著者
品田 裕 大西 裕 曽我 謙悟 藤村 直史 山田 真裕 河村 和徳 高安 健将 今井 亮佑 砂原 庸介 濱本 真輔 増山 幹高 堤 英敬 平野 淳一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、国会議員を主とする政治家と有権者の関係、あるいは政治家同士の関係がどのように変容しつつあるのかを調査し、その変化の要因を実証的に解明することを目的として開始された。その結果、本研究では、選挙区レベルの詳細な観察・データを基に、実証的に現代日本の選挙政治の変容を明らかにすることができた。取り上げた研究対象は、集票活動・有権者と政治家の関係・政治家同士の関係・議員活動・政治家のキャリアパス・政党下部組織など、多岐にわたった。これらの分析から得られた成果を基礎に、さらに、国会のあり方や選挙制度にまで分析を進めることができ、現代日本の選挙政治理解に一定の貢献を果たすことができた。
著者
三上 岳彦 長谷川 直子 平野 淳平 福眞 吉美
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.130, 2019 (Released:2019-09-24)

青森県十三湖は日本海に面する汽水湖で、現在は冬季に結氷することはないが、江戸時代にはほぼ毎年結氷(と解氷)し、その連続的な記録が弘前藩庁日記に1705年〜1860年の155年間にわたって残されていることが明らかになった。十三湖には、南から岩木川が流入しており、江戸時代には津軽平野で産出された米輸送の舟運に利用されていたことから、長期間の結氷解氷期日が記録されたと思われる。
著者
三上 岳彦 長谷川 直子 平野 淳平 Batten Bruce
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>弘前藩御国日記には、江戸時代の弘前における毎日の天候が記載されている。そこで、11月〜4月の冬春季における降水日数と降雪日数から、毎年の降雪率(降雪日数/降水日数)を求めて、1705年〜1860年の長期変動を明らかにした。同じく、弘前藩日記に記載された十三湖の結氷日と解氷日から結氷期間(日数)を求めて、その長期変動特性を明らかにした。次に、冬春季における弘前の降雪率と平均気温との関係を考察するために、観測データ(AMeDAS弘前)の得られる最近数十年間について、毎年の降雪率と冬春季の平均気温との関係を分析した。</p><p>1705年〜1860年の156年間における十三湖の結氷期間と弘前の降雪率の変動傾向は、年々変動、長期傾向(11年移動平均)ともに類似している。すなわち、十三湖の結氷期間が長い年や年代は寒冷で、降雪率が高く、結氷期間が短い年や年代は温暖で、降雪率が低い。長期トレンドで見ると、十三湖の結氷期間は100日間前後で一方向の変化は見られないが、弘前の降雪率は18世紀前半から19世紀前半にかけてやや減少傾向にある。1740年代と1820年代に、結氷期間と降雪率がともに低下した時期があり、一時的な温暖期と考えられる。とくに、1810年代から1820年代にかけての降雪率の顕著な低下については、従来の研究では指摘されたことがないので、さらに分析を進めたい。</p><p>観測データ(AMeDAS弘前)の得られる1983年〜2020年の38年間について、毎年の降雪率(11月〜4月)と平均気温(12月〜3月)の関係から、両者の間に負の有意な相関があることがわかった。これにより、十三湖の結氷期間や降雪率から、弘前の冬春季の平均気温変動を復元することが可能となろう。</p>
著者
平野 淳一
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1_256-1_278, 2013 (Released:2016-07-01)
参考文献数
43

This study examines the political impact of Municipal merger of the Heisei era through exploring the causes of incumbent mayor loss in merged cities. Former studies examining this issue have focused mainly on the financial impact of the merger and have not fully investigated its impact on local politics. Thus, this article explores increases of incumbent mayors' losses in newly merged cities, arguing thatmost incumbent mayors are challenged by strong elected officials such as former heads of local governments or members of prefectural assemblies. The results obtained by regressing incumbent mayors' election results on the pace of budget cuts and type of merger show that mayors who succeeded in reducing budgets were reelected, and the mayors of merged cities (consisting of towns and villages) were not able to leverage budget cuts to get reelected.
著者
平野 淳一
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-54, 2012 (Released:2017-09-01)
参考文献数
30

