著者
村上 英也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.889-894, 1994-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

東洋と西洋の酒の特色の第一番目に掲げられるのは澱粉の糖化材としてのカビと麦芽の違いであろう。その東洋のカビの代名詞的存在としての麹菌を最初に日本において発見したのがドイツ人学者であるが, 当時の状況はどのようなものであったのであろうか。麹菌の権威である筆者に, その辺を紹介していただいた。麹菌に関する貴重な資料としても意味がある。
著者
入来 正躬 小坂 光男 村上 悳 村田 成子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.172-177, 1975-05-31 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

65歳以上の男子943名, 女子1671名, 計2614名について腋窩温を測定した. 測定時刻は午後1時より4時の間, 測定時間は30分である. 同時に血圧, 身長, 体重を測定した. 被検者のうち, 独力で普通の日常生活の不可能なもの, 身体の異常を強く訴えるものを除き男子875名, 女子1595名, 計2470名について統計学的検討を行なった. この結果より結論づけることができるのは次の諸点である. 比較のために成人腋窩温についての田坂ら (1957)の報告を用いた.1) 老人腋窩温分布は正規分布に近い分布を示し, その平均値は36.66℃, 標準偏差は0.42℃である.老人腋窩温の平均値は成人腋窩温の平均値36.89℃に比し0.23℃低い.老人腋窩温の標準偏差は, 成人腋窩温の標準偏差0.34℃より大きく, 老人腋窩温の個人によるバラツキが成人のに比し大きいことを示している.2) 男子老人腋窩温は平均値36.55℃, 標準偏差0.41℃であるのに, 女子老人腋窩温は平均値36.72℃, 標準偏差0.42℃である. 男子老人腋窩温の平均値は女子のに比較して0.17℃低い. 成人の腋窩温では男子は女子より高いので, 老人と成人の男女差は逆の傾向を示す.3) 老人腋窩温と最高血圧, 最低血圧, 平均血圧との相関関係は有意ではない. しかし, 老人腋窩温は体型により左右され, 身長, 体重, 比体重と逆の相関関係が成り立つ. 比体重の大きい, すなわち肥満型の人ほど腋窩温が低い.なお本統計は, 独力で普通に生活している老人の日常生活にあらわれる時間的な一断面における腋窩温について述べたもので, 長期間臥床を保っているような条件の老人にこの数値をただちにあてはめることはできないかと考えられる.
著者
田中 直樹 我妻 浩二 榊原 加奈 村上 純一 石渕 重充 村本 勇貴 岡田 尚之 岩本 航
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1323, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】野球は,本邦における競技人口が約810万人とされ,幅広い年代で行われている。学童期や高校野球選手に対する研究報告は多いが,中・高年期の野球傷害に関する報告はほとんどみられない。今回我々は,中・高年期以上で構成される1チームについて傷害調査を行う機会を得た。そこで本研究は中・高年期野球選手における傷害発生件数と程度を調査すること,および野球経験年数,野球ブランク年数と投球障害の関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,東京都還暦軟式野球連盟所属の野球選手23名(平均年齢67.4±5.6歳)とし,調査は配票による自記式アンケートとした。調査項目は,①「野球経験年数(トータル年数,野球のブランク年数)」,②「野球に起因する傷害」,③「②の野球への支障度合い(VAS)」,④「野球以外に起因する傷害・疾患」,⑤「④の野球への支障度合い(VAS)」,⑥「現在野球を行う理由に関する自由記載」の6項目とした。また,アンケート調査項目④で肩肘痛を有していると回答した13名の「野球における支障度合い」と「経験年数」,「野球のブランク」との関係をpearsonの積率相関係数を用い検討した。統計解析は統計ソフトR ver.2.13.0を用い,有意水準は5%とした。【結果】①野球経験トータル年数は平均36.1±19.5年(±標準偏差)であった。野球経験者のうち現在野球を行うまでのブランク年数は平均25.2±14.5年(±標準偏差)であった。②野球に起因する傷害は合計18/23名で,肩・肘合計13件,腰痛3件,下肢障害3件,外傷では慢性硬膜下血腫1件,手指骨折1件であった。③野球に起因する傷害による野球への支障度合いは平均14.4±12.7mm(±標準偏差)であった。④野球に起因しない傷害・疾患を有すものは合計12/23名で腰痛3件,膝痛2件,喘息2件,痛風1件,前立腺疾患2件,心房細動1件,その他3件であった。⑤野球に起因しない傷害や疾患の野球への支障度合いは平均11.0±9.6mm(±標準偏差)であった。⑥現在野球を行う理由については,生きがいが5件,ストレス発散が5件,健康のためが4件であり,その他は仲間意識,社会交流等の回答があった。「野球経験年数」および「野球のブランク年数」と「肩肘痛による野球への支障度合い」との関係はそれぞれr=0.65(p<0.05),r=0.69(p<0.05)と正の相関を認めた。【結論】野球に起因する傷害は18/23名(78%)が有し,肩肘痛においては,野球経験年数,野球ブランク年数と野球への支障度合いについて正の相関を認め,今後身体機能との関係を明らかにする必要性がある。野球に起因しない傷害・疾患は12/23名(52%)が有し,年代を考慮した参加基準の指標や疾患の重症度の把握が必要であると考えられる。
著者
尾池 和夫 村上 寛史
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所研究資料 (ISSN:0917057X)
巻号頁・発行日
vol.157, pp.221-251, 1993-03-29

