著者
徳田 恵一 小林 隆夫 徳田 篤洋 今井 聖
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J71-A, no.2, pp.260-267, 1988-02-25

任意の対数振幅・位相をもつ希望特性は,複素ケプストラムの性質を用いることにより,最大・最小位相成分に分離することができる.このとき,最大位相あるいは最小位相の対数振幅と位相は,ヒルベルト変換により一意に関係づけられるので,振幅と位相の同時近似問題は,最大および最小位相成分の振幅近似問題に置き換えられる.本論文では,最大位相成分を逆線形予測法により,最小位相成分を極零分離法により,それぞれ近似する方法について述べ,更に振幅あるいは位相のいずれかに着目して,最大・最小位相成分の近似を交互に繰り返すことにより,特性を改善する方法を提案している.本方法は,振幅あるいは位相のどちらかに厳しい近似特性が要求されたとき,特に有効となる.フィルタ係数の決定は,FFTおよび線形予測法に基づいているため,非線形最適化法に比べ高速である.
著者
富澤 宏之 林 隆之 山下 泰弘 近藤 正幸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.2-10, 2006 (Released:2006-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

科学研究とイノベーションの関係の分析のために,特許における科学論文の引用頻度を指標化したサイエンスリンケージ指標が貴重なツールとして用いられてきたが,この指標は引用された科学論文の多様な情報を全く反映していない。そこで,本研究では,有力特許に引用された科学論文のリストを作成し,それをScience Citation Index (SCI)データベースと照合させて書誌情報を取得し,その特性の分析を試みた。この分析により,有力特許に引用された科学論文における日本のシェアは,米国とイギリスに次いで大きいことが確認できた。また,特許発明の源泉となった科学知識の生産に関して,世界的に大学が主要な貢献をしていることや,日本の政府研究機関の貢献は他の国の政府機関と比較して小さいと考えられることが明らかになった。また,日本のライフサイエンスに関して,1) 特許件数が少ないこと,2) 特許発明者による科学知識の活用が盛んでないこと,3) 世界的な特許発明の源泉となった科学論文が相対的に少ないこと,という3つの課題があることが判明した。
著者
井上 創造 木實 新一 小林 隆志 土田 正士 喜連川 優
出版者
日本データベース学会
雑誌
日本データベース学会letters (ISSN:13478915)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.81-84, 2006-06

学術会議は,口頭発表や資料による形式的な情報だけではなく,参加者が面と向かって交流をすることにより非形式的に情報交換ができるという点に意義があると言える.しかし,学術分野の専門化と細分化が進む今,初めて面と向かった参加者どうしに,互いのネームタグに書かれた情報だけで有意義な交流のきっかけが十分に用意されるとは言い難い.我々は,居合わせた参加者間の関係を発見し大画面に表示するシステム「DeaiExplorer」を開発し,数百人規模の国際学術会議において利用した.本システムは,居合わせた参加者が持つ RFID タグに反応し,文献データベースから参加者や他の著者をノードとするグラフを生成する.本論文では,利用で得られた結果を用いて,本システムが参加者間の関係発見にどのような影響を及ぼしたかを定性的,定量的に明らかにし,今後のシステム設計および研究課題の展望を示す.Academic conferences offer informal as well as formal opportunities to interact with each other. However, the physical appearance of participants and the information printed on their conference badges could not be enough to provide the effective opportunities. We developed "DeaiExplorer", which is an RFID application that discovers interpersonal connections by allowing collocated conference participants to mutually reveal their social networks on a large display device, and deployed it at a recent international conference. The system responds to nearby participants and dynamically derives inter-connected social networks from a publication database. We address the uncovered requirement for the system and challenges with the experience.
著者
三部 良太 田中 匡史 小林 伸悟 小林 隆志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.1150-1160, 2018-04-15

昨今の業務システム開発では,既存システムが存在し,その既存システムの仕様の一部踏襲を求められることが多い.しかし,既存システムには最新の仕様書が残っていることが少なく,踏襲すべき仕様の特定が困難になっている.この課題に対して,ログなどを用いて操作の流れのフローを復元する取り組みはあるが,ユーザと仕様の議論をするには粒度が細かすぎて,上記の用途には適さない.本稿では,既存システムからの業務フロー仕様の復元を目的として,システムの操作ログから詳細な業務フローを復元する手法および操作したユーザの組織情報を用いて業務フローの粒度を抽象化する手法を提案する.操作ログの一連の操作をクラスタリングし,代表となる操作を抽出することで,業務の全体像の俯瞰に適した抽象化を実現する.提案手法を実際のシステムで適用した結果に基づき手法の有効性を議論する.
著者
大澤 義明 小野田 竜已 小林 隆史
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 = Transactions of AIJ. Journal of architecture, planning and environmental engineering (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
no.634, pp.2605-2612, 2008-12-30
参考文献数
26
被引用文献数
1

