著者
亀田 敏弘 岡本 健宏 新田 恭士 秋山 成央 二宮 建 森川 博邦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.554-559, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
11

センサ・通信デバイスの進歩により,社会基盤の多様なデータは,無線接続での取得が可能となっている.LPWA通信でのデータ取得方法は,設置に際して無線局免許が不要で,低消費電力かつ安価なハードウェアが供給されており,大量のセンサをローコストにて設置可能なため,大きな期待を集めている.しかし,社会基盤データの特徴として,災害時などの非常時にこそ昀も必要とされるものも多く,電源喪失の極限状況であってもデータ収集・配信の継続が求められる.著者らは,スーパー台風襲来による長時間停電が発生し公衆通信が途絶する危機的状況下であっても,複数の水門の開閉状況データを継続的に取得し一元監視可能なシステムの実現を目標に研究を進めており,LPWAネットワーク型データ取得における電源喪失時のレジリエンス向上について議論する.
著者
多久 和真 播元 和貴 白井 康智 森田 大輔
出版者
公益社団法人 日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.14-22, 2022-03-01 (Released:2023-04-25)
参考文献数
17

本稿の目的は,批判的に考える態度(批判的思考態度)の伸長を図った統計指導の設計ならびに実践を行い,生徒がどの程度,批判的思考態度の重要性を認識したかを明らかにすることである.教材開発にあたり,「現実の文脈の使用」「『読解の文脈』での活動の重視」「データの提示の方法」という点に留意した.そして,複数のデータの読み取りや,個人の考えを小グループで検討し,他者の考えを聞いた上で改めて個人の考えを再検討するという活動を導入した教材を開発した. 指導実践を通して,データの提示の仕方を工夫することで複数のデータを参照することの重要性が理解され,また,結論を何度も他者と意見交換することで,意見の変容が促され,他者との意見交流の重要性が理解された.そして,本実践を通して多くの生徒が批判的思考態度の重要性を認識したこと,また,批判的思考態度が表出する場面として,「新たなデータの必要性を問う場面」「複数のデータを参照して答えた場面」「最終的な意見を述べる場面」があることが明らかとなった.
著者
藤森 千尋 小泉 利恵
出版者
関東甲信越英語教育学会
雑誌
関東甲信越英語教育学会誌 (ISSN:21858993)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.21-31, 2011-03-01 (Released:2017-07-14)

The purpose of this study is to examine how English teachers evaluate students' speech presentation and whether their holistic ratings have some correlations with linguistic features by objective measures of accuracy, fluency, and complexity, and with students' peer evaluation. The present data employed are (a) transcribed utterances in speech presentation by 21 senior high school students, (b) an ALT's and a JTE's holistic rating scores, and (c) peer evaluation data from the classmates. The results of the study show that the holistic rating scores are significantly in correlation with measures of accuracy (i.e., the number of error-free clauses per clause), and other linguistic features (i.e., the number of words, the number of clauses, and the number of types). The results also indicate that the average of the two teachers' holistic ratings correlate to students' evaluation in attitude and manner of speaking and in accuracy and concision, and that the JTE's ratings correlate to students' evaluation in fluency.
著者
森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.71-72, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本稿では,STEM/STEAM教育のカリキュラムを構築するためのひとつの考え方として,探究活動と創造活動を往還するモデルを踏まえ,持続可能な実践のデザインを検討した.探究活動と創造活動の特性を併せ持つモデルとして,大谷(2021)はLearning by Designを挙げている.適切な「問い」と合わせて,初等教育,中等教育,高等教育へと発展的かつ継続的に,探究活動と創造活動をデザインしたカリキュラムの構築に向けて,議論をする必要があろう.
著者
村上 健太郎 森本 幸裕 堀川 真弘
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.38-43, 2011 (Released:2012-03-14)
参考文献数
24
被引用文献数
4 1

近畿地方の市街地 164 箇所の人為的ハビタット(石垣,壁,建物間の隙間,路傍)におけるシダ類の種組成と気候条件との関係を,CCA (正準対応分析), TWINSPAN (二元指標種分析),指標種分析を用いて調査した。CCA の第1軸スコアは暖かさの指数や寒さの指数とよく対応し,気温変化の軸と考えられた。第2軸スコアは乾湿計数や冬季降水量とよく対応し,空中湿度などの乾湿に関する変化の軸と考えられた。TWINSPAN によってシダ類群集は4区分され,それぞれイヌワラビ型,イノモトソウ型,イヌケホシダ型,イシカグマ型と判断された。また,イヌワラビ型,イノモトソウ型,イヌケホシダ型,イシカグマ型の順に温かさの指数や平均気温は大きくなり,イシカグマ型,イヌワラビ型,イノモトソウ型,イヌケホシダ型の順に乾湿係数や降水量はより小さく,乾燥が厳しくなった。今後,このような群集タイプの変化に着目することで,気候変動の目安となる可能性があると考えられた。
著者
西谷 光広 米谷 麻美 円城 真衣 村田 千春 中川 和将 鎌口 美穂子 北本 貴弥 東 祐伽 森内 則子 保志場 紀子 澤﨑 真由美 上田 律子 大門 正一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.271-279, 2019 (Released:2019-05-28)
参考文献数
18

