易と安全保障の相互関係についての深い理解が不可欠である。この共同研究課題で得られた知見を基礎として、更に高度な研究を続行することが望まれる。
著者
吉野 直行 深尾 光洋 池尾 和人 中島 隆信 津谷 典子 木村 福成 古田 和子 竹森 俊平 和気 洋子 嘉治 佐保子 友部 謙一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1999

1997年に発生したアジア通貨危機は、資本自由化・為替制度・コーポレートガバナンスなど、さまざまな問題に起因している。本研究では、最終年度において、通貨危機に対する各国の対応(資本流出規制)の効果について、理論的・実証的な分析を行い、輸出入依存度の高い経済においては、資本規制も短期的には有効であることが導出された。為替制度のあり方についても、日本の経験、通貨危機の影響を踏まえ、中国の(実質的な)固定相場制をどのように変更することが望ましいか、アジアの共通通貨のベネフィットに関する議論もまとめることが出来た。また、バブルを発生させた各国の銀行行動の分析では、(i)金融機関の数(オーバーバンキング)、(ii)担保価値への影響を与える地価の変動、(iii)経営能力とガバナンス、(iv)地域経済の疲弊などの要因を、クラスター分析で導出した。アジア各国への日系企業の進出では、工業団地の役割について、現地調査を含めた分析をまとめた。日系企業の進出の立地として、労働の質、市場としての魅力を背景とした立地が多いことも、調査により明らかとなった。日本からの企業進出は多いが、海外から日本国内への直接投資は非常に少ない。地価・賃料の高さ、労働賃金の高さ、通信コストの高さなど、アジアにおける日本の劣位も明らかにされた。歴史パートでは、人口成長率の違いが経済発展に与える効果を、タイ・日本について比較分析を行った。COE研究における5年間の研究成果は、海外との研究協力や、海外のジャーナルへの論文発表、国内・海外の学会での発表、国内外での書籍の出版などを通じて、発信することができた。こうした研究成果を基礎に、アジアとの結びつきが重視されている現状も踏まえ、さらに研究を発展させる所存である。
著者
福島 隆寛 内海 彰
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.239-249, 2007-06-15
参考文献数
14
被引用文献数
11 1

本論文では,Web ページに記載されている情報の信頼性(Web ページの信頼性)を,そのWeb ページやそこに含まれているテキストのさまざまな特徴から推定する手法を提案する.提案手法は,信頼性判断に影響を与える各特徴が推定対象のWeb ページで成立しているかどうかを自動判定する処理と,成立すると判断された特徴からそのWeb ページの信頼度を求める処理から構成される.どのような特徴が信頼性判断に影響を及ぼすかについては,アンケート調査を実施して,68個の特徴とWeb ページの信頼性への影響度を得た.本研究では,それらのうちの40個の特徴(信頼性の尺度)の成立を自動判定する手法を開発した.また信頼度を計算する手法として,影響度の総和を取る方法とSupport Vector Machineを用いた機械学習により信頼度を求める手法を開発した.そして,評価実験を通じて,信頼性の尺度の判断処理の有効性と信頼できる/信頼できないページの二値分類に対する提案手法の有効性を確認した.
著者
石亀 昌明 三浦 望 保坂 暁子 福島 隆行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.45-51, 1997-03-06

我々は、電子筆を用いた毛筆漢字や毛筆連綿ひらがな文字を出力できるワードプロセッサの研究を行っている。毛筆における側筆と呼ばれる筆法を表現するため、筆先の方向と筆の進む方向の差と筆の柔らかさによって筆先を回転させる筆の動的モデル(第一近似モデル)を考案した。電子筆は筆順に従って、各画の骨格データとして与えられる骨格線上にある点を進む。線の太さは筆圧値で変化する筆触パターンの直径で決定される。筆先の回転は、筆の進む方向と現在の筆先の方向と筆の柔らかさの関数として計算される。全ての毛の位置が計算できるため、濃淡表現やかすれ表現力実際のものにより近くできた。連綿表現のために骨格データの一部に連綿開始臨界点や連綿終了臨界点を設け、この間をbezier関数等で補間連結することで和歌などの連綿ひらがな文字列の出力が容易になった。
著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.279-284, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.本研究では批評文中の人名と作品に絞り,総合的作品である映画と演劇の批評において,誰についてどの作品について中心的に語られる傾向があるのかを計量し,カテゴリー分類と共起分析を行った.結果として演劇批評は集中的であり,映画批評は分散的・個別的であること,また演劇批評は強い芸術的指向性を持つことが明らかになった.
著者
若林 二郎 森 寿久 住田 侑 石井 一典 川太 徳夫 飯島 隆
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.913-923, 1986
被引用文献数
2

原子力発電所の運転形態を従来の基底負荷運転から負荷追従運転も含んだ形に拡大していく必要が高まりつつある。電力系統の負荷は季節変化,日変化,さらにより小さな時間スケールの変動成分よりなる複雑な変化を示し,それに対応して原子力発電所を運転するには新しい制御方策の導入と複数種の制御手段の有機的な統合利用が必要となる。<BR>本稿では,現在盛んに開発が進められているこの種技術の実情について、BWR,PWR,ATRの各炉型ごとに要約して紹介する
著者
名島 隆一
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.E106-E114, 1990-08-20

TRISTANにおける実験の現状と今後の課題の一側面及び日本における加速器将来計画の現状と問題点を紹介する。またTeV領域の電子・陽電子衝突に代わる実験として可能性が研究されている,超高エネルギーレーザー衝突を用いたヒッグス粒子の探索について議論する。
著者
川島 隆徳 研谷 紀夫
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.183-188, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)

本研究では,国立国会図書館の著者名典拠情報を拡充し,有効利用するための典拠情報共同編集プラットフォームを開発した.このプラットフォームはJAPAN/MARC(A)を読み込み,ネットワークを通じて複数の識者が足りない情報を追加することが可能である.また,必要に応じてMARCで定義されていない情報も追加することや,MADS及びMODS形式やその他の構造化記述言語で出力することも可能である.これらより,ネットワークに対応したより高度な文化情報資源の利用のために典拠情報を活用していくことが可能となる.