著者
村上 圭子
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.2-25, 2018

2018年1月から、総務省の「放送を巡る諸課題に関する検討会」では新たな分科会が立ちあがった。これは、2017年11月末に提出された「規制改革推進に関する第2次答申」に示された電波制度改革を受けたもので、テーマは「放送サービスの未来像を見据えた周波数有効活用に関する検討」である。第2次答申をまとめた内閣府の規制改革推進会議の問題意識は、IoT活用や5Gの整備等によって、超高齢化、過疎化する日本の課題解決を図っていくために、通信サービスにも使い勝手の良い放送用帯域を別な用途でより有効活用できないか、というものである。議論の中では、放送事業者から周波数を開放したい推進会議の委員や有識者と、引き続き周波数を確保し放送サービスを維持発展させていきたい放送事業者と総務省の間で対立する場面もみられた。本稿ではまず、規制改革推進会議で"放送"がどのように扱われてきたのかを議事録を手がかりにつぶさに見ていく。その上で、放送サービスの未来像について、地上4K・8K、同時配信と共通プラットフォームという観点から考えていく。最後に、現在総務省が未来のビジョンを考える上で想定する2040年にも視野を広げて放送のあり方を考えていく。なお本稿は、2013年からシリーズ連載してきた「「これからのテレビ」を巡る動向を整理する」をリニューアルした新たなシリーズである。
著者
村上 健太郎
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

人為的硬質構造物(ハードスケープ;例えば壁、石垣、建造物間隙)はもともと崖や露岩地あるいは林床にすんでいた生物の代替生育地になりうるが、日本ではそのような視点の研究は少ない。そこで、ハードスケープが動植物の高い種多様性を保持し稀少種の生育場所として機能しうるかについて野外調査(歴史的遺産の古いハードスケープやどこにでもある市街地のハードスケープなどを対象とした生物調査)と文献調査(ハードスケープに生物が生育するという事例の整理)から検討し、ハードスケープを用いた緑化や、都市緑地保全あるいは人工構造物保全に役立つ知見を得るための研究を行う。特に石垣等に生育するシダ植物に焦点を当てて研究する。
著者
村上 健太郎 森本 幸裕
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.63-68, 2018-08-31 (Released:2019-05-10)
参考文献数
33
被引用文献数
1

近畿~中国地方の鉄道駅周辺の市街地におけるハードスケープ即ち人為的で硬質な景観構成要素からなるハビタット(壁,石垣,建造物間隙,路傍間隙)に生育するシダ植物群落4,473 箇所のデータを分析し,シダ植物のハードスケープハビタットの選好性に関する基礎資料を得るための研究を行った。分析の結果,4 種のハビタットの中で最も選好されていたのは石垣であった。もともと岩上や樹幹,崖に生育する種だけでなく,森林種も多くの種が石垣を選好していた。ただし,森林種の29.3%は建造物間隙選好種であった。さまざまなハードスケープにおける植物の選好性を理解することは,長期的な視野に立った都市の生物多様性保全手法の開発に役立つだろう。
著者
明神 千穂 安藤 真美 伊藤 知子 大塚 憲一 久保 加織 露口 小百合 中平 真由巳 原 知子 水野 千恵 村上 恵 和田 珠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.80, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】中学校、高等学校の家庭科担当教員に調理実習の現状について実態調査を著者らが行ったところ、揚げ調理を実施している中学校、高等学校はともに20%で、授業時間数の減少や補助者の問題などが関係し減少傾向にあることが分かった1)。そこで、油の処理も含めた揚げ調理の一連の操作を学ぶことができる教材の開発が必要であると考えた。本研究では、まず天ぷらを取り上げ、生活体験レベルが異なる生徒にも対応可能な教育媒体としてリーフレットを作成した。多くの教育現場で活用してもらうため、このリーフレットを高校家庭科担当教員へ送付し、揚げ調理の実施状況およびリーフレットの評価についてアンケート調査を行った。 【方法】<リーフレット> 天ぷらの作り方について、油の種類・必要な調理器具・食材の準備・衣の作り方・油の温度管理・揚げ操作・油の処理方法までをカラーのイラストと写真を用いて説明した。<アンケート調査> 2010年8月に近畿二府四県の高等学校家庭科教員を対象とした郵送法による質問紙調査を行った。有効回答数は110部、回収率42.3%であった。 【結果】揚げ調理の実施状況では「天ぷらを作ったことがある」は15%であった。リーフレットに関しては「内容、説明、写真、デザイン」は高い評価を得られた。また、「補助教材として使いやすい」、「高校生の天ぷらについての理解が深まる」、「授業の資料として活用したい」と答えたのがそれぞれ76%、88%、78%となり高い評価が得られた。リーフレットへの評価は高いが、学生への配布希望は34%だった。今後は実際に授業で用いた際の生徒からの評価も検討を予定している。 1)日調科誌, 41, 196 (2008)
著者
原 知子 安藤 真美 伊藤 知子 井上 吉世 大塚 憲一 大野 佳美 岡村 由美 白砂 尋士 高村 仁知 武智 多与理 露口 小百合 中原 満子 中平 真由巳 西池 珠子 林 淑美 深見 良子 藤村 浩嗣 松井 正枝 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 山下 貴稔 湯川 夏子 渡辺 健市
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-27, 2004-01-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

