著者
森川 暢 長野 広之 松本 真一 原田 拓 明保 洋之 官澤 洋平 大浦 誠 宇井 睦人 崎山 隼人 朴澤 憲和 近藤 猛 内堀 善有 藤谷 直明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.128-131, 2021-09-20 (Released:2021-09-22)
参考文献数
11

近年,病院総合医の必要性や重要性が注目されているが,若手の病院総合医が活動できる場はなかった.今回,日本プライマリ・ケア連合学会に,主に10年目以下の若手病院総合医で構成される「病院総合医チーム」という組織を構築した.病院総合医チームの活動内容を報告し,その活動の意義と今後の展望について考察を行う.
著者
森脇 久隆
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.352-356, 2007 (Released:2007-03-05)
参考文献数
8
被引用文献数
4

肝性脳症の代表的な原因疾患は劇症肝炎と肝硬変である.前者の治療は人工肝補助と肝移植による.後者についてはまず消化管出血,便秘など誘因の除去と,平行して分岐鎖アミノ酸輸液,合成二糖類の内服を主とした治療を行う.これらの併用治療による肝硬変脳症の覚醒率は末期昏睡型(大量消化管出血型)が23%,慢性再発型(便秘型)が78%, 1年生存率はそれぞれ15%, 60%である.肝硬変脳症の予防は血中アンモニア濃度のコントロールを目安として,分岐鎖アミノ酸経口補充,合成二糖類の内服により行う.わが国の大規模臨床試験によって,肝硬変患者に対する経口分岐鎖アミノ酸補充療法が肝不全(肝性脳症,腹水·浮腫,黄疸)の発生を有意に予防することが証明されている.
著者
岩井 大 島野 卓史 馬場 奨 金田 直子 岡崎 はるか 完山 理咲 小西 将矢 宇都宮 敏生 友田 幸一 福森 崇之
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.157-163, 2012 (Released:2012-08-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Forestier病は全身の靱帯・腱付着部の硬直・骨化を示す強直性脊椎骨増殖症 (diffuse idiopathic skeletal hyperosteosis) の1つである. 頸椎で生じたものでは喉頭や咽頭・食道を圧迫して咽喉頭違和感や呼吸障害・嚥下障害をきたす. 進行例には切除術が選択されるが, 十分な病変切除がされたにもかかわらず, 手術効果が即座に出ない例も認められ, 症状発生には, 病変の物理的な喉頭・食道圧迫だけでなく, 局所での浮腫や繊維化を含めた炎症の機序が考えられている.我々は今回, 本疾患の5例に対し手術的治療を行った. 病変部の正確な切除と上・下喉頭神経などの温存を図ったが, 症例1・2では不十分な手術成績であった. そこで, 手術に際し骨病変切除で生じる椎骨と骨膜間の死腔を減少させるため骨膜を寄せて縫合する処置を追加し良好な成績を得た. こうしたことから, Forestier病の手術に際し, 椎前部の死腔縮小処置が局所の炎症を低下させ, 術後の症状回復を早めるのではないかと考える.
著者
小山 豊 森田 弘彦 千葉 和夫
出版者
日本雑草防除研究会
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.15-24, 2014 (Released:2014-08-18)
著者
奥野 正隆 森脇 久隆
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.743-749, 1998 (Released:2008-02-26)
参考文献数
60

