著者
小林 隆
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本語の方言形成にあたって中心的な役割を果たしたと考えられる「中央語の再生」現象について検討し、その特徴を明らかにするとともに、方言形成の一般原理としての理論的整備を行った。日本語の方言形成は、中央語の単純な伝播によって起こるのではなく、中央語を受容し、再生する地域独自の作用が大きい。特に、言語の運用面など、社会的背景が方言形成に関わる場合には、地域の社会構造の違いによって、東西差などの顕著な地域差が生じることになる。
著者
土屋 沙緒 櫻庭 実 宮本 慎平 林 隆一
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 = Head and neck cancer (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.31-35, 2008-04-25
被引用文献数
1

喉頭摘出術後の合併症として咽頭皮膚瘻の発生は15~35%とされ,比較的高い確率で生じる。この際大血管周囲の感染とそれに続く出血が起きれば患者にとって致命的であり,未然の適切で早急な処置が必要となる。従来我々は咽頭粘膜の欠損が小さく,一期縫縮が可能な場合には大胸筋皮弁の筋体を頸部の死腔の充填に用い,皮島を頸部の皮膚欠損部に縫合する方法をとってきた。大胸筋の豊富な血流により良好な感染のコントロールが得られるのが長所であったが,大胸筋皮弁の下垂により気管孔が狭小化し,永続的なカニューレの挿入を余儀なくされた症例を数例経験した。同時に頸部としては皮弁がVolume過多となり,整容的な問題も認められた。そこで,積極的に大胸筋皮弁の皮島を切除し,植皮に置き換える工夫を8例におこなった。この方法で手術を行った症例では,皮弁の下垂が見られず,筋体が萎縮するとともに,より頸部らしい自然な形態となった。メッシュ植皮とすれば皮島自体の大きさも従来法よりも小さくてすみ,皮弁採取部の閉創も容易である。皮島への穿通枝を含める必要がないため,乳頭を切除する必要もなく,胸部の整容面でも優れていた。
著者
山口 博明 椎貝 典子 三ッ林 恭子 大鹿 栄樹 岡田 文寿 三ッ林 隆志 佐々木 望 伊勢谷 修 宮前 達也 鈴木 五男 赤坂 徹
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1052-1057, 1997
被引用文献数
5

吸入療法は気管支喘息の治療において重要な治療法の一つとなっている。吸入療法の有効性を明らかにするため, 粒子の生成状況の異なる吸入器4種 (日商式, Pari-Boy, Pari-Master, Atom Soniclizer 905) を用いて, 肺吸入シンチグラフィーによって肺内沈着率を比較検討した。99mTc-DTPAエアロゾルによる吸入分布は, 4機種とも口腔内に多く, 肺内分布が日商式に少なかった。肺内沈着率は, 日商式が10.4±5.8%, Pari-Boyが27.5±14.5%, Pari-Masterが28.5±6.5%, Atom Soniclizer 905が31.1±6.8%で, Pari-Master, Atom Soniclizer 905が, 日商式より有意に多く沈着していた。以上, 肺内沈着率により評価すると, 粒子径が5μm以下を生成する吸入器のPari-Boy, Pari-Master, Atom Soniclizer 905が優れており, 吸入器の粒子径の大きさが治療において重要である事が示唆された。
著者
林 隆 市山 高志 西河 美希 古川 漸
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.339-345, 1998-07-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

未熟児出生, 新生児仮死による痙性両麻痺児に認めた鏡像書字について, 神経心理学的, 画像診断学的に検討し発症機序について考察した. 右側優位の麻痺による左利き状態を右手使いに矯正する過程で鏡像書字は増悪した. 神経心理学的には利き手の矯正中にWPPSIでVIQ86, PIQ74, TIQ76と境界域の知能レベルで視覚認知の弱さが窺えた.もともと左手を使用していたこと, 視覚的に鏡像が自覚出来たこと, MRI上左頭頂葉白質に虚血性搬痕病変を認めたことより, 鏡像書字の原因として空間方向性の障害を考えた. Frostig視知覚発達検査では, 検査IVの空間位置関係の得点が利き手の矯正により低下し矯正をやめると速やかに戻った. 利き手の矯正による感覚運動刺激が視覚認知機能に影響を与える可能性を示唆している.
著者
林 隆嗣
出版者
こども教育宝仙大学
雑誌
こども教育宝仙大学紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.37-45, 2014-03-12

The Visuddhimagga (Vism) composed by Buddhaghosa, the most eminent commentator in Theravāda Buddhism, is undoubtedly an essential text to comprehend the Theravādin’s aspect of the Buddhist philosophy and practice. In the chapter 12 of the Vism, surveying various kinds of the supernormal powers, Buddhaghosa quotes the Canonical description that the one with the power touches the moon and sun, and he introduces an interpretation by the elder Tipiṭaka-Cūḷanāga (contemporary with the king Kūtakaṇṇatissa, reigned 41-19 BC) that this power physically enlarges one’s hand. Here, Cūḷanāga refers to the story called “Nandopanandadamana” relating a psychic duel between the royal nāga Nandopananda and Mahā-Moggallāna,one of the chief disciples of the Buddha. The textual evidence shows that this story was not only known to the monk in the 1st century BC, but also commonly accepted among the Theravādins still in the 5th century AD. The Nandopananda[damana], explicitly recognized in the Vinaya commentary as one of the dhammas “which were not listed in the three councils”, even exists in the Tibetan and Chinese translations. This fact throws a new light on the study of apocryphal literature of Pāli Buddhism as well as on the study of source materials of the Pāli commentaries.
著者
嵯峨山 茂樹 伊藤 克亘 宇津呂 武仁 甲斐 充彦 小林 隆夫 下平 博 伝 康晴 徳田 恵一 中村 哲 西本 卓也 新田 恒雄 広瀬 啓吉 峯松 信明 森島 繁生 山下 洋一 山田 篤 李 晃伸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.518, pp.73-78, 2003-12-12

