著者
福井 昌則 石川 岳史 黒田 昌克 掛川 淳一 森山 潤
出版者
日本情報科教育学会
雑誌
日本情報科教育学会誌 (ISSN:21890668)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.31-41, 2019 (Released:2021-02-01)
参考文献数
23

本研究の目的は,高校生のプログラミングに対する様々な意識と創造的態度との関連性について明らかにすることである.プログラミング教育では,プログラミングに対する様々な意識と創造性を高めることが重要であると指摘されているが,それらの項目における性差やそれらの関連性については明らかにされていない.そこで本研究ではこれらを明らかにするために,公立高等学校3校の1年生226名を対象に調査を実施した.その結果,創造的態度の柔軟性・分析性・進取性の因子が高い生徒は,プログラミングに対する様々な意識の各項目の平均値が有意に高く,これらの間に正の相関が認められた.またこの傾向には性差が見られ,創造的態度およびプログラミングに対する様々な意識全項目において,男子の平均値は女子よりも有意に高かった.よって,性別による意識の違いを踏まえ,柔軟性・分析性・進取性を高めるような実践構築の重要性が示唆された.
著者
村田 洋介 阿部 雅則 道堯 浩二郎 松原 寛 舛本 俊一 山下 善正 堀池 典生 恩地 森一
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1186-1190, 2002-08-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は53歳,女性.初回入院時,抗ミトコンドリア抗体陰性.腹腔鏡では,溝状および広範陥凹があり,肝組織では広範壊死がみられた.自己免疫性肝炎(AIH)と診断,副腎皮質ステロイドの投与を開始.その後,胆道系酵素の上昇がみられた.第2回目の腹腔鏡では,陥凹所見は改善.肝組織では非化膿性破壊性胆管炎がみられた.AIHの経過中に原発性胆汁性肝硬変が顕在化し,その経過を腹腔鏡で観察しえたので報告する.
著者
森 恭子
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.151-161, 2013-03-01

日本は2010年より第三国定住を試験的に開始した。しかし、すでにインドシナ難民以外の新たな難民/申請者が長期間滞在しており、その社会的支援は制限されている。彼らは政府の十分な支援がなく、日本の地域社会とどのように関わりながら、「サバイバル」しているのだろうか。 本小論では、難民/申請者の日本の地域社会との関係について焦点を絞り、近年の難民に関する調査報告、定期刊行物、報道、筆者の経験等の断片的な情報や知識をつなぎ合わせ、そこから垣間見る様相を描くことを目的とし、今後のフィールド調査への足掛かりとするものである。同時に、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を重視することを踏まえ、社会統合を意図した支援に向けて若干の示唆を与えた。難民/申請者は地域社会の中で孤立しており、社会資源からも排除されていること、しかし一方で、地域住民からの支援を得たり、東日本大震災を通して日本の一員として貢献したい意欲などもみられる。政府が現在進めている生活支援戦略における中間的就労や社会的孤立の予防を視野にいれた地域福祉施策の中で、その対象範囲を難民/申請者にも広げ、メインの支援体制の中に組み入れていくことが必要である。そこでは地域福祉推進の主たる担い手である社会福祉協議会や民生委員等の積極的な介入が期待される。 \n The Japanese government introduced its third-country resettlement pilot project in 2010 in trial basis. New types of refugees and asylum seekers except Indo-Chinese refugees, however, have lived in Japan for long time and there has been a limitation of social support. How they have survived in local Japanese community without sufficient supports by the government? This short paper focused on the relationship between refugee/asylum seekers and local Japanese community and aimed to draw a sketch of life situation through fragmental information of research reports, periodical documents, the press regarding refugees/asylum seekers and author's experiences in order to gain a footing a field research of them in future. Also, the paper made some suggestion for support intended to promote social integration, based on the importance of social capital. Their social isolation in local community and social exclusion from social resources were brought out and it was founded that some of them were supported by local Japanese residents and had feelings of contribution to Japanese society as one of members composed in this society through the experiences of the Great East Japan Earthquake. It could be necessary to incorporate refugees/asylum seekers' support into the mainstream welfare support system including the internship program for finding employment under the strategies of life support which the government just started currently, and the prevention of social isolation under the community care system. The intervention in refugee/asylum seekers' support by the Councils of Social Welfare and Welfare volunteers , who are main leaders to promote community care, would be expected strongly.
著者
森田 道 曽山 明彦 高槻 光寿 黒木 保 安倍 邦子 林 徳真吉 兼松 隆之 江口 晋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.483-487, 2013 (Released:2013-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
5 7

