著者
白川 恵子 林 以知郎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アメリカ独立革命期の建国神話がいかに構築され、それが共和政期および南北戦争以前期の文化の中で、いかに表象され、大衆に受容されてきたのかを考察する。特に、(1)建国祖父の伝記による独立革命の矛盾の曖昧化、(2)共和政期以降の建国神話受容、(3)独立革命のイデオロギーと文学的体制転覆的想像力との関連、(4)南北戦争以前期の煽情主義的/感傷主義的ナラティヴに反映・表象さえる建国神話に焦点が当てられる。
著者
古賀 義之 吉田 教明 三牧 尚史 小林 和英
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.318-324, 1999
被引用文献数
4

ワイヤー装着時に歯に作用する複雑な力系に関し, 臨床的な測定法の確立が望まれる.本研究では, 2つのブラケットとその間のワイヤーのような, 線材の両端の回転が, 二次元上で拘束されるような力系について解析した.その力系の理論的な算出には, 線材の曲げ剛性と曲げモーメントの比で表されるオイラーの微分方程式を解くことにより行った.また, 得られた理論式より, 線材両端の回転が拘束される複雑な力系と, 一端だけが拘束される単純な力系を比較することにより, 臨床上有効な矯正力の計測について検討した.その結果, 以下の結論が得られた.1. ブラケット等に加わるモーメントおよび力は, 線材が直線の場合, ブラケットの傾斜角の関数として表すことができる.モーメントに対するブラケットの傾斜角の影響は, 同側の傾斜角が反対側より2倍大きく, 力に対する傾斜角の影響は両側で等しい.2. 傾斜したブラケット等に直線のワイヤーを挿入した時の変形は, ワイヤーのサイズ, 断面形態, 材質によらず同じ形となり, その変形は三次曲線で表すことができる.3. ブラケットにワイヤーを挿入するような場合, 片側のみのブラケットが傾斜している条件では, ワイヤーの性状に関わらず臨床的に力系計測が可能で, 傾斜していない側のアタッチメントがブラケットの場合とリンガルボタンの場合では, 前者の垂直力が2倍大きくなる.
著者
林 浩一 井門 康司
出版者
鳥羽商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,磁性エラストマー部材の振動特性が,磁場印加から受ける影響について調べた.その結果,磁場印加により磁性エラストマー部材の固有振動数や減衰率は変化するが,減衰率の変化は固有振動数変化の主要因ではないことを明らかにした.また,空気流により励起される磁性エラストマー板の振動は,印加磁場強度に応じて周波数の顕著な変化は確認できなかったが,振幅は変化することを明らかにした.
著者
林田 理恵
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-17, 1990-09-20

異言語学習での母語の位置と役割という問題は、文法・翻訳式教授法-直接教授法-認知主義的教授法-コミュニケーション教育という主だった教授法の流れをみていくだけでも、それぞれの方法論の根幹に関わる問題として浮び上がってくることがわかる。昨今、生きた異言語教育とは何かという問題意識から、機能文法、コミュニケーション理論、言語心理学の発達に支えられ、体系としての言語の学習、単なる体系の利用としてのことばの学習から、活動の一環としての学習言語でのコミュニケーション活動(コミュニケーションを成立させるための、そして学習行為を成立させるための様々な心理的内面的要因までも考慮した)全体への学習へとその重点をかえていかなければならないという新しい課題が提出されている。そういった学習言語でのコミュニケーション活動を学習者に首尾よく習得させる上で母語の位置と役割をいかにとらえていけばよいか、異言語と母語による発話形成メカニズムの言語心理学的観点からの対照分析が必要とされている。当論文では、その第1部として、これまでの教授法の流れの中での母語の位置付けをまず概観、検討し、新しい教授法の課題の下での母語の問題の捉え方を提示して、その上で、発話形成メカニズムの操作プロセスにおける、母語と学習言語での異同点の大枠を示す。
著者
鈴木 広一 苅田 丈士 甲斐 高志 小林 弘明 高嵜 浩一 廣谷 智成 倉谷 尚志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-20, 2008-01

