著者
松本 重貴
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2000

暗黒物質の有力な候補の一つとして、Neutralino LSPがある。このNeutralino暗黒物質を職説、間接的に捕らえようとする観測が現在行われており、また多くの将来観測も計画されている。これらの観測のうち、我々の銀河のハローにおけるNeutralinoの2光子へ対消滅からくるガンマ線の観測は、背景ガンマ線に対して特長的なシグナル(Line signal)を示し、またその観測から暗黒物質の性質も精度よく決まることから注目を集めている。この対消滅過程は輻射過程であり、1-loopの計算はすでに行われている。この計算により、NeutralinoがHiggsino-likeあるいはWino-likeで比較的重い質量であるとき(数百GeV以上)、断面積はWボソンの質量でのみ抑制され、Neutralinoの質量に依存しなくなることが明らかになった。これは、もしNeutralinoが重いとすると、この観測は他の観測に比べ非常に有効になる事を意味する。一方、この素過程は理論のユニタリティーにより上限がつく。実際この制限はNeutralinoの質量の2乗に反比例している。このため質量が充分大きくなると、どこかで1-loopの計算は破綻し高次の影響と取り入れる必要が出てる。今回、Neutralinoの質量から2光子への対消滅断面積に対する高次の影響について調べた。具体的には、非相対論的場の理論の手法を応用し、これら高次の影響を比較的簡単に計算する事の出来る有効ラグランジアンを構成した。またこのラグランジアンを用いて、NeutralinoがHiggsino-like及びwino-likeの時に、どのくらいの質量で1-loopの計算が使えなくなるかを定量的に評価した。結果、wino-likeの時には約10TeV以上、Higgsino-likeの時には約1TeV以上のときに、1-loopの計算が破綻することを明らかにした。
著者
金井 文宏 庄田 祐樹 吉岡 克成 松本 勉
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2014-CSEC-66, no.46, pp.1-7, 2014-06-26

スマートフォン向け OS として Android が広く用いられている一方で,それを狙ったマルウェアの数も増加している.Android マルウェアの中には,リパッケージと呼ばれる手法を用いて,正規アプリの中に悪性コードを追加することで作成されたものが多く存在する.攻撃者がリパッケージマルウェアを大量に作成する際には,リパッケージ処理の自動化が必須であると考えられるが,自動リパッケージの実態や対策については,十分な調査・検討が行われていない.そこで我々は,既存の正規アプリが自動リパッケージに対して,どの程度の耐性を有するかを検証する.まず,実際のリパッケージマルウェアの解析を行うことで,リパッケージの方法を特定し,自動リパッケージを再現するスクリプトを作成する.次に,このスクリプトによって,複数の正規アプリに対して,外部と通信を行う機能だけを持つ検証用コードを挿入する.作成したリパッケージ済みアプリを動的解析して,挿入した検証用コードが正常に動作するかどうかを検証する.その結果,評価対象としたアプリの約 75% において,挿入した検証用コードと元の正規アプリのコードの両方が正常に動作することを示す.この実験において挿入した検証用コードを,悪性のコードに変更した場合でも,同様の方法で自動リパッケージが可能であることが予想される.以上より,現状の Android アプリの多くは自動リパッケージヘの耐性が不十分であり,耐ダンパー技術等を用いたリパッケージ対策が必要であることがわかる.
著者
松本 勉 四方 順司 清藤 武暢 古江 岳大 上山 真貴子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.194, pp.73-80, 2005-07-15
参考文献数
3
被引用文献数
3 1

本稿では, 個人認証を行う主体である認証者の手元に個人認証を受けるもの(ユーザ)の個人情報をすべて集めずに, プライバシ保護を志向した分散認証技術について, 課題の抽出, 及び基本方式の検討を行う.すなわち, ユーザの属性情報を秘密分散方式により分散して管理する複数の分散属性認証機関と, ユーザの属性情報を認証者にどの程度示すかをユーザ自らが制御できるモジュールであるユーザアシスタントを導入したモデルを考案し, さらに, この分散認証技術の基本方式を提案する.
著者
土橋 一仁 松本 伸示
出版者
東京学芸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、温室効果を実験室で再現する実験器の開発に挑戦した。温室効果は地球温暖化の主要因として知られているが、その原理を正しく学習するためのモデル実験は存在しない。温室効果を実験室で再現するためには、温室効果ガスを封入する容器として、可視光から中間赤外線にかけて透明な素材が必要である。我々は、そのような素材として岩塩を用い、実験器を試作した。二酸化炭素を封入して実験を行ったところ、温室効果と思われるデータを得ることができたが、岩塩は脆弱で再現性に問題があり、研究期間内に温室効果検出の確証を得るには至らなかった。実験器の問題点は明らかなので、現在も引き続きその問題解決に取り組んでいる。
著者
松本 金寿
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
日本教育学会大會研究発表要項
巻号頁・発行日
vol.22, pp.169-170, 1963-08-27
著者
池田 彰吾 松本 章代 小西 達裕 高木 朗 小山 照夫 三宅 芳雄 伊東 幸宏
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.34, pp.31-38, 2008-03-28
被引用文献数
2 2

