著者
上島 隆秀 高杉 紳一郎 河野 一郎 禰占 哲郎 高橋 みゆき 河村 吉章 岩本 幸英
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1281, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】総務省発表によれば,2013年9月15日時点の人口推計で,65歳以上の高齢者が総人口の25%に達した。今後,高齢者人口の増加とともに,介護予防対策は多様なニーズに応えるべく,その多様化が求められてくると予想される。介護予防対策として,リハビリテーションの重要性も認識されているが,継続のための仕組みやモチベーションを高める工夫が不十分である現状は否めない。一方,家庭用ゲーム機の本格的な普及から30年が経過し,ゲームは,シリアスゲームやゲーミフィケーションとして今後,医療・介護分野においてもますます身近になるものと考えられる。今回,デイサービスセンターに導入されたリハビリ用ゲーム機の活用効果について報告する。【方法】対象はY市のKデイサービスセンター利用者のうち,ゲーム機を継続的に利用した群(ゲーム群)15名(男性1名,女性14名,平均年齢85.3±5.8歳)およびゲーム機を全く利用しなかった群(非ゲーム群)96名(男性20名,女性76名,年齢85.0±6.4歳)である。この両群を対象に体力測定を行い,ゲーム機活用効果について検討した。使用したゲーム機は,主に高齢者の運動機能向上を目的として開発されたものであり,上肢の筋力・敏捷性向上を目的とした「ハンマーフロッグ」「ワニワニパニック」,下肢の筋力・敏捷性向上を目的とした「ドキドキへび退治2」,目と手の協調性向上を目的とした「ポンポンタッチ」である。両群とも通常のデイサービスプログラムを行っており,ゲーム群ではさらに,自らの意思で選択したゲームも行っていた。測定項目は,握力,Functional Reach(FR),開眼片脚立ち(片脚立ち),光刺激に対する反応時間(反応時間),3mTimed Up and Go Test(TUG),ステッピング(ステッピング)であった。そして,体力測定により得られた結果から,開始時と7カ月後のデータを対応のあるt検定にて比較検討した。【倫理的配慮,説明と同意】対象者および家族には,当該デイサービスセンターにて文書による説明を行い,同意を得ている。【結果】両群の開眼片脚立ちにおいて,開始時と7カ月後の比較で改善傾向が認められた。ゲーム群4.9秒→8.2秒(P=0.084),非ゲーム群4.6秒→8.3秒(P=0.059)。ゲーム群における3mTUGにおいて,開始時と7カ月後の比較で改善傾向が認められた。12.3秒→10.4秒(P=0.073)。【考察】今回,ゲーム群,非ゲーム群ともに有意な改善を示した測定項目は認められなかった。我々は,第39回日本理学療法学術大会において,「デイサービス利用者のゲーム機による身体機能改善効果」について研究し,その結果,ゲーム群においてFR,長座体前屈の有意な改善を認めたことを報告しているが,この研究では,有意な改善が認められるまで1年を要している。一方,本研究は,まだ8カ月を経過した時点であり,今後,より明確な結果が出る可能性がある。現在,ゲームの総合得点および実施回数を積算した数値を基にした評価を開始しており,ゲーム回数の多寡による影響についても分析する予定である。ゲーム群の対象者に対する聞き取りでは,リハビリのため,楽しいから,負けたくないという声が挙がっている。ここに継続のための仕組みやモチベーションを高める工夫へのヒントが隠されていると考えられる。非ゲーム群の対象者では,少なくとも一度はゲーム機を体験していたが,ゲームに関心がないなどの理由で,ゲームを行っていなかった。ゲームに限らず,多様な選択肢を提示することで,ICF(国際生活機能分類)が提唱する社会参加を促す一助となることが期待される。【理学療法学研究としての意義】今後,医療・介護分野においてもロボットやその他の支援機器導入が進むことが予想されるが,その際に重要となるのは利用者に合った機器選択である。適切かつ様々な選択肢を提供できる環境づくりは,多様化するニーズに対応できる理学療法を行う上での参考となることが期待される。
著者
荻原 彰 佐古 裕史 寺島 隆志
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.177-187, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
9