宇宙航空研究開発機構では,将来の宇宙輸送システムコンセプトの絞り込み,開発すべき技術課題の抽出,および現状技術の改善目標を設定するため,概念設計ツール(Systems Evaluation and Analysis Tool: SEAT)を開発中である。本報告書では,まずSEAT開発の目的,開発シナリオをまとめ,開発した雛形ツールについて報告する。ついで,代表的なエンジンの評価を行うため,雛形ルールを用いて5種類の宇宙輸送システムの概念設計を行った。本報告書では,液体ロケットエンジン,Turbine-Based Combined Cycle(TBCC)エンジン,およびRocket-Based Combined Cycle(RBCC)エンジンを対象とした。概念設計は,全備重量が最小となるように行った。その結果,母機,軌道機共にロケットエンジンを使用する二段式宇宙往還機のコンセプトが,最も軽量となる結果が得られた,本システムはエンジン搭載性についても問題がなく,最も現実的なシステムである。TBCCエンジンやRBCCエンジンといった空気吸い込み式のエンジンを使用する場合には,必要なエンジン基数が多くなり,その搭載性に問題があるという結果が得られた。
著者
白木原 康雄 若林 健之
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.277-288, 1983-11-30 (Released:2010-09-30)
参考文献数
34

The method of three-dimensional image reconstruction from electron micrographs is described with reference to the use of symmetries of specimens. Among the symmetries (two-dimensional translational symmetry, helical symmetry, icosahedral symmetry) which have been dealt with so far, the helical symmetry is fully described concerning its nature and its use. The practical aspects of the method, including manipulation of the phase data, are also presented.
著者
日高 艶子 宮林 郁子 金山 萬紀子 中村 真紀 吉村 綾子 中島 峰子 戸島 早織 松尾 佐知子 林 由香 小浜 さつき
出版者
聖マリア学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、高次脳機能障害者のセルフケアの再構築を促す看護 介入モデルの試案を検証することにある。本モデルは、注意障害、観念失行、半側空間無視、 自発性の低下に対する介入の順序性と、環境調整と主意的役割の活用という二つの介入方法を 提示し、期待できる効果の程度について示したものである。本研究においては、複数の高次脳 機能障害を呈した 8 名の患者に対して検討した。その結果、介入の順序性においては、まず注 意の集中を維持することで、患者の行動が安定し、それに伴い抑制障害や半側空間無視の改善 を認めた。介入方法においては、視覚・聴覚刺激を減少した個室環境が注意機能の持続や配分 に有効であった。主意的役割を用いた介入は、自発性の低下をきたした 3 事例において有効で あった。さらに、注意障害、半側空間無視、記憶障害の介入としても効果が期待された。今回 は得られたデータに限りがあるため、今後もモデルの検証に向けて研究を継続する必要がある。
著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。
著者
小林 典子
出版者
大阪大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

3カ年を通し、毎夏季海外調査を実施し、仏・英・独・米国等の14機関に厳重所蔵される聖母戴冠の画家系譜に関連する重要オリジナル全作品(13写本4板絵)の調査をほぼ完成することができた。その結果、この時期パリ写本彩飾挿絵工房において聖母戴冠の画家からブシコーの画家へと継承される系譜のうちに、油彩画完成を導く、彩色技法と顔料の抜本的革新が進行してきていることを明らかにした。その成果については、論文誌上や学会において発表を行った。
著者
小池 関也 小林 優揮 飯田 裕 下嶋 浩
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.67, no.654, pp.321-328, 2001-02-25
参考文献数
10
被引用文献数
2

This paper proposes an active noise controller applicable to a moving evaluation point in one dimensional acoustic field. A combined adaptive feedforward/feedback controller based on filtered-x LMS algorithm is proposed. The feedforward controller is utilized for the noise reduction, and the feedback controller is utilized for the reduction of howling, which occurs with use of acoustic reference signal at feedforward controller. For the sake of stable noise control under moving evaluation point, necessity for a real time identificator of transfer function of the error path, which uses a microphone fixed in the neighborhood of the control speaker, is shown. Stable noise reduction without howling is realized by using above combined controller and the real time identificator with use of acoustic reference signal aiming practical use. A straight duct is chosen as a one dimensional acoustic field. Computer simulations and experimental analyses are carried out to clarify the validity of the proposed controller.
著者
小池 関也 小林 優揮 飯田 裕 下嶋 浩
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 = Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers. C (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.67, no.660, pp.2521-2527, 2001-08-25
参考文献数
13
被引用文献数
2

