著者
梅崎 輝尚 松本 重男
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.364-367, 1989-09-05

本研究では, ダイズの主茎節間における伸長性を明らかにするため, 九州地方の秋ダイズ4品種を供試して, 各節間の伸長経過について経時的に調査を行った。1) ダイズ主茎の各節間は主茎と同様におのおのS字カーブを描いて伸長した。2) 主茎各節間の最終節間長は第1節間 (子葉節-初生葉節) が長く, 第3あるいは第4節間が最短で上位節間になるに従って長くなり, 頂部で再び短くなるパターンが認められた。3) 主茎節間の伸長と出葉には同伸性が認められ, 一般に第N節間の伸長最盛期は第N+2葉期, 伸長停止期は第N+4葉期で示すことができた。以上のようにダイズの主茎節間の伸長には規則性が存在することが明らかとなった。今後, 人為的に節間長を制御しようと試みる場合, この規則性を考慮・活用することにより, より効果的な制御が可能となろう。
著者
吉岡 克成 薗田 光太郎 滝澤 修 中尾 康二 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.176, pp.197-204, 2006-07-14
被引用文献数
3

我々は,LZ77符号化やハフマン符号化などの可逆データ圧縮において情報を埋込む方法を既に提案している.本報告では,LZSS符号化における情報埋込方式を,データ圧縮ツールとして広く利用されているZIPに適用した,情報埋込機能付データ圧縮ツールIH-ZIPの実装と性能評価について報告する.評価の結果,圧縮率の観点からは,IH-ZIPはパラメータを調整することにより,スライド辞書法を忠実に実装したオリジナルのZIPに準ずる効率を達成できることがわかった.さらに処理速度の観点からは,高速化の工夫により,オリジナルZIPと同程度の速度を達成できた.
著者
林 耕司 松本 幸子 岩立 志津夫 小島 哲也
出版者
Japanese Association of Communication Disorders
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.58-68, 1989
被引用文献数
3 6

本研究は図形シンボルを使った人工言語システム(NSL86)による言語発達遅滞児への言語訓練の可能性を検討する目的で行なわれた.対象は訓練開始時CA9:2の精神発達遅滞のある発語困難児である.訓練前の言語評価の後,単語,2語連鎖,3語連鎖の順に訓練を開始した.理解と表出を並行して訓練した.単語訓練で学習されたシンボルは順次コミュニケーションボードに載せ,日常での会話に使用できるようにした.約15ヵ月の訓練を通して,計96語(名詞68語,動詞22語,形容詞6語)の単語と,「動作主+動作」「対象+動作」「動作主+対象+動作」の3構文の学習が成立した.全体を通して理解より表出で正答率が高い傾向が見られた.訓練室や家庭でコミュニケーションボードによる自発的で積極的な会話も可能になった.これらの結果から,言語訓練手段としてのNSL86の可能性について考察した.
著者
井手 厚 東 藍 松本 裕治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.7, pp.1-6, 2010-05-20