擬人化音声対話エージェントのツールキット"Galatea"の開発プロジェクトについて報告する.Galateaの主要な機能は音声認識,音声合成,顔画像合成であり,これらの機能を統合して,対話制御の下で動作させるものである.研究のプラットフォームとして利用されることを想定してカスタマイズ可能性を重視した結果,顔画像が容易に交換可能で,音声合成が話者適応可能で,対話制御の記述変更が容易で,更にこれらの機能モジュール自体を別のモジュールに差し替えることが容易であり,かつ処理ハードウェアの個数に柔軟に対処できるなどの特徴を持つシステムとなった.この成果はダウンロード可能となっており,一般に無償使用許諾している.
著者
中林 隆明
出版者
国立国会図書館
雑誌
参考書誌研究 (ISSN:03853306)
巻号頁・発行日
no.29, pp.p31-49, 1985-03
著者
丸尾 はるみ 橋本 景子 下田 恵子 島貫 金男 中山 徹 山口 博明 椎貝 典子 内村 公昭 三ツ林 隆志 赤坂 徹 前田 和一 岡田 文寿 鈴木 五男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.621-630, 1990
被引用文献数
7

1988年, 小児気管支喘息の長期予後と予後に影響する因子を明らかにするため, 1,592名(男1,038, 女554)を対象としてアンケート調査を行った.調査時の年齢は平均20歳(観察期間は平均12年)であり, 長期予後は緩解が75.6%, 軽快が18.2%, 不変が4.0%, 悪化が0.9%, 死亡が1.3%であった.発症年齢は平均2.7歳であり, 20年前の報告と比べて約1歳低年齢化していた.治癒年齢は男子が平均13.0歳, 女子が12.3歳であった.発症年齢が2歳以下, 発症から初診までの期間が10年以上, 初診時の重症例, 入院歴のある者, 食物アレルギーの有る者の緩解率は不良であった.食物アレルギーが有る者は喘息発症年齢が約1歳低く, 初診時の重症例, 乳児期湿疹のある例, 喘息以外のアレルギー疾患を2つ以上合併している例が多かった.このような乳児喘息例を難治性喘息のハイリスク児としてとらえ、綿密な指導と経過観察が必要であると考えられた.
著者
小林 隆志 濱野 真二郎 谷内 麻美 Haque Rashidul Mondal Dinesh
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

致命的な内臓型リーシュマニア症(VL)の制圧には、治療による全身症状寛解後に発症する皮膚病変(PKDL)の発症機序を理解し、PKDLを的確に診断・治療することが不可欠である。PKDLのリスクファクターを解明するため、バングラデシュのPKDL患者の調査を行い、VL治療薬別PKDL発症率を解析したが治療薬と発症率に因果関係は認められなかった。しかし、リーシュマニア原虫の Real-Time PCRによる定量的検出に成功し、ミルテフォシンがPKDL皮膚病変内リーシュマニア原虫排除に機能することを経時的、定量的に示した。更に、原虫を高感度で検出する乾燥LAMPの試作に成功し現地での実用性も検証された。
著者
足立 アホロ 小林 隆久 山内 洋 増田 一彦 石元 裕史
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

潜在的に豪雨をもたらす可能性のある積雲を直前に検知するための手法をシミュレーションを用いて開発し、そのアルゴリズムを実際のレーダー観測に用いて検証を行った。その結果、豪雨を伴う積雲では、地上で豪雨が発生する10分ほど前に、上空に降雨強度の高い領域が発生し、また反射因子差(ZDR)の高い領域が気温0度の高度よりもさらに上空にまで達していることがわかった。このような特徴は豪雨を伴わない積雲には見られなかったことから、これらの特徴が潜在的に豪雨をもたらす積雲を識別する指標になり得ることが示唆された。
著者
迫 悟 山根 乙彦 浜本 國治 渡辺 大直 林 隆敏 細川 大 石川 啓作 坂口 啓
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.186-190, 1983-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

黒毛和種牛3頭が同一農家で同時期に尋常性白斑を発症する珍しい症例を認めた. 家畜における本症の報告はわが国では初めてである. 白斑の分布は鼻鏡, 下唇, 舌裏, 眼瞼, 乳頭および外陰部の無毛部皮膚に認められた. 白斑の病型はヒトにおける伊藤の分類に従うと限局型皮膚障害であり, 井村らの分類に従うと自己免疫型の皮膚障害であった. 白斑の持続期間は2年以上の今日も持続している. 臨床病理所見ではヒトの自己免疫型にみられる甲状腺機能亢進が全例に, 2/3例にγ-globulin値の高値を認めた.