The purpose of this study was to clarify the roles of stakeholders (such as teachers or researchers) in the development of competency of high school students through a case study of school science club activities.For this purpose, we investigated students and their teacher at a high school science club based on the Modified Grounded Theory Approach. Analysis of the results clarified the following points.1. The teacher set up a framework, but made students think about the detailed plan by themselves.2. The teacher imposed strict guidelines about adopting a sincere attitude and rigorous methodology toward research as well as encouraging students to select methods that met the purpose of the research.3. The teacher provided an opportunity for students to communicate with researchers and enlighten the public.4. Researchers provided research guidance and helped to motivate the students.5. Students of other schools served as good models for the students.6. Outreach activities offered a chance for students to enrich their knowledge and devise means of communication.
著者
小島 隆司
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-6, 2016 (Released:2016-05-03)
参考文献数
10

円錐角膜の診断, 治療は近年著しく進歩している。診断面では角膜前後面を測定できる器機が開発され, より初期から診断が可能になっている。収差の解析では角膜, 眼内と分離して把握が可能になっている。これらの診断器機開発により治療面でも大きな変化が起きている。進行予防の角膜クロスリンキング治療や角膜リング, コンタクトレンズ治療, 角膜移植なども光学的な変化を考慮して論じられるようになってきている。
著者
安田 淳一郎 千代 勝実 渡辺 絵理子 飯島 隆広
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.133-134, 2018 (Released:2019-06-14)
参考文献数
2

山形大では学習達成度の直接評価を目的として,2017 年度より「基盤力テスト」を全学的に実施して いる。基盤力テストの特徴としては,受験者がスマートフォンを用いて解答すること,受験者の解答に 応じて出題される設問が変わる形式(コンピュータ適応型テスト)を採用していることが挙げられる。本 報告では,基盤力テストの開発方法,および,これまでの実施データの分析結果について報告する。
著者
大村 浩 中島 隆之
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.18-27, 1989-12-25 (Released:2017-06-02)

本論文では、一般に周波数特性を持つ反射係数と伝搬定数が声道パラメータとして与えられたときの声道伝達関数の計算法を、幾つかの子音調音に対応して示す。これにより、各種インピーダンス付加、分岐管接続、音源位置等が声道伝達特性、極零特性に及ぼす影響を計算することができる。また、声道パラメータ推定の立場から一般的声道伝達関数に若干の音響的条件を仮定し、反射係数、損失係数、音源位置をパラメータとする拘束付きARMAモデルを提案する。これによる子音声道形推定への応用についても簡単に述べる。
著者
鈴木 優也 福島 隆男 岩澤 貴宏 中村 元 七澤 繁樹 牧野 邦比古
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.274-278, 2019 (Released:2019-05-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2

O-157による溶血性尿毒素症候群(hemolytic uremic syndrome; HUS),急性脳症は小児に好発し成人での発症は稀である.今回成人女性で急性脳症を発症し後遺症なく回復した1例を経験した.症例は24歳女性.腹痛,下痢で発症し,便からO-157と志賀毒素が検出された.第6病日にHUS,第11病日に急性脳症を発症した.一時人工呼吸管理となったが,ステロイドパルス療法,血漿交換療法(plasma exchange; PE)を行い第53病日に後遺症なく退院した.成人女性は男性よりも志賀毒素の受容体となるGb3の発現率が高く高リスクと考えられる.治療としては炎症性サイトカインを抑制するステロイドパルス療法とPEの有効性が示唆され,積極的に施行を考慮すべきと考える.
著者
西島 隆 寺井 康夫 功刀 幸博
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
no.10, pp.47-56, 2000 (Released:2011-03-05)