肝線維化は, 肝硬変を特徴づける病像の一つであり, 過剰な細胞外マトリックスの沈着による. マトリックス産生の中心的役割を担うのは星細胞であり, 線維肝においては星細胞は種々のサイトカインにより活性化され, レチノイドを失い, マトリックス産生能・増殖能を獲得する. これらサイトカイン刺激のなかでは, 特にTGF-βとPDGFが重要であり, ともにautocrine, paracrineloopにより, 前者は星細胞のマトリックス産生を, 後者は増殖を刺激する. その他, TNF-α, IGF, IFN, ET-1などのサイトカインが, 各々特徴的な作用を星細胞に及ぼし, 肝線維化に関与する.
著者
森 正人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<br><br>1. 人間あらざるもののカリスマnonhuman charisma<br><br>生産、消費される「自然」は自明ではない。その自然を地理学として問うこととは一体どのように可能であり、意味があるのか。本発表は自然、種、セキュリティをめぐって考えることでこの問いに取り組む。<br><br> 西欧近代において自然は人間主体により手を加えられる受動的な客体と前提されてきた。この人間-自然の形而上学的に文法はポスト人間中心主義の身振りにより掘り崩される。人間あらざるものnonhumanの行為能力は人間の統べ治める近代世界、人新世anthropoceneにおいて「人間なるもの」を鋳直す。生物多様性の危機において象徴性を帯びる人間あらざるカリスマは、この世界の危機を告げ知らせる。<br><br> 日本におけるカリスマの中でも旗艦種flagship species (Lourimer 2007)としての佐渡島のトキを見てみよう。日本を象徴するとも言われるトキは1981年に野生絶滅したものの、1967年に開設されたトキ保護センターで現在も人工孵化、人工繁殖が続けられている。トキの野生絶滅は人間による乱獲に起因するものであり、その意味では人新世的なものである。しかし同時にトキの絶滅は日本的なるものの消滅を訴えかけもする。2011年、世界農業遺産への「トキと共生する佐渡の里山」の登録という出来事は、トキの国民主義化を引き立たせる一例である。空一面を覆う飛翔するトキの風景、佐渡のエコロジーにおいて人間と共生するトキは「日本的なるもの」を象徴するために、里山や棚田とアッセンブリッジされ、審美性を構成する。<br><br> トキに限らず、日本「固有」の種の絶滅に対する危機感は、生政治学と地政学を発動させる。「種」を同定し、その種の数滴把握とそれを生かすことの調整権力は、この調整される種を審美化する(フーコー2007)。したがって、審美的なもの、感性的なるものの分配をつまびらかにすることは、美しきものと生政治的なるものの関わりを暴き出すために重要となる。同時に種の場所と時間を同定し、そこからの移動も管理する力は地政学的である。この移動管理の地理は「生物多様性」という概念とそれに基づく制度によって推進されてきた。興味深いことは、専門家レベルの生物多様性の危機は人間の乱獲や開発によって引き起こされたものと認識されているのに対して、一般レベル(政治的領野)においては侵入外来種によって引き起こされていると想像されがちであることである。したがって、移動管理のセキュリティ強化が政治的アジェンダとして言説化されることになる。<br><br> この移動管理される種(固有種/外来種)は普遍的な区分でも与件でもない。外来種とは、境界づけられた空間と、それをまたぐ移動を前提する。しかし、種が移動する境界とは「自然」ではない。そもそも生物多様性が生物の多様性維持を目的とするのであれば、世界全体で種の個体数管理をする生政治学であるべきであり、国家レベルでの境界管理とは矛盾する。これらは生物多様性の維持、調整が国家によってなされるときの「翻訳」的矛盾である。<br><br> また種の固有/外来性は時間化の問題である。一体どれほど留まれば、どの世代まで遡れば種は固有になるのか。このことは種の問題ではない。振り返れば、保護されるトキは「中国産」である。しかしこの中国産トキの時間性と空間性は審美性によって覆い隠される。なぜなら、中国産のトキは遺伝的に同一であると同定されたからである。<br><br> こうした一連の問いかけは、人間も自然もともに「生き物」であることを確認させる。固有種も外来種もともに人間社会を構成する行為者であり、人間の伴侶種(ハラウェイ2013)であるはずだ。
著者
安田 幸子 上田 伊佐子 森田 敏子
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.15-28, 2018