酸価1∼4.5の段階的に劣化度が異なる劣化油1,2,3を用いて,揚げ玉,まいたけの天ぷら,コロッケを調製し,揚げ物および揚げ油の官能評価による風味とPCテスターによる極性化合物量の関係について検討した.1.新鮮油,劣化油1,2,3の4種の劣化程度の異なる油及びそれらで調製された製品の風味に有意差が認められた.これら4種の油は酸価,粘度,極性化合物量が段階的に異なるもので,揚げ玉,まいたけの天ぷら,油自体の風味の評価結果は,これらの要素と対応した.新鮮油,劣化油1,2,3の順に風味評価は低下したが,劣化油1から極性化合物量15%の劣化油2の間で低下が顕著であった.また,劣化が進行した油において官能評価ではその違いが認め難くなる傾向にあった.コロッケでは油の劣化による風味評価の低下は小さかった.2.揚げ玉やまいたけの天ぷらでは極性化合物15%程度まで,コロッケでは,25%程度まで風味評価のよい揚げ物を調製できた.3.極性化合物量15%以上で風味評価が低下するとともに風味の劣化度合いを弁別し難くなる傾向があったことから,栄養的にも嗜好的にも,揚げ油の極性化合物量を15%以下で管理するのが適当であると考えられた.
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 日沖 義治 北尾 沙友里 中村 純子 中井 良哉 村上 貴士 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-4, 2013 (Released:2013-09-12)
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

本研究の目的は,TMT-A が認知機能低下を識別するための有用な評価法となり得るのか否かについて検討することである。方法は,入院中の高齢患者31名を対象にTMTA を測定し,MMSE,FIM-C との関連について検討した。その結果,MMSE,FIM-C との間に有意な負の相関が認められた。また,TMT-A の所要時間が5分未満の対象者は,そのすべてがMMSE のカットオフ値である24点以上であり,認知機能低下の疑いが低かった。一方,TMT-A の所要時間が5分以上の対象者は,その多くがMMSE23点以下であり,認知機能の低下が疑われた。本研究の結果から,TMT-A の施行時間に5分以上を要する患者には,MMSE を行う必要性が示唆された。すなわち,TMT-A はMMSE を行うか否かのスクリーニングテストとして有用である可能性が示された。
著者
村上 拓也 越沼 伸也 肥後 智樹 山本 学
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.87-91, 2013 (Released:2013-10-15)
参考文献数
9

下顎骨関節突起骨折において,コントラアングルドライバーを用いた口内法による観血的整復固定術を施行した1例を報告した。顎顔面領域における骨折のなかでは下顎骨骨折が最も多くみられる。観血的整復固定術を行うには,口外法と口内法があるが,口外法は,顔面神経麻痺や皮膚瘢痕などのリスクがある。一方,口内法は皮膚切開,皮弁挙上の必要がなく,顔面神経麻痺や皮膚瘢痕が生じない。術野の明示は口外法に比較するとやや困難となるが,侵襲を最小限に抑えることが可能であり,今回の症例においては術後の機能障害もなく良好な結果となった。以上のことから,骨折部位が関節突起基底部より低位である症例では,コントラアングルドライバーを用いた口内法による観血的整復固定術は有用な方法であると考えられた。
著者
村上 昭人 外間 数男
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
no.46, pp.98-100, 2000

沖縄本島におけるミズイモでのオキナワイナゴモドキの発生消長と被害状況を調査した。<BR>1)本種の被害発生圃場率は76.1%で,各地域における被害葉率は4.8~49.2%であった。また被害の全くみられない地点もあった。<BR>2)本種による被害は,3月頃より認められ,8月以降急増し,9月に最も高くなった。その後,被害は急速に減少し,1~2月には認められなかった。<BR>3)本種の産卵穴は4月から認められ,被害葉率が最も高くなる9月には,被産卵葉柄率も最も高くなった。<BR>4)本種は成虫が3月頃,幼虫が5月頃より認められ,幼虫は8月に,成虫は10月に最も多くなった。また成虫が12~3月にかけて葉鞘の隙間で越冬して<BR>いることが確認された。
著者
村上 敬宜 遠藤 正浩
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.35, no.395, pp.911-917, 1986-08-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
67
被引用文献数
28 63