地方分権改革,市町村合併といった一連の地方制度改革によって,市は規模と権限の両面でより大きな力を得るようになっている。市長選挙についても,それまで多数を占めていた国政与野党による相乗りの枠組みが減少し,脱政党化が増えるなど変化が起きている。こうした変化は先行研究でも指摘されてはいたが,データ収集の難しさから,その全体像は必ずしも十分に明らかにされてはいない。また,市長選挙における主要政党の関与が,何によって規定されているのかについても明確な説明がなされているとはいえない。以上のような問題意識のもと,本稿では近年の市長選挙における民主自民両党の関与についてのデータを構築し,55年体制期との比較を行うことで,いかなる特徴が見られるのかを探る。また,近年の市長選挙に見られる主要政党の関与について探索的な分析を行い,その規定要因を明らかにすることを試みる。
著者
財城 真寿美 三上 岳彦 平野 淳平 Michael GROSSMAN 久保田 尚之 塚原 東吾
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.127, no.4, pp.447-455, 2018-08-25 (Released:2018-10-05)
参考文献数
14
被引用文献数
4

Past meteorological records are important for improving our understanding of past, present, and future climates. Imaging and digitization of historical paper-based instrumental meteorological records must be carried out before these records are lost to decay. This kind of activity called “data rescue” is now taking place at many institutions around the world. A data rescue project is underway to preserve Japanese instrumental meteorological records from the 19th century. These data were collected by foreign residents and visitors, Japanese scientists influenced by Dutch science, and by Japanese merchants. Recently, meteorological measurements taken at Mito from 1852 to 1868, and at Yokohama in 1872 and 1873 have been found. Based on instrumental records collected through this data rescue project, a warmer climate in the 1840s and 1850s around the South-eastern Kanto Region has been identified. Large year-to-year variations of winter temperatures have also been detected.
著者
平野 淳一
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.32-39, 2008 (Released:2016-10-03)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本稿では,平成の大合併前後に行われた市長選挙の構図を描くことを試みる。従来までの合併を巡る研究は,合併の要因やメカニズムが主として扱われており,政治的効果という観点から分析したものは少ない。本稿では,市町村合併を行った市にみられる選挙の枠組み,当選者の属性,投票率等に注目し,その他合併を行わなかった市との比較でどのような違いが見られるのかを考察する。
著者
DEMAREE Gaston R. MAILIER Pascal BEILLEVAIRE Patrick 三上 岳彦 財城 真寿美 塚原 東吾 田上 善夫 平野 淳平
出版者
東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.127, no.4, pp.503-511, 2018
被引用文献数
4

<p> ルイ・テオドール・フュレ神父(1816-1900年)は,パリ外国宣教会の宣教師として極東に派遣された。日本の琉球諸島・沖縄の那覇における彼の気象観測原簿の発見は,19世紀日本の歴史気候学に新しい進展を開くものである。フュレは,1855年2月26日に沖縄の主要な港である那覇(19世紀の文献ではNafaと綴っていた)に到着した。1856年12月から1858年9月まで,彼は1日5回(午前6,10時,午後1,4,10時)の気象観測を行った。水利技師アレクサンドル・デラマーシュ(1815-1884年)は,フランス海軍兵站部によってフュレ神父に委託された気象測器の検定を行った。気象観測は,1850年代のフランスで使われていた気象観測方式に従って実施された。気圧観測データは,気圧計の読みとり値,気圧計付随温度計の読みとり値,そして温度補正した気圧の数値で記載されている。気圧データは,必要に応じて,1850年代に使われたデルクロスとハイゲンスの公式を用いて検定・補正された。この歴史的な気圧観測データを現在の那覇における気圧平年値と比較した。観測期間中の1857年5月に台風が接近通過したことが,ルイ・フュレ神父によって目撃されている。ほかにも何度か気圧の低下が観測されているが,おそらく発達した低気圧の通過によるものであろう。そうしたなかで,オランダ船ファン・ボッセが多良間諸島の近くで難破したことがあったが,船長と彼の妻や船員達は島民に救助された。その後,彼らは沖縄の那覇に移送されたが,そこで3名のフランス人宣教師と出会い,最終的に出島のオランダ交易所からバタビア(現在のジャカルタ)へと航行した。</p>
著者
平野 淳平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