A basic noise control system applicable to a moving evaluation point was proposed in the previous report, and its effectiveness was examined numerically and experimentally. Although the results showed that the proposed system is effective, it can only handle the case of slow evaluation point velocity. This restriction seemed to be due to the slow convergent speed of the adaptive filter. In this paper the cause of restriction is examined in detail, and an advanced control system is proposed. The features of the proposed system are as follows : 1) Improved feedback controller where main filter is less affected by the movement of the evaluation point. 2) Introduction of IIR filter together with the learning identification method to the error path identifier. The new system is examined both in simulation and experiment and shows great improvement compared with the basic model.
著者
上林 千恵子 山下 大厚
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

外国人技能実習制度は成立後ほぼ12年を経て、受け入れ人数を増加し、その性格も変化してきている。当初の緊急的な労働力不足への対応策から、3年間に亘って安定的に雇用を確保できる派遣労働力という見方を企業がとり始めてきた。3K労働だから外国人労働力に任せる、という側面も確かに残っているが、それと同時に、派遣・請負労働が広く普及し利用されるようになったことを踏まえ、派遣労働力の一つの形態としてこの研修生・実習生をみなす企業も出てくるようになった。しかし他方、技能実習制度の創設経緯に生じた問題はいずれも残されている。技術移転の問題をどう解決していくかは未解決である。技術移転を建前でなく実質化していくのか、あるいは韓国のように,研修制度を雇用許可制度の中に解消して、単純労働者受け入れ制度に一元化するのか。またローテーション方式の問題は、技能実習制度の限らず、外国人受け入れ制度すべてに関係する大きな問題である。パスポートの取り上げ禁止、雇用主による強制貯蓄の禁止、研修手当て・賃金からの管理費の控除禁止など技能実習制度の運営主体である国際研修協力機構(JITCO)は様々な指導を受け入れ団体と受け入れ企業に行っている。あるいは失踪者が多く出た受け入れ団体には、将来の受入れを認めないという罰則もある。研修生・実習生への失踪防止が足止め策として、彼らの労働者としての権利を侵害する恐れがある反面、失踪者の増加は不法就労者の増加へと確実につながり、二律背反の問題となっている。以上、技能実習制度を検討すると、これが十全に機能した場合でも制度としての矛盾を抱えていることが分かる。今後、外国人労働者を合法的に受け入れる制度としてこの技能実習制度が活用されるとするならば、技術移転の問題、ローテーション方式(失踪予防)の問題、受け入れ先企業の変更の問題、などについてより明確な合意形成が必要とされよう。
著者
渡邊 弥生 小林 朋子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、大きく4つの成果を得た。1つめは、ソーシャルスキル教育をいかに学校に導入すればよいか、またその際の教師の生徒のアセスメント能力の向上方法について、いくつかの研究に基づいて示唆を得ることができた。2つめは、アメリカの研究者と共同でゲームタイプのアセスメントツールの開発を行い、日米での生徒のソーシャルスキルの文化差を確認することができた。3つめは、教師の介入の仕方がソーシャルスキル教育の効果に影響を与えることを明らかにした。最後に、感情リテラシーの育成に関する基礎研究を実施し、感情リテラシーをどのようにカリキュラム化すればよいのかについて知見を得た。
著者
中山 昭彦 井上 喜洋 田原 陽三 小林 正三 横山 雅仁
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.636-644, 1998-07-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
6

It is said that lines could be still made with silk as used to be done in Japan as a countermeasure against pollution by nylon fishing lines. However, it is not clear whether or not silk fishing lines would be decomposed biologically in marine environments. To answer this question, seawater was collected at six stations at the entrance of Tokyo Bay and sterile raw silk threads (27-denier) were added to these seawaters. The final concentrations of raw silk threads in the seawaters were 0.5%. The six seawaters with raw silk threads [silk-decomposing seawater media (SDS media)] were incubated for 2 months at 20°C. The tensile strengths of the raw silk threads in the three SDS media were clearly decreased at least after 2-month incubation. The degree of decomposition of the raw silk threads, which were observed visually, correlated approximately with the ammonia contents of the SDS media. When the incubated raw silk threads were examined microscopically, it was shown that the raw silk threads were split into more and finer filaments after 1-and 2-month incubation. These results suggest the possibility of decomposition of raw silk threads in marine environments.
著者
林 亮
出版者
創価大学
雑誌
Sociologica (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-21, 1994-06