著者
酒井 真由美 澤田 愛子 広瀬 幸美
出版者
富山大学
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.49-59, 2003-11
被引用文献数
1

青年期に発症した1型糖尿病患者が抱く「希望」の構成要素を明らかにし,その結果から,育年期発症1型糖尿病患者への看護的支援を考察した.その結果,患者が抱く「希望」の構成要素として,『自己に対する希望』と『社会に対する希望』に分類された.『自己に対する希望』では,【自己変容】,【生活の変化】,【血糖コントロール】,【合併症の予防】,【将来】,【神仏への祈り】の6カテゴリーが抽出され,『社会に対する希望』では,【1型糖尿病に対する社会認識】,【社会環境】,【同病者の存在】,【医学の進歩に対する期待】の4カテゴリーが抽出された.『自己に対する希望』では, 1型糖尿病患者である自己を肯定的に捉え,積極的な未来志向が希望を推し進める第一のものであった.その時,青年期の心理的問題も同時に考慮していく必要がある.一方,『社会に対する希望』では,あらゆる場面及び人間関係において,1型糖尿病に対する誤解や偏見,差別がなくなることを強く望んでいた.看護的支援においては,「患者自身への支援」と「社会への啓蒙活動」の2つの側面から関わっていくことが重要であるといえる.
著者
広瀬 慎一
出版者
富山県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

富山県高岡市の玄手川(延長3km)は農業用排水路で、効率的な排水処理と、小魚のトミヨや水草のナガエミクリを中心とした生態系の保全の両立を目的として、水路底の80%をコンクリートとする近自然工法で改修された。また、中流部100mには水路底を砂利舗装とした生態系保護区が設けられた。施工前後約10 年間にわたるモニタリングの結果、近自然工法については、湧水は元に戻り、堆砂は適度で、トミヨやナガエミクリなどの生態系は回復した。排水処理のための水草刈りは、やり易くなったとの農家の評価であった。生態系保護区(ワンド)については、植生は近自然工法の本川よりす早く回復し、トミヨは施工前より倍以上の密度となった。また、水路断面の詳細流速分布調査から、水草内領域における流速は、水草外領域の流速の約3割であり、トミヨが長時間遊泳できる流速(巡航速度)が水草内領域で実現されていることがわかった。以上から、近自然工法と生態系保護区(ワンド)を組み合わせたミチゲーション(影響緩和)手法」が排水処理と生態系保全の双方に効果的であることがわかった。
著者
田野井 慶太朗 斉藤 貴之 岩田 直子 大前 芳美 広瀬 農 小林 奈通子 岩田 錬 中西 友子
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.299-304, 2011 (Released:2011-08-29)
参考文献数
9
被引用文献数
6 6

著者らは,入手が困難である28Mgを製造,精製し,イネの根によるMg吸収解析を行った。純アルミニウム箔に,27Al(α,3p)28Mgの核反応を試みて28Mgを製造した。カラム精製を経た後,およそ1MBqのキャリアフリーの28Mgを得ることができた。この放射性同位元素を用いてイネの根のMg吸収速度を算出した。すなわち,0.1mM及び5.0mMのMg濃度の溶液に28Mgを加え,そこに根を15から30分間浸すことで28Mgを吸収させた後,28Mgを画像として検出した。得られた画像よりイネの根から吸収されたMg量を定量した結果,溶液が5.0mMの条件下におけるMg吸収速度は,0.1mMの場合よりも6から7倍大きいことがわかった。更に,溶液のMg濃度を0.025~10mMの9段階に設定したところ,溶液のMg濃度が低い時ほど根のMg吸収能力は高まった。以上から根は溶液のMg濃度が低い場合には,Mgを能動的に吸収する機構を有することが示された。
著者
広瀬 三矢子
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典學研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.109-120, 1996-03-15

