著者
時得 紀子 小林 田鶴子 内海 昭彦
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.265-274, 2011

今次改定の小学校学習指導要領解説音楽編では、共通事項(1)のアで、音楽的な感受の能力の内容を具体的に示し、音楽の要素や仕組みについて気づき、感じ取ること、具体物の操作や言葉のやり取りを通して新たな考えをもつようにすることが求められている。このような音楽を通じて思考・判断する活動では、楽曲を聴き、その要素や仕組みについて聴きとらせ、根拠をもって価値判断をさせることや、要素や仕組みへの具体的な根拠をもった「気づき」等を通して、「思いや意図」をもった表現の活動へのつながりをもたせることが重要である。そのためには、音や音楽に含まれる要素や仕組みの特徴を楽譜や映像を通して「可視化」したり、他の要素と区別して聴き取らせたり、仕組みについて具体的に理解したりさせるような、教師の側の工夫が有効な手段となる。また、言語や具体物などの可視化した情報を使って学習者が意見交換し、新たな価値を見出したりすることの効果も大きいと考える。筆者らは、このような「活用型」の音楽学習では、音楽の要素や仕組みについて具体的に且つ視覚的に捉えることが容易となるICTによる授業支援の方策が有効ではないかと捉え、実践を試みた。その結果ICTによる支援が音楽の知覚・感受に効果的な役割を果たし、思考力・判断力・表現力を培う成果が見られることが明らかになった。
著者
町田 竜也 松岡 陽 小林 秀一郎 尾関 全 石坂 和博 岡 輝明
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.257-259, 2003-05

33歳男.会陰部腫瘤,歩行困難を主訴とした.4年前よりの会陰部腫瘤が徐々に増大し,歩行困難と坐位圧迫での疼痛をきたした.会陰部中央に小児頭大の腫瘍を認め,骨盤部MRIで壁の薄い嚢胞状腫瘤を認めた.内部は均一で,T1強調像にて低信号,T2強調像にて高信号を示し,液体成分と考えられた.骨盤内への浸潤や尿道,直腸との交通はなかった.会陰部の嚢胞状腫瘍の診断で腰痛麻酔下に腫瘍摘出術を施行した.嚢腫は球尿道海綿体筋を挟んで尿道とは離れていた.浸潤所見はなく完全摘除され,術後1年経過で再発も認めない.病理組織学的所見では内面は角化重層扁平上皮で覆われ,内腔に角化物質を多量に含んでいた.皮膚付属器や皮膚以外の組織は認められず,悪性所見も認められなかったためepidermal cystと診断された.会陰部のepidermal cystは稀で,自験例を含め本邦では6例の報告があるのみであった
著者
芝 祐輔 坂井 亮太 綿野 亮太 奥田 泰考 若林 宏海 荒川 昌史 中澤 寛仁 須藤 俊明 梶井 英治 長谷川 剛 岡山 雅信
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.23-26, 2013 (Released:2013-05-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

要 旨目的 : これまで長期災害支援の報告は数少ない. そこで今回我々が経験した東日本大震災の長期災害医療支援として巡回診療で得られた診療記録と処方箋から薬剤関連データを解析した. 方法 : 巡回診療で得られた診療記録と処方箋から患者数と医薬品の処方件数ならびに処方件数の多かった上位3位の医薬品使用量の推移について解析した. 結果 : 患者数は支援を開始した3/26から1週間後の166名/日 (中央値48.5名, 範囲14-166) をピークに減少し, 4/11以降は24名 (中央値)/日 (範囲0-47) であった. 医薬品の処方件数は感冒薬, 降圧薬, 抗アレルギー薬の順で多かった. また医薬品の使用量は感冒薬と降圧薬は時間経過とともに減少したが, 抗アレルギー薬は継続的に処方されていた. 結論 : 災害医療支援チームは被災地の医療機関の復興状況に応じて急性期だけでなく長期の支援を行うべきである. また支援の介入が早いほど, 急性疾患と慢性疾患の両方の治療薬を災害医療支援チームは必要とする.
著者
爲季 周平 阿部 泰昌 山田 裕子 林 司央子 種村 純
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.348-355, 2009-09-30 (Released:2010-10-01)
参考文献数
11