1980年頃から山梨県の主要品種である‘巨峰’と‘ピオーネ’に被害面積が年々拡大してきたわが国固有のブドウえそ果病について、病徴、病徴の品種間差異、検定用指標樹の選抜、自然伝搬およびエライザ検定による現地圃場での感染状況の点から実験調査した。1.5月上旬から遅れて萌芽した新梢に初期症状を認め、6月中~下旬には副梢にも発病した。新梢は節間が短縮し萎縮した。幼木時に発病すると樹勢は衰え、樹冠は拡大しなかった。ある年突然に成木樹に発病を見ることがあった。年々発病部位は拡大していった。2.葉は小さく、葉身には凸凹が見られ、黄白色のモザイク斑やリング状や稲妻状の線状斑が現れ、奇形となった。3.果実には落花直後の幼果期から濃緑色のえそ斑が果面に多数散見され、果肉内部にまで達していた。激発すると果粒は着色不良で成熟せず、果肉は硬く小粒で、商品価値は全くなかった。4.血縁関係にある‘巨峰’、‘ピオーネ’、‘高尾’、‘キャンベル・アーリー’に緑枝接ぎ接種すると、約1ヶ月後に副梢に、もしくは翌年の新梢に激しい病徴が現れた。また台木品種の‘グロワール’にも明瞭な症状が現れた。これらの品種はえそ果病の検定用指標樹として有用であると考えられた。主要な既知ウイルス病検定品種には症状が現れなかった。5.発病樹の‘巨峰’と‘ピオーネ’を台木12品種、穂木15品種に接木接種したところ、えそ果病の発病に品種間差異が認められた。6.現地激発園跡地に植栽した無病の‘巨峰’および‘ピオーネ’に自然伝搬が認められた。7.自然伝搬試験をおこなった圃場およびその周辺圃場のブドウ樹のエライザ検定によって、無病徴品種には陽性反応を示した樹があり、えそ果病に潜在感染していた。樹齢別調査から、えそ果病は園外からの持込みでなく‘デラウェア’から‘巨峰’や‘ピオーネ’に改植する以前に汚染していた可能性もあると考えられた。また‘ピオーネ’、‘巨峰’は感染樹にもかかわらず、無病徴新梢はエライザ検定が陰性で、病原ウイルスの不連続分布が考えられた。
著者
樋野 公宏 小島 隆矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.616, pp.107-112, 2007
参考文献数
11
被引用文献数
8 5

This paper aims to explain the risk of dwelling burglary with factors representing physical and socio-demographic context of neighbourhoods and make clear the relationship among them with SEM (structural equation modeling). The following are main information got in this paper, which enables evidence-based crime reduction. ・Higher density, larger family and larger daytime population reduce the risk, which probably provide high level of natural surveillance. ・There is higher risk in neighbourhoods with high rate of rented houses. ・There is higher risk in neighbourhoods with high building coverage ratio whereas there is lower risk in those with high floor area ratio. In conclusion, it is suggested that a holistic approach should be taken considering community safety as an aspect of quality of life.
著者
上島 隆秀 高杉 紳一郎 河野 一郎 禰占 哲郎 岩本 幸英 河村 吉章 小野 雄次郎 山下 正 渡辺 睦 林山 直樹
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E1086-E1086, 2007

【目的】我々は株式会社ナムコ(以下,ナムコ)と共同で,高齢者でも安全かつ容易に下肢・体幹筋トレーニングが可能なゲーム機「ドキドキへび退治RT」(以下,へび踏み)を開発した。今回,ゲームプレイ中の脳血流変化を測定し,ゲームによる脳機能活性化について検討したので報告する。<BR>【方法】被験者は健常成人男性8名(平均年齢38.8歳)であった。脳血流変化は,前頭前野における酸素化ヘモグロビン(以下,oxy-Hb),脱酸素化ヘモグロビン,総ヘモグロビンの初期値からの変化量を,近赤外分光法にて測定した。測定機器は島津製作所製OMM-2001で,測定用プローブを前頭部に装着した。解析は,oxy-Hbの最大値および最小値から脳血流変動値を算出し,その値について比較検討した。実施したタスクは,「ワニワニパニックRT」(ナムコ製,以下ワニ叩き),「へび踏み」及び下肢筋力増強運動(以下,下肢筋トレ)とした。測定肢位は,「ワニ叩き」では立位,「へび踏み」及び下肢筋トレでは椅坐位であった。測定時間は,タスク実施60秒,タスク実施前に安静20秒,タスク実施後に安静40秒の計120秒とした。下肢筋トレは,重錘負荷による膝伸展運動であり,頭位の変化による影響を最小限にするため,被験者にはいずれのタスクにおいても可能な限り頭を動かさないように指示した。なお,被験者には事前に十分な説明を行い,同意を得た上で測定を実施した。<BR>【結果】前頭前野における脳血流変化は,個人差が大きく一般化できる特徴は見いだせなかったが,下肢筋トレに比べゲームにおいて,より大きな脳血流変化を生じる傾向が認められた。また,ゲーム経験の程度により,被験者間の特徴の違いも認められた。<BR>【考察】従来の業務用ゲーム機の多くは主に上肢を使うものがほとんどであるが,「へび踏み」は開発当初より下肢・体幹筋の活発な活動を狙っている。介護予防対策の一つとして,腸腰筋や前脛骨筋の強化が重要であるが,「へび踏み」は,楽しみながらこれらの筋肉をトレーニングすることが可能である。前頭前野は意欲や感情の中枢とされ,前頭前野の活性化は認知症予防対策としても注目されている。今回,脳血流変化に個人差が認められたことから,一律にゲーム機を使用するのではなく,個別対応としてゲーム機選択を行うのがよいのではないかと考える。<BR>【まとめ】ナムコと共同で開発したゲーム機の効果について,脳血流変化の観点から検討した。今後,本ゲーム機使用による介入効果についても研究を進めたい。
著者
坪口 晋太朗 矢島 隆二 樋口 陽 石川 正典 河内 泉 小山 諭 西澤 正豊
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.477-480, 2016 (Released:2016-07-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3