Continuous observations of variation of the number of LF and VLF electromagnetic noises have been done at the Uji station in Kyoto Prefecture. LF noise is observed by CRF-1 type radio receiver whose frequency is fixed at 163kHz and VLF noise is observed by ball antenna with band-pass filter from 1 to 10kHz. The temporal variation of the number of LF and VLF noises has been compared with the occurrence of near shallow earthquakes. In the case of 70 per cent of large earthquakes with magnitude larger than or equal to 6.0 anomalous increase of LF noises is observed within one day before the main shock whose epicentres are located in the land or shallow sea region. Similar phenomena are found in the case of near shallow earthquakes with magnitude larger than or equal to 5.0. Present study indicates the possibility of the existence of certain kinds of physical relationship between the occurrence of shallow earthquakes and LF and VLF electromagnetic noises.
著者
秦 正樹 宮前 真 塩入 重彰 村上 和裕 中林 晋也 大山 哲生 原口 美穂子 服部 麻里子 中島 純子 皆木 祥伴 藤原 茂弘 小野 高裕
出版者
一般社団法人 日本顎顔面補綴学会
雑誌
顎顔面補綴 (ISSN:03894045)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.33-38, 2019 (Released:2020-03-12)
参考文献数
31

Background: The aim of this review was to elucidate the effectiveness of prostheses with implant therapy for patients with mandibular defects.Methods: A systematic literature survey was conducted by the Japan Medical Library Association based on keywords for PubMed and Ichushi-web presented by the Clinical Practice Guideline Committee of Japanese Academy of Maxillofacial Prosthetics. After the secondary screening, related articles were extracted and their structured abstracts were described for discussion.Results: Although randomized controlled trials and meta-analyses were not found, 28 papers were extracted after screening. Overall, objective and subjective measures (e.g. occlusal force, masticatory efficiency and food acceptability questionnaires) were significantly increased with implant-supported mandibular prostheses. However, speech and swallowing function were not improved in cases with tongue or oral floor resection. Success and survival rates of implant therapy were ninety percent or more on mandibular reconstruction with autogenous bone grafts.Conclusions: These results suggest that implant-supported mandibular prostheses that can secure the stability of the upper fixed/removable structure are more effective for recovering masticatory function compared with conventional mandibular prostheses.
著者
村上 司
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.142-146, 1984-05-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
18

Growth inhibition of 3 influenza A and 2 influenza B viruses by NH4Cl were investigated. It was found that the 50% virus growth-inhibitory concentrations of NH4Cl were 0.8-2.2mM and 5.5-6.0mM for influenza A strains and influenza B strains, respectively. The effects of the virus inactivation might be neither action on the virion itself of NH4Cl nor antiviral state of the host cells such as an action of interferon, The mechanism was probably considered to be inhibition in the process of virus penetration into the cell. It was shown that the inactivation by NH4Cl was effective at the early stage of infection, ineffective after 30min of infection.
著者
高橋 信行 松田 美代子 井上 たかみ 井川 剛 井川 緑 和田 浩一 松友 博史 村上 博 大西 キミ 鎌村 千秋 小田 由美 佐々木 美津代 中田 ひとみ 黒田 かつ子
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.60, 2005

視覚障害と知的障害を併せ持つ盲学校の生徒について、1 保護者、2 教師、3 寄宿舎指導員がインターネットの掲示板システムを利用し生徒に関する情報を共有しようという取り組みをおこなった。我々は、これを「電子連絡帳」と呼んでいる。電子連絡帳により保護者、教師、寄宿舎指導員の連携が強化され、保護者に対するアカウンタビリティーの向上や生徒に対する教育サービスの向上が期待できると考えている。電子連絡帳の仕組みや実施方法、利点、今後改善すべき点などについて報告する。
著者
村上 賢一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.21-26, 2009 (Released:2009-02-17)
参考文献数
44

