著者
卓 越 森本 孝之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.81-86, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

Autoregressive integrated moving average (ARIMA) is a widely used linear model withgreat performance for time series forecasting problems. Supplemented by support vector regression (SVR), an effective method to solve the nonlinear problem with a kernel function, ARIMA-SVR model captures both linear and nonlinear patterns in stock price forecasting. However, it does not have high accuracy and parameter selection speed when its parameters are chosen by the traditional method. Therefore, in this study, we applied genetic algorithm (GA) to optimize the parameter selection process of SVR to improve the performance of the ARIMA-SVR model. Subsequently, we built the ARIMA-GA-SVR model by integrating ARIMA with optimized SVR. Finally, we used actual stock price data to compare the forecasting accuracy of the proposed model, ARIMA and ARIMA-SVR models using error functions. The result shows that the proposed ARIMA-GA-SVR model outperforms other models.
著者
酒井 雄大 井森 恵太郎 松本 直樹 松村 恵理子 千田 二郎
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1103-1107, 2018 (Released:2018-11-26)
参考文献数
6

筒内直接噴射式ガソリンエンジンはポート噴射式と比較し高効率・低エミッションである一方,非常に緻密な混合気分布の制御が求められる.本研究においては,燃料を加熱する手法による混合気分布の制御を目的とする.本報においては,急速圧縮膨張機関を用いて加熱噴霧が燃焼特性に及ぼす影響を把握する.
著者
藤森 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

銅酸化物高温超伝導体の発見から36年を経て膨大な研究成果が蓄積されてきたが、未だに高温超伝導機構の解明に至っていない。機構解明の鍵を握るのが、超伝導ギャップより遙かに高温から開く擬ギャップの形成機構の解明である。近年、電子の分数化よる擬ギャップ形成機構が理論的に提案され有力視されている。本研究では、世界最高の分解能を持つ台湾放射光施設において共鳴非弾性X線散乱法を用いて、擬ギャップ状態を詳細かつ精密に特定し電子の分数化を検証する。
著者
杉森 公一
出版者
日本高等教育開発協会
雑誌
高等教育開発 (ISSN:24369918)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.21-24, 2023-03-31 (Released:2023-04-13)
参考文献数
12

本書は、米国における大学教育学習センター(Center for Teaching and Learning: CTL)に関するベストプラクティスをまとめ、センターの開設、活性化、維持と発展を目指す教育開発者に、実践的なガイダンスとリソースを提供するものである。日本においても、中央教育審議会「教学マネジメント指針」や「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」が促す「FD・SDの高度化」の要請の下にあって、教育開発者の知識・スキル・能力を高めることと、CTL開発のリーダーシップの役割を確立することは、同様に必要となっている。米国PODネットワークが実施してきた教育開発者を対象としたワークショップの実践の蓄積から抽出された知見も合わせて、評者は本協会の今後の活動への示唆を提案したい。
著者
後藤 健太郎 松末 亮 山口 高史 森吉 弘毅 猪飼 伊和夫
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.728-735, 2021-10-01 (Released:2021-10-27)
参考文献数
30

症例は76歳の女性で,3年前に肛門前方の無痛性腫瘤を触知し,数か月前から増大するため受診した.肛門前方の硬結を伴う2 cm大の皮下腫瘍が皮膚に露出し,表面は粘液で覆われていた.CTで腫瘍の肛門括約筋および膣への浸潤が疑われ,両側外腸骨リンパ節が腫大し,PET-CTで原発巣と両側外腸骨リンパ節に集積が亢進していた.生検でアポクリン腺癌や異所性乳房由来の腺癌が疑われた.両側外腸骨リンパ節転移を伴う会陰部アポクリン腺癌の診断で腹腔鏡下腹会陰式直腸切断・膣壁合併切除,両側外腸骨リンパ節摘出術を施行した.腫瘍は前方で膣壁上皮直下に達し後方では一部肛門管上皮に露出し,両側外腸骨リンパ節転移が確認された.アポクリン腺癌は浸潤性と転移性を獲得するまで数か月から数年の静止期があるとされる.会陰部の経時的に増大する皮下腫瘤ではアポクリン腺癌も鑑別疾患の一つとして考え,生検による早期確定診断が重要と考えられた.
著者
小森田 龍生
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.99-107, 2021-03-23