Action disorganization syndrome (以下ADS) を呈した脳梁離断症候群の一例を経験し,ADS の出現機序と関連領域について検討した。ADS は日常的生活の順序を多く含む動作において,使用対象の誤り,順序過程の誤り,省略,質的誤り,空間的誤りを示し目的行為が障害される。ADS は目的行為の概念は保たれるが contention scheduling system におけるスキーマの表象が誤ったり省略されたりし,さらにその誤って表象されたスキーマを supervisory attention system によって訂正できない結果,そのまま誤って表象された行為が出現する。本症例は脳梁膝から,左上・中前頭回にかけて損傷されており,過去の報告例では左右どちらか一方,または両側の上・中前頭回が損傷されていた。ADS は左右両側の広範な前頭葉領域内の損傷によって生じる可能性が考えられ,左右の上・中前頭回を結ぶ交連線維の損傷により,脳内における情報の統合障害や錯綜,注意機能や抑制機能の低下が加わることで生じると考えられた。
著者
小林 宏
出版者
国学院大学法学会
雑誌
国学院法学 (ISSN:04541723)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.41-59, 1968-01
著者
小林 裕太 日置 幸介
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.89-93, 2012 (Released:2013-02-26)
参考文献数
16

The Earth’s spin axis moves by various factors, and mass redistribution associated with seismic faulting is also expected to contribute to this movement. However, there have been no space geodetic observations of coseismic polar motion excitations to date. In this study, we analyze the time series of the excitation functions of the polar motion, and try to detect steps due to the three recent M9 class earthquakes, i.e. the 2004 Sumatra-Andaman, the 2010 Chile (Maule), and the 2011 Tohoku-Oki earthquakes. For the 2010 Chile earthquake, a significant step was detected but was not consistent with the anticipated direction.
著者
小林 正弥 コバヤシ マサヤ Kobayashi Masaya
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
公共研究 (ISSN:18814859)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.8-56, 2006-03-28

千葉大学公共研究センター21世紀COEプログラム「持続可能な福祉社会に向けた公共研究拠点」
著者
林 博司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.629-633, 2004
参考文献数
2

生命は二つの情報システム,すなわち遺伝情報系と感覚情報系によって支えられている。遺伝情報系では,DNA→RNA→たんぱく質というセントラルドグマに従って,情報の複製,転写,翻訳がなされている。これらの情報はすべて文字で書かれた文章と同じように1次元の情報になっている。したがって,これらの情報はコンピュータを用いて保存し,比較し,特定の文字列を検索することなどが可能である。本稿では,こうした生命情報技術の現状を纏めた。
著者
河原林 桂一郎
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 特集号 (ISSN:09196803)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.8-9, 1999-03-31
被引用文献数
1
著者
水鴬 友昭 林 理
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.178-184, 1995-11-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4
被引用文献数
3 3

本論文では原子力発電開発に従事する専門家と一般人の原子力発電やその他の工学的技術や製品に対するリスク認知構造の違いを明らかにすることを目的とし, それを解明した。因子分析の結果, それぞれの構造は「恐ろしさ」と「未知性」の2因子モデルで説明することができることがわかり, 専門家における知識は科学全体として知られていることを「わかっている」こととし, 個人的な知識のみを知識とはせず, 科学的に明らかにされていれば知識とみなす傾向があり, 一般人は個人的に知っていることを「わかっている」こととする傾向があることが判明した。また, 専門家と一般人をボンドし, 原子力発電に関係する項目をそれぞれ比較した結果, 専門家は一般人と較べ比較的に「未知性」, 「恐ろしさ」ともに低く, 知識量の差により, 原子力発電に対する恐ろしさが変化していることが判明した。これにより, 一般人に個人的な正しい知識を与えることにより, リスク構造認知の差を小さくすることが可能であることが判明した。
著者
今給黎 尚幸 大渕 俊朗 濱中 和嘉子 吉田 康浩 宮原 聡 柳澤 純 濱武 大輔 白石 武史 岡林 寛 岩崎 昭憲
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.595-599, 2011-09-15 (Released:2011-10-26)
参考文献数
10

