著者
鳥海 不二夫 榊 剛史
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1287-1299, 2017-06-15

近年,ソーシャルメディアにおいては,震災や選挙,炎上などの社会的イベントにより,特定の話題が大きく取り上げられるバースト現象が頻繁に発生している.そのような社会的イベントがどのように社会に受け止められているかを正確に理解するためには,バースト現象を分析し,どのような人々がどのような意見を表明しているかを明らかにするための技術が必要不可欠である.本研究ではバースト現象発生時に,(1)どのようなトピックが含まれるか,(2)各トピックがどのようなユーザによって拡散されているかを分析することで,バースト現象の詳細を明らかにする手法を提案した.まず,予備評価実験で,提案するトピック分類手法およびユーザ分類手法により適切な結果が得られることを示した.事例分析では提案手法を用いて炎上や自然災害など5つのバースト事例の分析を行い,それぞれの事例において,投稿数が多くかつ多様なユーザに語られていたトピック,投稿数が多いが一部のユーザのみに語られていたトピックを明らかにした.本提案手法は,必ずしも新しい手法ではなく,基本的には既存の手法の組合せによるものである.しかしながら,それによってバースト現象の詳細を分析することが可能であることを示した点が本論文における最も大きな貢献である.
著者
板垣 昭宏 山本 泰三 豊田 和典 矢上 健二 関口 成城 榊 佳美 石井 さやか 山口 茜 福山 勝彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100847, 2013

【はじめに、目的】上腕骨小頭と橈骨頭で構成される腕橈関節は,上腕骨小頭との適合性を高めるため,橈骨関節面は凹型の構造となっている.構造的な特徴から,肘関節伸展時に上腕骨小頭に対して,橈骨頭は後方へ滑るとされている.Gotoらは,肘関節運動時の腕橈関節における関節面接触に関する研究において,上腕骨小頭関節面は肘関節屈曲135°に比べ90°,0°では後方での接触になり,橈骨関節面は肘屈曲135°では前方での接触,屈曲90°,0°では全体での接触になると報告している.しかし,超音波画像診断装置を用いて,肘関節伸展時の腕橈関節を評価した報告は少ない.我々は,超音波画像診断装置を用いて,肘関節伸展時の橈骨頭の後方への移動量について検討したので報告する.【方法】対象は神経学的および整形外科疾患の既往の無い健常女性10名10肘で,測定肢はすべて左肘とした.対象者の平均年齢は24.2±1.6歳,平均身長は156.4±2.9cm,平均体重は48.9±3.1kgであった.測定肢位は背臥位とし,被験者の右上肢で測定側上腕近位部を把持させ,肩関節内外旋0°の位置で固定した.計測する角度は,前腕回内外中間位で肘関節伸展-20°,-15°,-10°,-5°,0°,5°とし,ゴニオメータにて設定した.上腕骨小頭に対する橈骨頭の後方への移動を,超音波画像診断装置(東芝社製famioSSA-530A 12MHzリニア式プローブ)を使用し,腕橈関節前面からの長軸像を計測した.プローブ操作は,短軸像での上腕骨小頭頂点を描写し,上腕骨小頭頂点を軸に90°プローブを回転させて,腕橈関節長軸像を描写した.腕橈関節長軸像から内蔵デジタルメジャーのパラレル計測を用いて,矢状面での上腕骨小頭頂点を通る線と,その線に対し橈骨頭前縁を通る平行な線の二つの線の間の距離を腕橈関節前後距離(以下,腕橈関節前後距離とする)として計測した.腕橈関節前後距離は,上腕骨小頭に対する橈骨頭の後方への移動量を正の値として算出した.各角度における腕橈関節前後距離を3回計測し,平均値を測定値とした.なお測定はすべて同一検者により実施し,プローブを皮膚に対して直角にあて過度な圧をかけないように注意しながら行った.各角度間における腕橈関節前後距離を,一元配置分散分析にて比較し,有意差のみられたものにTukeyの多重比較検定を行った.統計処理には統計ソフトSPSSを使用し,有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】実験に先立ち,対象者には研究内容について十分に説明し同意を得た.【結果】腕橈関節前後距離の平均値は,肘関節伸展-20°で0.93±0.7mm,-15°で1.90±0.78mm,-10°で2.7±0.60mm,-5°で3.32±0.69mm,0°で3.92±0.74mm,5°で3.98±0.82mmであった.肘関節伸展-20°では,-10°以上の各角度との間に,肘関節-15°では,-5°以上の各角度との間に,肘関節-10°では,-20°および,0°,5°との間に有意差があったが(P<0.05),肘関節伸展-5°,0°,5°の各角度間には有意差はなかった.【考察】今回の結果において,肘関節-5°,0°,5°の間での腕橈関節前後距離に有意差はなかったことから,肘関節屈曲位から伸展する際に,上腕骨小頭に対して橈骨頭は後方へ移動するものの,肘関節最終伸展域では橈骨頭は後方への移動はしていない,または少ない可能性が示唆された.腕橈関節の特徴として,上腕骨小頭の関節面は上腕骨長軸に対し,矢状面で前方に約30°傾いており,さらに関節軟骨は前方のみに限局していることから,肘関節最終伸展域では,橈骨頭は上腕骨小頭関節面に対し狭い関節面で適合しなければならない構造となっている.肘関節伸展可動域を改善するためには,上腕骨小頭に対して,橈骨頭が後方に移動できるよう周囲の軟部組織の柔軟性を確保するとともに,最終伸展域では橈骨頭を後方へ移動させるのではなく,上腕骨小頭関節面に適合させるような誘導をする必要性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】肘関節伸展可動域を拡大させるためには,腕橈関節に対する評価や運動療法を実施する意義があると考える.腕橈関節の可動性を引き出すためには,上腕骨小頭に対して橈骨頭の後方への移動が必要であり、肘関節最終伸展域では上腕骨小頭関節面に橈骨頭を適合させる必要があると考える.
著者
厚見 育代 倉田 昌明 榊 秀之
出版者
比較眼科学会
雑誌
比較眼科研究 (ISSN:02867486)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.35-41, 2013-12-27 (Released:2015-03-28)
参考文献数
10
被引用文献数
2