Web 上の文章には,意図的に誤変換された漢字などを含む,多くの表記ゆれ表現が存在しており,Web フィルタリングを行う上では表記ゆれに対応したシステムを構築することが有効である.本論文では表記ゆれ表現を同定する方法として,KAKASI による漢字かな変換機能と MeCab の分かち書き機能という 2 つの技術を利用した手法について提案する.意図的に誤変換された表記を抽出するために,KAKASI を用いた読み候補の作成を行い,その読み候補が妥当かどうかについての判断を MeCab を利用して行う.本手法の効果を実験によって確認した.Web documents tend to include a number of spelling variations. Especially, in Japanese pages, some variations are intentionally used to hide improper words or expressions. This paper proposes to cope with this problem in two steps: expansion of possible pronunciation by KAKASI and morphological analysis by MeCab. Alter an exhaustive expansion of pronunciation of Kanji characters by KAKASI, and matching with the dictionary of improper expressions, Japanese morphological analyzer MeCab analyses the original sentence assuming the matched expressions existed in its system dictionary. We verify the effectiveness of our idea through experiments using sentences extracted from a real BBS.
著者
長澤 榮治 鈴木 恵美 松本 弘 岩崎 えり奈 臼杵 陽 飯塚 正人 泉 淳 辻上 奈美江 ダルウィッシュ ホサム 錦田 愛子 横田 貴之 石黒 大岳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年1月に始まるアラブ革命の各国ごとの多様な展開を、憲法改正などの政治改革に成功した事例から、軍事クーデターや運動弾圧による内戦の勃発とその長期化による大量の難民発生の事例まで、実証的に検討し、その背景となるイスラーム運動など地域の基軸的な諸問題との関係を考察した。また、パレスチナ問題の展開や域内の非アラブ国や域外大国の介入など中東域内政治の構造変容についても分析を進めた。以上の研究の成果を社会に向けて公開・発信した。今後の研究発展の基盤整備のために、アラビア語など関連文献資料の収集を行い、政治動向の情報の系統的な収集・蓄積とアーカイブ化に向けた試作的なデータベースの作成も行った。
著者
松村 千鶴 雨宮 加奈 雨宮 さよ子 雨宮 昌子 雨宮 良樹 板垣 智之 市野沢 功 伊藤 拓馬 植原 彰 内野 陽一 大川 清人 大谷 雅人 角谷 拓 掃部 康宏 神戸 裕哉 北本 尚子 國武 陽子 久保川 恵里 小林 直樹 小林 美珠 斎藤 博 佐藤 友香 佐野 耕太 佐野 正昭 柴山 裕子 鈴木 としえ 辻沢 央 中 裕介 西口 有紀 服巻 洋介 吉屋 利雄 古屋 ナミ子 本城 正憲 牧野 崇司 松田 喬 松本 雅道 三村 直子 山田 修 山田 知佳 山田 三貴 山田 祥弘 山田 玲子 柚木 秀雄 若月 和道 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.175-180, 2003-12-30
被引用文献数
2

Flower visitations by both native and exotic bumblebee species were investigated at 21 monitoring sites in various regions of Japan in the spring and summer of 2002. The investigation was part of a long-term program that has been in progress since 1997 to monitor the invasion of an alien bumblebee, Bombus terrestris L. (Hymenoptera: Apidae). Flower visitation by B. terrestris was ascertained at two monitoring sites, one in Shizuoka and one in Hokkaido, where a large number of colonies of this species have been commercially introduced for agricultural pollination.
著者
三浦 裕一 石川 正道 竹之内 武義 小林 礼人 大西 充 吉原 正一 桜井 誠人 本多 克也 松本 昌昭 河合 潤
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-100, 2005-03

1990 年代に行われた宇宙実験によって,ピストン効果は,臨界点近傍において普遍的に成立する臨界減速(critical slowing down)に桁違いの速さで熱を伝える効果をもち,結果的に熱輸送は臨界加速(critical speedingup)するメカニズムとして作用することが明確となった.その速さは音速によって規定され,対流,拡散,輻射とは異なる,第4 の熱輸送メカニズムとして認知されるに至った.宇宙実験と平行して発展したピストン効果の理論的検討は,ピストン波が加熱ヒーターの境界層で断熱膨張によって励起され,バルク流体中を高速に伝播することを明らかにした.このような研究の進展において,次の点がいまだ不十分であることが明らかとなった.(1)これまで行われたピストン波の観測は,高々ビデオ収録の時間分解能(1/30 秒)の範囲であり,音速(〜 100 m/s)から見積もられる進行速度と比較すると,実際に観測された現象は試料セル内を数100 往復した後の現象しか捉えていない.すなわち,ピストン波の素過程を直接見たとは言えず,平均化された間接的な効果しか見ていない.(2)実験的に実現された臨界温度への接近は,高々T - T_C 〜 30 mK であり十分臨界点に近いとは言えない.(3)小貫による精密な動的臨界現象理論によると,ピストン波に強い影響をもつ体積粘性係数(bulk viscosity)は,臨界温度T_C に十分近づいた場合に強く発散する.しかしながら,これまでのピストン効果の実験研究では,このような効果に関する観測事実は全く報告されていない.すなわち,理論と実験的事実とが食い違っている,あるいは実験が理論に追いついていない.そこで,我々の研究の目的は,上記の研究の不足を克服することを目的として,(1)音速で伝播するピストン波の素過程を直接観測する.(2)臨界温度への接近は,T - T_C 〜 1 mK を実現する.(3)ピストン波の直接観測により,ピストン波の熱輸送量をT - T_Cを関数として定量的に計測する.これによって,動的臨界現象理論が成り立つかどうかを検証する.このような高精度の実験を前提とした研究目的を実現するためには,微小重力環境を利用することは不可欠である.特に,理論と実験との食い違いを克服し,新規な動的臨界現象理論を実証するためには,重力効果による未知の効果を取り除き,不必要な可能性を排除することは極めて重要である.本研究では臨界流体を用いた欧州のフライト実験で観測されているピストン効果について,その素過程からの解明を目指した地上実験を実施してきた.我々が技術開発を進めた結果,多段の熱シールドからなる温度制御・測定系を構築し,常温において± 1 mK の精度で温度制御することが可能となり,マイクロ秒レベルのパルス加熱によって,臨界点近傍で相関距離に近い厚みの熱拡散層を励起できるようになった.さらに,マイケルソン干渉計とフォトマルを組み合わせた光学測定系を構築し,相対密度感度7 桁の精密測定によりマイクロ秒のオーダーでの高速現象の観測を可能にした.このような技術開発は,従来の実験技術を格段に上回るものであり,従来全く得ることができなかったピストン波の特性を定量的に測定することを可能とし,ピストン波の発信に伴うエネルギー輸送の効率計測,流体全体が音速で瞬時に均一に温度上昇する断熱昇温現象の観測,また,理論的にのみしか予想されていなかった臨界点に極めて近い領域における動的な輸送係数の発散を初めて観測するなど,極めて多くの知見を得ることに成功した.また,臨界点近傍のピストン効果ダイナミクスは重力に強く影響することも明らかにし,微小重力実験の有望性を実証した.このような技術開発の蓄積を踏まえ,ロケット実験を想定した実験装置の小型化およびリソースの軽減,臨界流体を扱う場合避けることのできない臨界タンパク光散乱によるSN 比の低下を回避するための宇宙用赤外干渉計の新規開発,試料充填時における臨界密度の設定誤差低減に関する試料取り扱い技術の向上,実験計画の作成など,宇宙実験実施に関わる中核技術の開発と運用構想を作成し,その有望性を評価した.
著者
角田雅照 門田暁人 松本健一 大岩佐和子 押野智樹
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2014-SE-186, no.12, pp.1-7, 2014-11-06

