著者
齋藤 敬 榊原 大祐 草間 裕介
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.33-38, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
9

我々は鳥獣被害対策に向け,動物に対しコミュニケーションを行う棲み分けロボットの開発を行っている.開発中の多脚歩行ロボット「しろやぎ」は機械的リンク機構の積極活用によって,低コスト化可能なシンプルさと強度の高さを実現している.直近はクマ対策に適用可能な新型機の設計に向け,鳥獣被害対策に向けた外装と威嚇用伸縮機構を追加し,動物に提示する試験を行っており,本稿において現在までの取り組みの概略を述べる.
著者
榊原 久雄 田辺 巌 江本 雅三
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.687-693, 1979-12-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
6

A strain of V. cholerae isolated from a cholera patient found in Kobe was proved to have the following charactristics:1) The strain grew very slowly or was distinctly undergrown on TCBS agar which can well support the growth of V. cholerae organisms generally. It took 36-48 hrs before the formation of visible colonies (1-2 mm in diameter). At earlier stages of growth (about 18 hrs after the beginning of incubation at 37°C), the colonies had greenish tone, instead of yellowish tone as generally shown by the V. cholerae organisms. This was due to the lack of ability of decomposing sucroce. However, after 24 hrs of incubation, the colonies became yellowish. The same statement was made as to the results using peptone water. In general properties, this strain resembled those successively cultivated in peptone water.2) Since there are V. cholerae strains which can grow very slowly on TCBS agar, it is absolutely necessary to use additionally other kinds of selective media, such as alkaline agar or Endo's agar, for the purpose of primary isolation of V. cholerae from natural sources.3) Other characteristics such colony morphology, biochemical activities, sugar decomposition capacities and agglutinability against antiserum, etc. were essentially the same as those of typical V. cholerae. However, no Kappa type phage was isolated. Based on these data, we regarded this strain as classical El Tor vibrio of the continental type.
著者
寺田 恭子 赤井 綾美 小杉 知江 藤崎 亜由子 榊原 志保
出版者
一般社団法人 日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.379-390, 2014-12-25 (Released:2017-08-04)

本研究は,人が本来持ち備えている「主体性」に着目し,家庭での「しつけ」を地域の子育て家庭が共有することを通して,「子どもの主体性を育てる」地域の子育て支援の課題を検討することを目的としている。行動理論に基づき感情を抑制する親支援プログラムを活用しながら地域で「親の主体性」に働きかける「しつけ」に取り組んだところ,受講後の親アンケート調査から親の変化として「子どもの主体受容」「親効力感の向上」「自尊感情の安定」「自己のふり返り」という4つの因子が認められた。地域の子育て家庭が「しつけ」を共有することによって,自己の「しつけ」へのふり返りだけではなく,他の親やスタッフとの相互作用により「親の主体性」が育ち,さらに親と子の相互作用によって「子どもの主体性」が育つ芽が示された。
著者
榊原玄輔
出版者
巻号頁・発行日
vol.[10], 1000
著者
榊原 博樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.12, pp.3089-3095, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
19

アスピリン喘息は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の共通した薬理作用であるアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ阻害作用(→プロスタグランディンE2の減少)がトリガーになり,主としてシスティニル・ロイコトリエンの増加が過敏反応を惹起する.アスピリン喘息は他の薬物過敏症と比べて著しく有病率が高く,鼻・副鼻腔疾患の合併が多いなどの特徴的な臨床像をもち,喘息の一つのタイプと考えるべきである.アスピリン喘息はNSAIDsによる突発的な重症発作や死亡リスクを負った存在であり,慎重な対応が必要である.
著者
榊原,彩子
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, 2004-12-30

絶対音感の発達には臨界期が存在し, 6歳を超えると絶対音感習得が困難であることが指摘されている。加齢にともなう変化が絶対音感の習得可能性を減じていると考えられるが, 本研究では年齢の異なる幼児(2歳児4名, 5歳児4名)に対し, 同一の和音判別訓練法による絶対音感習得訓練を実践して彼らの絶対音感習得過程を縦断的に明らかにし, 年齢によって習得過程の様相も異なるのか調べることで, 加齢にともなう変化を検討した。音高という属性に「ハイト」と「クロマ」の2次元があるという考えに従えば, 絶対音感とはクロマの特定能力であり, その習得とはクロマの参照枠形成とみなせる。訓練課題のエラーから聴取傾向を記述すると, 習得過程中, 年少児は早い段階でクロマに着目し, 全体的にクロマ次元を重視した聴取傾向を示したのに対し, 年長児はクロマ次元の利用が少なく, 一貫してハイト次元に依存した聴取傾向を強く示した。加齢にともなう変化として, クロマ次元に依存する傾向が減じ, 逆にハイト次元に依存する傾向が増すという変化が示唆され, クロマの参照枠形成である絶対音感習得が, 加齢により不利になる様が示された。
著者
榊原 隆次 福武 敏夫 平山 恵造
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.161-166, 1992-08-01
被引用文献数
1