Web ページは適切に構造化されていることが少ないため、計算機がその構造を把握するのは容易ではない.そこで本論文では繰り返し構造を発見することで,より正確に Web ページ中の見出しの階層構造を解析する手法を提案する.そして,評価実験を行い,提案手法の性能を実験的に検証し,その結果を報告する.In this paper, we propose a method to analyze a hierarchy of headlines in Web pages by detecting repeated structure. Our method can analyze the structure of Web pages that is not well structured. We show an experimental evaluation of our method.
著者
松本 裕治 杉村 領一
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.308-315, 1986-10-15
被引用文献数
8 1

構文解析システムSAXは,DCG (Definite Clause Grammars)で記述された文法を対象とする自然言語処理用のシステムで,DCGをPrologのプログラムに変換するトランスレータより成る.変換の手法自体は,DCGで記述された文法規則から並列論理型言語への変換を目的として考えられたものであるが,逐次型言語の上で実現されても効率のよい構文解析システムとして利用することができる.SAX (Sequential Analyzer for syntaX and semantiCS)は,特に逐次型言語の上で開発されたシステムの呼び名である.並列論理型言語の上で実現されたシステムは,PAX (Parallel AX)と呼ばれる.変換によって得られたPrologプログラムは,Prologに完全にコンパイルされたものになっており,副作用を用いないことやプログラムの動作が決定的になっていることなどの特徴がある.本システムは,特に,コンパイラを有するPrologに向いた構文解析システムである.
著者
山田 幸雄 松本 光弘 内山 治樹
出版者
筑波大学体育科学系
雑誌
体育科学系紀要 (ISSN:03867129)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.175-179, 2005-03

ジタル技術の革新によって情報・著作物等のコピー、改変、融合等が高度かつ簡便に行えるようになった。しかも、そうして作成された新たな情報や著作物はインターネットなどのネットワーク技術を用いて、低コストで ...
著者
松本 芳彦
出版者
科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.468-474, 2014-10
著者
松本 直樹
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.367-374, 2008-03-10

The aim of this study is to investigate the budgets of public libraries from a financial point of view. We analyzed historical data of nationwide public library budgets. We especially examined it from three aspects, the total budget, funding sources, purposes of budgets. We also used data of local government budgets and budgets for social education to compare the library budgets. The results showed that the trend of local government budgets had strong influence over library budgets. The trend of library budgets bore a striking resemblance to budgets for social education. Capital expenditure of libraries had drastically decreased from late 1990s in line with the burst of economic bubble.
著者
杉浦 ミドリ 松本 昭子 渡辺 一功 根来 民子 高江洲 悦子 岩瀬 勝彦
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.226-230, 1985 (Released:2011-09-13)
参考文献数
12

歳以降の予後の明らかとなった1歳未満発症の熱性けいれん33例と無熱性けいれん133例を以下の4群に分類して, 成因, 臨床像, 発作像, 脳波, 長期予後について比較検討を行った.A群, 38℃ 以上の有熱時のみのけいれん, B群, 有熱けいれんで初発したが経過中無熱けいれんに移行したもの, C群, 無熱けいれんのうち, 3歳未満で発作消失し精神運動発達正常のもの, D群, 無熱けいれんのうちC群を除いたもの.熱性けいれんの48.5%で無熱けいれんが発症した.A, D群はそれぞれ特異的な特徴を示し, B群は両群の中間的な特徴を示した.C群はA群とは明らかに異なり, D群の予後良好なものと同一の範疇に位置づけられるであろうと考えられた.
著者
高田 真樹 松本 忠 茂呂 征一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.89, pp.61-68, 2001-05-18
被引用文献数
4

P/Tペトリネットの状態方程式Ax=b (A∈Z^<m×n>, b∈Z^<m×1>)の任意の非負整数非同次解は,generator, (u_i, ν_i)を用いて表すことができる(χ=Σα_iu_i+Σβ_jν_j). generator, (u_i, ν_i)を求める際の計算複雑度によって7つのレベルに分けられる. 特に, レベル6において極小T-インバリアントの非負整数重みつき一次結合と非負整数特解1個(ただし, 一般に複数個存在する)の和で表される. これは最も簡単な形式であり, 可到達問題を考える上で最も有用であると思われる. そこで, これらのgenerator (極小T-インバリアントu_i∈U_6と非負整数特解ν_j∈V_6)を効率的求めることが望まれる. 本論文では, レベル2のAx=0^<m×1>に対するgeneratorU_2 (拡大接続行列の整数基底)からレベル6のAx=bに対するgenerator (U_6, V_6)を同時に導出する方法を示している.
著者
齊藤 康廣 門田 暁人 松本 健一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-7, 2013-03-04

