著者
七山 太 村上 文敏
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1998年以来行われてきた北海道東部太平洋沿岸の巨大津波痕跡研究において,未だ不明確であった根室地域において,2008年6月,根室市西尾建設(株)の協力を得て,根室市南部沼中央の沿岸低地でメガトレンチを掘削し,過去5500年間に堆積した泥炭層中に16層の巨大津波堆積物の層序が確認された.翌2009年11月,第一産業(株)の協力を得て,南部沼西部,桂木採石場において,幅100mにも達するメガトレンチ断面における巨大津波堆積物の側方層相変化を観察することが出来た.2010年11月,我々はこれら2つのメガトレンチの側壁上面に地中レーダー探査測線を設定し,巨大津波堆積物の側方層相変化をイメージングすることを試み,その実用性を検討した.今回のGPR探査には Sensors & Software社のpulseEKKO100(200MHzアンテナ)とNoggin 250MHzを併用して行った.この際,観測点間隔はpulseEKKO100が0.25m,Noggin 250MHzが0.05mとした.探査深度は湿原環境の場合約6~8m以浅と限定されたが,記録の解像度は15-20cmと高く層相のイメージは可能となった.
著者
木島 功介 村上 伸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.95, no.367, pp.9-16, 1995-11-17
被引用文献数
6

ヒューマンインタフェースの立場から見た機械へのより良い情報入力の方法として,人間の自然な振る舞いを機械が認識し,情報入力を行うことが考えられる.この1つの方法として,手形状を用いて情報入力を行うことが考えられるが,この場合非接触による手法が望ましい.本稿では画像処理技術を用いて非接触により手形状認識する方法について述べる.本手法では2台のカメラを用い手の特徴点を3次元的に抽出しモデルを用いたマッチングにより形状認識を行う.これにより入力姿勢の制限を少なくし,認識精度の向上が計れると思われる.
著者
分部 麻希 村上 千秋 丸山 武紀 新谷 〓
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.221-228, 2000-05-20
被引用文献数
3

1)AsA及びDAsA標準水溶液の温度による安定性を比較すると、5〜50℃ではAsAの方が安定性が悪く90℃ではDAsAの方が悪かった。2)AsA及びDAsA標準溶液のpHによる安定性を比較すると、AsAはpH4〜pH7の範囲で安定だが、DAsAはpHが高いほど不安定であった。3)野菜ジュース中のAsA及びDAsAの挙動は野菜の種類によって異なり、保存中にAsAがほとんど酸化されない者、ジュース調製中にすべてDAsAに酸化され、保存中に総VCが著しく低下するものまで様々だった。4)ジュース調製後の加熱の影響は、加熱により総VCは低下するが、高温または電子レンジ加熱では、24時間保存後の残存率は未加熱に比べて高かった。5)ピーマンジュースのpHによるAsAの安定性はpH4以下またはpH7以上で良く、pH5.5付近で最も悪かった。6)ピーマンジュースの場合、食酢、レモン汁、牛乳の添加が効果的だった。パセリ、キャベツ、セロリ、にんじん及びレタスの各ジュースではレモン汁が特に効果的であったが、牛乳の添加で、無添加に比べ総VCの残存率が低下した。
著者
村上 文子 西沢 秀幸 石原 政雄
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.624-627, 1982-11-05
被引用文献数
1

ポリアミンソ類(プトレシン,カダベリン,スペルミジン及びスペルミン)をダンシル化した後ポリアミド薄層を用いた薄層クロマトグラフィーにより分離し,薄層上のスポットをスキャニング蛍光光度計を用いて直接測定し定量した.ダンシルポリアミン類はポリアミド薄層上で少なくとも24時間は安定であり,測定下限はビスダンシルプトレシン,ピスダソシルカダベリン,及びトリダンシルスペルミジンでは10pmol,テトラダンシルスペルミンでは5pmolであった.1枚の薄層板上での蛍光強度の変動係数は5%以内であった.動物組織の定量ではほぼ文献どおりの値が得られた.
著者
村上 陽一郎
出版者
理想社
雑誌
理想 (ISSN:03873250)
巻号頁・発行日
no.481, pp.38-47, 1973-06
著者
小竹 優範 森田 克哉 中田 浩一 俵矢 香苗 藤森 英希 吉野 裕司 小泉 博志 伴登 宏行 村上 望 山田 哲司
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.441-446, 2005-04-01
被引用文献数
13 10