本稿では、日本における性的少数者(ゲイ・バイセクシュアル男性)のメンタルヘルス悪化のメカニズムを要因間の関連性と、時間の経過に伴う影響力の変化に注目して明らかにすることを目的として実施した調査結果の一部を報告する。調査対象は、日本国内に居住する20~60歳までのゲイ・バイセクシュアル男性、および異性愛男性である(共に学生、および外国籍の者を除く)。調査の実施方法は民間調査会社に登録するアンケートモニターを対象としたインターネット調査である。回収数はゲイ・バイセクシュアル男性1,684件、異性愛男性1,854件であり、データクリーニング後のサンプルサイズはゲイ・バイセクシュアル男性1,668件、異性愛男性1,851件であった。回答者の平均年齢は、ゲイ・バイセクシュアル男性41.69歳、異性愛男性47.26歳であった。メンタルヘルスについて、K6尺度をもちいてたずねた結果、ゲイ・バイセクシュアル男性の平均値は異性愛男性に比べて高く、メンタルヘルスの状態が悪い傾向にあることが確認された。また、メンタルヘルスに影響を与える要因のひとつとして想定しているいじめ・ハラスメント被害経験についてもゲイ・バイセクシュアル男性において経験割合が高く、クロス集計の結果からも2つの変数の関連性が示唆された。
著者
靏巻 峰夫 藤川 滉大 中島 大雅 岡崎 祐介 佐藤 克己 吉田 綾子 森田 弘昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.II_333-II_342, 2020 (Released:2021-03-08)
参考文献数
22

人口減少下に入った我が国では,公共サービスの量と質の維持が,今後,問題となると考えられる.下水道,ごみ処理分野でも同様な状況であり,早急な対策が必要である.下水道直投型ディスポーザー(以下,「DP」)の導入は,可燃ごみの減量化と取り扱いに難がある厨芥類の除外によってごみ処理での効率化が期待できる.一方で,下水道に投入された厨芥類によって下水処理への水質負荷の増大による負の側面がある.本研究ではDP排水の管路内での水質模擬実験のデータに基づき下水処理施設に到達する水質負荷の変化を予測し,その結果を反映した温室効果ガス(以下,「GHG」)排出量予測によって下水処理,可燃ごみ処理の影響を検討した.結果として,DP排水による下水処理での増加に比較して可燃ごみ減量による削減が大きく,直投型DPの導入はGHG排出量削減に寄与することを明らかにした.
著者
倉藤 祐輝 尾頃 敦郎 藤井 雄一郎 小野 俊朗 久保田 尚浩 森 茂郎
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.425-431, 2008 (Released:2008-07-25)
参考文献数
21
被引用文献数
5 5

ブドウの早期成園化と高品質な果実の多収を目的に,灌水同時施肥による超密植栽培システムを開発した.本システムは,根域を制限せずに,10 a当たり800本以上の挿し木苗を超密植し,樹冠下に不透水性マルチシートを設置し,自動灌水制御装置と液肥混入器および点滴灌水チューブを用いて,生育ステージに応じて灌水と施肥を同時に行う方式である.定植2年目には成園並みの果実生産が可能であった.果実品質と収量に及ぼす新梢密度の影響を調査したところ,着果基準を15果房・m−1と設定した場合,新梢密度を10~20本・m−1とすることで,果粒重,糖度および果皮色の優れた果実の多収生産が可能であることが明らかとなった.以上の結果から,本方式での3か年の果実品質と収量から,年間の灌水同時施肥基準を策定した.
著者
髙山 哲志 迫 秀則 安部 由理子 阿部 貴文 森田 雅人 田中 秀幸
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.320-323, 2019-09-15 (Released:2019-10-02)
参考文献数
15

症例は73歳女性.主訴は心窩部不快感とふらつき.前医循環器科にて,重度の大動脈弁閉鎖不全症と僧帽弁閉鎖不全症によるうっ血性心不全と診断され,入院となった.薬物療法に抵抗性で内科的治療では心不全コントロールが困難であり,外科的治療目的で当院紹介入院となった.当院入院後も心不全増悪傾向を示し,緊急で手術を行った.術中所見では大動脈基部-上行大動脈瘤と,右冠尖と無冠尖の間の交連部に離開を認めた.上行大動脈置換術と,Florida sleeve法に準じた大動脈基部置換術および二弁置換術を行い良好な結果を得た.離開部の病理組織検査では粘液腫様変性を認め,交連部離開の原因となった可能性が示唆された.
著者
藤田 雄司 森 文樹 河野 和明 藤原 敏典 吉岡 嘉明 田村 陽一 江里 健輔
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2063-2066, 1993-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

