著者
藤本 展子 松本 秀明
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100053, 2012 (Released:2013-03-08)

これまで仙台平野に分布する浜堤列の形成時期に関して,松本(1984),伊藤(2006)が研究を進めてきた。松本(1984)は仙台平野の浜堤列を陸側から第Ⅰ浜堤列,第Ⅰ'浜堤列,第Ⅱ浜堤列,第Ⅲ浜堤列に大別し,第Ⅰ浜堤列は5,000~4500年前,第Ⅰ'浜堤列は3,100~3,000年前・前後,第Ⅱ浜堤列は2,800~1,600年前,そして第Ⅲ浜堤列は1,000~700年前から現在にかけて形成されたとした。その後,伊藤(2006)は第Ⅲ浜堤列を内陸側から第Ⅲa,第Ⅲb,そして第Ⅲc浜堤列に細分し,それぞれの形成時期を約1,300~1,100 cal.BP,約1,100 cal.BP以降,そして約350 cal.BP以降とした。 しかしながら,近年の筆者らの仙台平野南部,すなわちわたり平野における自然堤防形成時期等に関する調査で,従来第Ⅱ浜堤列として位置づけられてきた現海岸線から3.3km内陸に位置する柴~曽根付近の浜堤列の形成時期に矛盾が生じるなど,いくつかの問題点が見いだされた。本研究では,従来の結果を踏まえながらも,新たな地形断面の計測ならびに放射性炭素年代測定を行い,当平野における浜堤列の形成時期,すなわち各時代の海岸線の位置を再検討した。
著者
松本 成史 橋爪 和純 渡邊 成樹 和田 直樹 北 雅史 柿崎 秀宏
雑誌
排尿障害プラクティス (ISSN:09195750)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.172-177, 2012-06

著者最終原稿版高齢化に伴い、下部尿路機能障害(LUTD)を有する人が増加しているが、その多くが「歳のせい」等の理由で受診していない。(株)セガの「トイレッツ」は、既存の男性用トイレに設置する広告機能付きゲーム機で、おおよその尿量が主に表記される。その結果により多くの人が排尿を身近に感じ、受診のきっかけになる可能性があると思われる。今回、「トイレッツ」を体験した中高年男性を対象に、LUTDの啓発として有効なツールになり得る可能性があるか否かをアンケートにより調査をした。その結果、81.5%が「トイレッツを体験して排尿状態を意識した」と回答しており、「トイレッツ」にて自分の排尿を知るきっかけになり、LUTDの啓発ツールに利用できる可能性が示唆された。
著者
松本 洋
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.185-190, 2009-06-15 (Released:2016-10-31)
参考文献数
16

国内では,年平均6 件ほどの粉じん爆発事故が起きていると推定されている.危険物施設でも年間に3 ~4 件の粉じん爆発事故が発生していることから,粉じん爆発のほぼ半数が危険物施設で発生していると考えられる.粉じん爆発では,高温の燃焼生成物が燃えながら飛来することから重度の火傷を負うことが多く,ほとんどの事例で死傷者が発生している.米国でも,多数の死傷者を伴う大規模な粉じん爆発事故が絶えない.粉じん爆発は,可燃性の粉体を取り扱うすべての場所で発生する可能性があるが,身近な潜在リスクとして認識されることが少ない.そこで,国内の危険物施設における粉じん爆発事例と米国の大規模粉じん爆発事例を紹介するとともに,その危険性と防止対策について述べた.
著者
松本 澄子
出版者
日本女性学研究会
雑誌
女性学年報 (ISSN:03895203)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.3-26, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
60

