著者
林 隆之 山下 泰弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.665-679, 2011 (Released:2011-03-01)
参考文献数
7
被引用文献数
2

大学評価の制度化,組織単位の競争的資金の増加,大学の機能別分化など,大学が組織として研究活動の自己分析を行い,戦略を形成していくことが求められる状況が増している。本稿では,まず国立大学評価の方法を概観し,大学における研究活動の自己分析にどのような能力が必要となっているかを説明する。その上で,ビブリオメトリクス手法を用いて,国立大学の法人化以降の日本の大学の状況を生産性や集中度の状況から分析する。さらに,研究分野の多様性を実現している構造や学内での研究重点化の状況を事例的に分析することを通じて,各大学で求められる自己分析の視点を検討する。
著者
林 隆之
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
研究 技術 計画 (ISSN:09147020)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.257-270, 2021-09-30 (Released:2021-10-21)
参考文献数
30

While universities have been deregulated over the past three decades, the burden of audits and evaluations from the government and the market has increased, and universities have had to deal with them in a ritualistic way as called as the "audit society". In addition, the funding system that encourages university reform has hindered stable management and created a situation of exhaustion. However, a new image of university is now being sought, a "transformative university" that will lead social transformation within a new autonomous contractual relationship between the state and the university. In this paper, we will first look back at the university reform policies of the past few decades to examine the relationship between the state and universities and the image of universities. We will also examine the structural problems of the allocation of governmental funds to universities and the evaluation of university performance.
著者
齋藤 みのり 佐野 伸之 小林 隆司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.72-77, 2019

自閉症スペクトラム児の対人社会性を阻害する要因の一つに,ファンタジーへの没入現象が指摘されている.今回,ファンタジー没入行動により,様々な日常生活の遂行に支障をきたしていた広汎性発達障害男児に対し,ファンタジーを外在化する作業活動を通した支援を行った.本児は,架空のカードゲームを頭の中で展開する遊びに,様々な日常生活場面で没頭していた.作業療法では,頭の中に描いているファンタジーを外在化し,それを用いて一緒に遊べるよう模索した.また,徐々に交流の場が広がるよう促した.これらの支援により,本児の頭の中のファンタジーが整理され,現実とのつながりを築いていき,生活障害が軽快したと考えられる.
著者
小林 隆志 林 晋平
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.3_13-3_23, 2010-07-27 (Released:2010-09-27)

本論文では,多量のソフトウェア関連データを用いたソフトウェアの構築・保守支援手法及びそのために必要なデータマイニング技術の動向を,既存の研究を概観しつつ紹介する.
著者
能勢 隆 山岸 順一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.572, pp.61-66, 2006-01-20
参考文献数
8

本論文では, 隠れマルコフモデル(HMM)に基づく音声合成システムにおいて, 複数の発話様式または感情表現の表出や強調の度合を制御することを目的に, 重回帰モデルを用いた音声のスタイル制御法を提案する. 従来の重回帰HMMを用いた手法では, 音声の重要な特徴の一つである音韻継続長を担う明示的なパラメータが存在しないため, 各発話様式・感情表現を個別にモデル化した場合に比べ, 再現性が低下するという問題があった. そこで提案法では, HMMに状態継続長分布を組み込んだ隠れマルコフモデル(HSMM)を用いることで音韻継続長を明示的な制御の対象としている. 主観評価試験により, 提案法は各発話様式・感情表現の再現性だけでなく, これらの表出・強調度合の制御においても, 従来の重回帰HMMを用いた手法より優れていることを示す. また, 発話様式・感情表現の制御法の一つである補間手法との比較や, 重回帰HSMMで用いるスタイル空間の違いが合成音声に与える影響についても検討を行っている.
著者
山本 雅基 小林 隆志 宮地 充子 奥野 拓 粂野 文洋 櫻井 浩子 海上 智昭 春名 修介 井上 克郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_213-1_219, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