近年,情報システムの規模の増大や,システム運用の外部委託の進展に伴い,システム運用に関する注目が高まっている.システム運用費用が妥当であるかどうかは,システム運用の委託側企業にとって判断が難しい.本稿では,委託側企業がシステム運用費用の妥当性判断の参考となるような情報の提供を目指し,システム運用費用に影響を与える要因の分析を行った.受託側の作業時間と運用費用は非常に関連が強いため,受託側作業時間を把握することができれば,標準的な運用費用を推定することができる.ただし,受託側作業時間を委託側企業が把握することは一般に容易ではない.そこで本稿では,作業時間と技術者の単価から簡易的に価格を推定することを前提とし,作業時間と単価に影響する要因を個別に分析した.その結果,作業時間はプログラム本数と最大利用者数から決まることや,ネットワーク範囲が狭い場合,単価が低くなる傾向があることがわかった.
著者
松本 光弘 清原 良三 沼尾 正行 栗原 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.53-56, 2008-12-10
被引用文献数
1

近年,携帯電話は高機能化しており,様々なアプリケーションを利用することができる.その一方,多くのアプリケーションの中から必要なものを選択する必要があり,携帯電話の操作は複雑になっている.しかしながら,携帯電話はユーザが素早く且つ手軽に所望のアプリケーションを利用できることが非常に重要である.一方,携帯電話の利用に関して,ユーザは時刻や位置,それまでの操作の状況や日々のスケジュールなどの,様々な外的要因に依存して利用する傾向がある.このような外的要因に基づく携帯電話の特徴的な利用パターンを抽出できれば,ユーザが所望するアプリケーションを予測することができる.本論文では,時空間的利用履歴を基にしたアプリケーション推薦するシステムを構築し,頻度のみを用いたアプリケーション推薦システムと比較することで,本システムの評価を行った.Recently, cellular phones are made high performance, because they provide with various application. On the other hand, a user must select the application one wants to use from among a complex application menu structure. A cellular phone might be used in various contexts and, therefore, it is very important that users can find the desired application easily and quickly. Besides, users use some applications depending on a variety of external factor(e.g. time, location, process of operation and dairy schedule et.al). Hence, there are some patterns in our daily behavior. So, if the habitual operation patterns can be extracted, this means that we can predict the operation of cellular phone. In this paper, we built an Application Recommendation System Based on Temporal-spatial History Log, and compared with a conventional frequency based application recommendation system.
著者
柳 敏晴 西田 順一 橋本 公雄 藤永 博 堤 俊彦 松本 裕史 榮樂 洋光 手島 史子 中島 俊介
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