わたしには、発達障害のある子どもが2人いる。わたしは20代でフェミニズムや女性学を知り、1978年に日本女性学研究会に入会した。その後、おぼろげながらも「フェミニズム」というアイデンティティがあって、そこに、30代で、(ある意味いやおうのない)「障害のある子どもの母親」というアイデンティティが発生した。子育ての過程や、「親の会」や学校など地域で活動する中で、「発達障害のある当事者」である子どもの代弁者であること、かつ「親当事者」であることのいろいろな意味での経験知を獲得し、発言・発信もしてきた。そして発達障害とフェミニズムやジェンダーとの接点を模索し、「女性と発達障害」について考える中で「発達障害のある女性」という領域にもジェンダーの視点を向けるようにもなった。 本稿では「発達障害とジェンダー」に関わる問題意識について、「女性」という当事者性からは「発達障害のある女性とジェンダー/フェミニズム」に焦点を当て、また「わたし=親当事者」ということからは「発達障害のある子どもの子育てとジェンダー/フェミニズム」に焦点を当てて、わたしの現在地としての考察を試みている。特に、フェミニズムの「自己選択・自己決定」「自己実現」「ジェンダー平等」という理念と、「発達障害のある女性当事者」及び「障害のある子どもの母親当事者」の葛藤(渦巻きの渦中にあること)を言語化してみることで、次の「何か」、「わたし」からのフェミニズム=女性「解放」とは「何か」をさぐるきっかけとしたい。
著者
松本 昇
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.39-57, 2022-02-28 (Released:2022-03-25)
参考文献数
129

自伝的記憶に関する研究は数多く行われてきており,自伝的エピソード記憶と自伝的意味記憶といったさまざまな区分とそれらの測定課題が提唱されている.その背景には,神経心理学,認知神経科学,認知心理学,臨床心理学の各領域において必要とされた課題が開発され,研究が進められてきた過去がある.しかしながら,これらの研究領域は,相互参照されることの少ないままに進められているのが現状である.本論文は,これまでに提唱された自伝的記憶に関する概念課題の対応を測定課題に基づいて整理することを目的とした.自伝的記憶をどのように分類するのか,そのためにどのような測定課題があるのか,自伝的記憶はどのように検索されるのかといったテーマについて,これまでの知見をまとめた.さらに,知見の統合と新たな研究領域の開拓へ向けた,将来の方向性を提言した.
著者
大出 彩 松本 文子 金子 貴昭
雑誌
じんもんこん2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.103-110, 2013-12-05

本研究では,日本レコード大賞及び優秀作品賞を受賞した楽曲の歌詞について計量テキスト分析を行った.1978年から2012年に発表された全344曲の年代ごとに表れる歌詞の変化を読み取った結果,全年代を通してラブソングが流行する傾向にあると分かった.また,1990年代後半から2000年代にかけてネガティブな内容からポジティブな内容への変化が見られ,1997年が変化の境界になっていることが分かった.その要因には当時の社会背景が関係しており,失業率の増加や凶悪犯罪の増加などから人々の社会に対する不安が増大したこと,流行の発信者が若者へと移行していったことが影響していると考えられる.
著者
林 亮平 北本 幹也 野田 育江 渡邉 千之 山田 博康 今川 勝 松本 陽子 田中 未央 児玉 美千世 平本 智樹 赤木 盛久 隅岡 正昭 西阪 隆
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.527-531, 2009 (Released:2009-09-24)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

症例は86歳女性.肝障害の精査の為に入院したが,原因となり得るウイルス感染および服薬歴,アルコール飲酒歴は認めなかった.抗核抗体は陽性であり,肝生検を施行しAIH scoreは17点となり自己免疫性肝炎と診断した.HLA typeはDR4陽性であった.プレドニゾロン(PSL)30 mg/日とウルソデオキシコール酸(UDCA)600 mg/日の内服を開始し,ALTは持続正常化した.UDCA 600 mg/日と併用することで,PSL 10 mg隔日投与としている現在も肝障害再燃は認めていない.
著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 佃 美智留 土定 寛幸 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11692, (Released:2020-01-15)
参考文献数
26