症例は73歳の男性で, 2000年9月に上行結腸癌にて右側結腸切除の既往あり.2003年10月胆嚢炎疑いにて当科紹介となり, CTで膵頭部に濃染不良の3.6cm大の腫瘤を認め, MRCPで下部胆管・膵管が閉塞し総胆管・主膵管の拡張を認めた.血管造影で下膵十二指腸動脈の強い屈曲・蛇行と濃染像を認め, FDG-PETで膵頭部の腫瘤に強いFDGの集積を認めた.以上より, 転移性膵頭部腫瘤の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本は十二指腸乳頭部, 膵頭部に5.5×4cm大, 2型の腫瘍を認め, 病理組織学的所見では中分化型腺癌で, 大腸・膵臓ともにCK7で陰性, CK20で陽性を示し, 大腸癌の膵頭部転移と診断した.術後経過は良好で, 術後26日目に退院した.大腸癌の膵転移切除例の本邦報告例は自験例を含め12例であったので報告する.
著者
村上 祐子
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.2-6, 2009-01-01
被引用文献数
1

e-リサーチとは,電子データをネットワークを介して共有し,シミュレーションなどの処理を行って新たなデータを得ることによって,理論を展開する科学研究の方法論である。理工医薬系が主たるフィールドであるように思われているが,人文社会系でも研究データの共有から新たな検索ツールの開発,またGISなど,さまざまな試みが行われている。小論では,日本国内での例をとりあげ,今後の展開を予想するとともに,学術図書館の役割を再考する。
著者
山﨑 博人 辻村 春菜 村上 定瞭 品川 恵美子 杉村 佳昭 福永 公寿
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.20-26, 2009-01-20 (Released:2009-01-29)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

5300 mg/Lの超高濃度のアンモニウム塩濃度に耐性をもつ硝化菌体は,活性汚泥(AS)あるいは消臭微生物製剤(EM)を,球状高分子化含水ゲル(KU, AL, AL[C], AL[F]),キューブ状高分子化含水ゲル(ALCu, ALCu[C]),ペレット状ポリプロピレンBCP[C],あるいはシリンジ状ポリプロピレン(ALT, ALT[C])の種々の担体に物理吸着して固定化した後,馴化培養して得た.AL[C], BCP[C], ALCu[C],およびALT[C]は活性炭を,そしてAL[F]はフライアッシュを担体の一成分としてそれぞれ含んでいる.ポリビニルアルコー(PVA)の高分子架橋時のゲル化を介した包括固定化菌体もまた調製され,同時に活性炭,フライアッシュあるいは活性アルミナを含む担体としてPVA[C], PVA[F],あるいはPVA[Al]がそれぞれ得られた.馴化後の硝化菌体とストリッピングを併用し,モデル排水からの窒素除去を試みた.PVAヒドロゲル中にEM菌体を包括した固定化菌体は,NO3−を生成した.一方,AS菌体を包括固定化した場合と,AS菌体あるいはEM菌体を物理吸着した固定化菌体はNO2−を効率良く生成した.高濃度アンモニア領域において,NO3−を生成するタイプのEM/PVA[C](菌体/担体)とNO2−を生成するタイプのAS/ALT[C]の固定化菌体は硝化とストリッピングにより,30日間で57%のアンモニウムイオンを除去した.NO2−あるいはNO3−を生成するタイプのAS/ALT[C]とEM/PVA[Al]の2種の固定化菌体を用い,完全硝化を検討した.それぞれ35日後と50日後に高濃度NH4+をほぼ硝化した.
著者
村上 正隆
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.715-720, 2003-09-30
被引用文献数
2
著者
斉藤 和雄 村上 正隆 松尾 敬世 水野 量
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.797-813, 1996-12-25
被引用文献数
1

