著者
榊原 文 松田 宣子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.59-74, 2003
被引用文献数
1 9

本研究の目的は、精神障害者の偏見・差別及び啓発活勤に関する研究の動向を読みとり、先行研究より明らかにされた知見をテーマ別に整理することで、今後の課題と方向性を体系化することである。精神障害者、啓発活動、偏見、差別、スティグマをキーワードに、1983年から2003年までの過去20年間について、医学中央雑誌及びMEDLINEから文献を検索した。その結果、偏見・差別の意識態度の調査は1970年代より発展してきているものの、啓発活動の方策を系統立てて記したものがないこと、偏見・差別に対する精神障害者自身の内的な世界Iを引き出したものが少ないことが明らかとなった。今後、啓発活動実践による効果測定から啓発活動のあり方を検討することと、精神障害者自身の主体性に焦点を当てた啓発活動を追及することが課題である。
著者
谷口 忠大 高木 圭太 榊原 一紀 西川 郁子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1078-1091, 2009-12-15
被引用文献数
2 9

近年,CO<SUB>2</SUB>排出量の抑制や,化石燃料の将来的な枯渇を背景に再生可能エネルギーの利用が注目されている.しかし,既存の中央集権的な電力ネットワークは系統末端での非定常発電を前提とする再生可能エネルギーとは必ずしも相性がよくないと言われる.このため,マイクログリッドを始め分散型の電力ネットワークが研究されている.本研究ではその一つである自律分散型の電力ネットワークであるECOネットを取り上げ,ECOネット内の発電消費の末端ノードであるミニマル・クラスター間での電力売買を通じた電力融通の自動化の為の機構について検討する.電力売買の自動化の為には,各ミニマル・クラスターにおける電力ロスの発電・消費における諸条件に基づき電力売買の方策を最適化する事が望まれる.本稿では,電力売買を行うエージェントの学習に強化学習を用いる事で電力ロスを低減し,収益を最大化させるような適応的取引エージェントの構築を目指す.ただし,そのような系ではマルチエージェント強化学習の系となるために,不完全知覚問題や同時学習問題が発生することが指摘されている.本稿ではそれらの問題に強いとされる方策勾配法,特にその一種である Natural Actor-Critic を用いて適応的取引エージェントを構築する.また,提案手法の有効性を示すために,6個のミニマル・クラスターにより構成されるローカルクラスターを対象にシミュレーション実験を行った.シミュレーション実験では,Natural Actor-Criticによりエージェントが適切な取引を学習する事が出来る事が示されたのと同時に,マルチエージェント強化学習環境下においても少なくとも一体固定的な取引を行うエージェントの居る条件下では良好な学習結果を生むことが示された.
著者
朝位 孝二 古賀 将太 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.30-40, 2011 (Released:2011-05-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

近年水害経験のある流域に配布されたハザードマップの公開効果を把握と流域住民の効果的な防災意識向上の方法を探索することを目的として,山口県岩国市の錦川中流部(美川地域,錦地域)住民にアンケート調査を行った.アンケート調査はハザードマップ配布前後の2回行った.調査の結果,水害対策行動に至る心理段階として「知識」が,規定因として「愛着感」「危機感」が主要な要因であることが分かった.水害対策行動の実施確率からハザードマップの配布効果があることが示唆された.さらに,「知識」「台風14号の被災経験」「危機感」「有効感」「負担感」「ハザードマップの分かりやすさ」が防災意識向上の鍵となることが分かった.
著者
長曽我部 まどか 武吉 弘樹 榊原 弘之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_69-I_80, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
50

市民や地域住民自らがコミュニティに存在する問題を解決するためには,コミュニティの問題認識を明確化する必要がある.本研究では,コミュニティの中で市民や住民自らが主体的に問題解決を図る仕組みをコミュニティ・ガバナンス,コミュニティ全体の認識を「社会的文脈」と呼ぶ.社会的文脈は,時系列的に遷移するものと考えられる.そこで,近年の自転車交通問題を例として,コミュニティ・ガバナンスにおける社会的文脈の遷移過程を明らかにした.新聞記事テキストの内容分析を行い,ある特定の語と共起する語群より社会的文脈を特定した.さらに共起語の時系列的な変化より,社会的文脈の遷移過程を明らかにした.近年の自転車交通問題では,自転車の放置問題から,道路空間上での自転車走行のあり方へと社会的文脈が遷移したことを示した.
著者
榊原康友 松澤芳昭 酒井三四郎
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2013-CE-118, no.8, pp.1-8, 2013-02-01

プログラミング学習において内省が有効であるとする先行研究がある.しかしながら,先行研究では学習者の内省記述のみから学習効果を分析しており,コンパイルエラー修正時の行動を量的に測れないことが問題である.そこで,本研究では修正時間に着目したコンパイルエラーの難易度及び理解度を分析する指標を提案する.この指標をプログラミング初学者が課題を解く過程で得られた学習記録へ適用することで内省学習効果の分析を試みた.1) 失敗知識の内容から理解度の向上が窺える時は,その次の修正時から修正時間が短くなる傾向を持つことが多い.2) 非内省学習者と比較して内省学習者の修正時間は短い時間で収束しやすい.3) 非内省学習者と比較して内省学習者は短い時間で収束する速度が速い.
著者
榊原 禎宏
出版者
京都教育大学
雑誌
京都教育大学紀要 (ISSN:03877833)
巻号頁・発行日
no.123, pp.171-181, 2013-09