炎症性腹部大動脈瘤の発生頻度は腹部大動脈瘤の約20%前後であることが報告されてから,最近急速に注目されている.今回われわれは炎症性腹部大動脈瘤の1例を経験したので,最近の治療法をふまえて報告する.症例は62歳の女性で,夜間の発作性腹痛・腰痛を主訴とした.血圧は正常で,貧血や炎症所見あるいは,尿路系障害もなかった.腹部エコー及びCTでは,腎動脈分岐部直下に最大横径4cm, 縦径8.5cmの紡錘状動脈瘤を認めた.動脈壁は約1cmとマントル状に肥厚し,壁内には石灰化があった.瘤壁は約1cm厚に肥厚,線維化しており,内膜には中等度の動脈硬化性変化が認められるに過ぎなかった.径18mmY型Dacron人工血管にて置換術を行った.組織学的には,炎症性腹部大動脈瘤であった.本症は破裂しにくいと言われているが,症状を伴う場合には積極的に手術をすべきである.
著者
森下 和路 安藤 信
出版者
京都大学大学院農学研究科附属演習林
雑誌
森林研究 (ISSN:13444174)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.35-45, 2002-12-10

京都市周辺の都市林では, 1980年代以降に激化したマツ枯れにより, 多くのアカマツが枯死した.京都市市街地北部における近接3地域(宝ヶ池, 神山, 上賀茂)の都市林について, マツ枯れ前後の植生図を比較し, 林相変化を明らかにした.植生図は1982年, 1990年, 1998年撮影の航空写真から作成し, 各林分を優占種によってアカマツ林などの林分タイプに分類した.1982年には, アカマツ林が最も多くみられ, 宝ヶ池及び神山地域で60%以上, 上賀茂地域でも約30%の面積を占めた.しかし, 3地域のアカマツ林の面積は, 1998年にはそれぞれ0.6%, 4.6%, 2.1%にまで減少していた.宝ヶ池及び神山では, マツ枯れ後, 谷地形で落葉広葉樹が順調に林冠層に現れたのに対し, 尾根地形では林冠層を欠く林分が多く出現した.上賀茂では, マツ枯れ後, ヒノキが林冠層に現れた林分と, ヒノキ以外の樹種が優占した林分が存在し, その後それぞれが地形に応じて様々な林相に変化した.以上より, これらの地域におけるマツ枯れ後の林相変化にはいくつかのパターンが存在し, その違いには地形やマツ枯れ以前の林分構造が影響していると考えられる.
著者
大森 啓太郎
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

これまでの研究により、犬におけるワクチン接種後アレルギー反応の原因アレルゲンは、ワクチン中に含まれる牛胎子血清(FCS)であることが明らかとなっている。本年度は、FCS中においてアレルゲンとなり得るタンパク質成分を解析した。【方法】ワクチン接種後にアレルギー反応を起こし、ワクチンおよびFCSに対するIgE抗体を有する16頭の犬の血清を用いた。ワクチンおよびFCSに対するIgE抗体はELISA法により検出し、次いでこれら犬の血清IgE抗体と反応するFCS中のタンパク質成分を、抗犬IgE抗体を用いたイムノブロット法によって解析した。【結果】ワクチン接種後、16頭中2頭がアナフィラキシーと考えられる呼吸器・循環器症状を起こし、14頭が顔面浮腫などの皮膚症状を起こしていた。これらアレルギー反応は、ワクチン接種後数分から20時間に認められていたが、即時型および非即時型反応のいずれを起こした場合にもワクチンおよびFCSに対するIgE抗体が検出された。FCS成分中アレルゲンのイムノブロット解析においては、ワクチン接種後アレルギー反応を起こした犬の血清IgE抗体が認識するさまざまな分子量のタンパク質が検出された。なかでも、16頭中14頭の犬の血清が約66kDaのタンパク質に対し反応していた。分子量からこのタンパク質が牛血清アルブミン(BSA)であることを疑い、精製BSAに対する血清中IgE抗体の反応性を検討したところ、16頭中4頭のみにおいて精製BSAに対するIgE抗体が検出された。【考察】BSAその他、複数の血清タンパク質がFCS中のアレルゲンとなっていることが明らかとなった。アレルギー反応の少ないワクチンを製造するためには、ワクチン成分からのFCSおよびBSAの除去が必要であるものと考えられた。
著者
成富 真理 畠 榮 福屋 美奈子 鐵原 拓雄 鹿股 直樹 小塚 祐司 森谷 卓也 定平 吉都
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.32-35, 2013 (Released:2013-03-13)
参考文献数
9