症例は54歳女性で,緩徐に進行する歩行障害と構音障害を呈した.左乳癌に対して乳房切除術と癌化学療法を受け,神経症候の進行は術後一旦停止していたが,小脳性運動失調が再び増悪した.頭部MRIでの小脳半球の萎縮,血清Yo抗体陽性,乳癌の既往より傍腫瘍性小脳変性症(paraneoplastic cerebellar degeneration; PCD)と診断した.CTで指摘された左腋窩リンパ節の廓清と癌化学療法の変更に加え,免疫グロブリン大量療法を行った結果,神経症候は改善し,独歩可能となった.亜急性の経過と治療反応性の不良が特徴とされるYo抗体陽性PCDにも,緩徐進行性で治療反応性が良好な非典型例があることを報告した.
著者
小林 慎一 中島 隆芳 山崎 浩平 佐藤 謙一
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.422-429, 2012-07-25 (Released:2012-09-12)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

Since the discovery of bismuth-based high-temperature superconductors in 1988 in Japan, much work has been done to develop superconducting wires and their applications. Applications include cables, motors, transformers and fault current limiters used at 77.3 K, high field magnets and motors used at 20 K and super-high field magnets and current leads used at 4.2 K. Some applications are already commercial products. This paper introduces the wire fabrication methods, wire characteristics and application apparatus.
著者
ホッセン シャリフ Md. 吉田 めぐみ 中川 博之 長嶋 等 岡留 博司 中島 隆 久城 真代
出版者
マイコトキシン研究会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.77-82, 2012-07-31
参考文献数
17
被引用文献数
2

国産秋まき小麦の製粉過程におけるフザリウム属マイコトキシン・ニバレノールの動態を解析した.ニバレノール濃度が異なる2種類の小麦子実を用いてそれぞれ試験製粉を行い,6つの粉画分(ブレーキ粉:1B,2B,3B,ミドリングス粉:1M,2M,3M)と2つの外皮画分(大フスマと小フスマ)を得た.また可食部となる上質粉は1B,1M,2Bおよび2Mより,また末粉は3Bおよび3Mより作製した.上記4種類の試料(上質粉,末粉,大フスマおよび小フスマ)についてHPLC-UV法によりニバレノール含量を分析した.その結果,ニバレノール濃度が異なる2種類の小麦子実試料ともに製粉画分におけるニバレノールの分布は類似のパターンを示した.
著者
上﨑(堀越) 菜穂子 鮫島 隆 大森 康雄 府中 英孝 三明 清隆 森岡 豊 小谷 健二 小齊 喜一 後藤 清太郎 渡辺 至 中島 誠人 猪口 由美 西坂 嘉代子 五十君 靜信 新村 裕 服部 昭仁
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.347-356, 2013-07-15 (Released:2013-08-31)
参考文献数
34
被引用文献数
1

非加熱食肉製品である生ハムにおけるaWおよび乳酸ナトリウムによるL. monocytogenesの制御について5試験機関で検討した.(1) 血清型の異なるL. monocytogenesの増殖に対する乳酸ナトリウムの影響試験から,供試した菌株の乳酸ナトリウムに対する感受性は,4種の菌株間で差がないことが明らかとなった.(2) 試験用生ハムで,いずれの試験機関でもaW 0.93(0.930≤aW<0.940) では,L. monocytogenes (血清型4b,Scott A株) は,10℃で56日間保管した場合に増殖しなかった.このことから,生ハムではaW0.93であれば,原料肉のpHや食塩濃度,亜硝酸塩および低温保管(10℃) などの条件が相加,相乗的に作用して,L. monocytogenesの増殖が抑制されるものと推測された.(3) 今回の試験では,aW 0.94(0.940≤aW<0.950) であれば,2%の乳酸ナトリウムを添加することによってL. monocytogenesの増殖が抑制されることが示唆された.
著者
藤島 隆
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学学園論集 (ISSN:03857271)
巻号頁・発行日
vol.129, pp.19-40, 2006-09-25
著者
畑島 隆 谷本 茂明 金井 敦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.10, pp.1414-1426, 2018-10-01