<p>本研究の目的は<b>,</b>高等学校5 年一貫校専攻科で学ぶ看護学生の看護倫理に関する思考の特徴を見出し倫理教育への課題を明らかにすることである。5 年一貫校専攻科の看護学生を対象に①宗教上の理由からの輸血の拒否<b>,</b>②出生前診断による選択的人工妊娠中絶<b>,</b>③脳死者からの臓器移植<b>,</b>など6 状況を設定し<b>,</b>倫理上の諸問題の思考の特徴を見出す質問紙調査を行った。学生の価値基盤は倫理原則であったが<b>,</b>倫理的根拠ではなく自己の感情による判断の可能性があり多角的な思考ができていなかった。さらに<b>,</b>10 名を対象とした半構造的面接を行い<b>,</b>倫理的問題と認知した要因として<b>,</b>【倫理的問題の認知の基盤】<b>,</b>【認知の仕方】<b>,</b>【感情】の3 カテゴリーが形成された。学生は看護観<b>,</b>学習内容との比較<b>,</b>患者の言動<b>,</b>患者の立場の想像から倫理的問題を捉え解釈し思考していたことから<b>,</b>倫理教育に関する課題は倫理に関する知識の確実な獲得と看護観の深化<b>,</b>感受性豊かな学生に育成することが示唆された。</p>
著者
光崎 龍子 坂口 和子 光崎 研一 高木 敬彦 森 真弓 鈴木 啓子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.330-333, 1999

The appropriate picking time for dokudami (Huttuynia cordata) tea is generally considered to be at the termination of the flower-like white involucre. Therefore, we classified the growth period of dokudami into the sprouting, seed setting, and true leaf stages, analyzed the contents of inorganic components at these stages, and analyzed contents of inorganic components in the leaves and flowers in the seed setting stage. In addition, the importance of the tea picking time was evaluated by a correlation analysis and principle component analysis.<BR>Among the inorganic components of dokudam i, the content of potassium was the highest, and the contens of calcium, magnesium, iron, manganese and zinc increased with growth. The content of copper was high in the flowers after diplophase parthenogenesis.<BR>Inorganic components increased at a potassium: calciu m ratio of about 6: 1 and at a manganese: magnesium ratio of about 80: 1. The calcium: potassium ratio changed inversely to the copper content that was observed in the flowers and in the true leaf stage.<BR>A principle component analysis revealed calcium, magnesium, potassium, manganese, and copper as the principle components.<BR>These appeared to be the principle inorganic components of dokudami and to increase due to diplophase parthenogenesis. A principle component analysis a ccording to the growth stage showed that the specificity of flowers could be estimated from two-dimensional scatter diagrams. The appropriate picking time for dokudami tea is empirically considered to be at the termination of the involucre, and the analysis according to the growth stage and the analysis of the flowers and leaves confirmed this. To improve the abnormal gustatory that is sensation associated with a modern diet or with insufficient intake of inorganic components by aged persons, dokudami tea brewed from a herbal plant provides a readily drunk remedy.
著者
森井 健介
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.1031, pp.A34-A35, 1970-12
著者
道端 齊 植木 龍也 宇山 太郎 金森 寛 広津 孝弘 大井 健太
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