本発表では、歴史時代(1870年代以前)に日本に上陸した台風の経路を客観的に復元・分類する方法について報告する。関東以西の地域に経緯度2°×2°間隔のメッシュを設定し、台風が上陸したメッシュをもとに、台風経路を分類する方法を考案した。この方法を気象庁による台風経路データが得られる1951年以降に適用した結果、台風上陸数の変化傾向にみられる地域性を把握できることが明らかになった。この方法を歴史時代に適用するためには、関東以西の太平洋沿岸地域を対象として風向や天候の変化を詳細に記した古日記天候記録の収集を進める必要がある。
著者
濱井 潤也 平野 淳一 高橋 祥吾 小川 清次 佐伯 徳哉 鹿毛 敏夫 手代木 陽 芥川 祐征
出版者
新居浜工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度における本科研の成果は、2本の論文を平成30年1月発行の『新居浜高専紀要』第54号に投稿したことである。第一の論文「戦後カリキュラム政策史における主権者育成理念の変容過程―社会的状況と教科課程における単元構成の対応関係を中心に―」においては、本科研の研究テーマである「主権者教育」が近代日本においてどのように捉えられ、実施されてきたかを歴史的にまとめたものであり、今後のカリキュラム開発のための基盤を築き上げたと言えるだろう。また第二の論文「高等専門学校の社会科カリキュラム編成類型と主権者教育の課題」では、本科研が平成28年度に実施した全国の工業高等専門学校の社会科カリキュラムの実施状況を調査した結果のまとめと分析報告である。これによって主権者教育を実施する際の高専の社会科教育が抱えている問題点、すなわち第一に人件費削減による人的条件の厳しさ、第二に学習内容が教員の裁量に委ねられているため、統一的な質保証の基準を確立するのが困難である点、第三に学習内容が教員の専門分野に依存していることが多く、他教科との連携やカリキュラム上の位置づけが曖昧であること等が明らかになった。今後本科研では、この点を踏まえ主権者教育カリキュラムの先行的開発を進める計画である。加えて平成29年度の本科研の活動として、研究分担者全員で各高専と大学とに分かれて、「主権者意識に関するアンケート」を実施した。学生が18歳選挙権や現在の国内・国外の政治情勢、民主主義のシステムそのものに対して何を考え、どのような疑問を持っているのかを全18問のアンケートで調査した。平成30年度にはこれらのアンケート結果を分析し、学生たちの主権者意識についての報告まとめる予定である。最後に、平成30年2月に本科研の例会を開催し、各研究分担者の主権者教育の実践例の報告・意見交換を行うことで、教員スキルの向上を図った。
著者
三上 岳彦 森島 済 日下 博幸 高橋 日出男 赤坂 郁美 平野 淳平 佐藤 英人 酒井 慎一 大和 広明
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

東京首都圏に設置した独自の気温・湿度観測網と気圧観測網のデータ等を用いて、夏季日中のヒートアイランドの時空間変動を明らかにするとともに、熱的低気圧の動態と局地的短時間強雨発生との関連およびその要因の解明を試みた。夏季の気温と気圧データに主成分分析を適用した結果、上位主成分に、海陸風循環、ヒートアイランド、北東気流に関連した空間分布が認められた。局地的短時間強雨の事例解析を行い、豪雨発生の前後で気圧の低下と上昇が起こり、海風起源の水蒸気量の増加が確認できた。領域気象モデル(WRF)による都市域での短時間強雨発生に関する数値実験を行い、都市域で夜間の降水が増えていることが明らかになった。
著者
平野 淳一
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究計画では、日本の市長選挙における対立構図の規定要因の解明を目標とした。分析の結果、現職優位に関する理論が日本の市長選挙における対立構図にも適用できることが明らかになった他、中央レベルでの政党間関係が市長選挙における対立構図に影響を与えていることも明らかになった。また、市町村合併が近年の市長選挙における対立構図の変容に大きな影響を及ぼしていることも示すことができた。