著者
林 伸二
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.83-93, 2015-03-31

高等学校で理科系教育を受けてこなかった学生が、 音響クリエータをはじめとする音響、音楽関連のキャリヤを志向するとき、基礎的に必須となる音響・信号処理の素養を身につけることを想定した授業を構成するために必要となる留意事項、ノウハウをまとめたものである。 体系的に不十分であることは承知で、授業に割ける時間も限られた条件下で音響、 信号処理の知見をユーザーとして利用する立場に割り切り、音響振動の原理、正弦関数、フーリエ解析の基礎について、理論的な厳密性はさておき、大筋で原理を直感し、できれば理解することを目的とした授業法という立場でまとめた。 本文では、はじめに授業に必要とされる背景、 従来の音響・信号処理教育の実情を既存の教科書類を振り返って示す。ついで、音響基礎論において留意した音響振動の基礎と正弦関数、複素数、フーリエ解析、対数関数に関して授業を進める上の留意点を示す。
著者
小林 良彰 コバヤシ ヨシアキ Kobayashi Yoshiaki
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.p590-617, 1989-12

研究同志社大学商学部 創立四十周年 記念論文集
著者
森田 一三 森岡 久尚 阿部 義和 野村 岳嗣 稲川 祐成 近藤 由香 亀山 千里 近藤 香苗 小林 尚司
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.167-179, 2021-03-15 (Released:2021-03-30)
参考文献数
30

目的 高齢者における多剤併用は唾液の流量低下や口腔乾燥症を引き起こす可能性を高める。口腔の乾燥は口腔機能の低下をもたらすが,多剤併用と自覚的な口腔機能低下や客観的な口腔機能低下の関連について報告は見られない。そこで,本研究は投薬薬剤成分数と自覚的および客観的口腔機能低下の関連を明らかにすることを目的として行った。方法 2019年1月から2月に歯科健康診断のために中部地方の歯科医院を受診した,75歳以上の在宅高齢者215人を対象とした。自覚的口腔機能の評価として3項目の問診,客観的口腔機能として4項目の実測調査を行った。また,現在治療中の疾患および服薬している薬剤の情報を得た。自覚的口腔機能の3項目のいずれかに低下がある者を自覚的口腔機能の低下が認められるとした。客観的口腔機能の低下は2つのタイプについて検討した。1つは客観的口腔機能の4項目すべての項目に低下がある,もう1つは客観的口腔機能の4項目のうち2つの項目に低下があるとした。性別,年齢階級および治療中の疾患を調整した,自覚的および客観的口腔機能低下と投薬成分数の関連についてロジスティック回帰分析を用いて分析した。結果 8種類以上の成分を投薬されている者は7種類以下の者に比べ,自覚的口腔機能低下がみられた(オッズ比:95%信頼区間,2.3:1.0-5.1,P<0.05)。8種類以上の成分を投薬されている群は7種類以下の群に比べ4項目すべての客観的口腔機能に低下が見られた(4.4:1.5-12.6,P<0.01)。4項目のうち2項目以上の客観的口腔機能の低下は10種類以上の成分の投薬と関連していた(4.3:1.2-16.2,P<0.05)。 さらに,8種類以上の投薬成分数は自覚的口腔機能または客観的口腔機能4項目すべての低下をもたらした(8.1:2.1-30.8,P<0.01)。自覚的口腔機能または客観的口腔機能4項目のうち2項目以上の低下と10種類以上の成分を投薬されていることが関連していた(4.9:1.6-15.6,P<0.01)。結論 高齢者において薬剤成分数で8種類以上の投薬は,自覚的または客観的口腔の機能低下が見られることと関連した。
著者
山内 加奈子 斉藤 功 加藤 匡宏 谷川 武 小林 敏生
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.537-547, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
43
被引用文献数
3