本論文では,協働教育の教育効果を測定するための新しい手法について提案して,実証評価する.分野・地域を越えた実践的情報教育協働ネットワークenPiTでは,全国の大学院生に対して,情報技術の実践力を高める教育を実施している.実践力の育成を目的とする教育協働における教育効果の測定には,2つの課題が挙げられる.第一に,実践力は専門知識の定着を問うテストでは測定困難である.第二に,履修カリキュラムが異なる受講生を共通の指標で評価することも困難である.本論文では,学習経験を問う質問紙と行動特性を計測するテストを併用することにより,履修カリキュラムが異なる受講生の実践力を統一の基準で評価する手法を提案し,enPiTで実証評価した.
著者
林 隆之 齊藤 貴浩 水田 健輔 米澤 彰純 川村 真理 安藤 二香
出版者
政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター (SciREX センター)
雑誌
SciREX ワーキングペーパー = SciREX Working Paper
巻号頁・発行日
no.SciREX-WP-2020-#04, 2020-10

我が国は生産年齢人口の減少がすすむ中、デジタル化による産業構造転換に遅れて国際競争に劣後し、さらに、近年は感染症や災害などの問題にも直面するなど、厳しい状況におかれている。この中で、大学は、高度な能力を有する次世代の人材を育成・輩出し、また、先端的な研究開発を通じて新たな知識を形成し社会や産業の課題解決へつなげていく重要な機能を有している。とりわけ国立大学は、公的資金に基づいて、高度な研究開発の実施や国として必要な高度人材の育成を担うことが強く期待されている。しかし、大学はこれまで、大学改革の要求に受け身で対応することによる疲弊や、国立大学法人における運営費交付金の削減等による財政基盤の弱体化により、その機能を十二分に発揮している状況とは言えない。 大学が教育研究活動の現状を国や社会に示し、その方向性を共有することで公的存在としての大学への支持を構築していく手段の一つとして、大学評価があげられる。日本では2004年から、大学評価制度として認証評価と国立大学法人評価という2つの評価が実施されてきた。しかし、現在、2つの評価制度は大学に多大な対応負担を求めているにもかかわらず、現実的には何に活用されるのかが不明瞭な状況になっている。日本の大学評価は、大学の「個性化」を重視してきたがゆえに、大学間の比較可能性を限定的なものとしており、学生や社会が意思決定のために求める大学情報として機能しにくく、また大学自らの切磋琢磨にもつながりにくい状況になっている。 その一方で、大学評価制度とは別に、資金配分のための評価が行われるようになった。大学単位の競争的資金配分や、国立大学の運営費交付金配分のためのKPIによる「機能強化経費」配分、ならびに共通指標による競争的配分である。そもそも先述の2つの大学評価制度は評価結果を運営費交付金の配分に強く影響させないことを前提としており、それゆえに、資金配分のためには別の評価が必要となり、大学に重複した負担をかける状況になっている。 この状況は大学評価の在り方の問題だけではなく、運営費交付金の配分の在り方の問題と一体である。第三期中期目標期間に新たに導入された競争的配分は、運営費交付金の8割以上を占める「基幹経費」部分を圧縮することによって各大学が拠出した額が、毎年の改革状況や実績によって再配分される方法であり、不安定かつ短期的な配分をもたらしている。 一方、基幹経費は、前年度額をもとに算定される方式が法人化以降15年以上続き、大学が現在行っている教育・研究活動に必要なコストと整合した額が配分されているかも不明な状態であるとともに、教育研究実績を向上させるインセンティブが存在しない。 このように、我が国の高等教育や社会を発展させるための全体としての財政理念や長期的な将来展望を欠いたまま、前年度踏襲の漸増減が繰り返されたり、対症療法的な改革点検項目を指標とした評価が行われたりすることは、大学を疲弊させることにつながる。 