眼球に関する比較解剖学的研究は古くから広く実施されている。実験動物の眼球に関する知見は、眼科用医薬製品開発の非臨床試験評価において必要不可欠である。しかしながら、これらの知見は散在しており、点眼や硝子体内投与といった眼局所投与の研究において汎用される動物種(ウサギ、ビーグル犬、カニクイザル)に関しても、比較実験成績はないか、あるいは容易に入手できない状況にある。そこで我々は、ウサギ、イヌ及びサルを対象として、眼球、水晶体及び硝子体の解剖学的特徴を比較検討することを目的として本研究を行った。今回の検討において、眼球の大きさ(眼軸長、重量及び容積)、水晶体の大きさ(厚み、重量及び容積)及び硝子体の大きさ(重量及び容積)を各動物種について計測した。3種間の比較結果では、眼球の大きさはイヌが最も大きく、サル、ウサギの順であった。眼球の大きさと体重の間に正の相関があった。水晶体の大きさについては、イヌが最も大きく、ウサギ、サルの順であり、眼球の大きさや体重とは相関しない結果であった。硝子体の大きさは眼球の大きさと同じ順であったが、その眼球に対する割合はサルが最も大きかった。以上、眼局所投与の研究に汎用されるウサギ、イヌ及びサルの眼球、水晶体及び硝子体の大きさを詳細に比較検討した。今回得られた知見は、非臨床試験の評価やヒトへの外挿性において重要かつ有益な情報に成り得るものと考えられる。
著者
榊原 雄一郎 西崎 雅仁 木野 龍太郎
出版者
産業学会
雑誌
産業学会研究年報 (ISSN:09187162)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.24, pp.53-66, 2009 (Released:2010-03-31)
参考文献数
26

Recently, it is expected that the technologies and skills of the localized industry forms the basis of the new regional industry in the regional industrial development strategy. However, these regional industrial strategy that based the technologies and skills of the localized industry, such as regional cluster programs, has difficult problems. This Paper discusses the meanings of the technologies and skills of the localized industry by considering localized industry as one regional system which forms the product chain. We take up the Sabae eye-glasses production area in Fukui Prefecture as a case study and discuss it. We examine the difficulty of the regional industrial strategies and today's the crisis of collapse of localized industry in the views of the technologies and skills of the localized industry.In the localized industry, the companies which take the base technologies and skills are engaged in a specific works under the formation by the organizer. In this case these companies give only the "structure" to materials, but an organizer gives the "function" to it. Therefore, these companies need the organizer to shows their own ability in the localized industries. This is why the localized industry lacks in flexibility, because these companies tend to lack of the ability to understand the own technologies concerning the "function".
著者
松野 竜工 橘木 康文 足立 貴志 中西 和毅 木山 良二 榊間 春利 井尻 幸成
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
雑誌
九州理学療法士学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.102, 2019