平成 22 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別項目収集及び整理検討と予備調査、プログラム別仮プログラム作成・実施と要因探索から、プログラム開発・モデル構築を試みた。平成 23 年度は、効果測定尺度作成を、対象者別本調査実施と尺度の信頼性・妥当性の検討から進め、プログラム別修正プログラムの実施し、因果モデル作成を試み、プログラム開発とモデル構築を進めた。平成 24 年度は、対象者別プログラム評価への使用と妥当性検討から、効果測定尺度作成を試み、プログラム開発とモデル構築に挑戦した。
著者
松岡 成明 久澄 太一 吉水 卓見 福井 仁 松本 一弥
出版者
医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
雑誌
昭和病院雑誌 (ISSN:18801528)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-11, 2004 (Released:2005-05-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

松果体は、メラトニンを産生し、睡眠に関係していると考えられています。しかし、手術による松果体切除が、睡眠障害を生ずるか否かについて今日迄はっきりとした記載はありません。私たちは、松果体嚢腫および松果体細胞腫(pineocytoma)の2例の全摘出例について、その影響を検討したので、松果体腫瘍を全摘出した患者のメラトニン分泌とactigraphと睡眠日誌からみた睡眠・覚醒リズムについて報告します。症例1の術後1ヵ月および症例2の術前・術後のメラトニン分泌量は、いずれも2.5pg/dl以下で、日内変動もみられなかった。症例1の術後におけるactigraphからみた睡眠・覚醒リズムの乱れは基本的にみられなかった。14日間における夜間時の各睡眠パラメーターの平均(標準偏差)についてみると、就床時間が406.3分(75.6)、全睡眠時間が369.2分(75.2)、睡眠効率が90.8%(5.4)、中途覚醒時間が37.1分(22.7)、入眠潜時が7.2分(3.1)および昼寝時間が45.1分(39.1)であった。日々の睡眠パラメーターの変動も比較的小さかった。活動量のコサイナー分析の結果、Acrophaseは15~18時の範囲にあり、14日間の平均では、15:32(1:55)、Amplitudeは106.5(19.2)、Mesorは162.9(42.3)であった。最大エントロピー法による解析の結果、第1周期はほぼ24時間、第2周期は12時間であった。睡眠日誌から求めた睡眠パラメータは、actigraphから判定したものより、良く眠れていたと報告していた。症例1でみたように、症候性松果体嚢腫の全摘出術を受けたにもかかわらず、睡眠・覚醒サイクルは、ほぼ正常なリズムを維持していたものと推測された。しかし、症例2のように、術前のメラトニンの分泌レベルは、症例1の術後と同じレベルで日内変動もみられなかった。先行研究では、術前の高メラトニン濃度が松果体腫瘍の診断基準となると言われているので、今後さらに症例を重ねて検討したい。
著者
吉野 博 持田 灯 松本 真一 長谷川 兼一
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究は,平成15年度〜平成16年度までの継続研究である。研究目的は,建材や紙類など,これまで個々の部材レベルでしか検討されてこなかった住宅居室内に存在する様々な吸放湿物体の特性を室全体の総合的な吸放湿特性として把握する方法を開発するものである。最終年度である本年度の研究実績は,以下の通りである。1.単室模型を用いた実験昨年度に引き続き,居室の2分の1スケールの実験箱を使用し,居室における吸放湿特性の現場測定の方法に関する検討を行った。本年度は,室内容物として,コピー用紙,T-シャツ,羽毛布団,以上を組み合わせた場合について加湿実験を行い,室内容物が存在する場合における室の吸放湿特性について検討した。2.数値指標の提案と同定方法の検討1.の単室模型を用いた実験結果より,理論的に室内湿度の変動と湿度励振から室の吸放湿性能を評価するための数値指標とその同定方法について検討した。今回は,居室の吸放湿特性を表す数値指標として,1)積算加湿量と加湿開始時の湿度変化から算出する湿度変化速度,2)吸放湿の無い場合の室内湿度をバランス式から算出し,実際の室内湿度と比較してその差を評価する面積評価法,3)室内湿度のバランス式における吸放湿に関わる2つの係数KS,CWを実験結果から同定する係数同定法の3つについて提案し,それぞれの比較検討を行った。3.実大実験家屋を対象とした現場測定単室模型を用いた実験により得られた成果を基に,実際の居室における現場測定を想定し,屋外に設置された実大スケールの実験家屋の一室を用いた実験を行った。検討した室内容物等は,単室模型とほぼ同様であるが,特に本実験では,屋外条件の影響などについて検討し,(2)で提案した評価指標を同定した他,更に精度良く同定できる手法として,3つの係数KS,AW,BAを提案し,その精度について検討した。
著者
松本 秀明
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.72-85, 1981-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
16
被引用文献数
9 18