この点について海外諸国をみれば、財政配分については、その根拠や効果を透明性をともなってわかりやすく社会に提示するため、広い意味での大学評価と関連づけた議論や取組みが進んできている。すなわち、海外では運営費交付金のような基盤経費の配分は、日本のような前年度額や非公式の交渉に基づく配分から、必要コスト(学生数等)や実績指標を総合的に用いた算定方式や、大学と国との契約に基づく配分を含むものへと次第に変化している状況がある。大学評価の方法についても、教育面では、学生満足度調査や卒業率・雇用状況等を、研究面では研究成果の学術的質や社会的効果(インパクト)に対する評価者による研究評価等を活用する国もあるなど、実績を定量的・定性的に測定する方法の開発が進んでいる。一方で、教育の質保証を目的とする評価は、大学内部の評価である内部質保証を厳しく実施することによって、外部からは簡素に評価を行い、大学内部では自ら意義ある取組としての内部評価を実施することが可能となりつつある。 これらの国内外の状況を踏まえれば、我が国の大学評価を、効率的な財政配分への貢献をも正面から見据えて、根本的に問い直すべき時期にきている。本報告では、大学評価と運営費交付金配分方式の一体的改革が必要であることを提言する。 運営費交付金は前年度額に基づく理論なき配分から、大学の教育・研究・社会貢献の機能ごとに、必要コストや実績の測定を行い、配分に反映させる透明な算定方式へ移行することが必要である。そこでは、インプット指標に基づくコストを保証する基盤的部分、教育・研究・社会貢献の実績を測定してインセンティブを付与する部分、大学の戦略をもとに国の政策課題に対する貢献を「契約」する部分など、統合的で一貫性を持った体系へと再設計することが望まれる。このような方法をとることで、運営費交付金が安定的、あるいは期間中の増減が予め把握可能な資金配分となり、また、社会からは大学の実績への理解と支持がえられることで、大学による長期的な視野に立つ自律的経営が可能となることが期待される。 国立大学法人評価は、大学の教育研究活動の状況や実績を量的・質的に把握・評価し、運営費交付金へ反映させることが可能な情報を提供することを目的とする評価へと転換することを提言する。そこでは現在のように、中期目標・計画の達成を厳密に評価するのではなく、教育面では将来必要となる人材の育成のために、学習者や社会のユーザーの視点を反映した基準に基づく評価を行い、研究面では学術的な質の国際的卓越性や研究による社会への効果(インパクト)を把握し、その評価結果を理解しやすい形で提示する。それにより、幅広いユーザーへの有効な情報提供や、資金配分の説明責任を果たすことも期待される。 加えて、大学の戦略的経営の面からは、各大学は独自に「戦略計画」を策定し、それを踏まえて国が提示する政策目的・課題(たとえば、将来社会において必要な領域の人材養成、国際的な拠点となる学術研究、地域創生の拠点としての大学)への貢献を国と契約し、そのための資金配分がなされることも考えられる。これにより、国は、個々の大学の個性や自律性を尊重しつつも、大学セクターへの公共投資の目的を明確化し、大学間での機能分担を促進し、有効性と効率性を高めることが必要である。 一方、認証評価は内部質保証を重視した方向性を堅持しつつ、大学単独だけでなく大学セクターが共同して教育内容や学修成果の水準を外部のステークホルダーの視点も入れながら点検し、教育の質向上を図るよう取組を進めるべきである。 令和2年度において、新型コロナウイルスのパンデミックが緊急の大きな財政出動につながったが、経済状況の回復後は財政再建のための緊縮財政を覚悟しなければならない。そうした中、大学への公共投資には投資効果に関する明確で一貫したわかりやすい全体設計による効率性・透明性の確保と社会からの広範な理解と支援が必要となる。そのためにも、運営費交付金配分と大学評価の一体的改革が不可欠である。
著者
林 隆之 佐々木 結 沼尻 保奈美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.26-31, 2023-01-01 (Released:2023-01-01)

