著者
磯部 稔 Uyakul D. 高橋 宏幸 後藤 俊夫
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.31, pp.396-403, 1989-09-17

Lampteroflavin (1), a riboflavin α-D-riboside was isolated in extraordinary small amount from the luminous mushroom, Lampteromyces japonicus (Fig 1), which was available only two weeks in a year. Extraction method was improved to utilize only alive gills under aeration instead of using the whole body (Fig 3), and the method was established as Scheme 1. It's structure has been elucidated by chromatographic and spectroscopic analyses(1). It's fluorescence spectrum was identical to the bioluminescence spectrum of the mushroom, having maximum at 524nm (Fig 2). We concluded that 1 was responsible to the bioluminescence mechanism as the light emitter, since 1 was only the fluorescent constituent in fresh gills. Previous report that illudin S (lampterol) or ergosta-4,6,8(14),22-tetraen-3-one(2) could be the emitter is thus unlikely judging from the weak fluorescent intensity and the different maximum wavelength from that of mush-room bioluminescence. Lampteroflavin (Table 1) was hydrolyzed with dil. mineral acid to give riboflavin and D-ribose. Riboflavin was identified by HPLC, ^1H NMR, UV, Fluorescence and FAB mass spectrometry. D-ribose was acetylated and then confirmed by ^1H NMR, CD and tandem mass spectrometry. Riboflavin and D-ribose was connected together with α-glycosidic linkage which was determined by ^<13>C NMR of the anomeric carbon (δ=103.2ppm)(3), NOSEY spectrum (H-1" being close to H-3" and H-5') and ^1H NMR pattern of anomeric proton. The total structure of lampteroflavin was confirmed through its chemical synthesis.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 谷口 正智 菊地 勘 長谷川 毅 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 中井 滋 長沼 俊秀 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.473-536, 2023 (Released:2023-12-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2022年末時点における年次調査は,4,521施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,464施設(98.7%),患者調査票に関しては4,276施設(94.6%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は近年増加速度が低下していたが,2022年末の施設調査結果による透析患者数は347,474人と,この調査で初めて前年に比較して減少した.人口百万人あたりの患者数は2,781人であった.患者調査結果による平均年齢は69.87歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(24.0%),第3位は腎硬化症であった(13.4%).2022年の施設調査結果による透析導入患者数は39,683人であり,2021年から828人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.42歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く38.7%で,昨年より1.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.7%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.0%)を上回った.2022年の施設調査結果による年間死亡患者数は38,464人であり,前年に比較して大きく増加した.このことが全患者数の減少につながっている可能性がある.年齢調整がされていない年間粗死亡率も,過去最高の11.0%であった.主要死因は感染症(22.6%),心不全(21.0%),悪性腫瘍(7.6%)の順で,2022年は感染症が最も多かった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2022年末の施設調査票による患者数は191,492人で,維持透析患者全体の55.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,531人で2017年から増加傾向にある.PD患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2022年末の在宅HD患者数は827人であり,2021年末から79人増加した.2022年は,新規調査として腎性貧血を行い,引き続き,新型コロナウイルス感染症,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.2022年末の現況報告では,2018年以来行っていなかった腹膜透析の章も再開した.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
後藤 俊夫 高橋 敞 岸 義人 平田 義正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.508-511,A40, 1964-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11

フグ卵巣の水抽出液を加熱除タンパク後,イオン交換樹脂に吸着させることを骨子としたテトロドトキシンの新抽出法を考案した。この方法によれば少なくとも全一量の50%以上の毒を結晶状に得ることができる。また通常の再沈殿法で精製したテトロドトキシンにはアンヒドロエピテトロドトキシンが混在し,それを除去するにはピクラートを経て精製する必要がある。この精製テトロドトキシンを用いれば,臭化水素酸塩を結晶として得ることができる。
著者
後藤 俊介
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.872-877, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
19

プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)は,さまざまな上部消化管疾患の治療成績の大幅な向上に寄与した薬剤であり,現在,臨床現場で広く使用されている.ただ近年,プロトンポンプ阻害薬と腎機能低下の関連が報告されており,本稿では,それらについて概説する.プロトンポンプ阻害薬は,稀に急性間質性腎炎を起こす可能性があることが報告されている.また,大規模な観察研究において,腎機能低下との関連の可能性も指摘されている.ただし,そのリスクがプロトンポンプ阻害薬の有するベネフィットを上回るものかどうかは定かではなく,漫然と使用している場合には,必要性を見直す必要があると考えられる.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 菊地 勘 後藤 俊介 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.611-657, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
19
被引用文献数
21

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry: JRDR)の2020年末時点における年次調査は,4,493施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,437施設(98.8%),患者調査票に関しては4,271施設(95.1%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2020年末の施設調査結果による透析患者数は347,671人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,754人であった.患者調査結果による平均年齢は69.40歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(25.3%),第3位は腎硬化症であった(12.1%).2020年の施設調査結果による透析導入患者数は40,744人であり,2019年から141人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は70.88歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.7%で,昨年より0.9ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(17.5%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(15.0%)を上回った.2020年の施設調査結果による年間死亡患者数は34,414人であり,年間粗死亡率は9.9%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(21.5%),悪性腫瘍(9.0%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2020年末の施設調査票による患者数は163,825人で,維持透析患者全体の47.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,338人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.8%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2020年末の在宅HD患者数は751人であり,2018年末から9人減少した.2020年は,新規調査項目として,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍の調査が行われた.また2019年に引き続き,生体腎移植における腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 和田 篤志 菊地 勘 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 谷口 正智 中井 滋 長沼 俊秀 長谷川 毅 三浦 健一郎 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.665-723, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
22
被引用文献数
10

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2021年末時点における年次調査は,4,508施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,454施設(98.8%),患者調査票に関しては4,251施設(94.3%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は年々増加し,2021年末の施設調査結果による透析患者数は349,700人に達し,人口百万人あたりの患者数は2,786人であった.患者調査結果による平均年齢は69.67歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.6%),次いで慢性糸球体腎炎(24.6%),第3位は腎硬化症であった(12.8%). 2021年の施設調査結果による透析導入患者数は40,511人であり,2020年から233人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.09歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く40.2%で,昨年より0.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.2%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.2%)を上回った.2021年の施設調査結果による年間死亡患者数は36,156人であり,年間粗死亡率は10.4%であった.主要死因は心不全(22.4%),感染症(22.0%),悪性腫瘍(8.4%)の順で,昨年とほぼ同じ比率であった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2021年末の施設調査票による患者数は176,601人で,維持透析患者全体の50.5%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,501人であり2017年から増加傾向にある.腹膜透析患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDF との併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2021年末の在宅HD患者数は748人であり,2020年末から3人減少した.2021年は,施設調査として災害対策調査,また本年も引き続き,新型コロナウイルス感染症,悪性腫瘍,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
新田 孝作 政金 生人 花房 規男 星野 純一 谷口 正智 常喜 信彦 後藤 俊介 阿部 雅紀 中井 滋 長谷川 毅 濱野 高行 三浦 健一郎 和田 篤志 山本 景一 中元 秀友
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.579-632, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
23
被引用文献数
22