筋線維伝導速度(以下,MFCV)は,廃用性筋萎縮などいくつかの病態および機能を反映することがこれまで報告され,筋の廃用状態や筋疲労などを非侵襲的に評価できる指標として考えられている。しかしながら,臨床の場でMFCVは積極的に用いられていないのが現状である。理学療法士がMFCVを活用するためには,先ずMFCVの測定法や変化要因を知り,理解を深めることが重要と思われる。そのうえで,今後,MFCVと筋動特性との関係性を明確にすることができるならば,臨床にも役立つ知見が蓄えられるものと考えている。本論では,MFCVの測定法および変化要因を中心に解説する。
著者
村上 尚 島 健二
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.155-160, 1999-12-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15
著者
荒井 鷹哉 岡 真一郎 礒部 裕輔 古川 晃大 有岡 大輔 松元 大門 野田 健司 村上 巧一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1383, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】浮き趾とは,立位時に足趾が地面に接していない状態を指す。近年,若年者の浮き趾が増加傾向であり,両側いずれかの趾が接地していない者は若年女性で76%と報告されている(福山ら,2013)。浮き趾発生の原因として,幼児期から学童期における外遊びの頻度や自動車などでの通園による生活様式の変化やハイヒールやサンダルなどの履物による影響が報告されている(福山ら,2013)。浮き趾と足趾把持力に関する先行研究では,浮き趾を有するものは,足趾把持力が低下していること(福山,2009),足趾把持力が歩行速度と下肢筋力が関係するとの報告(金子。2009)がある。しかし,浮き趾と歩行および膝関節筋機能との関係についての報告は少ない。本研究の目的は,浮き趾を含む足趾機能と歩行および膝関節筋機能との関係について調査した。【方法】対象は,一般女子大学生30名(平均年齢21.3±0.6歳)であった。測定項目は浮き趾,足趾把持力,アーチ高率,10m歩行時間(WT)および膝関節等速性筋力の測定を行った。足趾把持力は,T.K.K3000(竹井機器)を用いて左右2回測定し,その最大値を体重で除し代表値とした。アーチ高率は,立位時の足底面から舟状骨粗面までの高さをデジタルノギス(プラタ)で計測し,その値足長で除し,立位アーチ高率(アーチ高率(%)=舟状骨高/足長)を算出した。膝関節等速性筋力測定は,BIODEX SYSTEM3(BIODEX)を使用し,膝関節屈曲,伸展運動を角速度60deg/secで行った。浮き趾の測定は,木製のボックス(R-tec社製)上に設置した厚さ15mmのアクリル板上に被験者を立たせ,静止立位および足趾への荷重移動(動的立位)時の足底面をスキャナーGT-X750(EPSON)で撮影した。被験者には,両足内縁5cm開脚位で2m前方の視標を注視させた。浮き趾の評価は,福山ら(2009)の浮き趾スコアに基づき20点満点の評価法で点数が低いほど足趾の接地状態が悪く,完全接地を2点,不完全接地を1点,不接地を0点として採点し,動的立位時に18点以下で浮き趾と判定した。統計学的分析は,JASTATS3.0を使用し,浮き趾,足趾把持力,アーチ高率,WTおよび等速性筋力との関係はSpearman順位相関分析を用い,有意水準は5%とした。【結果】足趾把持力とWTの関係はr=-0.52と有意な負の相関,足趾把持力と屈曲トルクの関係はr=0.42と有意な正の相関があった。WTと屈曲トルクの関係はr=-0.36と有意な負の相関があった。しかし,足趾把持力と浮き趾の間に有意な相関はなかった。浮き趾と筋機能との関係は,膝伸展トルク60deg/secではr=0.48,膝屈曲パワー60deg/secではr=0.43と有意な正の相関があった。しかし,浮き趾とアーチ高率との間に有意な相関はなかった。【考察】本研究の結果,足趾把持力とWTに有意な負の相関,足趾把持力と膝屈曲トルクに有意な正の相関があった。WTと膝屈曲トルクに有意な負の相関があった。足内在筋は前足部を安定させ,内側縦アーチを上げ,立脚終期と遊脚前の足関節底屈のための強固なてこを作る(Donald,2005)。また,足趾屈曲力と最速歩行速度との間に相関がみられたことは,上肢筋群,体幹筋群,下肢筋群の協調的な働きなどによって生じる推進力を足趾が効率よく床面へと伝達し,筋出力を推進力へと転換するための重要な役割を担うと報告している(太箸ら,2004)。本研究では先行研究と同様の傾向がみられたことから,足趾把持力は歩行において筋出力を推進力へと転換する上で,重要な役割をはたすと推察される。一方,浮き趾は内側縦アーチの指標であるアーチ高率との相関はなく,膝関節筋機能と正の相関があった。長谷川ら(2010)は,足趾の接地は足部全体の剛性を高め,駆動力を効率よく床面に伝達する役割を担っていると述べている。また,加辺(2003)によると足趾屈筋群の活動は,足および膝関節周囲筋の同時収縮を促通し,下肢の機能的連鎖の引き金であると報告している。そのため,足趾の接地は膝関節筋機能を効率よく発揮させ,共同収縮するための土台として重要な役割を果たしていると考えられる。今後の課題としては,浮き趾に関連する生活習慣について調査していきたい。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果,足趾把持力は歩行の推進力への転換に寄与し,足趾の接地は膝関節筋機能を発揮するための土台としての重要性が示唆された。女子大学生における足趾把持力および浮き趾ついて調査することは,女性の歩行能力および下肢筋力の維持,向上における運動介入の基礎資料としての意義があると考える。