ジャーナルを中心とする学術流通の仕組みは出版指標に基づく研究評価の興隆を招き,科学界が質保証の自律性を失い,評価指標に適合するように研究者が自らの研究活動を束縛するようになってきた。近年,この状況の揺り戻しを図る動きが高まっている。その旗手である「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)」は提言から積極的なキャンペーン活動へと役割を進化させ,欧州ではオープンサイエンス推進の動きと融合し,研究評価改革の国際的な協定が多くの機関間で結ばれる段階にある。本稿では,DORAや欧州の研究評価改革の動きを紹介するとともに,日本の研究評価指標の活用状況や,日本も参加するDORAの各国プロジェクトについて説明する。
著者
小林 隆 大嶋 秀夫 太田 喜世治 斉藤 陽二
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.27-37, 1993-02-01 (Released:2013-04-26)
被引用文献数
1 1

跨座式モノレールは車輪にゴムタイヤを採用し, 急勾配, 小曲線半径においても快適な走行を可能とする都市交通機関である。軌道としてはプレストレストコンクリートげたを標準形式とし, このけた上を直接車両が走行することから, 一般の車両交通に供する橋りょうとは異なり, けたの製作, 据付け調整に軌道としての性能が要求される。したがって, 多くの線形要素に対応し, かつ厳しい精度を確保するための特殊型わく (モールド設備) が考案され, 種々の形状のPC軌道げたの製作を行っている。本稿においては, けた製作のほか, けた据付け調整も含め, 軌道としての精度確保の手法を紹介する。
著者
磯崎 正則 小林 隆幸
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.126, no.4, pp.210-213, 2006-04-01 (Released:2007-02-06)
参考文献数
4

本記事に「抄録」はありません。
著者
井上 豊治 林 隆義 森 忠繁
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.789-796, 1993-11-10 (Released:2008-04-21)
参考文献数
28
被引用文献数
4 4

In vitro effects of surfactants in common use as detergents and related compounds were investigated on the erythrocyte membrane and respiratory activity of rat liver mitochondria.The hemolytic activity of main surfactants tested was in the following order with the EC50 values less than 10mg·l-1 ; Neopelex F-25 (LAS), Spark (α-SF), Flake marseille (soap), LipolanPB-800 (AOS), standard soap (JIS K 3303) and SDS. There was weak hemolytic activity from the effect of Emulgen 108 (POEAE) and Emal 20C (AES). On the other hand, the mitochondrial respiration inhibiting activity (IC50) was strong in Flake marseille (5.5mg·l-1) and standard soap (6.8mg·l-1) and follwed by Emulgen 108 (26.0mg·l-1), Emal 20C (32.5mg·l-1), SDS (38mg·l-1), Neopelex F-25 (41.0mg·l-1), Spark (46.0mg·l-1) and Lipolan PB (>50.0mg·l-1). The regression equation between the EC50 (Y) and IC50 (X) values was Y=-0.1198X+2.345, the coeficient of correlation r=-0.0855, indicating little correlation between them. Present data certified the hemolysis inducing and respiration inhibiting effects of surfactants on erythrocytes and mitochondria. These suggest that this system is applicable as a convenient technique to assess the toxicity of environmental contaminants.
著者
中林 隆明
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
人文・社会科学論集 (ISSN:09157794)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.141-153, 2008-03

The National Diet Library has legal deposit of all kinds of published materials, including publications printed by government and local public entities and other publishers. This function is based on the National Diet Library act (Law no. 5, Feb. 9, 1948. Amendment, Law no. 194, June 6, 1949). However, the stability of these activities has entailed much effort, because of the unhappy history of censorship in the era of the World War Г. In this paper, the writer focused on the National Diet Library's activities to build up the legal deposit library, acquiring the effective cooperation of influential publishers. Frankly speaking, it was Yamashita Nobutsune, Section Chief (1949-54) and Division Chief (1959-66) of Acquisitions who stood in the center of these activities.
著者
佐伯 正夫 若林 隆三 渡辺 成雄 大関 義男 庭野 昭二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.15-20, 1981
被引用文献数
3 4

新潟県苗場山塊の標高1,000&sim;1,300m,積雪深3&sim;5mの豪雪急斜地において,斜面雪圧によるブナ伐根の脱落現象と雪崩の発生に至るまでの経過を8冬期にわたって調べた.<BR>1.伐根の地上高が大きいものほど,雪圧によって伐採後早い年代に脱落する.<BR>2.皆伐跡地では,雪圧によって伐根が伐採後7年目から転倒しはじめ,10年目には伐根本数密度が当初の半分以下に減少した.<BR>3.伐根本数密度の減少とともに,積雪移動量は増加する.草地化した皆伐跡地の急斜面では,伐根が100本/ha以下になると全層雪崩が発生する.灌木地になった皆伐跡地では伐根が50本/ha以下になると,全層雪崩の危険性が生ずる.<BR>4. 択伐跡地では,たとえ強度な択伐の跡であっても,全層雪崩の発生はない.豪雪急斜地の伐採方式として択伐が特に望まれる.
著者
小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.261, pp.33-40, 1998-09-10
被引用文献数
4