冬季北日本山岳域と日本海側平野部への降雪における地形効果と雲物理学的役割を調べるため、水物質の混合比と氷物質の混合比および数濃度を予報する2次元非静水圧モデルを用いて感度実験を中心とする数値実験を行った。東北地方とほぼ同スケールの単純化した地形と海陸分布を与えた実験により、日本海上での気団変質と降雪雲の発生、山岳域風上側斜面での降雪の集中と風下側での雲の消滅がシミュレートされた。雲頂高度は海上から海岸付近、内陸の順に増大し、雲頂温度の低下に伴って氷晶数の増大が見られた。降雪の分布への副次的な要素として海陸の粗度と温度差の影響を調べた。比較実験では、陸域風上側での降雪の集中には海陸の温度差による収束効果が寄与しており、粗度の違いによる摩擦収束の影響は小さかった。日本海上で変質した気団が山の高さだけ強制上昇させられることを前提に、強制凝結量の内どれだけが陸面での降水になるかを求めて降水能率を定義し、山の高さを変えて降水能率を比較した。実験では、山の高さが雲底高度を越えると降水量の急増が起こり、600m以下で40%前後だった降水能率は1000m以上では80%前後に上昇する。一方、氷相過程を取り除いたwarm rain processでは、山の前面で凝結した雲水の大部分は雨水へと転化する前に山岳後面の強制下降域に入ってしまい、降水量・降水能率ともに氷相を含む実験の1/3程度の低い値に留まった。氷晶生成項についての感度実験を行い、山岳域で氷晶生成を抑制することで陸域の降雪が減少することと、山が無くても陸域で氷晶生成を促進すると降雪量が増大することを確かめた。これらの結果は、冬季北日本の地形性降雪においては、一般に指摘されている地形強制上昇による水蒸気凝結のみならず、山岳域での雲頂温度低下に伴う氷晶生成の促進による天然の種蒔き効果-natural seeding-が、降雪量の増大に重要な役目を果たしていることを強く示唆している。日本海上の特定の場所で水晶生成を促進する実験を行い、人工的な種まきによる降雪の抑制あるいは促進の理論的な可能性を示した。
著者
瀬尾 和哉 渡部 勲 太田 香織 村上 正秀
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集 : スポーツ工学シンポジウム : シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス : symposium on sports engineering : symposium on human dynamics
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.136-140, 2001-11-07

This paper describes the aerodynamic forces acting on the ski jumper during the landing phase as well as the free flight phase. The full size model was employed to measure the lift area, the drag area and the moment volume, which was mounted in a 3-meter low speed wind tunnel. The ground effect plate was set in the test section of the wind tunnel. The clearance between the plate and the center of mass of the body-ski combination was about 1 m. It was found that the difference between the lift area with the ground effect plate and that without the ground effect plate increased with the ski-opening angle, though difference of both lift areas was independent of the angle of attack. The difference of both drag areas was small. The flight distance was estimated about 146 m, which is 6 m longer by taking account of the ground effect.
著者
村上 正隆 Clark Terry L. Hall William D.
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.43-62, 1994-02-25
被引用文献数
7

新しい雲の微物理パラメタリゼーションを組み込んだ2次元3重ネステッド雲モデルを用いて、二つの事例について、日本海上での混合層の発達と対流性降雪雲の形成過程の数値実験を行った。一つは、集中観測期間中の1989年2月2-4日に、並の寒気吹き出しに伴って出現した雪雲である。この例は、雲の微物理構造について観測結果との詳細な比較がなされた。もう一つは、1990年1月24-26日の強い寒気吹き出しにともなって出現した雪雲である。この二例の比較を通して寒気吹き出しの強さが混合層の発達と雪雲形成に及ほす影響を調べた。モデルは、暖かい海面からの熱と水蒸気の補給(総熱フラックスは、1989年の例では439W/m^2、1990年の例では895W/m^2)と、それに続く対流輸送による混合層の発達をよく再現した。雲が形成されるまでの吹走距離、雲頂・雲底高度、混合層内での気温の増加等については、モデルと観測との良い一致が見られた。雲の力学及び微物理学的見地からは、上昇流、雲水量、雪水量などの観測値がよく再現された。また、雪雲中での霧雨(drizzle)の生成や、雲水の高濃度域と氷晶の高濃度域の一致という観測事実もよく再現された。モデルと観測結果の不一致の主なものは氷晶濃度で、モデルは観測値を約6倍過小評価した。一般的に、雲は大陸東岸から50-150km(寒気吹き出しの強さによる)風下で形成され、吹走距離とともに徐々に雲頂高度が高くなり、対流活動も活発になる。日本付近では、海岸から約30km風上側で雪雲の活動が強まり、その後、陸面からの熱と水蒸気の補給を断たれて徐々に衰弱する。これらの雲の中では、最初、主に過冷却雲粒の凍結によって氷晶が生成し、昇華凝結及び雲粒捕捉により成長する。代表的な降水粒子は、海上・海岸域ではアラレで、山岳域に進むにつれて雪へと変化する。山岳斜面上では、衰退しつつある上層の雪雲と地形による上昇流で形成された下層雲の間で顕著なSEEDER-FEEDERメカニズムが働いている。海上でも、ライフステージの異なる隣接する雪雲間で同様のメカニズムが働くが、山岳斜面上ほど顕著ではない。寒気吹き出しが強まる(低温になる)ことにより、雪雲の対流活動は活発になり混合層も厚くなる。昇華凝結核の活性化により、高濃度の氷晶が生成され、これら氷晶間での過当競争により雲粒捕捉成長が抑えられ、アラレの雪に対する比率が減少することが示された。