乳酸菌やビフィズス菌が3価鉄によって増加し, 腸管での鉄吸収が亢進したとの報告がある. 血液透析患者4例に乳酸菌製剤のビオスリー®配合OD錠を1回2錠, 1日3回内服させ, 腸内細菌の変化によって鉄代謝と貧血指標に与える影響を検討した. 腸内細菌の変化に関して, 症例1, 2, 3においてビオスリー®配合OD錠内服1か月後でFirmicutes門の割合が増加した. 鉄代謝の影響に関して, 症例1, 2, 4において内服1か月後でトランスフェリン飽和度が上昇した. また症例1, 4において, 内服3か月後で血清ヘプシジン-25値が減少した. 貧血指標に関しては, いずれの症例もビオスリー®配合OD錠内服によってヘモグロビン値への影響は小さかった. 腸内細菌および鉄代謝の変化は同一症例で生じたわけではないが, ビオスリー®配合OD錠内服によって腸内細菌が鉄還元作用を促進し, 鉄吸収が亢進したことが示唆された.
著者
福森 郁斗 西村 督
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
構造工学論文集B (ISSN:09108033)
巻号頁・発行日
vol.69B, pp.190-202, 2023 (Released:2023-04-07)
参考文献数
22
被引用文献数
1

In the biomechanics field, tensegrity structures are considered to be similar to the human skeleton and the joint. Oh proposed a biotensegrity model that mimics the human spine and presented a shape control strategy, which leads to the optimization problem with the lengths of the tensile members corresponding to the muscle and tendon as design variables. This study extends previous shape control methods by incorporating strategies to avoid obstacles. As the methodology, the potential method, which has been applied in robotic engineering, is adopted. This method derives an appropriate avoidance path from the potential field function.
著者
森 将輝 渡辺 利夫
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.29-40, 2018-12-26 (Released:2019-01-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1

People are generally unable to correctly determine the fixation point from the gaze direction when facing another person. This study investigated this tendency from the viewpoint of the anisotropy of space. Experiment 1 showed that compared with the physical space, the gaze perceptional space was 1.227 times larger laterally and 0.516 times narrower sagittally, suggesting that the gaze perceptional space has an orthotropic property. Furthermore, this space had an anisotropic property in the oblique direction. In Experiment 2, the space was constructed from the verbal cues of distance and angle, with the same size as the physical space in Experiment 1. Compared with the physical space, the space constructed from the verbal cues was 0.866 times larger laterally and 0.783 times narrower sagittally. These results show that the gaze perceptional space differs from the space constructed by verbal cues in terms of the degree of anisotropy. They also suggest that gaze direction was not judged on the basis of quantitative verbal representation concerning distance and angle.
著者
桑山 健次 辻川 健治 宮口 一 金森 達之 岩田 祐子 井上 博之 岸 徹 角田 紀子
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.127-133, 2005 (Released:2007-07-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The effects of the various preparation procedures of the Dragendorff reagent on sensitivity for thin layer chromatography (TLC) were examined. The sensitivity to various compounds was different depending on the preparation procedures of the Dragendorff reagent.   The reagent with the highest sensitivity to most of the compounds tested was the one prepared with bismuth subnitrate and concentrated hydrochloric acid. However, color spots were disappeared relatively in a short time after the reagent was sprayed on the compounds. The reagent with the second highest sensitivity was the one prepared with precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate, although the procedure was complicated and time-consuming.   Consequently, to simplify the preparation procedure of the reagent, we modified it to the procedure without precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate. The reagent was also prepared from commercially-manufactured Bi(OH)3 or BiI3. The modified Dragendorff reagents showed almost the same sensitivity to most of the compounds tested as the one prepared with precipitation of Bi(OH)3 from bismuth subnitrate, and would be useful for practical TLC analysis.
著者
瀧上 隆夫 嶋村 廣視 根津 真司 鈴木 健夫 谷浦 允厚 中村 峻輔 藤本 卓也 竹馬 彰 竹馬 浩 森谷 行利
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.199-217, 2022 (Released:2022-04-27)
参考文献数
30

痔瘻の成因は,今ではcrypt-glandular infection theoryが定説であり,治療の原則は原発口(anal crypt),原発巣(anal gland, primary lesion)の完全除去である.痔瘻の原発巣に対する考え方も,坐骨直腸窩痔瘻では従来のanal crypt─内外括約筋間─Courtney's space(原発巣)の考えから新しい概念,後方深部隙(PDS)の存在の提唱により大きく変わった.痔瘻の初発症状の直腸肛門周囲膿瘍は,診断すれば抗血栓薬の服用の有無,基礎疾患の有無にかかわらず,即,切開排膿が原則である.排膿後の痔瘻への移行状態をみて手術を決める.痔瘻手術の基本は開放術式であるが,前方,側方のものは肛門括約筋の損傷を考慮して術式を決める必要があり,根治性,肛門機能温存のバランスを重視した術式を選択することが大切である.
著者
森永 凌汰 玉城 大生 小野 智司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2B5GS602, 2022 (Released:2022-07-11)

