著者
村上 昇 幸野 亮太 中原 桂子 井田 隆徳 黒田 治門
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.S・viii, 763-766, 2000-07-25
被引用文献数
3

一年以上の間, 室温22度, 14時間明:10時間暗の照明条件下で飼育されたシマリスを短日照明(10時間明:14時間暗)と低温条件に暴露することにより季節外冬眠を誘起した.我々は一年のどの時期でもこの季節外冬眠を誘起できた.この季節外冬眠は季節間において, 冬眠一党醒インターバルや, それぞれの冬眠や覚醒時間には有意な差を認めなかったが, 冬眠に入るまでの期間の長さにおいて夏のみ約60日を要し, 他の季節の平均30日より長かった.さらに, 覚醒インターバルでの覚醒時刻は冬では明期に起こるのに対し, 春では明期と暗期でほぼ等しい割合で起こった.これらの結果はシマリスの冬眠がサーカディアンリズム(概日リズム)とサーカニュアルリズム(概年リズム)の両者にリンクしていることを示唆している.夏の季節外冬眠において, セロトニン枯渇剤であるパラクロロフェニルアラニン(PCPA)の冬眠中での慢性投与は冬眠を阻止し, 非冬眠動物への投与は逆に冬眠を誘発した.一方, オピオイドのアンタゴニストであるナロキソンの投与は覚醒時間の延長を起こした.これらの結果は, セロトニンによる冬眠誘超や維持機構がサーカニュアル(概年リズム)システムと独立したものであることを示唆している.
著者
村上 敬宜 横山 ナンシー尚子 高井 健一
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.1068-1073, 2001-10-15
被引用文献数
10 23

The mechanism for fatigue failure in extremely high cycle fatigue in the regime of <i>N</i>>10<sup>7</sup> is studied on a bearing steel, JIS SUJ2. Special focus was given to the fracture morphology in the vicinity of fracture origin (subsurface nonmetallic inclusion) of a heat treated bearing steel (Specimen QT). The particular morphology looks dark during optical microscopic observation. Specimens with short fatigue life of the order of <i>N<sub>f</sub></i>=10<sup>5</sup> did not have such a dark area, ODA (optically dark area). To investigate the influence of the hydrogen trapped by nonmetallic inclusions on fatigue properties, specimens heat treated in a vacuum followed by quenching and tempering (Specimen VQ) were prepared. Specimens VQ contained 0.07ppm hydrogen as compared to 0.80ppm hydrogen for conventional Specimens QT. Specimens VQ had a slightly smaller ODA than Specimens QT. Hydrogen was detected by a Secondary Ion Mass Spectrometer around the inclusion at fracture origin of Specimens QT and Specimens VQ. Thus, it can be concluded that the formation of ODA is closely related to hydrogen trapped by nonmetallic inclusions. Estimations of fatigue limit by the √<i>area</i> parameter model based on the original size of inclusions for fatigue limit defined for 10<sup>7</sup> cycles are -10% unconservative. Considering the size of ODA into fatigue limit estimation, the √<i>area</i> parameter model can predict the mechanical fatigue threshold for small cracks without influence of hydrogen. The mechanism of duplex <i>S-N</i> curve is also discussed.
著者
堀之内 茂 大貫 武 吉田 憲司 郭 東潤 徳川 直子 滝沢 実 進藤 重美 町田 茂 村上 義隆 中野 英一郎 高木 正平 柳 良二 坂田 公夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-162, 2006-03
被引用文献数
1

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は航空宇宙技術研究所(NAL)の時代から次世代超音速機技術研究開発プロジェクトを開始し、ロケットにより打ち上げる無人の小型超音速実験機(NEXST-1;以下ロケット実験機)の開発と飛行実験を行った。実験機の空力形状はJAXAが開発したCFDコードにより設計されており、飛行実験の目的はその実証にある。基本設計は平成9年度から開始し詳細設計、維持設計を経て平成13年度に実験機システムが完成した。平成14年7月にオーストラリアのウーメラ実験場で第1回飛行実験を実施したが、打上ロケットのオートパイロットの不具合により実験は失敗に終わった。その後、信頼性向上ための改修を行い、平成17年10月10日に第2回飛行実験を成功裏に完了した。本報告書は研究開発プロジェクトの概要と第1回飛行実験にいたる設計の結果、及び地上での確認試験の結果についてまとめたものであり、補足として、第1回飛行実験の状況、その原因調査、及び対策検討の結果にも触れた。改修設計の結果、及び第2回飛行実験のフェーズについては別途報告書がまとめられる予定である。
著者
Rochanachirapar Wasu 村上 勝久 山崎 直紀 本多 友明 阿保 智 若家 冨士夫 高井 幹夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.519, pp.7-10, 2004-12-09