本稿では,自然言語で記述された提案依頼書 (Request For Proposal ;以下 RFP とする )に記載された非機能要件の記述の明確さを機械学習により評価する方法を提案する.提案方法では,まず,RFP から非機能要件に関するキーワード群を抽出し,個々の非機能要件の特性とマッピングさせる.次に,各キーワードの出現頻度と文脈ベクトルに着目して重み付けを行い,ランダムフォレストによって,非機能要件の記述の明確さをモデル化する.70 件の RFP を題材として,提案方法によって多数の非機能要件の記述の明確さを 3 段階で評価した結果,エキスパートによる評価に対する完全一致率の平均が 69.8 %となった.また,完全不一致率 (評価が 2 段階外れること) は極めて小さかった.このことから,エキスパートがいない状況においても,機械学習によって RFP の品質の自動評価をある程度行えることが分かった.This paper proposes a machine learning approach to evaluate the clarity of non-functional requirements (NFRs) described in a Request For Proposal (RFP) written in a natural language. In the proposed method, keywords related to NFRs are extracted from a RFP, and mapped to each NFR category. Then, the clarity of NFRs is modeled by the random forest with weight factors based on appearance frequency and context vectors. As a result of an experimental to evaluate the clarity (low, mid or high) of many NFR categories in 70 RFPs, the proposed method showed 69.8% match to the expert's decision. Also, there were few cases where the model concluded as clarity=high while expert concluded clarity=low, and vice versa. These results suggest that the proposed machine learning approach could be used to automatically evaluate the quality of RFP without experts.
著者
松本 涼子
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

脊椎動物の進化史の中で、水から陸へ(両生類から爬虫類へ)といった生活圏の移行は重要な転換期である。ここで起きた重要な変化の1つが捕食様式である。水中では水流を用いた吸引が可能だが、陸上では顎を用いた咬合になる。吸引と咬合では頭骨にかかる力や作用する筋に大きな違いがあると予想され、それぞれに適した頭骨デザインがあると考えられる。これを解明する事で、捕食様式の変遷を示す鍵となる形態進化を系統に沿って追う事が可能になる。そこで、本研究では脊椎動物が水から陸へと適応進化する過程でどのような力学的制約のもと頭骨のモデルチェンジが起き、脊椎動物の頭骨形態が多様化したのかを明らかにする事を目的とする。平成24年度は、国立科学博物館・真鍋真研究主幹の下で、本研究のモデルケースとして用いるオオサンショウウオを含む多様な両生類の頭部と頸部の3次元骨格データを集積した。本研究に用いられた標本は、受け入れ研究機関の国立科学博物館だけでなく、日本国内(3箇所)の研究機関が所有する両生類の液浸・冷凍標本を用いた。その結果、現生両生類の主要な分類群を網羅し、本研究に必要な90標本の三次元頭骨データが得られた。これらの標本は、受け入れ研究機関が所有するマイクロCTスキャンを用いて撮像し、その後、3次元画像構築ソフト(Avizo使用)を用いて立体構築を行った。今後、補食様式のシミュレーション力学モデル解析を行う予定である。また、平成24年2月、3月に北九州市立いのちのたび博物館を訪れ、生きているオオサンショウウオの他4種の両生類が捕食している様子を、ハイスピードカメラ(HASL1)を用いて撮影した。30回の実験により、様々な角度からオオサンショウウオ等の捕食画像が取得出来た。今後、得られた画像データは、動画解析ソフトを用いて数値化することでシミュレーションモデルの枠組みを形成する予定である。
著者
石川 裕一 宮城 匡彦 松本 知子 渡邊 奈津子 東條 靖 廣井 直樹 久保木 幸司 芳野 原 坪田 貴也 吉原 克則
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.2552-2554, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1

34歳,女性,7月に起立困難で入院.心エコーにて著明な右心不全を認め,急激に呼吸状態の増悪を来たした.スワンガンツカテーテルにて全身血管抵抗低下を伴った高心拍出性心不全の所見を呈し衝心脚気と診断.フルスルチアミン投与したところ24時間以内に循環動態の改善が認められた.衝心脚気の原因として本人が2月から始めた健康食品ダイエットが原因と考えられた.現在では稀な疾患ではあるが,短期間で重症化し致命的な経過を辿る事がある為,注意が必要であると考える.
著者
松本 剛
出版者
経済資料協議会
雑誌
経済資料研究 (ISSN:03853586)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.43-45, 1988-04-09