<p>【目的】一般に成長期野球選手の投球障害はover useや不良な投球動作により生じる。特に、肩肘の故障しやすい投球動作として、「体の開き」と「肘下がり」が考えられている。これは投球動作指導の重要なポイントになるが「体の開き」と「肘下がり」の関係性に関してはよく分かっていない。今回、投球動作時の体幹及び骨盤回旋運動に着目し、「体の開き」と「肘下がり」の関係性について運動学的に検討した。</p><p>【方法】対象は中学生野球選手32名とした。ポジション及び現在と過去3ヵ月における疼痛の有無に関するアンケート調査を施行した。胸骨柄と第2仙椎後面に3軸加速度センサーを貼付し、スローカメラを用いて投球動作を撮影した。投球動作はワインドアップ期(knee highest position:KHP)-後方引込期-並進運動期-コッキング期(foot plant:FP)-加速期(maximum external rotation:MER)までの投球動作を解析した。体幹及び骨盤の回旋運動は、投球動作開始前の静止立位時の体幹及び骨盤角度を基準とした。「肘下がり」はMER時の肩肩肘ラインにて判断した。「肘下がり」の有無により2群(「肘下がり」群、「肘下がり」無し群)に分類し、体幹回旋角度(胸骨回旋角度)と骨盤回旋角度を各投球相で比較した。さらに「肘下がり」角度と、骨盤と体幹の相対角度との関係性を検討した。統計学的解析には対応のないt検定,Pearsonの相関係数を用い、有意水準を5%未満とした。</p><p>【結果】32例中のポジション別内訳は投手5名、捕手3名、野手24名であった。現在疼痛を有する群は13例(43%)、過去3ヵ月に疼痛が認められた群は23名(71%)であった。疼痛の有無と肘下がり角度の比較では有意差は認められなかった。32例中、14名(44%)の選手に「肘下がり」が認められた。体幹及び骨盤の回旋タイミングは、「肘下がり」群において早期に体幹及び骨盤回旋運動が生じ、体幹及び骨盤回旋角度は増加していた。特に「肘下がり」無し群と比較してFP時の体幹回旋角度は有意に大きかった(p<0.05)。「肘下がり」角度は骨盤と体幹の相対角度と正の相関(r=0.55、p < 0.05)を認めた。</p><p>【考察】今回、肘下がりと疼痛の関連性は認められなかったが、「肘下がり」を呈した選手は、早期に体幹と骨盤の回旋運動が生じ、回旋角度が増加していた。また、「肘下がり」角度が大きい選手は骨盤に対する体幹の回旋角度が大きく、いわゆる「体の開き」を生じていることが示された。成長期野球選手は一般にMER時の肩外転角度が小さく、肘が下がり、体の開きが早く上肢に依存した投球動作になりやすい。今回の結果は、「体の開き」と「肘下がり」には投球動作における骨盤及び体幹回旋運動のタイミングや回旋角度、骨盤に対する体幹回旋角度が密接に関連していることが示唆された。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は霧島整形外科倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:00012)。また研究の実施に際し、対象者に研究について十分な説明を行い、同意を得た。</p>
著者
田中 直樹 我妻 浩二 榊原 加奈 村上 純一 石渕 重充 村本 勇貴 岡田 尚之 岩本 航
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1323, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】野球は,本邦における競技人口が約810万人とされ,幅広い年代で行われている。学童期や高校野球選手に対する研究報告は多いが,中・高年期の野球傷害に関する報告はほとんどみられない。今回我々は,中・高年期以上で構成される1チームについて傷害調査を行う機会を得た。