スクリーン印刷によって成膜した力¬ボンナノチューブ(CNT:Carbon Naontube)冷陰極に照射エネルギー密度とストライプステップを変えながらXeClエキシマレーザーを照射し、CNT冷陰極のエミッション特性改良を試みた。180×0.4mmストライプでストライプステップが0.4mmのレーザーを照射することによって均一なエミッションサイトの分布が得られた。照射パワー密度6MW/cm^2のレーザーを照射を行った場合、同値電界は1.2V/μm以下になり、3.2V/μmの電界で電界放出電流密度は2.0 mA/cm^2以上になった。
著者
大山 牧子 村上 正行 田口 真奈 三上 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.109, pp.37-42, 2007-06-16
参考文献数
13
被引用文献数
2

本発表では,オンデマソド型e-Learning語学教材について,学習者側の視点から,教材の構造と学習者の学習スタイルに注目して行った評価研究について述べる.2つの中国語語学教材の構造を分析した上で,教材の構造と学習者の学習スタイルとの関係に着目して,学習者のつまずきと興味関心を質的・量的に調査した.その結果,学習者をFelderの学習スタイルで分類した場合,問題を解決する際,自分で考えて解決する〔内省的〕なタイプの人は,教材に自由度があり,自分の学習方法が確立しやすいものを選択し,一方で人と議論して考えを深める〔活動的〕なタイプの人は,教材内にナビゲータが存在し,学習をわかりやすく促してくれるような教材を選択すると,継続的かつ効果的な学習が得られるということを見出した.
著者
井上 吉世 石津 日出子 伊藤 知子 大鹿 淳子 梶本 五郎 竹井 よう子 高村 仁知 中原 満子 西池 珠子 林 淑美 原 知子 深見 良子 福井 広子 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 夜久 富美子 湯川 夏子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.299-304, 2003-08-20
参考文献数
17
被引用文献数
3

A collaborative study was designed to examine the applicability of a sensory evaluation to determine the life span of frying oil. Soybean oil was heated at 170℃ in an electric fryer. Two types of food, chicken fillet and potato, were deep-fried with or without breaded batter every 15 min. Frying was continued until the flavor score of the oil had dropped to 3. A sensory evaluation of the frying oil and each fried food was then carried out. The life span of the frying oil to reach the flavor score of 3 was slightly longer with breaded batter than without using the batter coating. The color of the frying oil did not exhibit any degradation, especially when potato was fried. It was difficult to judge the degradation by the appearance of each fried food coated with breaded batter. However, the flavor score of the frying oil corresponded to the flavor score of the fried foods coated with breaded batter. The flavor and taste of the foods fried in the oil with a flavor score of 3 were not good. These results suggest that the flavor score of frying oil is useful to determine the life span of frying oil when a breaded batter coating is used.
著者
折津 政江 横山 英世 野崎 貞彦 村上 正人 桂 戴作
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.595-602, 1999-12-01
参考文献数
14
被引用文献数
1

心療内科受診者を対象に, ストレス耐性度チェックリスト(STCL)を施行した.信頼性分析のほか, 因子分析で得られた結果を第1報で報告した健常群で得られた結果と比較検討し, さらに判別分析を行った.平均得点は健常群より有意に低く, 判別分析では, 判別率77.8%で異なる群として有意に分けられた.因子分析では, 「明朗・積極性」「対人寛容性」「自己不確実性」「自己本位」「過緊張」の5因子が抽出された.ストレス耐性をストレッサーに対し, 調和的かつ適正に認知・評価し対処する機能と考えると, STCLはストレス耐性度をある程度推測することができるものと思われたが, より正確に測定するために, 追加すべき要因のほか, 対象の見直しやストレッサーやストレス反応との関連などの検討を重ねることが必要であろうと考えられた.
著者
村上 清
出版者
長崎ウエスレヤン大学
雑誌
長崎ウエスレヤン大学現代社会学部紀要 (ISSN:13481142)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-21, 2006-03-31

本論文では、障害者自立支援法や障害者雇用促進法改正という状況を踏まえて精神障害者の就労を今後促進するための課題を整理するとともに、精神障害者の障害特性を考え筆者が注目している新たな就労形態として、EUが掲げる「社会的排除との闘い」の具体的実践としてイタリアでさかんな社会的協同組合B型について論及するものである。
著者
村上 賢治 隈部 浩樹 木村 学
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.125-129, 2007-01-15
参考文献数
11