海水中にはバナジウムやコバルト等わが国ではほとんど産出しない希少金属(レアメタル)が溶解している。これまでに化学的に合成された吸着剤を用いて、これらのレアメタルを海水から捕集する試みは数多くなされてきた。しかし、海水には多くの金属イオンが溶解しているため、目的のレアメタルだけを選択的に分取するのは必ずしも容易ではない。研究代表者のグループはホヤが海水のバナジウム濃度の1,000万倍(10^7)ものバナジウムを高選択的に濃縮することに着目し、その濃縮機構の解明で得られた成果をレアメタルの分取に展開することを計画した。本研究では、ホヤのバナジウム濃縮細胞(バナドサイト)の細胞質から抽出した濃縮のカギを握る12.5kDa、15kDaと16kDaの3種類のバナジウム結合タンパク質(Vanabin)の解析を進めた。その結果、それらをコードするcDNAの全長のクローニングとその解析によってVanabinは{C}-{x(2-4)}-{C}という特徴的なモチーフの繰り返し配列を持ち、金属イオンと結合し易いシステインを約20%も含むタンパク質であること、NMRによって主にαヘリックスから成る新規のタンパク質であること、Vanabin 1モルに約20原子のバナジウムが結合し、その結合定数は10^7Mであることを見出した。さらに本年度の研究により、12.5kDaのVanabinは約10原子の四価バナジウムと結合することが判明した他、15kDaのVanabinは鉄イオンや銅イオンとは選択的に結合しないこと、銅イオンは競争的にバナジウムの結合を阻害することが判明した。一方、この研究期間内では特異的金属結合部位の特定には至らなかったが、現在理化学研究所と共同でVanabinの立体構造の解明を進めつつあり、その結果によっては早晩特異なホヤのバナジウム濃縮機構の解明と応用が期待される。
著者
福島 俊一 下村 秀樹 森 義和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第50回, no.人工知能及び認知科学, pp.65-66, 1995-03-15

郵便物の宛名住所のようにフリーピッチで書かれた手書き文字列は、字形が多様で、文字サイズにばらつきがあり、文字の接触・入組みなどもよく起きる。したがって、その読取りでは、誤切出し/誤認識によって欠落した正解文字を補完可能な知識処理が不可欠である。現在主流となっている知識処理の枠組みは、まず、各文字位置(セグメント)に複数通りの可能性(候補文字)を許した認識結果文字列と単語辞書とを照合し、さらに、単語の並びとしての妥当性を判定して読取り結果を決定する2段構成である。正解文字の欠落には、1段目の単語照合で虫食い照合を行うことで対処する。しかし、このような従来の枠組みは、フリーピッチ手書き文字列の読取りを正確かつ効率よく行うのに、まだ十分なものとは言えない。第一に、例えば「川崎市宮前区」の「市宮」が接触して1セグメントとされてしまったときなど、単語の境界位置を確定できないようなケースがうまく扱えない。第二に、2段目の単語列探索で最良解が保証されるように、1段目の虫食い照合で正解文字欠落のあらゆる可能性を求めておこうとすると、最悪の場合、単語辞書の全探索あるいは候補文字の組合せ爆発が起きる。そうでなければ、虫食い照合に1文字不一致のみのような制限を付けて、可能性を切り捨てることになる。1段目の単語照合に限ってみれば、各文字位置から単語へのインデックスをもつ松本らの手法が効率よい虫食い照合を可能にしているが、そのままではフリーピッチの単語列読取りには適用できない。本稿では、上記のような問題を解決するたの、従来の2段構成とはまったく異なる知識処理の枠組みとして、「文字タグ法」と名付けた新しいアルゴリズムを提案する。手書き宛名住所から都道府県名・市区郡名・町名の並びを読み取る応用を例に概要を紹介する。
著者
森 晶寿 藤川 清史 伴 ひかり 堀井 伸浩 TRENCHER GREGORY 馬奈木 俊介 渡邉 隆俊 王 嘉陽 居 乂義 稲澤 泉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

石炭投融資撤退は,気候変動対策を金融面から推進する手段として世界的に推進されている.従来の研究では,その投資行動変容やCO2排出削減への効果は限定的と評価してきた.ところが石炭火力発電を志向するアジアでは,中国の石炭火力発電投融資を増やし,温室効果ガス排出と中国への経済的従属を増やすことが想定される.同時に,ホスト国が適切な政策対応を取れば,こうした悪影響を抑制しつつ持続可能なエネルギーシステムへの転換を図る機会とできる.この中で本研究は,投資国・ホスト国の金融機関・電力関連産業の行動変容,及び付加価値分配の変化を分析し,石炭投融資撤退のアジアの持続可能性への移行への効果を検証する.