The dependence of ΔKth on crack size and material properties under stress ratio R=-1 was studied on various materials and microstructures. The values of ΔKth for all the materials investigated were standardized with one geometrical and one material parameter.The geometrical parameter, √area, is the square root of the area which is occupied by projecting defects or cracks onto the plane normal to the maximum tensile stress. The relationship between ΔKth and √area is expressed as follows:ΔKth∝(√area)1/3 (a)The most relevant material parameter to standardize the data was the Vickers hardness, and the following relationship was obtained:ΔKth∝(HV+C) (b)The constant C in Eq. (b) reflects the difference of nonpropagation behavior of small cracks in soft and hard metals.By combining Eqs. (a) and (b), the following equations were derived for predicting ΔKth and the fatigue limit σω of cracked members.ΔKth=3.3×10-3(HV+120)(√area)1/3 (c)σω=1.43(HV+120)/(√area)1/6 (d)where the units are ΔKth: MPa·m1/2, σω: MPa, √area: μm and HV: (kgf/mm2). Equations (c) and (d) are applicable to a crack having √area approximately less than 1000μm.
著者
村上靖彦著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2011
著者
大場 真 戸川 卓哉 藤井 実 安田 肇 中村 省吾 村上 高広
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本課題にて設定した以下サブテーマ(1)-(5)について、以下のような研究を実施した。(1)福島県三島町との連携研究を推進し、三島町内の住宅における地域ICTシステムの導入数を10件追加して17件とし、家庭における時間別のエネルギー消費量や太陽光パネルによる発電量等に関する基礎的データを取得した。(2)統合木質バイオマス利用モデルBaIMにおける、木質バイオマスコストにかかるパラメーターの検討を行った。(5)と関連して素材収集範囲や林業機械に対する習熟度などの新しい変数に関する検討を行った。(3)研究分担者らがこれまで開発してきたバイオマスガス化実験施設を拡張し、ガス化に供する原料の水分調整を実施した場合や未利用材の利用がガス化反応挙動に与える影響を明らかにする研究を継続した。(4)これまで開発した地域特性に応じた分散型エネルギーシステム設計プロセスのモデルのフレームワークによって、中山間地域での評価が可能な木質バイオマス資源に関連するシステムの拡張に引き続き着手した。地域ICTシステムで得られたデータも活用し、町内18集落におけるエネルギーの利用状況や望ましい地域エネルギーシステムに関する分析をとりまとめた「集落カルテ」のプロトタイプを検討した。(5)地域の木質バイオマス資源の利用促進が地域の産業連関構造に与える影響を定量的に計測するため、関連する統計資料を収集した。また、町が実施した山形県内を対象とした視察に同行し、木の駅や森林組合等の先進的な事例の現地調査を行った。森林組合には事後調査も実施し、三島町の森林を利活用した地域循環システムの構築に向けた基礎情報を収集した。三島町の産業連関表の精度を高めるとともに、奥会津地域における広域的な木質バイオマス資源の利用促進が地域循環・経済圏へ与える波及効果の検討を行った。
著者
濱本 望絵 土屋 薫子 石川 博一 村上 隆史 杉村 博 森 信一郎 一色 正男
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC) (ISSN:21888868)
巻号頁・発行日
vol.2019-DCC-21, no.36, pp.1-8, 2019-01-17

無線対応端末がルータや中継機に無線接続する際,暗号化 ・ 復号化に必要な鍵を 2 つ取得する. 1 つはユニキャスト通信する際に使用する PTK (Pairwise Transient Key),もう 1 つはブロードキャストおよびマルチキャスト通信する際に使用する GTK (Group Temporal Key) である.家庭用ルータ ・ 中継機の中には,一定時間ごとに GTK を更新し,1 つの GTK を長い期間共有しないことで通信の安全性を高める設定が可能なものもある.しかし,中継機の GTK 更新の実装仕様により,無線 LAN ネットワーク上の端末間で GTK の不一致が発生する場合がある.その結果古い GTK を持つ端末と,新しい GTK を持つ端末との間でブロードキャストやマルチキャスト通信が不能になり,相互接続ができない問題が発生する.本論文では,中継機の GTK 更新に関する実装状況を調査し,その問題が発生する条件を明らかにする.またその問題に対して,端末側の実装で相互接続性を確保するための手法の提案を行うと共に提案手法の評価と考察を述べる.
著者
高橋 嘉明 村上 舞 森川 由佳里 田代 雄大 高橋 裕美 白石 万喜 小林 由香
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.423-427, 2017-07-25 (Released:2017-07-29)
参考文献数
3

近年,病棟に出向いて実施している具体的な臨床検査技師の業務項目として,生理学的検査,検体採取,各検査の説明,ICT・NST活動への参画などを行い,患者中心のチーム医療へシフトし始めている。こうした動向を受け,当院の臨床検査科では病棟業務,特に病棟採血を積極的に実施している。臨床検査技師が全病棟のナースステーションに赴き,検査指示回収から採血,結果報告までを一括して担当しており,患者の病態の把握,診断・治療の迅速化をもたらし,治療の質の改善につながっている。