目的 地域高齢者における 5 年間の縦断的研究により主観的健康感の低下に影響を及ぼす心理・社会活動要因について明らかにすることを目的とする。方法 愛媛県東温市に在住する65歳以上の高齢者7,413人全員に「高齢者総合健康調査」を実施し,85歳以上または日常生活動作で介助を必要とする者および 5 年間における死亡・異動等を除く4,372人を追跡対象者とし,3,358人を分析対象者とした(追跡率76.8%)。主観的健康感は「普段,自分を健康だと思いますか」に 4 件法で回答を求め,さらに「非常に健康である」,「まあ健康である」を主観的健康感の健康群,「あまり健康でない」,「健康でない」を非健康群に分類した。この 2 群について,5 年間追跡することで,主観的健康感の変化およびそのパターン別の割合を検討した。次に,初回調査時における主観的健康感の健康群を対象とし,5 年後の主観的健康感が健康か非健康かを目的変数として交絡因子を調整の上,初回調査時の老研式活動能力指標,生活満足度尺度 K,認知症傾向,うつ傾向の心理・社会活動指標の各因子との関連についてロジスティック回帰分析を用いて検討した。結果 5 年間の追跡調査後に,主観的健康感の健康群は男女ともに減少した。追跡期間中に健康を維持した者の割合は,男女とも,前期高齢者では約 6 割,後期高齢者では約 4 割であった。前期高齢者においては,初回調査時の生活満足度が高いことの低いことに対する 5 年後の主観的健康感が非健康であるオッズ比は,男性で0.85(95%信頼区間:0.77-0.93),女性で0.79(95% CI: 0.72-0.87)とそれぞれ有意に低く,さらにうつ傾向有のうつ傾向無に対するオッズ比は女性でのみ1.68(95% CI: 1.11-2.56)と有意に高かった。後期高齢者においては,生活満足度が高いことの低いことに対する 5 年後の主観的健康感が非健康であるオッズ比は,男性で0.87(95% CI: 0.77-1.00),女性で0.89(95% CI: 0.80-0.99)と有意に低く,さらに老研式活動能力が高いことの低いことに対するオッズ比は,男性で0.80(95% CI: 0.70-0.91),女性で0.88(95% CI: 0.80-0.97)と有意に低かった。結論 本研究から,地域高齢者の主観的健康感の低下を防ぐためには,男女ともに生活満足感を高めることが必要と考えられた。加えて,前期高齢者の女性においてうつ傾向がないこと,および後期高齢者では,男女共に日常生活活動能力を維持することが,主観的健康感の維持のためには重要と考えられる。
著者
林 成多
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.609-624, 1999-09-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

新潟県三島郡和島村の大武遺跡において, 泥炭質堆積物からなる完新統から8種のネクイハムシ類を含む多様な甲虫化石群集が得られた.ネクイハムシ類について化石群集の産状を7つに区分した層相を基に検討した結果, 種構成と層相には対応関係があることがわかった.さらに, 新潟県を中心に東日本でのネクイハムシ類の現生調査から生息環境をまとめた結果, ネクイハムシ類が示す古環境と層相などから推定される古環境はよく一致し, ネクイハムシ類の化石群を解析することにより詳細な水辺~湿地環境を推定できること明らかにした.ネクイハムシ化石群の解析結果や他の化石, 産出層準の層相から, 大武遺跡の埋没谷は流水の影響下で砂質堆積物がまず堆積し, その後に浮葉植物群落を伴う止水域が出現した.止水域はやがて湿性植物が繁茂する湿地となった.この湿地は層準により止水域を伴う場合や, スゲ類やヨシが優占するなど環境が変化したという, 古環境変遷が推定される.
著者
磯崎 正則 小林 隆幸
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.126, no.4, pp.210-213, 2006-04-01 (Released:2007-02-06)
参考文献数
4

本記事に「抄録」はありません。
著者
小林 良樹
出版者
一般財団法人 アジア政経学会
雑誌
アジア研究 (ISSN:00449237)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.87-108, 2008

This paper examines the hypothesis that one of the possible reasons for the recent negative perception of Japan in China is the relatively low volume of mutual human exchange between the two countries.<br>Based on an analysis of various opinion poll data, the characteristics of Chinese perceptions of Japan can be summarized as follows:<br>(1) Since the mid-1990s, the Chinese perception of Japan has been consistently negative.<br>(2) Such a negative perception of Japan is stronger in China than in other East Asian countries.<br>(3) In terms of the medium- and long-term trend since the mid-1990s, Chinese perception of Japan has continued to worsen, which is a unique phenomenon unseen in other East Asian countries including South Korea.<br>(4) Those Chinese who have experienced direct contact with the Japanese in general have a more moderate perception toward Japan than those Chinese who have not had such experience.<br>Apart from the historical fact that Japan and China have fought against each other, such a uniquely negative perception toward Japan in China can be attributed to the following reasons:<br>(1) The strengthening of patriotic education campaigns in China since the mid-1990s.<br>(2) The upsurge in anti-China perceptions in Japan since the 1990s (which are reflected back to China).<br>(3) Misperceptions and misunderstandings at an individual level in China, mainly due to the lack of objective knowledge about Japan as well as cultural differences.<br>One of the possible reasons for the misperception and misunderstanding at the individual level in China could be the relatively low volume of human exchange between China and Japan, which is still relatively low compared with the volume of exchanges between Japan and other major Asian countries.<br>For instance, Japan's "visitor-population ratio" (ratio of the number of visitors to Japan compared to the nation's population) in 2006 is as follows: China, 0.04% (one visitor per 2,500people); South Korea, 4.14% (one visitor per 24); Taiwan, 5.61% (one visitor per 18); Hong Kong, 5.04% (one visitor per 20); Singapore, 3.12% (one visitor per 32).<br>Data analysis indicates that the current negative perception of Japan in China is unique compared with similar perceptions in other East Asian countries.<br>There are several reasons for such a situation in China, and the current situation may not be due to only one reason.<br>Nevertheless, the enhancement of human exchanges between the two countries could be useful to prevent any increase in mutual misunderstanding as well as for managing any outbursts of negative feelings.
著者
小林 信彦
出版者
京都大學文學部
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-21, 1988-03-31