日本透析医学会統計調査 (JSDT Renal Data Registry: JRDR) の2019年末時点における年次調査は, 4,487施設を対象に実施され, 施設調査票は4,411施設 (98.3%), 患者調査票は4,238施設 (94.5%) からほぼ例年通りの回答を得た. わが国の慢性透析患者数は年々増加し, 2019年末の施設調査結果による透析患者数は344,640人に達し, 人口百万人あたりの患者数は2,732人であった. 患者調査結果による平均年齢は69.09歳で, 最も多い原疾患は糖尿病性腎症 (39.1%), 次いで慢性糸球体腎炎 (25.7%), 第3位は腎硬化症であった (11.4%). 2019年の施設調査結果による透析導入患者数は40,885人であり, 2018年から417人増加した. 患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は70.42歳であり, 原疾患では糖尿病性腎症が最も多く41.6%で, 昨年より0.7ポイント少なかった. 第2位は腎硬化症 (16.4%) で, 初めて慢性糸球体腎炎 (14.9%) を上回った. 2019年の施設調査結果による年間死亡患者数は34,642人であり, 年間粗死亡率は10.1%であった. 主要死因は心不全 (22.7%), 感染症 (21.5%), 悪性腫瘍 (8.7%) の順で, 昨年とほぼ同じ比率であった. 2012年以降, 血液透析濾過 (HDF) 患者数は急増しており2019年末の施設調査票による患者数は144,686人で, 維持透析患者全体の42.0%を占めた. 腹膜透析 (PD) 患者数は9,920人であり2017年から増加傾向にある. 腹膜透析患者のうち19.2%は血液透析 (HD) やHDFとの併用療法であり, この比率はほぼ一定していた. 2019年末の在宅HD患者数は760人であり, 2018年末から40人増加した. 2019年調査では, 2009年から10年ぶりにCKD-MBDに関する総合的な調査が行われた. 今後は新しく開発された薬剤の治療効果や問題点, 2012年に改訂されたガイドラインの影響等を詳細に解析する予定である. これらのデータは, CKD-MBDガイドラインの改定の基礎資料となり, より治療効果の高い日常臨床の治療パターンの提案が期待される.
著者
伏見 千宙 多田 雄一郎 増淵 達夫 松木 崇 菅野 千敬 岡田 拓郎 佐々木 剛史 丹羽 一友 町田 智正 三浦 弘規 後藤 俊行 黒坂 正生 鎌田 信悦 小高 利絵 矢郷 香
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.232-236, 2016-12-15 (Released:2016-12-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

当科にて救済手術を施行した口腔扁平上皮癌深部再発症例27例の検討を行った。救済手術後の1年生存率は75%,2年生存率は61%であった。無病生存期間は中央値10.9か月(2.6か月~61.3か月)であった。予後不良因子は術後病理断端陽性・近接および,原発巣亜部位が舌・口腔底・頰粘膜であった。原発巣再々発部位は,後方および副咽頭間隙が88%を占めており,後方の安全域の設定,副咽頭間隙郭清も考慮すべきと考えられた。
著者
柳井 徳磨 酒井 洋樹 後藤 俊二 村田 浩一 柵木 利昭
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-51, 2002 (Released:2018-05-04)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

近年,動物園では飼育技術の向上に伴い,動物の長期生存が可能になり様々な腫瘍性病変に遭遇する機会が増えた。これらの腫瘍性病変を検索し,情報を蓄積することは,ヒトの同様な腫瘍の発生原因を解明するうえで有用である。我々は,ヒト腫瘍との比較のために,ヒトに類縁なサル類の様々な腫瘍,アジア産クマ類の胆嚢癌に着目して症例を蓄積し,データベース化を試みている。以下に概要を紹介する。1) サル類の腫瘍:サル類における腫瘍発生の報告は極めて少ない。動物園で飼育した各種のサル約600例を検索して,13例に腫瘍性病変が認められた。神経系では,カニクイザルの大脳に星状膠細胞腫,消化器系では,ニホンザルの下顎にエナメル上皮歯芽腫,ブラッザグエノンに胃癌,シロテテナガザルおよびボウシラングールの大腸に腺癌が認められた。内分泌系では,ワタボウシタマリンの副腎に骨髄脂肪腫,オオガラゴの膵臓に内分泌腺癌が認められた。造血系では,ニホンザル2例の脾臓にリンパ腫,ハナジログエノンのリンパ節にリンパ腫が認められた。その他,ムーアモンキーの卵巣に顆粒膜細胞腫,ニホンザルの皮膚に基底細胞腫が認められた。これらサルの腫瘍の形態学的特徴は,ヒトの同種のものと酷似していた。2) クマ類の胆嚢癌:動物園で飼育されているナマケグマとマレーグマに,胆嚢癌が好発することが知られている。7例のクマ類に発生した胆嚢癌を検索し,その病理学的特徴を調べた。組織学的には管状腺癌の浸潤と線維化が高度である。クマ類の胆嚢癌はヒト胆嚢癌の有用なモデルとなりうると考える。
著者
加藤 満 浅尾 秀樹 後藤 俊
出版者
北海道女子短期大学
雑誌
北海道女子短期大学研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Women's College (ISSN:02890518)
巻号頁・発行日
no.30, pp.93-98, 1994