59歳,女性.主訴はなし.検診目的の腹部超音波検査で肝腫瘤を指摘され当科紹介となった.腹部造影CTでは肝外側区域から肝外に突出する造影効果に乏しい腫瘤を認めた.肝腫瘍の他,肝胃間膜内発生の悪性リンパ腫や胃GIST,炎症性腫瘤との鑑別が困難であり,診断的意義も含め腹腔鏡下腫瘤摘出術を施行した.術中所見では腫瘤は肝胃間膜内に肝外側区域背側に接するように存在していた.腫瘤と接する肝外側区域を一部合併切除し腫瘤を摘出した.病理組織所見は変性壊死を中心とした好酸球性肉芽腫で,内部にアニサキス虫体を認め消化管外アニサキス症と診断した.アニサキス症の多くは消化管に発生し激烈な腹痛を特徴とするが,初回感染では本症例のように無症状で消化管壁を穿通し消化管外アニサキス症として発見される例の報告もある.発見契機としては,絞扼性イレウス,膵腫瘤などの報告があるが,肝腫瘤として発見された例は国内では5例と稀である.
著者
大森 信
出版者
日本サンゴ礁学会
雑誌
日本サンゴ礁学会誌 (ISSN:13451421)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-9, 2016 (Released:2016-10-13)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

いろいろなさんご礁修復再生事業や港湾開発に伴うサンゴ移設事業でサンゴ幼生の着生基盤として採用され,大量に用いられている連結式サンゴ幼生着床具CSD(Okamoto et al. 2008)はそれほど効果のある人造基盤ではない。CSDをほかの3種の基盤(ホタテガイ貝殻,素焼き褐色陶板,自然分解樹脂ネット)と比較した結果,幼生の着生数密度は何れの場所でも素焼き褐色陶板がもっとも高かった。6ヶ月後の稚サンゴの生残率はCSDがほかの基盤より勝った。今日では明らかなことであるが,幼生の多くは基盤の表面に生じたサンゴモ(無節石灰藻)やバクテリアフィルムからの特定の化学シグナルの刺激によって着生・変態するのであって,基盤の素材は結果を左右する要因にはならない。着生・変態の過程は,1)着生シグナル受容→2)着生行動→3)着生→4)変態,の4段階からなる。基盤の評価は,1)着生・変態,2.育成,3.植え込み,4.その後,の4段階を総合してなされるべきである。幼生の着生率や着生後の生残率は基盤の構造や形状の物理的特性にも影響される。平板な基盤の場合は,サンゴは縁辺部に付きやすく,水平面より鉛直面での生存率が高い。また,稚サンゴがウニや魚類の食害から逃れやすい構造であるものが望ましい。最良の人造基盤は,サンゴ幼生の着生・変態への誘引効果をもつばかりではなく,着生後の生残率が高く,さらに,植え込み作業や運搬が容易で,波浪に強く,はがれにくいものである。
著者
森本元子著
出版者
風間書房
巻号頁・発行日
1993
著者
和田 清 森 誠一 遠藤 協一 藤井 孝文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.397-402, 2016 (Released:2022-04-01)
参考文献数
10