そこで本研究は中・高年期野球選手における傷害発生件数と程度を調査すること,および野球経験年数,野球ブランク年数と投球障害の関係を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は,東京都還暦軟式野球連盟所属の野球選手23名(平均年齢67.4±5.6歳)とし,調査は配票による自記式アンケートとした。調査項目は,①「野球経験年数(トータル年数,野球のブランク年数)」,②「野球に起因する傷害」,③「②の野球への支障度合い(VAS)」,④「野球以外に起因する傷害・疾患」,⑤「④の野球への支障度合い(VAS)」,⑥「現在野球を行う理由に関する自由記載」の6項目とした。また,アンケート調査項目④で肩肘痛を有していると回答した13名の「野球における支障度合い」と「経験年数」,「野球のブランク」との関係をpearsonの積率相関係数を用い検討した。統計解析は統計ソフトR ver.2.13.0を用い,有意水準は5%とした。【結果】①野球経験トータル年数は平均36.1±19.5年(±標準偏差)であった。野球経験者のうち現在野球を行うまでのブランク年数は平均25.2±14.5年(±標準偏差)であった。②野球に起因する傷害は合計18/23名で,肩・肘合計13件,腰痛3件,下肢障害3件,外傷では慢性硬膜下血腫1件,手指骨折1件であった。③野球に起因する傷害による野球への支障度合いは平均14.4±12.7mm(±標準偏差)であった。④野球に起因しない傷害・疾患を有すものは合計12/23名で腰痛3件,膝痛2件,喘息2件,痛風1件,前立腺疾患2件,心房細動1件,その他3件であった。⑤野球に起因しない傷害や疾患の野球への支障度合いは平均11.0±9.6mm(±標準偏差)であった。⑥現在野球を行う理由については,生きがいが5件,ストレス発散が5件,健康のためが4件であり,その他は仲間意識,社会交流等の回答があった。「野球経験年数」および「野球のブランク年数」と「肩肘痛による野球への支障度合い」との関係はそれぞれr=0.65(p<0.05),r=0.69(p<0.05)と正の相関を認めた。【結論】野球に起因する傷害は18/23名(78%)が有し,肩肘痛においては,野球経験年数,野球ブランク年数と野球への支障度合いについて正の相関を認め,今後身体機能との関係を明らかにする必要性がある。野球に起因しない傷害・疾患は12/23名(52%)が有し,年代を考慮した参加基準の指標や疾患の重症度の把握が必要であると考えられる。
著者
榊原 悟
出版者
東京国立博物館
雑誌
東京国立博物館研究誌 (ISSN:00274003)
巻号頁・発行日
no.401, pp.p4-16, 1984-08
著者
秋葉 崇 小川 明宏 寺山 圭一郎 土谷 あかり 中川 晃一 榊原 隆次 丸岡 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.695-699, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕足関節底背屈運動が血行動態と自律神経系に与える影響を検討し,起立性低血圧の対処法としての一助とすること.〔対象と方法〕対象は健常男性8人(年齢28.8 ± 5.3歳)とした.プロトコルは,5分間の安静座位の後,1分間の足関節底背屈運動を行い,再度5分間の安静座位を保持した.その間,循環動態と自律神経の反応を評価した.〔結果〕心拍数,一回拍出量,心拍出量は,安静時の値と比較して,足関節底背屈運動中の値が有意に高値を示した.また,その効果は運動後1分まで持続した.LF/HF,HFなどの自律神経系の反応は,有意な変化が認められなかった.〔結語〕足関節底背屈運動の即時効果が認められ,その効果は1分程度持続した.足関節底背屈運動が,起立直後の血圧低下を回避する方法としての一助となる可能性が示唆された.
著者
榊原 良太
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.105-113, 2014-05-01 (Released:2014-09-11)
参考文献数
71
被引用文献数
1 3