We examined speed oriented and strength oriented characteristics of maximal anaerobicpower in female college physical education majors. A total subject of 28 college students ranging in age from nineteen to twenty were tested. Of these twenty-eight, fourteen of the studentswere actively involved in school sports.The results are summarized as follows:1) As for absolute maximum anaerobic power and maximum anaerobic power per body weight,we could see a difference of p < 0.05 in which students participating in school sports performedbetter than those students who were not2) In regard to the average maximal anaerobic power affected by maximum torque, there was asignificant difference between students involved in school sports and those who were not.3) In terms of factors which influence maximal anaerobic power, students participating in schoolsports a tendency to be more strength oriented than those who were not.4) Evaluating characteristics of anaerobic power output, the group of students involved inschool sports may be strength oriented, while those students not active in school sports may bespeed oriented.It would seem that the effect of regular training on those students participating in schoolsports develops strength that was not apparent in the group not actively involved in a regulartraining regimen.
著者
川原 和也 後藤 俊弘 川原 元司 島田 剛 大井 好忠 花房 明憲 竹 三郎 永田 進一 益田 正隆
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.1184-1198, 1988

新しいキノロン系化学療法薬剤であるT-3262に対し, 基礎的・臨床的に検討した結果, 以下の結論を得た。<BR>尿路感染症患者の尿から分離された臨床株について本剤の抗菌力を測定し, Ciprofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX) と比較検討した。<I>Citrobacter freundii</I> (<I>C.freundii</I>) は21株, 他の菌種は30株を対象とした。<I>Staphylococcus</I> spp., <I>Enterococcus faecalis</I>, <I>Klebsiella pneumoniae</I>に対してはT-3262が最も優れた抗菌力を示し, <I>Escherichia coli</I>, <I>Enterobacter cloacae</I>, <I>Pseudomonas aeruginosa</I>に対してはCPFXとほぼ同等の抗菌力を示し, <I>Serratia marcescens</I>に対してはCPFXとOFLXの中間の抗菌力であり, <I>C.freundii</I>, <I>Proteus mirabilis</I>, <I>Proteus vulgaris</I>に対してはCPFXが最も優れた抗菌力を持ち, T-3262とOFLXは同等であった。<BR>14例の急性単純性膀胱炎, 1例の淋菌性尿道炎の患者にT-3262を1回75~150mg, 1日2~3回, 3~7日間投与し, 24例の慢性複雑性尿路感染症の患者には1回150m9, 1日2~3回, 5~15日間投与した。UTI薬効評価基準に合致した急性単純性膀胱炎9例では著効5例, 有効4例で有効率100%であり, 慢性複雑性尿路感染症19例では著効10例, 有効6例, 無効3例で有効率は84.2%であった。淋菌性尿道炎の1例は, 主治医判定で有効であった。<BR>臨床検査値の異常はGOT, GPTの上昇, 好酸球の上昇が各1例認められたがいずれも軽度であり, 投与終了後速やかに正常に復した。また自他覚的な副作用は認めなかった。
著者
横田 明 峰澤 満 中村 伸 金井塚 務 後藤 俊二 馬場 駿吉
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.112-118, 1987 (Released:2009-09-07)
参考文献数
10
被引用文献数
13 11

Pollenosis is a IgE-mediated allergic disease which has the symptoms of snivel, sneezing, eye mucus, and/or tear resulting from mucous membrane inflammation of nostrils and/or eye. In Japan, Japanese cedar (Cryptomeria japonica) pollenosis is a typical one occurring in spring, and recently the number of its patients is remarkably increasing.We found the pollenosis in adult-female Japanese monkeys (Macaca fuscata) inhabiting Miyajima Island under free-ranging conditions, who are derived from different female lineages one another. Their sera contained higher level of specific IgE antibody against Japanese cedar pollen than those of normal monkeys. The sera also induced a skin allergic reaction to the pollen upon Prausnitz-Kustner Test using normal healthy monkeys as a recipient. Thus, the current paper is the first report concerning naturally occurring pollenosis in wild non-human primates.