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
村上 道夫 小林 智之 越智 小枝 後藤 あや 五十嵐 泰正
出版者
一般社団法人 日本リスク学会
雑誌
リスク学研究 (ISSN:24358428)
巻号頁・発行日
pp.SRA-0361, (Released:2021-05-19)
参考文献数
41

A planning session was held at the 33rd Annual Meeting of the Society for Risk Analysis, Japan, with the aim of sorting out the similarities and differences between the Fukushima disaster and the COVID-19 pandemic, and discussing the implications for social policy. This paper reports on the planning session, entitled “Thinking about COVID-19 from Fukushima and Fukushima from COVID-19.” This paper reports on the topics including “Risk perception, psychological distress and social division at the Fukushima disaster and COVID-19 pandemic,” “Why Japanese people pursuit null-risk?: Lessons learned from the two disasters,” “Risk perception and resilience among mothers: Data from the Fukushima nuclear accident and COVID-19 pandemic,” and “Perspectives on societal risk trade-offs: Nuclear accident /pandemic.” Although the disaster and the pandemic have different characteristics, it was confirmed that there are many findings that need to be shared regarding various individual and societal risk issues, risk trade-offs, and measures to recognize and adapt to these risks. The significance of interdisciplinary and bird’s eye view disaster risk research across disaster types and disciplines was highlighted.
著者
スリフト ナイジェル 林 凌
出版者
大阪府立大学大学院人間社会システム科学研究科
雑誌
空間・社会・地理思想 = Space, society and geographical thought (ISSN:13423282)
巻号頁・発行日
no.22, pp.179-205, 2019

本稿は複雑性理論に対する注目度の増大を、普及の地理学という観点から考察する試みである。第一に、それ自体修辞的な複合体である複雑性理論が、グローバル化したサイエンス、ビジネス、ニューエイジといったアクターネットワークの中を通り抜け、循環するようになるにつれ、新しい意味を獲得していったということを論じる。複雑性理論がこれらのネットワークの中を循環することによって、それは新しい条件に遭遇し、新しいハイブリッドな理論形態を創出するようになったのである。第二に、複雑性理論が、欧米社会における新しい感情構造の出現として解釈されうる可能性があるかどうかを論じる。結論部ではこうした解釈に対する警句を述べる。
著者
広林 茂樹 田村 祐輔 山淵 龍夫 大薮 多可志
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.127, no.4, pp.258-259, 2007-04-01 (Released:2007-07-01)
参考文献数
7
被引用文献数
5 10

In this paper, we monitored the electromagnetic waves generated by human activity. We investigated a monitoring system that used the bioelectric potential of a plant. Four subjects walked on the spot at a distance of 60 cm from a rubber tree and we measured the variation in the bioelectric potential of the tree produced by the stepping motion. The results confirmed that the electromagnetic waves generated by a person walking on the spot produced a measurable response in the bioelectric potential of a plant. It was also found that this variation in the bioelectric potential varied in synchrony with the subject's walking pace.
著者
林甕臣 著
出版者
林甕臣
巻号頁・発行日
vol.巻之1, 1881
著者
小林 真之 藤田 智史 越川 憲明
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.5, pp.309-314, 2006 (Released:2006-11-14)
参考文献数
8

Sharp grass electrodeを用いた細胞内記録法は,in vivo,in vitroを問わず多くの実験系で行われ,多くの成果を上げてきた.その一方で,現在,ニューロンの機能解析に関してはパッチクランプ法によるアプローチが全盛である.しかしsharp grass electrodeを用いた細胞内記録法には,細胞質のwashoutを最小限に抑えられること,成熟動物標本へ適用しやすいといったパッチクランプ法に勝る長所がある.また,記録細胞にbiocytin等を注入して染色する場合,sharp grass electrodeを用いれば細胞外への漏れがほとんどなく,極めて美しい標本を作成することが出来る.したがって細胞内記録法は,パッチクランプ法では得ることが困難な情報を引き出せる手法であり,お互いを相補的に用いることによって,より多くのニューロンの情報を解析することが出来る.本稿では,脳スライス標本を用いた細胞内記録法について,パッチクランプ法と比較しながらその手技を紹介する.