インターネットが社会基盤として重要になるにつれ情報セキュリティ対策の重要性が増し,内容も複雑化・高度化している.しかし,これら対策が複雑化し過ぎた場合,却って利用者のセキュリティ意識を低下させる恐れがある.米国国立標準技術研究所(NIST)からもSecurity Fatigue(情報セキュリティ疲れ)が提唱され,情報セキュリティ対策の実施によって生じる疲れが述べられている.一般に,情報セキュリティ疲れは全てのICT利用者に発生し得るものであり,この疲れに陥ることでセキュリティ対策の効果が抑止されることが課題である.本論文では,情報セキュリティ疲労対策の核となる情報セキュリティ疲労度測定を質問紙調査により実施する手法を提案する.具体的には,一般的な燃え尽き症候群(バーンアウト)の測定手法を援用した質問紙作成と大学生に対する調査実施により,「回避願望」,「消耗感」,「当事者意識」の下位尺度による13項目の質問からなる情報セキュリティ疲労度調査法を具現化した.更に,評価として新たに作成した質問紙調査により消耗感について男女別の尺度得点の平均値に1%水準で有意な差が見られることを示した.
著者
伊藤 友美 森田 恭徳 三島 隆 久松 眞 山田 哲也
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.236-240, 2012-11-20 (Released:2017-12-29)
参考文献数
13
被引用文献数
5 1

小麦澱粉を乾熱処理し,その物理特性を調べた。加熱条件は200℃で0.5~2.0時間行った。表面上は,何れの乾熱処理澱粉も澱粉粒子の変化はほとんどなかった。X線回折と酵素感受性はコントロール(生澱粉)と乾熱処理1,2時間との間に違いがみられた。DSCパターンは乾熱処理時間が長くなるほど糊化温度が低温側に移行した。RVAによる粘度測定では,すべての乾熱処理澱粉でコントロールより著しく低下しており,極限粘度も同様に低下していたことから,乾熱処理により外観では変化がみられないが,内部では分子が著しく崩壊し,低分子化が起こっていることが推察された。
著者
雨宮 護 樋野 公宏 小島 隆矢 横張 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.116, 2007

防犯まちづくりが各地で急速に推進されるなか、それに対する批判的な言説も発表されるようになってきた。防犯まちづくりが今後もまちづくりの一種として定着していくためには、こうした批判論とも向き合いつつ、その考え方を再構築することが求められる。本研究では、既存の学術雑誌や評論誌のレビューをもとに、わが国の防犯まちづくりへの批判論を体系的に整理すること、アンケートの分析をもとに、批判論に対する一般市民の態度を明らかにすることを目的とした。まず、121の文献から抽出された142の批判論を分類した結果、それらは 3つの大カテゴリのもとで、「警察国家論」、「監視社会論」、「要塞都市論」などの10の論点で整理された。次に、各論点への賛否を尋ねたアンケートの分析の結果、批判論には、市民の賛同を得ているものとそうでないものがあること、犯罪不安の高まりに伴って、今後賛同を得ることが予測されるものと逆に軽視されるようになっていくものがあることが明らかとなった。今後の防犯まちづくりにおいては、市民の賛同を得る批判論に応えるだけでなく、とくに軽視される批判論に対して一定の配慮が加えられる必要があると考えられた。
著者
市川 翔 小島 隆司 片岡 嵩博 中村 友昭 玉置 明野 市川 一夫
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.93-96, 2016 (Released:2016-06-30)
参考文献数
11

目的:Implantable collamer lens(ICL)挿入術を施行した患者の術後経過を調査して,術後白内障の病型を集計した.方法:ICL挿入術後に水晶体再建術を施行した患者の白内障病型を後方視的に集計した.結果:前囊下白内障,核白内障,皮質白内障,後囊下白内障がそれぞれ16眼(72.7%),4眼(18.2%),1眼(4.6%),0眼(0%)であった.また,後囊下白内障と前囊下白内障の合併を1眼(4.6%)で認めた.ICLは全例中心貫通孔なしのモデルであった.考察:ICL挿入後に発生した白内障の病型は,前囊下白内障が多かった.発生機序としては水晶体前面における房水供給の変化による水晶体上皮細胞への栄養障害が疑われた.このことから,中心貫通孔ありのICLを使用することでICL挿入後の白内障を予防できる可能性が示唆された.