単純ヘルペス脳炎(HSE)自験30例を,臨床症候・画像検査により側頭葉型,側頭葉脳幹型,脳幹型に分けると,脳幹型(7例,23%)は他の2型に比し,発病早期には頭痛,発熱が少なく,GOT・GPT値の異常高値がみられず,初回腰椎穿刺時の髄液圧が平均85mmH_2Oと低く,病像完成期には意識障害が高度であったが,脳波上での周期性同期性放電がみられないなどの特色を示した。脳幹障害を示唆する症候として,corectopiaや対光反射消失などの瞳孔異常,眼頭反射の消失や緩徐・急速相のない自発眼振などの眼球運動異常,無呼吸や吃逆様呼吸などの呼吸異常を認めた。硬膜下水腫の合併が2例にみられたが非手術的に軽快し,死亡例・再発例がなく,自然軽快例もみられるなど予後良好であった。以上の脳幹型HSEの特徴はHSEの早期診断および治療にとって重要と考えられた。
著者
榊 剛史 鳥海 不二夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.2C201, 2018

<p>フェイクニュースや炎上,エコチェンバー現象など,近年は個人による情報発信における負の側面が注目されている.我々は,それらの現象を引き起こす原因の一つとして,ソーシャルポルノという仮説を提案する.ソーシャルポルノとは,「特定のコミュニティに属するユーザが、脊髄反射的に拡散・共有してしまいたくなる情報」を意味する. 本論文では,ソーシャルポルノの観測を行う前段階として,ユーザ反応時間という尺度を定義し,いくつかのツイートについて,ユーザ反応時間分布の違いを考察した.結果として,特定のコミュニティのユーザが拡散する投稿とランダム抽出した投稿には,ユーザ反応時間の分布に違いが生じる可能性が示唆された.</p>
著者
中山 元 篠崎 一平 榊原 洋平 押川 渡
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo‐to‐Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.121-126, 2018

<p>Al 溶射鋼を亜熱帯モンスーン環境の琉球大学工学部曝露場で25 年間曝露した結果,空隙率の減少が認められるものの健全性が担保されており,溶射膜厚は必ずしも減少していなかった.さらに,下地の鉄を露出させた部分は鉄さびの上にAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>の被膜が生成していた.したがって,Al 溶射は環境遮断および電気防食の作用で防食されていた.</p>
著者
榊原 洋一
出版者
医学書院
雑誌
助産婦雑誌 (ISSN:00471836)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.754-758, 2001-09-25

2つの「三歳児神話」 先日第1回の「日本赤ちゃん学会」が東京で開催された。赤ちゃん学会は,これまで医学,心理学,動物行動学,サル学,コンピューター学などさまざまな分野で別々に行なわれてきた赤ちゃんについての学問を,異分野の研究者が集まって幅広い見地から共同で研究していこう,ということで創設されたものだ。その第1回の学会のテーマとして選ばれたのが「三歳児神話を検証する」であった。1日めの午前中は,基礎脳科学の立場で三歳児神話を検証し,午後は保育の現場に関係のある主に発達心理の立場から検証する,という趣向であった。 ふたをあけてみたところで,奇妙なことが起こった。午前中の基礎脳科学のセッションの座長が,シンポジウムの開催に先立って「三歳児神話」の意味を説明するとしてことわざの「三つ子の魂百まで」を例として持ち出したのである。そして三歳児神話の意味を,3歳までに子どもの脳はできあがってしまう,それくらい重要な時期なのだ,という説明でまとめたのである。座長は小児科医であり,子育ての現場にも詳しい方であったが,その方が三歳児神話の意味を,「3歳までの(脳)発達は極めて重要であって,その間に正しい刺激を与えなければ,健常な発達が臨めないことがある」という意味に解釈されていたのであった。午後のシンポジウムの座長を筆者がつとめたのだが,そこでも参加している小児科医から,「三歳児神話をどういう意味で捉えているのか」という私にとっては意外な質問がだされた。もちろん「三歳児神話」の公式の意味は「3歳までは母親が子育てをしないと,健常な発達がさまたげられる」というものであり,数年前に厚生省が出した三歳児神話にはそれを支える科学的な裏づけはないという声明においても,三歳児神話はそういう意味で使われている。
著者
星田 徹 榊 寿右
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.419-429, 2003-06-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
25