Recently, many books on women in the Roman empire have been published in Italy. They, however, describe only prosopography of the famous women such as mothers, wives, and daughters of commanders, statesmen, and emperors. In this article, I will reconsider one of the most famous women, Livia who was the wife of Augustus. Tacitus emphasized Livia as the diplomatic mother of Tiberius as well as the faithful wife of Augusuts. By analyzing the portraits of Livia, I wish to reinterpret the image which Tacitus provided and to understand how she took part in the politics in the early Principate. I collected and analyzed seventy portraits of Livia, which have survived in Italy and other countries. I can classify these portraits into two main groups by examining the hairstyle as Italian "nodus" or "center-parted". Moreover, I classified them into several sub-groups, by evaluating when they were produced, as follows : Type A. after 38BC when Livia was married with Augustus. Bonn Akademisches Kunstmuseum ; Bologna, Museo Civico ; Paris, Louvre 622 ; Roma, Villa Albani 793 ; Padova, Museo Civico ; Paestum, Museo, Pesaro, Museo Oliveriano 3820 ; Stuttgart, Wurttembergisches Landesmuseum 3 etc. Type B. AD4 when Tiberius was designated the successor of Augustus. Kopenhagen, NyCarlsberg 615 ; Toulouse, Musee Saint-Raymond 3000 ; London, British Museum 1990 ; Hamburg, Kunstmuseum 1967 ; Cadiz, Museo Arqueologico ; Tarragona, Museo Arqueologico etc. Type B^1 and B^2. after AD14 when Augustus was dead. Ephesus, Museo Archeologico ; Cordova, Museo Arqueologico ; Leptis Magna : Volterram Museo Etrusco Guarnacci ; Musei Vaticani Laterano 1812 etc. Type C. Paris, Louvre 29 (Julia Augusta) ; Kopenhagen NyCarlsberg 616. Type D. Roma, Musei Capitolini ; Musei Vaticani sala dei Busti ; Musei Vaticani Laterano 10180. Type E. AD14 or AD19 when the type of "center-part" appeared. Kopenhagen, NyCarlsberg 618 ; Bochum Universtat Museum ; Luxemburg ; Kiel, Kunsthall ; Volterra Museo Etrusco Guarnacci etc. Type F. so called Salus Type, AD22 when Livia fell seriously ill. Pompei, Antiquarium ; Leningrad, Ermitage ; Bochum Universtat Museum. Type E^1. after AD29 when Livia died at 86 years old. Madrid, Museo Arqueologico ; Leptis Magna ; Paris Bibliotheque Nationale ; Atene, National Museum 325 ; Genova, Museo Civico. Type E^2. after AD41 when Livia was deified by Claudius. Kopenhagen, NyCarlsberg 617 ; Parma, Museo Archeologico etc. Type G. Kopenhagen, NyCarlsberg 614; 531; Napoli, Museo Archeologico. And there was another "nodus" type of the Claudian Age : Hague Cameo. As a result, I emphasize two points. Firstly, I can find a strong similarity among the portraits(type B-D)that were produced in abundance from the late Augustan age to the early Tiberian age. So, I say that the politics of the late Augustan age persisted into the early reign of Tiberius. In those days, statues of Livia were shown with those of Tiberius or her children, providing her image as a diplomat. Secondly, why did Claudius set up many statues of Livia? He was born in the famous family "the Claudius", the same family as Livia. He was not adopted into "the Julian", the family of the deified Augustus, although he was a predecessor, Tiberius and Caligula were adopted. Therefore Claudius looked upon Livia as an ancestor of his family and deified her as "Diva". Livia was very important for Claudius giving authority to himself and his family. And he regarded the marriage of Augustus and Livia as an important one, as the fact that the portraits of Livia were made in the old type(the Date of Augusuts)shows. Tacitus and Dio Cassius informed us of Livia's diplomatic efforts to certify Tiberius as the successor to Augustus. According to my research, however, I conclude that emperors made use of the images of Livia to justify their position as Princeps.
著者
堤 雅恵 佐藤 広美 水田 久美子 山口 健二 好村 朋子 広瀬 春次
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-27, 2007