The cohort-component method is widely used for population projection of local governments in Japan. The purpose of the paper is to examine aggregation errors caused by the cohort-component method, which can account for age distribution. First, we show that the populations estimated at aggregated level frequently are less than those at disaggregated level by using municipality data in Ibaraki Prefecture. Second, we prove this tendency through a simple mathematical model using Lexis diagram by focusing on internal migration.
著者
中林 隆明 ナカバヤシ タカアキ Takaaki Nakabayashi
雑誌
人文・社会科学論集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.77-95, 2005-03

Educational policies in modern Japan, especially in the early Meiji period, were led by Tanaka Fujimaro, Deputy Minister of Education. At the first time, France was the model of education policies in Japan. Its example was Gakusei (national educational system) enforcement (Imperial Ordinance). In those days, Tanaka participated in the Iwakura Mission, led by Iwakura Envoy Extraordinary and Ambassador Plenipotentiary to the United States and European countries, as commissioner of Education Department. He eagerly conducted educational research in both continents with his staff during 1872-73. And again, he traveled to the United States to take part in the Exposition Fair in Philadelphia, in commemoration of American Centennal Foundation year in 1876. At both times he was impressed with American flexible educational systems, including libraries, small school districts and social institutions, and a variety of state initiatives. In 1879, he enacted the Imperial Educational Ordinance based on the principle of independence for local communities in elementary schools and educational institutions. As a result, his policy was denied by the government of the day, and he was transferred to another post (Minister of Justice).
著者
小林 隆弘
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.271-282, 2007-09-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
61
被引用文献数
3

大気環境中のナノ粒子に曝露される可能性がある。ラッシュアワーのとき道路沿いの大気中では自動車由来と思われるナノ粒子が増加することが観察される。ディーゼルエンジンは多数のナノ粒子を排出する。一方, 極めて粒子径が小さいことから, ナノ粒子は化学的, 電気的あるいは光学的な新たな物性を持ち, 外界からの光や熱や電圧等の刺激に対して大きい粒子に比較し異なる挙動を示す。このようなことから工業的に生産されるナノ粒子は化学, 電子工業, 化粧品, 医薬, 食品, 環境技術といったあらゆる分野で使われるようになりつつある。作業環境中においてもこれらのナノ粒子に曝露される可能性が増加しつつある。しかしながら, 大気および作業環境中のナノ粒子の曝露評価や健康影響評価はあまり行われていないのが現状である。ここではナノ粒子の曝露評価や健康影響評価の現状と課題について概観した。曝露評価については, 屋内・屋外ならびに作業環境中での曝露に関する知見の充実や毒性やナノ材料のライフサイクルを考えた曝露指標の選択とそれに基づく曝露量の計測手法の開発が課題である。また, 健康影響評価においては粒子の物理・化学的性状に基づいた体内動態や毒性評価や評価に必要な曝露手法の開発が課題となる。
著者
高梨 宏之 阿部 勝哉 道辻 洋平 小竹 元基 ポンサトーン ラクシンチャラーンサク 林 隆三
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.855, pp.17-00224-17-00224, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This paper describes a modeling method for predicting a walking route of a pedestrian in a stochastic manner. We consider one of the most typical situations where a pedestrian walks along to a sidewalk, and then some obstacle exists in front of the pedestrian. To represent the walking route of the pedestrian during the avoidance action, a stochastic model is suitable than deterministic one. The stochastic model is derived from the walking experiment where a pedestrian avoids some obstacle in natural walking. Based on the loci obtained from the experiment, the pedestrians walking speed and walking direction at any local area was approximated by Gaussian and Beta distribution function, respectively. As a result the walking route of a pedestrian can be represented in a stochastic manner. The estimated output of the model is examined by comparing with two real walking loci that were obtained from near-miss incident database. One examination scene is avoidance of a parked vehicle, and the other is of parked bicycle on the roadside. By the numerical simulation, we obtained the results that the both real walking routes are included within the 3-sigma ranges of the estimated output of 500 trials.
著者
渡辺 賢一 井上 幹雄 中野 るりこ 文 娟 国崎 恵 水戸 沙耶佳 馬 梅蕾 TV プニヤコッテイ G ナラシマン PS スレシュ P パラス M ワヘッド KA ファデア AE リヤド H ベナム 平山 匡男 小林 隆司 小山 博史 神田 光雄
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.120, no.5, pp.279-289, 2006-05-10