This study has analyzed factors for recovery of the fishway by cluster analysis and main component analysis using check-sheet data of fishway in Gifu prefecture. Directionality to connect with a repair method of construction using the result was examined. It is pointed out that the function of the fishway decreases, when the item of the damage of the structure, stream route, step of the flow, partial scour in a riverbed are one. In Ono fishway of the Yoshida River, the need of continuous flow quantity monitoring to connect it with the life cycle of fish was shown. All the fishways that an evaluation of the Yoshida River has worse are erosion control dams. The function of the fishway decreases by complex factors such as the sedimentation of riverbed material and the drifting wood. It is clarified that the function of Futamate fishway was restored by simple repair, and the improvement of the maintenance system.
著者
竹内 竜也 幾留 沙智 森 司朗 石倉 忠夫 中本 浩揮
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
pp.2018-1809, (Released:2019-02-06)
参考文献数
59

The purpose of the present study was to clarify the influence of individual differences in the automatic imitation tendency on efficiency in observational motor learning. First, twenty participants each having higher or lower automatic imitation tendency were chosen from 210 according to their reaction times in the imitation-inhibition task indicating automatic imitation tendency. Each group performed the observational motor learning that alternately repeated action observation and execution. The participants in each group were further divided into two groups: appropriate model group that observed a model performing the task correctly and inappropriate model group that observed a model performing the task incorrectly. Results revealed that when participants observed the appropriate model, people with higher imitation tendency demonstrated better task performance in the acquisition phase and retention test than did those with a lower imitation tendency. On the other hand, when the participants observed the inappropriate model, the higher imitation tendency group exhibited lower performance in the acquisition phase and the retention test than did the lower imitation tendency group. Additionally, the higher tendency group was more influenced by difference between the appropriate and inappropriate model than was the lower tendency group in learning efficiency. These findings indicate that individual differences in the automatic imitation tendency affect the learning efficiency and retention in observational motor learning. Further, automatic imitation is likely to have a strong influence on observational motor learning regardless of the learnersʼ intention.
著者
志茂 大輔 皆本 洋 福田 大介 岩田 陽明 松本 大典 旗生 篤宏 岡澤 寿史 辻 幸治 森永 真一
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.21-27, 2022 (Released:2022-12-26)
参考文献数
7

カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギー発電への移行期において,将来的な再生可能燃料の選択肢も考慮し,現実的なCO2削減のためには電動化とともに内燃機関の効率改善によるマルチソリューションが有効であると考えられる。その一つの答えとして新世代クリーンディーゼルエンジンSKYACTIV-D 3.3を開発した。排気量を従来の2.2Lから3.3Lに拡大することで高トルク・高出力化は元より,理想を追求したリーン予混合燃焼の拡大の手段としても大排気量化を用いることで,乗用車量産エンジン世界トップの実用域で広い熱効率,及び排気クリーン化を達成した。また低Pmax(最大燃焼圧)対応の構造系を進化させて摩擦抵抗を抑制し,更に直列6気筒による低振動と心地よいエンジン音を創り込んだ。これらの技術によって運転者が愉しく元気になる「走る歓び」,及び抜群の燃費とクリーン排気による「優れた環境性能」の両方をこれまでにない次元にまで高めた。
著者
森河 由紀弘 佐藤 智範 前田 健一 篠田 裕重
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00208, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
41

今日まで多くの粘土瓦が使用されてきたが,近い将来には寿命を迎えた大量の廃棄瓦が発生する.また,粘土瓦を製造する際には不良品となる規格外瓦が一定量発生するが,これらの不要粘土瓦の再生原料以外のリサイクルはあまり進んでいない.そこで,本研究では規格外瓦を砕いたリサイクル材料である破砕瓦の構造物の裏込め材や裏埋め材としての適用性について,室内模型試験や実物大の現場試験により検討を行った.破砕瓦は軽量性や摩擦性が高いため,構造物に作用する水平土圧の低減効果を期待できることや,無補強でも高い支持力が期待できること,繊維補強材による支持力補強効果も期待できること,上載荷重の影響範囲は山砂とほぼ同様であることが明らかとなり,破砕瓦は裏込め材や裏埋め材として適用可能であることが分かった.
著者
秀熊 佑哉 宮下 剛 髙森 敦也 奥山 雄介 大垣 賀津雄 長谷 俊彦 原田 拓也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.22-00136, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
20