難治てんかん手術に必要な術前および術中検査について述べる.病態を知るための最初の情報は病歴聴取である.内側側頭葉てんかんは,乳幼児期に複雑型熱性けいれんを有することが多い.もっとも重要な検査は,脳波や脳磁図をはじめとする神経生理学的検査である.非侵襲的検査では,脳波ビデオモニタリングが基本となる.発作時脳波と症状を記録し,夜間の間欠陥異常波も捉えやすい.焦点を示す発作症状(笑い発作,激しい身振り自動症など)や側方性症状(同側性自動症と対側ジストニア肢位など)が重要である.てんかん発作波から双極子追跡法でてんかん焦点を措定する.次に画像検査を実施する. CT. MRI, MRスペクトロスコピー,PET.間欠時と発作時のSPECT,近赤外線脳血流測定法などの検査を行う.MRを用いた扁桃体海馬体積測定は,内側と外側側頭菓てんかんや全般てんかんとの鑑別が可能となる,MRで器質性異常を認めない場合や術前検査結果に不一致があれば,頭蓋内電極記録を行い正確なてんかん焦点を同定する.個々の患者で皮質電気刺激を用いて,焦点周辺の脳機能を知ることにより,術後の合併症を最小限にすることができる.術前に焦点を正確に同定し,周辺の脳機能を評価のうえ,焦点すべてを確実に切除すれば,術後に発作を十分抑制することができる.
著者
岡田 佳之 榊 剛史 鳥海 不二夫 篠田 孝祐 風間 一洋 野田 五十樹 沼尾 正行 栗原 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
JSAI大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.3I4OS14b1i, 2018-07-30

<p>本研究では,Twitterにおけるデマ・流言問題に着目し,デマならびにデマの訂正情報の拡散の仕方を4つのクラスに分類する.デマの拡散に対し,病気の感染モデルとして有名なSIRモデルに基づく「デマ拡散SIR拡張モデル」を提案し,東日本大震災における実際のデマ拡散が再現できるかを検証した.その結果,デマならびにデマの訂正情報の拡散がそれぞれ1回のピークを持つ事例において再現可能であることを確認した.</p>
著者
田中 直樹 我妻 浩二 村上 純一 石渕 重充 榊原 加奈 村本 勇貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>野球選手のボールの握り方は,障害予防やパフォーマンスの観点からボールの下面を母指の尺側でおさえる「尺側握り」が推奨されている。しかし,尺側握りが出来ない手長の小さな選手やボールの大きなソフトボール選手においては,母指の指腹でボールをおさえる「指腹握り」が強いられる。しかし,ボールの握りについて,手長や手指の関節角度について検討した報告は我々が渉猟しえた限りない。本研究では,我々が行った大規模野球検診で行われた検診項目のなかで,学童期野球選手におけるボールの握り方について手長とボールを握った際の中手指節間関節(MP関節)角度に着目し,肘障害との関係について明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は,学童期野球選手に対して行った野球検診参加者172名のうち,有効データの取れた169名(平均年齢10.6±0.7歳,平均身長142.9±7.7cm,平均体重37.0±7.7kg)とした。調査項目は①手長測定,②ボールの握り(尺側握り,指腹握り)チェック,③握った際の示指MP関節角度,④超音波画像による上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)検査の4項目とした。手長測定は橈骨茎状突起と尺骨茎状突起の中点から中指先端までをメジャーで測定した。ボールの握りは,母指先端が示指より尺側に位置し,母指の尺側でボールを把持しているものを尺側握り,母指先端が示指より撓側に位置し,母指の指腹でボールを把持しているものを指腹握りとした。MP関節角度はボールを握った状態で手指用ゴニオメータで測定し,屈曲をプラス,伸展をマイナスとした。超音波画像検査は操作や診断について習熟した整形外科医が行った。得られたデータを尺側握り群と指腹握り群に分け,手長およびMP関節角度について対応のないt検定を用い比較し,握りの違いによるOCD発生件数の比率をχ<sup>2</sup>検定を用いて算出した。また,OCDの有無によって非OCD群とOCD群に分け手長およびMP関節角度についてWelch検定を用いて比較した。いずれの検定も有意水準5%とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>平均手長は,尺側握り群(64名)で16.2±1.4cm,指腹握り群(105名)で15.7±1.1cmであり尺側握り群で有意に高値を示した。平均MP関節角度は,尺側握り群2.1±5.7°,指腹握り群3.9±5.5°であり指腹握り群で有意に高値を示した。169名中9名にOCDが見つかったが,握りの違いによるOCDの発生件数は尺側握り群4名,指腹握り群5名で差を認めなかった。OCDの有無による比較では,手長で非OCD群15.9±1.2cm,OCD群15.8±0.9cmと両群に差を認めなかった。MP関節角度は,非OCD群3.5±5.6°,OCD群-0.9±4.5°で,OCD群で有意に低値を示した。</p><p></p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>野球では尺側握りが推奨されているが,手長の大きい選手は尺側握りを選択し,手長の小さい選手は指腹握りを選択していた。握りの違いによるOCD発生に差は認められなかったが,ボールを握った際の示指MP関節角度がOCDの発生に関与する可能性が示唆された。</p>