Emotion regulation has been the center of the attention for a few decades, contributing to, for example, the understanding of the relation between emotion and well-being. However, criticisms and reconsiderations of self-report scale, which have played an important role in emotion regulation studies, haven't been thoroughly done. Therefore, on the basis of Gross's process-model, the present paper reviewed the existing scales of “attention deployment,” “cognitive change,” and “response modulation,” which are the three points of the emotion regulation process. In particular, the uniqueness and problems of each scale are referred when necessary. The limitation of the present paper and future view of emotion regulation studies in general are discussed in conclusion.
著者
佐々木 洋子 高橋 香代子 佐々木 祥太郎 宮内 貴之 榊原 陽太郎
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.683-690, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
25

本研究の目的は,急性期脳卒中片麻痺患者の日常生活における麻痺側上肢の使用頻度に影響を及ぼす要因について,基本特性や身体機能,麻痺側上肢の使用方法に対する理解度の観点から,明らかにすることである.対象は発症から1週間以内の急性期脳卒中患者56名とした.多変量ロジスティック回帰分析の結果,麻痺側上肢の日常生活における使用頻度には,上肢麻痺の程度と理解度が影響することが明らかになった.この結果から,急性期の作業療法では,麻痺側上肢の機能改善を図ることに加え,麻痺側上肢の使用方法に対する理解度を評価し,日常生活での使用を促す介入が必要であると考えられた.
著者
榊原 千鶴
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.44-52, 2011

<p>明治期に多く作られた女性向け書簡文範のなかには、中世の軍記物語を素材のひとつとするものがある。たとえば、樋口一葉晩年の作品として広く読まれた『通俗書簡文』では、一葉による本文とは別に、鼇頭が設けられている。両者は乖離することなく、書簡文範というひとつの世界を創造した。その世界で軍記物語は、どのような役割を果たしたのか。本稿では、近代における中世文学の再生の意味を、戦時下での女性像という面から考えた。</p>
著者
榊原 雅人 佐藤 譲 竹内 聡 Park Suin 及川 欧
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.613-621, 2019 (Released:2019-10-01)
参考文献数
40

第59回日本心身医学会総会ならびに学術講演会の企画シンポジウム 「バイオフィードバック/ニューロフィードバックの臨床応用」 において, 現在, 日本および韓国で活躍している研究者・実践家による討論が行われた. バイオフィードバックに関わる研究や実践はこれまで心身医学領域においても数多く進められてきたが, これを踏まえさらに新しいかたちで発展する可能性があるように思われる. とりわけ心拍変動バイオフィードバックはストレスに関わる臨床に応用され, 近年, 特に注目されている技法である. 一方, ニューロフィードバックに関する知識や実践は日本にまだ十分に普及しているとはいえないが, 発達障害などを中心として, 今後, 心身医学においてそのニーズが高まるのではないかと考えられる. また, 世界的な視点でバイオフィードバック/ニューロフィードバックの臨床応用を考えるとき, バイオフィードバック認定国際機構 (The Biofeedback Certification International Alliance : BCIA) が研究や教育的側面に果たす役割は大きい. このような流れを含め, 日本の心身医学領域におけるバイオフィードバック/ニューロフィードバックの具体的な展開が今後ますます期待される.
著者
野嶽 勇一 深澤 昌史 榊原 隆三 Yuichi NODAKE Masashi FUKASAWA Ryuzo SAKAKIBARA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.239-248, 2010
被引用文献数
2

乳酸を環状に重合した化合物である環状重合乳酸(CPL)が、ガン細胞の増殖を強力に抑制することが見出されている。CPLのこの特異な生理活性が脚光を浴び、CPLを新しいタイプの機能性食品や抗ガン剤として応用するための試みが精力的に実施されている。 CPLはガン細胞のピルビン酸キナーゼおよび乳酸脱水素酵素の活性阻害に効果を示し、ガン細胞の解糖系を特異的に抑制する特長を示す。この結果、解糖系の機能が低下したガン細胞においては、エネルギーおよび細胞構成成分の産生・供給が停滞状態に陥る。また、CPLの作用によりガン細胞ではアポトーシスも誘導されることから、ガンの成長が抑制されることが示されている。現在では、ガン患者を対象としたCPLの臨床試験も実施されており、腫瘍の縮小や症状の改善に関する症例報告がある。
著者
石井 僚 村山 航 福住 紀明 石川 信一 大谷 和大 榊 美知子 鈴木 高志 田中 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.18233, (Released:2019-11-15)
参考文献数
66
被引用文献数
2

The study described here developed a short surrogate index for the children’s socioeconomic status (SES) using house possessions and investigated its validity. In Study 1, 192 pairs of parents and their middle school-aged children participated in a questionnaire survey. Based on the results, three items regarding possessions at home were selected for the short surrogate index out of the 17 items used in the Programme for International Student Assessment. Furthermore, the short surrogate index for the children’s SES was related to family income, parents’ academic background, and hierarchy consciousness. In addition, it was found to have good test-retest reliability, thereby demonstrating its validity. To confirm that the item selection and validity in Study 1 did not involve sampling error, Study 2 investigated the reproducibility of validity with a different sample. One hundred ninetyfive pairs of parents and their middle school-based children responded to the questionnaire, and the results redemonstrated the index’s validity. Studies in different disciplines using the short surrogate index can be conducted because SES can be both the main and confounding variable.