近年、認知機能を維持したり、不安やストレスを解消したりする方法の一つとして、日記を書く習慣をもつことが推奨されている。しかしながら、仮に日記が高齢者にとって受け入れ難いものとして認識されているならば, 認知機能の維持やストレス解消のための方法とすることは困難であると考えられる。我々が検索した範囲では、高齢者の保健・看護の分野において日記に関する調査は見あたらず、高齢者における日記を書く習慣の実態は把握されていない。そこで今回、高齢者における日記を書く習慣の実態を把握するとともに、日記を書いている人と書いていない人との生活状況を比較した。その結果、多くの高齢者が日記を書く習慣を有しているという実態が明らかとなり、また、日記を書くことが外出や会話の頻度と関連している可能性が示唆された。
著者
広瀬 啓吉 SHAIKH Mostata Al Masum SHAIKH Mostafa Al Masum
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

昨年度、文の情動の程度を数値として表し、そこに含まれる感情の指標を抽出することを進めた。本年度は、その手法を高度化するとともに、得られる指標を合成音声に反映させることを中心に研究を進め、下記成果を達成した。1.ニュース文について、動詞に着目して各句の肯定/否定の程度を評点として数値化した上で、順接、逆節といった句間の関係から、文全体の肯定/否定の程度を評点として与える手法を開発した。評点を用いて、英語音声合成フリーウェアのMARY音声合成システムの韻律を制御することを行った。お祭りのニュースなど、文内容が肯定的な場合は基本周波数/発話速度を上げ、事故のような、否定的な場合は、下げることを基本とする制御を行うことにより、文内容にふさわしい合成音声を得た。2.認知モデルの立場から、喜び、悲しみなどの感情を、肯定/否定、興奮/抑制といった軸によって定式化し、文内容に含まれる感性情報を抽出する手法を開発した。肯定/否定、興奮/抑制の値によりMARY音声合成システムの韻律を制御することを行い、合成音声の聴取実験により抽出した感情が適切に反映されることを確認した。3.音声からそこに含まれる情動/感性を抽出する手法について、音響部分の構築として、スペクトルの周波数と時間方向の変化の特徴と韻律的特徴を用い、Support Vector Machine等による判別を行うことで、定型文に限定されているが、肯定と否定の情動の判別率90%を達成した。4.人間が生活する際に発生する種々の音から、人間の活動を推定する手法(Life Logging)の開発を進めた。音声認識で使われているMFCCを特徴量としたHMMを用いることで良好な音認識が可能なことを示した。

1 0 0 0 OA 淡窓全集

著者
広瀬淡窓 著
出版者
日田郡教育会
巻号頁・発行日
vol.中巻, 1926
著者
広瀬 徹
雑誌
BME : bio medical engineering (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.17-26, 1998-10
参考文献数
18
被引用文献数
6
著者
小越 康宏 日名田 明 広瀬 貞樹 木村 春彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.397-400, 2003-02-15
被引用文献数
12

コンピュータシステムの個人認証においては,従来よりユーザ名,パスワードの情報を用いて本人かどうかの認証を行っているが,これらの情報が漏れた場合に不正利用される恐れがある.そこで,ユーザ名,パスワードを入力するときの打鍵間時間(あるキーが打たれてから次のキーが打たれるまでに要する時間)の特徴を参考にして個人認証を行うシステムがいくつか提案されている.しかし,打鍵の熟練者においては打鍵間時間に差異が現れにくく,どのシステムにおいても本人かどうかの認証が困難となる問題点があった.本研究では,このような打鍵間時間を基にした認証システムにおいては,認証時に意図的なリズムを持たせて打鍵するリズム打鍵が有効で,認証精度を大幅に改善できることを示す.In this paper,we propose an improvement method of the authentication systems based on keystroke intervals using intentional keystroke rhythm.In the previous authentication systems based on keystroke intervals,user was more exactly discriminated by the speed of each keystroke in addition to the user name and the password.However,they still have a problem that an authentication might be difficult when the speed of each keystroke was similar to the other person's.We solve this problem by making a rhythm keystroke to each user at the time of the authentication.
著者
小越 康宏 小越 咲子 広瀬 貞樹 木村 春彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.959-964, 2002-05-01
参考文献数
6
被引用文献数
6