【目的】投球動作におけるステップ脚膝関節動作と肘外反トルクとの関連から肘関節負荷を増大させる動作を検討する。【方法】中学生投手20 名のFoot Contact(以下,FC)以降のステップ膝動作を膝関節位置の変位が生じない固定群と投球方向へ変位する前方移動群の二群に群分けした。FC・肩関節最大外旋位(以下,MER)・ボールリリースのステップ膝屈曲角度,投球中の肘外反トルク(身長・体重での補正値)および投球効率(肘外反トルク/ 球速)を群間比較した。【結果】固定群は14 名,前方移動群は6 名であり,前方移動群のステップ膝屈曲角度はFC からMER にかけて増大することが示された。また,肘外反トルクおよび投球効率は固定群が前方移動群より有意に低値を示した。【結論】前方移動群はFC 以降に膝の縦割れが生じていることで,肘関節に過度な負荷が加わっていることから,ステップ膝動作の評価は野球肘の理学療法において重要であることが示唆された。
著者
池田 和史 柳原 正 松本 一則 滝嶋 康弘
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.68-77, 2010-09-28

ブログ上の文書には口語的な表現や特有の表記などのくだけた表現が多数含まれるため,一般の形態素解析器を用いても十分な解析精度を得ることはできない.くだけた表現は人手により辞書登録されることが一般的であるが,人的コストの大きさや専門的な知識を必要とすることが課題である.本稿ではくだけた表現を正規な表現に修正することで高精度な形態素解析を実現する手法を提案する.提案手法ではくだけた表現の修正候補文字列をくだけた表現の少ない文書から自動的に検索し,修正ルールを生成する.生成した多数の修正ルールから文脈に適した修正ルールを選択的に適用するために,検索結果における修正候補文字列の出現頻度,修正前後の文字列間における編集距離,修正前後の文の形態素解析結果の比較,を用いて修正ルールをスコアリングする手法を合わせて提案する.提案手法と従来手法の性能比較評価実験を行い,各手法における未知語の出現率や単語区切りの正確さ,修正前後の文の意味変化を定量的に評価した.提案手法では従来手法と同程度の単語区切りの正確さを維持しながら,対象文章の未知語出現数を 36.1% 減少させることに成功した.これは従来手法における未知語減少数の 2.5 倍以上である.
著者
松本 和馬
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.53-60, 2004-02-01 (Released:2018-06-14)

12 0 0 0 OA 植物生物学

著者
松本巍 著
出版者
南郊社
巻号頁・発行日
1925
著者
坂田 圧巳 松本 真治 山内 正明 岡本 健
出版者
北海道大学観光学高等研究センター、鷲宮町商工会 = Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University, Washimiya Town Commerce and Industry Association
雑誌
CATS 叢書 (ISSN:03855961)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.30-55, 2010-03-20

次世代まちおこしとツーリズム : 鷲宮町・幸手市に見る商店街振興の未来 = Community Development and Tourism for the Next Generation

11 0 0 0 OA 主語について

著者
松本 克己
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.100, pp.1-41, 1991-12-25 (Released:2007-10-23)
参考文献数
70