The purpose of this paper is to analyze the characteristics of the discourse and model of "hypothesis-verification" in a school context, leading to the conclusion in this study that the style lacks basic premises. For a productive internal school study, exploratory rather than exploitative trials should be set up on the one hand, and, on the other, the words examined and reconstructed that stem from events in the teaching-learning activity. At the same time, internal school studies, which are actually only studies concerning lessons, should be replaced with studies relating entirely to activities in the school.本報告は,①主に小学校・中学校で実施されている校内研究や校内研修のほとんどが,授業研究として取り組まれており,そのうち「仮説-検証」の形式に則っているものが多数見られること,②その用例は科学的文脈で用いられるものと異なって,同義反復的な学校独特のものであり,作文する研修主任を苦しめていること,③これを修正するには,「~すれば,~となる」と授業像の深化・先鋭化を志向するのではなく,また,授業者の認知に無前提に依拠する「振り返り」に留まるものでもなく,授業の自己言及的性格を分析・解体する過程として,授業像の拡幅化・多様化が必要なこと,を述べた。

1 0 0 0 OA 文芸類纂

著者
榊原芳野 編
出版者
文部省
巻号頁・発行日
vol.巻2 字志 下, 1878
著者
笹月 健彦 松下 祥 菊池 郁夫 木村 彰方 榊 佳之
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

HLAと連鎖した免疫抑制遺伝子(Is遺伝子)の発現とその医学生物学的意義を明らかにするために、Is遺伝子により支配される免疫低応答性の細胞レベル,分子レベル,および遺伝子レベルでの解析を進め、以下のような成果をおさめた。まず溶連菌細胞壁抗原(SCW),あるいは日本住血吸虫抗原(Sj)に対する免疫応答機構の細胞レベルでの解析を行なった。T4ヘルパーT細胞と抗原提示細胞の間の相互作用はHLA-DRにより遺伝的に拘束されているのに対し、T8サプレッサーT細胞による免疫抑制現象は、抗DQ単クローン抗体により阻止された。これにより、HLA-DR分子が免疫応答遺伝子の遺伝子産物として機能しているのに対し、HLA-DQ分子は免疫抑制に重要な分子であり、Is遺伝子の直接の遺伝子産物であることが示唆された。さらにSCWに対する低応答ハプロタイプであるDw2と,Sjに対する低応答ハプロタイプであるDw12のDQw1β鎖のアミノ酸配列の異同を検討し、【β_1】ドメインの高司変領域の違いにより、免疫抑制遺伝子の機能的相違がもたらされていることを示した。また、HLAと連鎖したスギ花粉抗原特異的Is遺伝子が抗原特異的サプレッサーT細胞を介して、IgE免疫低応答性を支配し、スギ花粉症に対する低抗性をもたらしていることを明らかにした。また、らい腫型らしい(LL)の感受性を支配する遺伝子がHLAと連鎖していることを示し、さらに、LL型らい患者より、らい菌抗原特異的サプレッサーT細胞の存在を証明した。LL型らい患者のらい菌抗原に対する非応答性がサプレッサーT細胞によりもたらされていることが示唆された。このように、ヒトにおける外来抗原に対する免疫応答の遺伝子支配が詳細に解明され、抗原特異的免疫調節機構におけるHLA-クラス【II】分子の役割りが明らかにされた。これらの研究成果は原因不明の難治性疾患の病因解明に資するものであり、さらに疾患の予防および治療への道を拓くものと期待される。
著者
福井 孝太郎 新宅 英滋 下村 彰宏 榊原 菜々 石川 優馬 誉田 雅彰 高西 淳夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.794-800, 2008-10-15
参考文献数
11

We have developed a vocal control method based on forward and inverse model, and new vocal cord mechanism, for anthropomorphic talking robot, Waseda Talker No.7, to produce various kinds of voices. The previous artificial vocal cord model could reproduce human-like vibration, however, the control range of the acoustic parameters are very small. We developed new mechanism could adjust the vocal cords tension effectively and control the glottal opening-closing, to broaden the control range. The control parameters of the vocal cords on WT-7 are vocal cord tension, glottal opening and air pressure, and the acoustic parameters are sound pitch, spectrum tilt and sound pressure. The relations between these parameters are complicated, and hard to modeling. The learning process consists of learning of the NN forward model and learning of the inverse model by using the forward model. In addition, the real-time auditory feedback mechanism is used to reduce the error. By this method, the acoustic parameters could be followed well the target.
著者
秋月 仁美 坂本 奈穂 西 あずさ 榊 友希 出戸 亜沙子 永田 真由美 吉田 有希 笹川 寿之 平松 知子 正源寺 美穂
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.79-85, 2006-11-01
被引用文献数
1

本研究では健康度自己評価に関連する因子を明らかにするため,A県に居住する健康な高齢者897名を対象に質問紙調査を行った(男性214名,女性683名,有効回答率83.7%).多重ロジスティック回帰分析の結果,健康度自己評価と病気・障害の有無のそれぞれに関連する因子として以下の結果を得た.1.健康度自己評価が高いことに関連する因子として,病気や障害がない,日常動作に困難を感じない,痛みによる生活への影響がない,自分は若いと感じている,生活に満足している,付き合いがある,趣味がある,熟眠感がある,毎日運動を行っていることがあげられた.2.病気や障害がないことに関連する因子として,70〜74歳あるいは85歳以上,女性,服薬をしていない,日常動作に困難を感じない,心配や不安がない,食欲があることがあげられた.これらの結果から地域の健康な高齢者の健康を維持するためには,身体的健康だけではなく,心理的,社会的,そして日常生活に伴って感じられる自分自身に対する満足感や,自分自身の意志によって行われる保健行動も重要である可能性が示唆された.

1 0 0 0 夢を追って

著者
榊佳之著
出版者
中部経済新聞社
巻号頁・発行日
2014