著者
村上 祐介
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.398-410, 2011-12-29 (Released:2018-12-26)
被引用文献数
1

少数または単一の事例を分析する定性的研究には、個性記述的・差異化志向と、法則定立的・一般化志向の2つのタイプがある。現在の教育学は理論化志向の弱さや、量的研究対質的研究の二分法的枠組みが強いため、一般化志向の事例研究が少ない。それゆえ、個別の事例研究が体系的な理論構築に結びついていない。本論では社会科学方法論の知見から、抽象(理論)と具体(経験)の循環という基本に立ち返った事例研究の方法論を提示する。
著者
江島 和仁 吉松 則文 村上 和彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.8, pp.19-24, 2006-01-24
参考文献数
8
被引用文献数
2

コンピュータのハードウェアやソフトウェアを実行時に最適化する「動的システム最適化技術」が注目されている.筆者らはSysteMorphという適応型動的システム最適化技術の概念を提案し,その応用システムの研究を行っている.本稿では,SysteMorphの一つの実装形態である,動的ホットパスアクセラレーションの性能を評価する.動的ホットパスアクセラレーションはプログラムの実行時(動的)に最適化対象箇所を検出し,専用のVLIWエンジンで加速実行(アクセラレーション)する技術である.シミュレーションによる評価を行った結果,従来のプロセッサ構成と比較して18%の性能向上を達成可能であることが分かった.Dynamic optimization is one of the most important approachs to improve compute efficiency. So far, we have proposed a feedback directed dynamic and adaptive hardware/software cooptimization technique, called "SysteMorph". In this paper, we evaluate performance of dynamic hotpath acceleration that is an implementation of SysteMorph. In the dynamic hotpath acceleration, we attempt to detect frequently executed parts of target application code at runtime. Then they are executed on a VLIW accelerator. By means of extracting Instructionlevel Parallelism, we can achieve high performance. From our evaluation, it is observed that we can achieve 18% performance gain.
著者
福地 晋輔 吉田 茂二郎 溝上 展也 村上 拓彦 加治佐 剛 太田 徹志 長島 啓子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.303-308, 2011 (Released:2012-03-13)
参考文献数
27
被引用文献数
2 6

宮崎南部森林管理署管内に設定されている系統的配置法によるオビスギ密度試験地 (1972年設定) の測定データをもとに, 植栽密度が単木と林分単位の成長ならびに林木形質に与える影響を明らかにするとともに, 低コスト林業に向けた植栽密度について考察した。試験地は, Nelder (1962) が考案した円状のもので, 1箇所に2反復, 計2プロットがあり, 各プロットはha当たり376∼10,000本の範囲で10段階の植栽密度があり, 各密度区は36本の試験木からなる。解析の結果, 極端な高密度と同低密度では林木形質や目標サイズに達するまでの時間などから, ともに望ましくないことがわかった。利用上, 形質にこだわらない場合であれば, 高密度区ではha当たり蓄積が高いために有利であるが, 1,615本の植栽密度区以上ではほぼ一定であった。一方, 形質を求める場合は, 高密度の植栽では形質が悪く, 逆に低密度では良形質材の林分材積量が低かった。これらから, 植栽密度区6 (範囲は約2,000∼2,800本) の中間的な植栽密度が望ましいことが示唆された。
著者
村上 祐子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.354-355, 2017-04-15

アラン・チューリングは計算機科学の創設者の一人であることはいうまでもないが,理論生物学における形態形成の先駆者でもある.さらに,技術者倫理と軍事研究者の規範との衝突や,性嗜好による差別といった現代にもつながる倫理上の問題の当事者としても今後その存在は重要な参照先になるだろう.
著者
五百井 清 村上 綾伸
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.142-148, 2001-01-15 (Released:2010-08-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

This paper deals with the turning motion mechanism of a brush-type micro robot using cyclic centrifugal forces. Many wheeled type robots may turn usually along the tangential velocity generated by the rolling wheels. However, the micro robot proposed here has different turning property from the usual mobile robots. First, we derive a two dimensional rolling model of the brush-type robot accompanied with cyclic centrifugal forces, and indicate the existence of the lateral force toward the robot by the computer simulations and the simple mathematical analysis. Next, to confirm the turning motion mechanism caused by the lateral force, we have experiments of the turning motion using some kinds of prototype, and then acquire some experimental data concerned with circle trajectories. Finally, we conclude the validity of the turning motion mechanism caused by the lateral forces which the cyclic centrifugal force generates.
著者
小松 浩子 鈴木 久美 林 直子 村上 好恵 松崎 直子 冨田 美和 市川 和可子 外崎 明子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.61-67, 2006-06-20