仙台平野における沖積層の堆積構造を明らかにするため,野外調査・ボーリング資料解析および14C年代測定を行なった.これをもとに約1万年前以降の海岸線変化を復元し,後氷期の海水準変化との関係から仙台平野の地形発達を考察した. 仙台平野の沖積層は堆積環境の違いをもとに8層に細分される.とくに海成層の堆積状態に注目し,海域変化を復元した結果,後氷期の急速な海水準上昇による海域の最拡大期は,阿武隈川の埋積谷においては海水準が-10mに達する7,900年前,名取川・七北田川の埋積谷においてはそれぞれ海水準が-7m, -5mに達する7,500年前, 7,200年前にあり,その後は陸側からの土砂による海底埋積速度が海水準上昇速度を相対的に上まわることにより,海水準は上昇しながらも陸域の拡大によって海域は後退し,現在に到るものと考える.
著者
松本 尚之 山本 靖人 西田 迪雄
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.62, no.600, pp.3058-3063, 1996-08-25

This paper describes numerical results of a thermal and chemical nonequilibrium plume of high-temperature air. The gas is expanded from an orifice into low-density stationary air as a free jet. The gas considered here is high-temperature air composed of N_2, O_2, N, O, NO, NO^+and e^-, and translational-rotational and vibrational-electron temperatures are treated in a two-temperature model. In addition to this model, a six-temperature model using a multi-vibrational temperature model is adopted. The governing equations for computation are axisymmetric Navier-Stokes equations coupled with species vibrational energy, electron energy and species mass conservation equations. The equations have been numerically solved using the second-order upwind TVD scheme of the Harten-Yee type.
著者
庄司 浩一 牛尾 昭浩 松本 功 川村 恒夫 荒井 圭介 横野 喬
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

昨今のIT農業における実用的なセンサとして,穀粒の衝撃音をイヤホンで感知し,コンバイン上での収穫質量と水分,穀物乾燥機上で水分の推定を行った。コンバインの穀粒タンク内では別途用意した小型の衝突板に,乾燥機では側壁に市販のセラミックイヤホンを装着した。籾およびコムギの収穫時に出力を積算して実際の収穫質量と対応させると,単純な線形回帰でも標準誤差1 kg程度を得た。時系列の信号を周波数領域の音響スペクトルに演算しなおし,任意の2周波数バンドを選択して水分推定を行うと,標準誤差は籾で0.4%,コムギで0.8%を得た。乾燥機でも同様の手法で籾の水分推定を行ったところ,標準誤差0.1%を得た。
著者
福島 脩美 土田 恭史 森 美保子 松本 千恵 鈴木 明美
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.63-75, 2007

カウンセリング研修参加者間の話し手・聴き手役割演習(模擬カウンセリング)において,まず個別方式(2人の間で相互に話し手と聴き手を交代)で実施し,次に集団(井戸端会議)方式(小集団内で1人の話し手に他の参加者が共同の聴き手になって順次全員が話し手となる方式)で実施し,最後に一人で想定書簡によって経験の整理を行うという3つの演習をセットにしたプログラムを開発し,その効果を体験振り返り評定と感情気分評定によって検討した。体験振り返り評定は,先行研究の参加者体験報告(自由記述)をもとに項目化し,専門家の点検と因子分析を経て,クライエント体験評定については2因子(関係性因子と効果性因子),カウンセラー体験評定については1因子(共感的傾聴成分)が同定され,3つの尺度が作成された。そして事前の感情気分評定の後,研修プログラムを構成する各方式の直後に感情気分評定とクライエント/カウンセラー体験の評定を求めた。その結果,感情効果(肯定的感情の促進と否定的感情の緩和)においても,クライエント体験(関係性と効果性)評定とカウンセラー体験(共感的傾聴)評定においても,個別方式の効果をその後の集団(井戸端会議)方式がさらに促進すること,そして想定書簡の後には幾分か低下することが認められた。この結果から,それぞれの方式の特徴と意義について考察した。