本研究では,鋼トラス橋の斜材や弦材に適用されている溶接箱形断面に着目し,溶接近傍の腐食が圧縮耐荷力低下に及ぼす影響の検討と,炭素繊維シート接着による圧縮耐荷力回復を目的とし,局部座屈先行の短柱と全体座屈先行の長柱を用いて圧縮試験を行った.その結果,溶接近傍の腐食であっても溶接ビードが残っていれば耐荷力は大きく低下しないものの,溶接切れを起こした場合は著しく耐荷力低下を起こすことが明らかとなった.しかし,溶接近傍の腐食および溶接切れを起こした場合であっても,軸方向に炭素繊維シート,周方向にアラミド繊維シートを貼り付けることにより,健全時に近い耐荷力まで回復することができた.また,溶接近傍の減厚や溶接切れ,補修後の耐荷力の評価方法について検討を行った.
著者
森永 睦子 片岡 浩巳 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.25-32, 2023-01-25 (Released:2023-01-25)
参考文献数
11

救急医療の現場では,意識障害,ショック患者に薬物が関与している場合がある。原因検索の一手段として薬物検出検査は有用であるがこれらの分析は精密機器を使用しているため操作が煩雑であり検査結果報告および手技の取得に時間と人員およびコストを要する。そのためどの施設でも直ぐに測定を確立するのは簡単ではない。そこで,一般的に測定される臨床検査項目やバイタルサイン等の病態パラメータ,病歴,薬歴および治療歴などの患者背景を用いて,網羅的に単変量解析し重症化に関連する因子を抽出した。さらに,ROC解析と多重ロジスティック解析を行い重症処置の有無を予測する式を導出した。対象は,川崎医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送された薬物中毒患者197症例を用いた。その結果,重症処置の有無に強く関与する因子は入院の有無,中毒域薬物の有無,大量服薬の有無,向精神薬検出の有無,WBC,D-ダイマー,CK-MB,APTT,GCS,BE,白血球分画の単球(monocyte %)であった。重症化の予測にはGCS,大量服薬の有無,来院時のCK-MB,APTT,monocyte %が関連しており,重症化予測の適合度を表すROC分析では患者背景のみでは0.701,臨床検査値のみでは0.700,患者背景と臨床検査値では0.789であり両者を組み合わせた方が判別度の妥当性が高かった。
著者
森哲也編
出版者
森哲也
巻号頁・発行日
2023
著者
林 美衣 森 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3D1OS12a01, 2021 (Released:2021-06-14)

近年,ファッション分野への人工知能技術の適用が注目されている.本研究は複数の衣服やアクセサリーの画像で構成されたコーディネートを学習した深層学習モデルからコーディネートの出来栄え点を獲得し,それを用いてファッションコーディネートプランを最適化する手法を提案する. 提案手法ではまず学習済みの Bi-LSTM + VSE モデルに手持ちの服を組み合わせたコーディネートを入力し,出来栄え点を獲得する.その点数を元に熱力学的遺伝アルゴリズム (Thermodynamical Genetic Algorithm : TDGA) を用いて複数のコーディネートからなるリスト,つまり着まわしプランを作成した.期間中同じコーディネートを使用してはいけない,3 日以内に同じアイテムを使用してはいけない,期間中一度も使っていないアイテムがあってはならないという制約を課し,多様性を考慮しながら着まわしプランを作成可能とした. 数値実験により,提案手法がユーザが購入を検討しているアイテムが価値があるかを定量的に評価し,どのアイテムを買うべきか推薦するツールとしても活用できることを示す.