肺分画症は,肺組織に体循環系の奇形性異常動脈からの流入を有する先天性疾患であり,肺葉内分画症と肺葉外分画症とがある.我々は1994年4月から2010年3月までに当院およびその関連施設で手術を行った肺分画症15例を対象とし,術前診断および手術手技を中心にその臨床像を検討した.術前に全例で造影CTが施行されたが確定診断に至ったものは11例であり,残りの4例は術中所見で診断された.下葉に嚢胞や硬化像が認められる症例では肺分画症も念頭に入れ,異常動脈を検索することが必要である.胸腔鏡手術は4例に適応され,その内2例で開胸手術に移行した.条件が整えば胸腔鏡手術でも安全に施行できる症例があることが確認された.異常動脈の処理における自動縫合器の使用については,本検討では8例に施行され合併症は認めず利便性と安全性を鑑みると十分容認できると考えられた.
著者
粕田 晴之 福田 博一 林 和 相賀 美幸 島崎 則子 越智 芳江
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.132-135, 1999-05-20 (Released:2010-07-21)
参考文献数
28

本邦での手術時手洗いはスクラブ剤を使用したブラシングを中心に行われてきたが, この方法は皮膚を損傷するおそれのあることと手洗い時間が長いという欠点を有している.我々は, 先に看護婦を対象としグローブジュース法を用いて擦式エタノール薬を併用した短時間手洗い法の有用性について報告したが, 今回は医師を対象として検討した.手洗い前の片手当り手指生菌数が104cfu以上で, 「現行の手洗い法: 4%クロルヘキシジンを用い, 素洗いと3回のブラシングで計8分間の手洗い」と「新しい手洗い法: 4%クロルヘキシジンを用いた揉み洗い2回と爪周囲のブラシング1回, 0.2%クロルヘキシジン添加エタノール液を用いたラビング1回で計4分間の手洗い」を2回づつ実施できた外科系医師28名を対象とした.指数減少値からみた減菌効果が, 「現行の手洗い法」では手洗い直後および3時間後が1.49±0.66 (M±SD) および0.99±0.71であったのに対し, 「新しい手洗い法」ではそれぞれ1.61±0.55および1.44±0.52と高い値を示し, 3時間後では両者に有意差が認められた (p<0.05).「新しい手洗い法」は, 揉み洗い中心の短時間で簡便な方法であるにもかかわらず, 手洗い直後ばかりでなく, 手袋をして3時間後にも引き続き殺菌効果を持続する有用な手洗い法であることが示された.
著者
江 東林
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本年度では、デンドリマールテニウムポルフィリン錯体中心のルテニウム上で、赤外照射により酸素分子の活性化が触媒的に起こるという特異な現象を見いだした。一連のサイズの異なるデンドリマールテニウムポルフィリン錯体をピリジンと共存させ、系内に酸素をバブリングしながら、赤外線を照射した。その結果、サイズの大きなデンドリマールテニウムポルフィリン錯体の系では、酸素添加反応が起こり、触媒的にピリジンオキシドを与えました。これに対して、サイズの小さなデンドリマールテニウムポルフィリンを用いた場合、ピリジンオキシドの生成は全く観察されなかった。また、基質として、ジメチルスルファイドを用いた場合も、上述と同じ現象が観察された。詳しい検討から、サイズの大きなデンドリマールテニウムポルフィリンは赤外線捕集アンテナとして機能し、吸収した赤外線エネルギーをコアに送り込み、化学反応を引き起こすということが分かった。これは、今まで全く利用されることのなかった赤外線を用いた分子状酸素活性化のアプローチであり、新しいタイプの人工光合成と言える。

1 0 0 0 OA 家庭科学の話

著者
小林鶯里 著
出版者
文芸社
巻号頁・発行日
1925