本報告の目的は,21世紀COEプログラム事業の一環として継続的に実施している国際駅伝シンポジウムのうち,2005年10月に開催された第4回「私たちが選ぶ時代に向けて:患者中心の乳がんチーム医療」の企画・実施過程および評価を報告し,それらを通じてみえてきたPeople-Centered Careを生成するうえでの重要な要素について提示し,今後の課題を検討することである。方法は,シンポジウムの企画,実施,評価の全過程で記述した議事録や講演・討議内容,参加者のアンケート内容を資料とし,質的データは内容分析を,量的データは記述統計を行った。シンポジウムは,乳がん体験者と共に構成や内容,方法を検討し企画した。プログラムは,(1)参加者の医療ニーズを共に知ることをめざしたクイズ,(2)米国のチーム医療から学びをうる講演,(3)共にめざす乳がんチーム医療について広い視点から討議することをめざしたシンポジウム,(4)参加者と共に音とことばのメッセージを分かちあう詩の朗読と音楽演奏,そして(5)ピンクリボンにちなんだシンボルキルトの作成で構成された。その結果,参加者のニーズとテーマの合致性,シンポジウム成果の政策提言,有用性などシンポジウムの評価は全体的に高かった。そして,シンポジウムを通して,患者と医療者が互いに学び,歩み寄り,協働して医療に取り組む姿勢が重要であるといった,新しいチーム医療の方向性やあり方が示された。
著者
菅原 聖史 村上 進亮 山冨 二郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.23, 2012

近年、多くの使用済み家電製品が市中回収業者経由で回収されており、資源性の損失・散逸や不正輸出、輸出先での環境汚染等の問題を引き起こしている。リサイクルシステムには各ステークホルダーの多様かつ複雑な意思決定が含まれており、故に問題の解決に向けて施策を打つ場合には、それが各ステークホルダーの行動に及ぼす影響、及びその結果生じるシステム全体としての挙動の把握が必要不可欠である。そこで本研究ではマルチエージェントシミュレーションを用い、システムの複雑かつ多様なフローを再現した上で、各ステークホルダーの行動やシステム全体に対する施策の効果の定量的な検証を行った。結果として、家電エコポイント制度導入や消費者の環境意識の違いによる廃棄行動の変化について定量的に把握することができた。このようにステークホルダーの意思決定や製品のフローをモデル化し、定量的な分析を試みた点が本研究の最大の成果であると考える。
著者
村上 路一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.171-176, 1989-09-10 (Released:2017-12-29)

シナリオ・ライティング手法は、描写性とストーリー性が優れているため、他の技術予測手法に比べ、相手が興味を持ち、しかも理解し易いという特長がある。 このため、たんに技術予測のためだけに使用するのではなく、システム製品の販売や社内制度変更のためのツールとしても役立つことが明確になってきた。 本報告では、これらについて実例を挙げながらシナリオ・ライティング手法の書き方と企業における応用について述べる。
著者
村上 敬
出版者
関西大学大学院東アジア文化研究科
雑誌
文化交渉 : Journal of the Graduate School of East Asian Cultures : 東アジア文化研究科院生論集 (ISSN:21874395)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-82, 2015-11-01

東アジアの言語と表象Research about Japanese paintings from after the mid-Edo period has recently been criticized as valuing Western culture over and above Chinese culture. At the root of the problem lies a dichotomy between Japan as being leader of Asia and the West in the two-dimensional world view of early modern Japan. Such criticism can be aimed at research about Maruyama Ōkyo, who was one of the most representative painters of Edo period Japan. In this paper I discuss Konoe Iehiro, who was a court noble with indirect ties to Ōkyo and who was also fond of the latest Chinese imports at that time. He imported the latest Chinese paintings from the Ryukyu islands, predating the arrival in Japan of Shen Quran. I elucidate the fact that Ōkyo was supported by Iehiro's salons that recognized the importance of replications of paintings by Sun Yi and others. Just prior to Ōkyo's birth, there was a revival of the Song and Yuan periods' painting style. As a result, Shen Quan came to Japan, creating the foundation upon which the shasei-ga of Ōkyo could be accepted by the art world of that time. In other words, an interest in and understanding of paintings from a variety of regions already existing in Kyoto in the middle of the Edo period does not readily fit within today's accepted framework of Japanese art history.
著者
三田 達雄 中井 隆 村上 直也 北村 登 小川 恵
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.1006-1008, 1993-09-15