【目的】γ-aminobutyric acid (GABA)・リンゴ酢含有飲料水「顆糖熟(かとなーる)^[○!R]」の血圧に及ぼす作用と安全性を検討した.【方法】対象は,正常血圧者(収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg未満.N群.8名)と未治療正常高値血圧者(収縮期血圧130-139mmHgまたは拡張期血圧85-89mmHg)・軽症高血圧患者(収縮期血圧140-159mmHgまたは拡張期血圧90-99mmHg)のH群(10名)のボランテア計18名(男/女=13/5.平均46±3歳.)である.1本90mlにGABA70mg含有する飲料水「顆糖熟^[○!R]」を1日1本12週間摂取し,2週間毎に血圧・血液生化学・尿を検査した.【結果】診察所見・自覚所見で有害事象は見られなかった.N群では摂取による血圧の有意な変化は見られなかった(収縮期血圧118±3mmHgから113±4mmHg).H群では,摂取6週目から血圧低下が見られ,開始日(収縮期血圧136±2mmHg)と比較して10・12週目に有意な低下が見られた(収縮期血圧129±3・128±4mmHg,両p<0.05).興味深いことに,摂取中止2週後は更に血圧が低下し(126±3mmHg,p<0.05),中止4過後に血圧が上昇してきて摂取前と差が見られなくなった(130±4mmHg).摂取による血液生化学・尿検査の異常変化は見られなかったが,血糖値・GOT・γ-GTP・LDHの有意な低下と総コレステロール値の低下傾向が見られた.【総括】GABA含有飲料水「顆糖熟^[○!R]」は正常高値血圧者・軽症高血圧患者で緩やかに血圧を降下させ,安全性が高いことが示唆された.
著者
前田 公三 水島 卓也 綱井 秀樹 ラクシンチャラーンサク ポンサトーン 林 隆三 永井 正夫 小花 麻純 佐々木 和也
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1369-1374, 2009-09-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究では、常時記録型ドライブレコーダを用いて、ドライバ個人の車線変更時の運転行動の解析と評価を目的とする。走行車線から追い越し車線に車線変更する場合の運転行動データベースを構築し、個人別・車線変更状況別の安全確認行動、ウィンカ点灯タイミング、操作特性、後続車への影響の解析を行ったので報告する。
著者
宮崎 総一郎 小林 隆一 北村 拓朗
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-18, 2011 (Released:2012-02-15)
参考文献数
26

睡眠は高度の生理機能に支えられた積極的な適応行動であり, 健康を支えるための重要な役割を担っている。睡眠障害初診患者のうち, 睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害が半数以上を占める。睡眠時無呼吸症候群では, 睡眠中の呼吸努力により呼吸中枢を介して呼吸性覚醒が生じ, 結果として睡眠の分断化, 睡眠障害へとつながる。質の良い睡眠がとれないことで, 睡眠時無呼吸症候群は, 循環器疾患や脳卒中, 糖尿病の発症に関連し, 集中力・記憶力・学習能力や感情のコントロール, 作業能率などを障害し, 産業事故, 交通事故等の原因となる。多彩な症状で臨床各科を横断的に受診する可能性が高い睡眠時無呼吸症候群を診療する際に, 陥りやすいピットフォールについて, 著者が今までに経験した症例, 文献からの症例報告に睡眠学の知見をまじえて概説した。
著者
友松 雄一郎 芳野 純治 乾 和郎 若林 貴夫 奥嶋 一武 小林 隆 三好 広尚 中村 雄太 神谷 直樹 三浦 正剛
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.178-184, 2007-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
39
被引用文献数
4

大腸憩室出血の特徴を,特に抗血栓薬に着目して検討した.2002年7月~2005年11月までに下部消化管出血にて大腸内視鏡検査を実施した332例のうち,大腸憩室出血と診断されたのは32例(9.6%)であった.大腸憩室出血は65歳以上の高齢者が90.6%と大部分を占めた.出血部位は左側結腸78.1%,右側結腸21.9%,出血形態は凝血塊付着81.3%,湧出性出血15.6%,噴出性出血3.1%であった.憩室は多発93.8%,単発6.2%であった.輸血を必要としない軽症は81.3%,内視鏡治療の必要がなかったものが81.3%と大部分を占めた.抗血栓薬の内服率は50%(16/32)と他の下部消化管出血をきたした疾患に比べて高値であった.大腸憩室出血例の半数は抗血栓薬を内服しており,高齢者が大部分を占めることから,大腸憩室を有する高齢者への抗血栓薬投与は出血の主な誘因の一つと考えられた.
著者
小林 隆 Takashi KOBAYASHI
出版者
国立国語研究所
雑誌
研究報告集 = Occasional Papers
巻号頁・発行日
vol.12, pp.165-189, 1991-03 (Released:2017-06-13)

現代方言における東西対立分布が,どのように成立したかを,『日本言語地図』と文献資料により考察した。その結果,東西対立の成立パタンには,東西対立をなす語形の,①放射の中心地,②放射の順序,③伝播の範囲の三つの観点から見て,四つの異なるタイプが想定されることが明らかになった。また,安部清哉氏の方言分布成立における「四つの層」の仮説が,東西対立の成立過程を説明するのに妥当かどうかを検討した。 I examine how the opposition of east and west in the distribution of modern dialects in Japan originated, using the Linguistic Atlas of Japan and some historical materials. I first consider the opposition patterns from three angles : (1) distributions from a center, (2) sequence of distributions, (3) scope of distributions ; it appears that four different types can be distinguished. Next, considering the hypothesis put forward by Abe (Seiya) on the existence of four layers in the formation of dialects, I examine whether this explains the east/west opposition. 17の書名 : 国立国語研究所研究報告集