The notion of ‘subject’ as a grammatical category first appeared in Western Europe about the 12th to 13th century by the name of ‘suppositum’ and was theoretically elaborated on by the Medieval grammarians called ‘modistae’. Before that, however, it was quite unknown, surprising indeed, in any grammatical tradition of the world ; neither Apollonios, nor Priscianus, nor Panini, nor Arab grammarians knew such a category. The present lecture aims to elucidate the reason why the notion of subject did appear in Medieval Europe but not in other parts of the world, and the linguistic motivations for its appearance in Europe or its absence elsewhere. I shall discuss, especially, the theory of karaka of Panini, who completely dispenses with syntactic relations such as subject and object, the Stoic theory of kategorema, which foreshadows the later subject-predicate notion, the theory of mubtada'/khabar (=Topic/Comment) and of ‘amil/ma ’ mul (=regens/rectum) of the Arab grammarians after the 8th century, and finally the theory of suppositum/appositum (=subject/predicate) and principium/terminus (=the relation of ‘subject of ’/ ‘object of’) of the European modista. The appearance of subject in the West European grammar, it will be pointed out, was linguistically conditioned by the development of the strict SVO word-order combined with the characteristic morphological attrition, especially the loss of nominal cases and of verbal person markings, which seems to have been brought about by the creole-like processes resulting from the bi- or multilingual situations among the Germanic and Romance speaking peoples in close contact during the Medieval age. This can most typically be seen in the case of Middle English. Thus, thesubject as a syntactic category is really a historical product in a quite limited linguistic area which comprises those languages once called SAE (= “Standard Average European ”) by B. L. Whorf. They share a typologically unique feature known as “dummy subject” and thus manifesting themseleves as so-called “non-pro-drop” languages. In short, the subject of SAE has resulted from the coalescence of three quite different linguistic functions into a purely syntactic category, namely, 1) the discourse topic, which was the very starting point of the Medieval notion of suppositum, 2) the morphological case-marking (i. e. nominative vs. accusative), and 3) the semantic agent (or rather the “primary role”) of a verb. Usually, these functions are separately grammaticalized in other languages, e. g. as mubtada' and fail in Arabic, as wa and ga in Japanese, as “focus” and case in Philippine languages, as word-order, case and verbal endings in Old Indo-European languages. The subject, in conclusion, cannot be part of the theory of syntax as a universal category. It is quite a complex and heterogeneous concept in its origin, and manifests as surface syntactic phenomena only in a very limited number of -languages. Therefore, any syntactic theory based exclusively on the observations of such languages needs to be thoroughly reexamined, if it claims to be universal in any sense. Rather, we must reappraise the old grammatical traditions radically different from that of West European or “Aristotelo-Cartesian” school in order to found a theory of “Universal Grammar” in the true sense. (This is a revised version of the Presidential Lecture given at the 102nd General Meeting of the Linguistic Society of Japan held at Tokyo University of Foreign Studies, June 6th, 1991).
著者
松本 賢一 Kenichi Matsumoto
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 = Doshisha Studies in Language and Culture (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.333-367, 2007-12-31

本稿は、ロシア、ノヴゴロド国立大学教授V.V.ドゥトゥキン氏の論考Достоевский в "Размышлениях аполитичного" Т.Манна(1997)の日本語訳である。マンの最も大きい批評的著作と見なされる『省察』は、ロシアでは長らく採り上げられることがなかった。しかしながら、原著者ドゥトゥキン教授の意図は、ソヴェート時代ならば「反動的」と受け止められたであろう本書を紹介することにのみあるのではない。ナチズムという嵐が到来する前のマンの独特の保守主義が、約40年前のロシアートルコ戦争時のドストエフスキイの汎スラヴ主義的発言を直接にドイツに移し変えたものであることを説明し、マンがドストエフスキイから何を得、何を得なかったかを考究することにも、原著者の注意は向けられている。
著者
松本 美枝子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.206-214, 1988 (Released:2007-07-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2

富山県等においてハクサイの主脈や葉脈に多数のゴマ状の黒色斑点の発生が認められた. この症状はゴマ症と呼ばれ, 発生の激しい場合は市場価格が著しく低下する. しかしゴマ症発生とその防止に関する報告は少ない.本報告ではまずハクサイ生育中のゴマ症発生の特徴を調査し, さらに発生部位とその周辺を形態学及び組織化学的に観察した.1. ‘ひばり’や‘耐病60日’に認められるゴマ症の発生は, その現象から2タイプに分けられた. タイプ1は未成葉で発生し, 初期生育が異常促進されることと密接な関係があった. タイプ2は成葉で発生し, 結球重に対する外葉重の割合の低下が関係していた.2. 形態学的には, 斑点発生に先だち, まず細胞内顆粒の肥大が認められ, その後細胞壁が褐変した. この細胞壁の褐変は, 細胞内顆粒や核の肥大と共にさらに拡大し, 周辺には原形質分離細胞が認められた.3. 組織化学的には, 斑点発生部位にクロロゲン酸の存在とポリフェノールオキシダーゼの活性が認められ,その周辺にポリフェノールの存在とパーオキシダーゼの反応が認められた.4. 褐変細胞の顆粒周辺に亜硝酸の分布が認められ, 細胞内顆粒の肥大が認められる部分と一致した.