MRI検査に伴い被検者はしばしば一過性の不安や恐怖に見舞われる3〜5,11,12)。時には不安や恐怖は恐慌にまで至り,検査を中断せざるをえない場合もある3,5,8,9)。また,検査後に閉所恐怖7)や空間恐怖10)が生じ,長期間持続したとの報告もある。このようにMRI検査の心理的侵襲性が最近注目されているが,被検者をMRI検査と類似の状況におくCT検査の心理的侵襲性については報告がない。ここで提示するのはCTおよびMRI検査が空間恐怖の結実ないし増悪の契機となったと考えられた症例である。この症例の一部はすでに紹介している3)が,本稿では両検査の空間恐怖の結実・増悪の過程への関与を詳しく報告する。また,両検査における空間恐怖的状況を比較したい。
著者
佐藤 真実 村上 亜由美 岸松 静代 谷 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.17, pp.159, 2005

<br>【目的】福井県における魚介類の利用状況と調理について調査を行い,とくに県内で使用される地方独特の魚の種類や行事などに利用する魚の調理方法について明らかにすることを試みた。<BR>【方法】越前(海岸部,主に漁業)10名,奥越(山間部,主に農業)10名,坂井(海に面した平野部,農業と漁業)11名,福井(地方都市)12名,嶺南(海岸部,漁業と商業)9名の5地域,計52名の20歳代から70歳代の居住者を対象に,アンケート調査及び聞き取り調査を行った。とくに地方独特の魚の種類や調理方法についてまとめ,写真撮影を行った。<BR>【結果】福井県で食べられる地方独特の魚の種類としては,みずべこ,がまえび,みずだこ,せいこがになどがある。みずべこはかに漁の底引き網にかかる深海魚であるが,吸い物や味噌汁に,がまえびは味が甘えびに類似しており刺身やフライに,みずだこは刺身に,せいこがにはゆでて卵やかにみそをそのまま食べる。行事などで食べられる地方独特の調理法としては,まさばの丸焼き(越前や嶺南では浜焼き鯖,奥越では半夏生の鯖と呼ばれる),へしこ(さばやいわしの糠漬け),まがれいの塩焼き(天神講に食べられる),身欠きにしんの昆布巻き(正月,盆,祭りに食べられる),にしんの麹漬け(12月から正月にかけて食べられる),だだみ(たらの精巣)の味噌汁,かつお節をもりつける雑煮などがみられた。
著者
松本 苗緒 吉川 真弓 江田 邦章 小林 あゆみ 横島 真澄 村上 正人 金来 広文
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.211-222, 2008-06-25
被引用文献数
14

簡易に加工された農産物中残留農薬分析における簡易前処理法を検討した.試料をペースト状に細切均質化しガラス遠心管中でアセトニトリル抽出および塩析後,アセトニトリル/ヘキサン分配し,ミニカラム(グラファイトカーボン/NH<sub>2</sub>およびシリカゲル)で精製した.分析はGC/MSおよびLC/MS/MSを用いた.試験溶液のマトリックス効果を調べた結果,正負の両方で影響が見られたことから,マトリックス効果を排除するためにマトリックス検量線を用いた.試料8種(にんにくペースト,青ピーマンカット,グリーンピースペースト,セロリーペースト,さつまいもペースト,あずき(乾),たけのこ水煮,トマトペースト)について235農薬の添加回収試験を行った結果,いずれの試料とも214農薬で回収率は50~100%,変動係数は20%未満であった.本法は食品中残留農薬のスクリーニング方法として活用できると考える.
著者
井上 真一 佐々木 紀幸 村上 恭二 藪下 和樹 鈴木 勝雄
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.180, pp.1-11, 1996 (Released:2009-09-16)
参考文献数
10

The amplitude functions measured by wave analysis experiment for a ship model are expanded in Mathieu function series in order to obtain the informations of improving the hull form. The expansion gives sectional area curve of the model as assumed as a source generating the measured wave system in linear wave-making theory. The expansion coefficients correspond with the coefficients of Mathieu expansion of the assumed sectional area curve and give the strengths of wave pattern resistance components. In order to reduce the total wave resistance the sectional area curve components corresponding with the dominant wave resistance components is to be subtracted.The amplitude functions measured for three ship models are expanded in Mathieu function series and their wave resistance components are compared with each other at various Froude numbers. The direction of improving hull form obtained by the present method corresponds with the design philosophy of the three ship forms.