本実験は,サトイモ(Colocasia esculenta Schott)の球茎の休眠の品種間差異および低温処理による休眠打破の効果を調べる目的で行った.'えぐいも','早生蓮葉','赤芽','筍芋'およびマレーシア産の系統(マレーシア1)を供試し,9月21日と11月23日に掘り上げた球茎について,掘り上げ直後に25℃で発芽試験を行った.その結果,'早生蓮葉''えぐいも'では,9月21日掘り上げ球茎では発芽が非常に遅く,11月23日掘り上げ球茎はすぐに発芽した.'筍芋'およびマレーシア1は,掘り上げ時期に関係なくすぐに発芽した.'赤芽'は,9月21日掘り上げ球茎ではやや発芽が遅かった.'えぐいも'を供試し,10月3日に掘り上げた球茎を,3℃または10℃で0〜60日間および25℃で60日間処理後,発芽試験を行った.その結果,3℃で15日間または10℃で30日間以上処理すると発芽が著しく促進された.低温処理の効果は,'八頭','石川早生丸','大野芋'でも同様にみられた.本実験の結果,サトイモにおいては,9〜10月初めに掘り上げた球茎で休眠がみられる品種とみられない品種があり,低温処理により休眠が打破されることが示された.
著者
村上 明美 喜多 里己 丸山 彩香
出版者
神奈川県立保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、熟練開業助産師が後進の助産師に対して行っている卓越した「わざ」の伝承を、D. Leonard & W. Swap(2005)が提唱するディープスマート理論に基づいて分析し、「わざ」伝承の緒相を明らかにすることを目的とした。対象は、熟練開業助産師3名と、そこに雇用されている後進の助産師7名であった。対象者にそれぞれ2回の半構成的面接を行い、面接の様子をフィールドノーツに記載するとともに、対象の許可を得てレコーダーに録音し、逐語録を作成した。分析は、逐語録とフィールドノーツの内容を、まず、ディープスマート理論の構築・形成・選別・移転の段階に沿って分類し、コーディングを行い、「わざ」伝承の視点から内容分析を行った。その結果、以下のようなストーリーラインが描写できた。後進の助産師は「熟練開業助産師に惚れ込む」ことから助産所の一員となって、熟練開業助産師と場や感覚を共有するようになっていた。さらに、後進の助産師は「熟練開業助産師から現場を任される」ことや、たとえ熟練開業助産師が不在であっても「熟練開業助産師が存在しているかのように実践できる」と感じることで、熟練開業助産師の卓越した「わざ」が自身に伝承されていると実感していた。卓越した「わざ」は、HOW TOとしては伝えられておらず、特に、出産の場においては、後進の助産師が[産婦の産もうとする力]と[胎児の生まれようとする力]に熟練開業助産師とともに徹底して寄り添うことを通して、熟練開業助産師の「信念」「責任」「真摯な姿勢」「判断の見事さ」等の卓越性を共有していた。さらに、出産終了後に後進の助産師が熟練開業助産師とともに「出産を振り返る」ことは、相互に共感的な気づきが生じ、熟練開業助産師の卓越した「わざ」が後進の助産師に伝承される場となっていた。
著者
斉田 宏 村上 元庸 関 真理 三宅 健夫
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.16-21, 1984
被引用文献数
9

レーザードップラー法 (LDV) によるラット胃粘膜血流測定を接触電極法による水素ガスクリアランス法との比較において検討した.<br>胃粘膜血流を反映する接触式水素ガスクリアランス法による血流値とLDVによる電気信号とは有意の (p<0.01) 相関を認めた.<br>又, 再現性も高く, 繰り返しの測定が可能であつた. LDVは, 時々刻々変化する粘膜血流に対して敏感に応答しながら連続的に記録する事が可能であり, 水素ガスクリアランス法にて測定不能な低血流をも容易に測定できた. 以上よりLDVは, 胃粘膜血流測定に有用な方法であり, 胃粘膜防御機構の一つである粘膜血流の研究に更に有効な手段となり得ると結論した.
著者
毛受 松寿 仙誉 軍一 吉野 邦英 平出 星男 村上 忠重
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.281-289, 1978-04-01
被引用文献数
2

胸部食道癌切除後の食道再建には胃や結腸が利用されることが多く, 空腸による再建術は実施されることが少ない. われわれは新しい観点から空腸による食道再建術を検討してきたが, 臨床例が38例に到達したので, われわれの行っている空腸による再建型式, 拳上空腸脚作製上の問題点, 胸骨柄切除胸骨後再建経路の作製法, さらに胸骨縦切による胸骨後経路, 吻合法ならびにその補強法, 術後管理の問題点について述べるとともに, 胸骨柄切除胸骨後経路による空腸利用の食道再建術は優秀な術式であるとの確信を得たのでその大要を報告した.