独居老人の介護,危険回避のために,家庭内での生活様態を把握することは非常に重要であるが,家庭内での振舞い認知についての研究は少ない.本論文では,赤外線センサを各部屋に分散配置し,部屋ごとに老人の滞在の傾向をとらえることにより家庭内での振舞い認知を実現し,新しく観測される老人の活動が,習慣的な振舞いとは異なる振舞いなのかを検知する手法を提案する.
著者
小野 智彦 小倉 恵 小沢 敏彦 林 良一郎 清野 清春 広瀬 晴三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, 1996-03-11

三菱電機は、リニアライザを実装した節電機能付きグローバルスター搭載用の7GHz固体電力増幅器(C-SSPA)を開発した。以下に、その構成と主要性能について報告する。
著者
広瀬 幸雄
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.45-53, 1985
被引用文献数
1

This study proposes a tentative model of consumer's decision making in the hoarding panic and presents some evidence that in the present system of goods distribution the hoarding panic is triggered easily by less than 10% of total consumers. The toilet paper hoarding panic in 1973 in Kansai is divided into four sequential stages; precursor, outbreak, expansion, and termination of panic. Four categories of consumers, based on different decision making processes are hypothesized, corresponding with each stage. The early hoarding consumer begins to lay in a large stock from a self-reward maximization motive, anticipating the high rise in price of toilet paper by low credible rumor. The middle hoarding consumer acts by indirect support of the rumor from newspaper accounts. The late hoarding consumer rushes into hoarding from a defensive motive, strongly afraid of life without toilet paper. The no-hoarding consumer with enough stock is also dragged into the tragedy of commons, thus suffering from high price caused by panic.
著者
若月 利之 石田 英子 増田 美砂 林 幸博 広瀬 昌平 TRAORE S.K.B ALLURI K. OTOO E. OLANIYAN G.O IGBOANUGO A. FAGBAMI A. 小池 浩一郎 宮川 修一 鹿野 一厚 中条 広義 福井 捷朗
出版者
島根大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

ナイジェリア中部ニジェール洲、ビダ市付近のエミクパタ川集水域のヌペ人の村落から農民の参加意欲と土と水条件より5ケ村のベンチマーク村落を選んだ。アジア的な水田稲作とヌペの伝統的低地稲作システムを融合させながら展開するための実証試験をニジェール洲農業開発公社の普及研究員と国立作物研究所の研究員の協力を得ながら、農民参加により実施した。又、多目的樹種を中心にした育苗畑の整備と管理法及び成熟苗を利用したアップランドにおけるアグロフォレストリーの実証試験も実施した。東北タイより収集した品種特性の異なるタマリンドの種より育苗した。次年度には移植する予定。ガーナのクマシ付近のドインヤマ川小低地集水域でも、同様の水田農業とアグロフォレストリーを農民参加により実施することにより、劣化集水域を再生するための実証試験を実施するに当たって必要な土と水と気象条件、在来の農林業システム、村落の社会経済的条件等、各種の基礎的調査を実施した。一部では水田造成と稲作、村落育苗畑等の小規模実証試験を行った。ニジェールのドッソ付近のマタンカリ村付近のサヘル帯の小低地集水域でも同様の基礎調査を実施した。タイとインドネシアでは西アフリカに応用可能な農林業システムの文献資科や、上述のように樹木のタネ等を収集した。アジアと西アフリカの研究者と意見交換し、農林業システム融合の条件を検討した。又、タイで採取した樹木種子はナイジェリアの苗畑で発芽生育させ、生育は順調なので移植を準備中である。フィリピンでは世界の稲作システムに関する既存の資料を収集した。