音声分析の代表的な手法の一つであるケプストラム分析法について概説する.まず, オリジナルのケプストラム法について, ケプストラムや複素ケプストラムの定義とその性質, 準同形逆たたみ込みの概念を簡単に述べた後, 実際の音声分析への適用例を示す.次に, スペクトル推定の観点から, より良い対数スペクトルの推定値を求めるための手法として, 対数スペクトルの不偏推定と一般化ケプストラムモデルに基づいた音声分析法を述べる.さらに, 聴覚周波数スケールを導入した指数形モデルに基づくメルケプストラム分析について述べる.また, 他のスペクトル分析パラメータとケプストラムとの関係やケプストラムパラメータへの変換式, 各手法による音声スペクトルの推定例もあわせて紹介する.
著者
林 隆嗣
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.445-438, 2018-12-20 (Released:2019-09-07)
参考文献数
10

In his article, “The Doctorinal Canonization of the Kathāvatthu” (IBK, Vol.63, No.3, 2015, pp.1243–1249), Toshifumi Shimizu investigated a discussion about the Kathāvatthu in the Aṭṭhasālinī, and concluded that, in order to accept what was spoken by the Buddha’s disciples (sāvakabhāsita) as “the word of the Buddha,” Theravādins required three conditions: (1) being based on māṭikā demonstrated by the Buddha, (2) corresponding to sabbaññutañāṇa, and (3) being retroactively approved with anumodanā given by the Buddha. However, his argument is not reasonable. The Aṭṭhasālinī explicitly mentions the reason why the Kathāvatthu composed by Moggaliputtatissa is buddhabhāsita as that, after the prediction of the Buddha, Moggaliputtatissa, following the summary (māṭikā) established by the Buddha, expounded it with the method given by the Buddha. The commentator compares it with the Madhupiṇḍikasutta of the Majjhimanikāya. In this sutta, the Buddha gives his disciples a brief discourse, and later Mahākaccāna expounds it to them in detail. That is finally confirmed by the Buddha saying, “I would have explained it in the same way that Mahākaccāna did. Such is exactly the meaning of this. Receive it as it is.”It is noteworthy that the Pāli commentator did not intend to establish a general principle to regard sāvakabhāsita as buddhabhāsita, and also the Pāli commentator, in spite of his exertion to regard the Kathāvatthu as buddhabhāsita, agrees that what the Pāli tipiṭaka called “Buddhavacana” (the word of the Buddha) consists not only of buddhabhāsita, but also of sāvakabhāsita, and so on. Thus acknowledging a text to be buddhabhāsita is not equivalent to its canonization. Relating to the canonization of the Kathāvatthu, we may rather note that Moggaliputtatissa was pre-approved with the Buddha’s prediction and was entrusted as a successor by the arahats at the second council to purge the saṅgha by holding the third council with this work.
著者
東野 和幸 杉岡 正敏 小林 隆夫 境 昌宏 湊 亮二郎 笹山 容資 大塚 雅也 沖田 耕一 青木 賢司 川島 秀人 東 伸幸
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.57, no.670, pp.445-452, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

Liquified Natural Gas (LNG) is one of the most promising propellant for near future space transportation rocket engine because of its low cost and fewer handling concerns. However, for LNG propellant, erosion of engine material by sulfur (sulfur attack) and coking by LNG pyrolysis are significant problems in a regenerative cooling passage. In this study, the effects of sulfur attack and coking are experimentally evaluated for material candidates such as Inconel600, SUS316, Hastelloy-X, and some copper alloys. In the sulfur attack tests, EPMA and Raman analysis indicate that metallic sulfide can be observed only on the surface and XRD analysis indicates that sulfur attack are hardly recognized for all of material in the test conditions. In coking tests, it is clear that coking of methane with 5% propane can proceed more than those of pure methane. The thermal decomposition temperature is significantly decreased by catalytic effects of Ni in engine material. The results of coking tests will be included in the design criteria of combustion chamber, nozzle of the LNG rocket engines.
著者
林 隆之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.158-163, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)

研究評価は,過去には研究者個人の研究業績や研究プロジェクトをピア(同分野の専門家)が科学的知識の妥当性から評価することが中心であった。しかし,研究活動自体が多様化するとともに,機関や組織による研究マネジメントの重要性が増し,研究成果による社会・経済的効果も期待されるようになる中で,研究評価の対象は拡大し,評価指標は多様化している。本稿では,研究評価の現状を概観することを目的に,研究評価の種類,大学等の機関の研究評価が導入された政策的背景,研究評価の方法の考え方,指標の多様性の必要性,インパクト評価の導入と課題,研究マネジメントへの活用について説明する。