近年の深層ニューラルネットワーク(DNN)の急速な発展は,自然言語処理(NLP)分野においても様々な技術革新を起こしている.しかし,DNNがその性能を発揮するためには大量の学習データが必要であり,特に教師信号のラベル付けがボトルネックとなっている.このため,教師なし学習データから教師あり学習データを生成する自己教師あり学習が注目を集めている.一方で,日本語を対象とした文章校正支援の研究が広く行われており,表記ミスや同音異義語誤りなどの表層的な誤りの検出が可能となっている.本研究では,文法的あるいは意味的な整合性に基づいて,文の接続関係の妥当性を判定する自己教師あり学習方式を提案する.提案手法は,ランダムに選択された2つの文を切断し,結合することで文を合成し,結合箇所へのラベル付けにより,教師なし学習データから教師あり学習データを合成する.実験により,NLPタスクにおける提案手法の有効性を確認した.
著者
近澤 優子 上田 智佳 森井 裕史 永藤 清子
出版者
学校法人 甲子園短期大学
雑誌
甲子園短期大学紀要 (ISSN:0912506X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.23-36, 2023-03-15 (Released:2023-04-17)
参考文献数
11

本研究では、「学習成果の可視化に向けたアセスメントプラン」に基づき、学生の入学から卒業3 年後までの間接評価の策定を行った。また、策定された間接評価をもとに学生調査を実施し、学習成果の現状の把握と教育改善の可能性について検討を行った。本研究では、令和4(2022)年5 月と7 月に実施した入学時調査と学生調査の結果について報告する。
著者
蛇口 達造 吉野 裕顕 森井 真也子 蛇口 琢 渡部 亮
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.1105-1108, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
20

血漿シトルリン濃度が短腸症候群の消化管順応の生体指標として簡便且つ有用であることが Crennらにより提唱されて以後、栄養学的自立の評価に重要な位置をしめるようになっている。その解釈には小腸で合成されるシトルリン(Cit)が腎臓でアルギニン(Arg)に変換し、全身で利用される代謝機構の理解が必要である。新生児期発症 SBS自験症例の検討から、(1)血漿 Cit濃度は手術時残存小腸の長さを反映し鋭敏に増加する、(2)血漿 Cit, Arg濃度の両者とも絶食時基準値内なら栄養学的自立は可能である、(3)両者とも基準値内で TPNから離脱できない症例では、その原因検索を進めるべきであると考えられた。以上から血漿 Citと Arg濃度は SBSの消化管順応の評価に簡便かつ有用な検査であると結論した。
著者
種田 靖久 森 博美 吉村 知哲 山口 均 高須 昭彦 安田 忠司
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.625-631, 2013-10-31 (Released:2013-11-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2

デクスメデトミジン(以下DEX)は,呼吸抑制作用が軽微な鎮静薬であるが,循環器系への作用に徐脈の危険性や血圧低下などの問題がある。今回DEXの使用適正化に向けてICU専任薬剤師として鎮静プロトコルを作成し介入を行った。鎮静プロトコル導入前と比較し,導入後ではBolus投与率が減少する傾向を示し(13.2% vs. 3.5%,p=0.0569),副作用発現率が有意に減少した(42.1% vs. 23.3%,p=0.0472)。DEX平均投与量,併用鎮静薬剤の投与量,挿管日数については導入前後で差は認められなかった。また,Bolus投与群では,非Bolus投与群と比較し副作用発現までの時間が有意に早くなり(1.8hr vs. 3.6hr,p=0.0085),Bolus投与と副作用発現の関連性が示唆された。ICU専任薬剤師として,薬剤の適正使用に積極的に関わることにより副作用軽減につながると考えられる。
著者
後藤 亮平 田中 直樹 渡邉 大貴 金森 毅繁 柳 久子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.751-758, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
26

〔目的〕廃用症候群入院患者の特性,またADLの回復に影響する要因を検討した.〔対象〕廃用症候群のためリハビリテーションの指示が出された患者とした.〔方法〕退院時のFIM運動項目の得点から初期評価時FIM運動項目の得点を引いた値(FIM利得)を,中央値で2群に分類した.多重ロジスティック回帰分析を用いて,ADL向上に影響する要因を検討した.〔結果〕入院前FIM運動項目,膝伸展筋力,股関節屈曲可動域,肺炎の有無の4因子に,FIM利得との有意な関連が認められた.〔結語〕廃用症候群入院患者においては,入院前FIM運動項目,膝伸展筋力・股関節屈曲可動域といった身体機能,また肺炎の有無が,入院期間中のADL向上に影響する事が示唆された.