背景 : 腎原発悪性リンパ腫はまれである. 腎原発 MALT リンパ腫の 1 例を経験したので報告する.症例 : 59 歳, 女性. 4 年前, シェーグレン症候群と診断された. 健診の超音波検査で右腎に 24 mm 大の low echo 域を認め, CT, MRI で右腎に多発性の腫瘤がみられた. 徐々に腫瘤像の増大を認めたため, CT ガイド下針生検および捺印細胞診を施行した. 捺印細胞診では, 上皮細胞, 多数のリンパ球, 形質細胞, 赤血球を認めた. リンパ球は小∼中型で, 核は類円形∼楕円形, 核クロマチンは顆粒状, 小型で好酸性の核小体が 1 個みられた. リンパ球に異型はみられず, 腫瘍性よりも反応性によるものと考えた. 針生検標本では, 全体に小リンパ球・形質細胞浸潤が強く, リンパ球の尿細管上皮内侵入と思われる像も散見された. 個々の細胞異型は軽微であった. 免疫組織化学では B 細胞性マーカー陽性細胞がより多く認められた. PCR 法で, IgH 遺伝子再構成を認めた.結論 : 細胞診ではリンパ球の異型が弱く, 診断に苦慮した. 臨床所見や画像所見なども参考にし, 慎重に診断を行う必要があると考えられた.
著者
森 祐哉 西山 正晃 米田 一路 渡部 徹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.III_307-III_316, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
30

山形県庄内地方を流れる赤川,最上川から大腸菌を分離し,その分離株について,系統発生群の分類とその薬剤感受性を評価した.1年間のモニタリングにより,653株の大腸菌が得られ,7つの系統発生群のうち,病原性の高いB2群に最多の217株(33.2%)が分類された.全大腸菌分離株のうち,1薬剤以上に耐性を示した株は175株(26.8%)であり,第三世代セフェム系抗菌薬であるCTXやCAZや,カルバペネム系抗菌薬(IPM)に耐性を示し,ESBL産生菌やCREの疑いが高い株が存在した.また,66株(10.1%)が異なる3つ以上のグループの抗菌薬に耐性を示す多剤耐性菌であり,その中には合計7薬剤に耐性を示す株も存在した.大腸菌による汚染度の低い河川から上記のような薬剤耐性大腸菌が検出されたという事実は,環境中における耐性菌のモニタリングの重要性を示している.
著者
原 采花 河野 健一 大下 裕世 矢部 広樹 長嶋 史子 名村 晋哉 一柳 浩志 森山 善文 西田 裕介 山田 哲也
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11618, (Released:2020-02-27)
参考文献数
27

【目的】維持血液透析患者の栄養状態,身体機能の代表値ならびにカットオフ値を下回る患者の割合を年代別に明らかにした。【方法】670 例の維持血液透析患者に対して,患者背景,Body Mass Index(BMI),Geriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI),握力,膝伸展筋力,通常歩行速度,Short Physical Performance Battery(以下,SPPB)を横断的に調査した。サンプルサイズの妥当性を確認し,代表値の算出とカットオフ値を下回る患者の割合を年代間で比較した。【結果】50 歳以上の年代では十分なサンプルサイズを設定できた。GNRI,握力,膝伸展筋力,歩行速度,SPPB はいずれも年代が高いほど低値で,80 歳代においてカットオフ値を下回る割合が高かった。【結論】維持血液透析患者の栄養状態,身体機能の年代別代表値と高齢患者における低下の実態を示すことができた。
著者
森 周介 笹原 孝太郎 田内 克典
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.233-238, 2009 (Released:2009-07-05)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4

症例は80歳,女性.内科の定期診察で腹部腫瘤を触知した.CTおよびMRIでは,結腸肝彎曲部外側に長径60mm大の不整形軟部腫瘤を認め,FDG-PETで同部に高集積像を認めた.手術所見では,結腸肝彎曲部漿膜面に腫瘤を認め,大網に播種結節を認めた.術中組織検査にて,漿液性乳頭腺癌に類似する組織像との診断で,結腸右半切除術を施行,播種結節を取り切るように大網を切除した.右付属器は肉眼的に異常を認めなかったが,原発巣の可能性を考慮し切除した.S状結腸の強い癒着のため左付属器の観察は断念した.肉眼所見では,径70mm×65mm,割面は白色充実性分葉状の腫瘤であった.組織学的検査所見では,病変の中心は腹膜脂肪組織内にあり,結腸固有筋層まで浸潤する漿液性乳頭腺癌であった.右付属器は卵管采付近に5mmの癌巣を認めたが,大きさと広がりから考えて,腹膜原発漿液性乳頭腺癌と診断した.